2022年6月6日更新事業承継

事業承継したい!M&Aにおける事業承継の成功・失敗事例25選を解説

事業承継を失敗しないためには事前にリスクなどを把握し、現経営者と後継者が信頼関係を構築しながら計画的に進めることが重要です。本記事では事業承継の注意点、専門家によるサポートや補助金による事業承継の資金調達方法などを解説します。

目次
  1. M&Aにおける事業承継とは
  2. 事業承継で活用できる補助金・融資
  3. 事業承継時の相談先と専門家の活用
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M&Aにおける事業承継とは

日本企業の99%を占める中小企業では、少子高齢化により深刻な後継者不足問題に直面しています。経済産業省によれば、今後10年の間に70歳を超える経営者が約245万人おり、その半数は後継者が見つかっていません。つまり、廃業危機にある中小企業が多数あるのです。

経済産業省の試算では、中小企業の廃業によって650万人の雇用と22兆円のGDPを損失するおそれが報告されています。このような状況から、中小企業の事業承継は大きな課題となっているのです。

従来の中小企業では、経営者の子どもが後継者となる親族内承継が主流でした。しかし昨今は、少子化で子どもの数が減り、価値観の多様化で親の後を継がない子どもも増えたことが、後継者難の一因です。

そこで、親族外からも幅広く後継者候補者を選ぶことが増えてきました。1つには、会社の従業員や役員を後継者とする社内承継があります。もう1つは、M&Aによる事業承継です。会社を売却することで、その買い手が後継者(新たな経営者)となります。

ここでは、そのM&Aによる事業承継について、くわしく見てみましょう。

事業承継の注意点とリスク

M&Aによる事業承継は、会社や事業そのものの売買取引でありリスクも大きいため、細心の注意が必要です。M&Aによる事業承継の主な注意点やリスクとして、以下の4つがあります。

  1. 不利益も引継ぐ
  2. 株式購入資金の問題
  3. 買い手側の経営者の能力
  4. 税金対策

①不利益も引継ぐ

中小企業のM&Aに多く用いられるスキーム(手法)は、株式譲渡です。株式譲渡は、売り手企業の株式を買収することで買い手はその経営権を取得します。つまり、事業・資産・負債・商圏・人材の全てが包括的に売り手から買い手に移転します。

ここで注意すべきは、売り手企業のプラス面だけではなくマイナス面も引継ぐため、想定以上に買い手の負担が大きくなり得ることです。特に、売り手自身も把握していないような、偶発債務などの簿外債務が潜んでいる場合があります。

買い手としては、慎重な検討と調査に基づく判断が必要です。

②株式購入資金の問題

M&Aによる事業承継では、買い手側は株式購入に相当の資金が必要です。自己資金で足りなければ、金融機関からの借入などによる資金確保の対応が必要となります。

③買い手側の経営者の能力

M&Aによる事業承継を行うと、経営に関する全ての権利が買い手側に移転するため、今後の事業展開は買い手側の経営者に大きく左右されます。売り手側の従業員は、事業承継後の雇用の確保、待遇面の変化などに不安を持つことが多いです。

また、買い手側の経営方針に賛同できず、退職する可能性もあります。売り手側の従業員はその事業で重要となるスキルやノウハウを持っていますから、買い手側は売り手側従業員のケアにも細心の注意を払うことが肝要です。

④税金対策

M&Aでの事業承継を株式譲渡で実施した場合、株式を売却した売り手には相応の対価が支払われます。対価のうちの利益分は株式譲渡所得とみなされ、所得税の課税対象です。株式譲渡所得税は分離課税で、税率は20.315%(2022⦅令和4⦆年4月現在)となっています。

株式譲渡の対価全てを自由に使えるわけではないので、納税額を把握したうえでM&A後の資金計画を立てるなどの対策が必要です。

事業承継で活用できる補助金・融資

M&Aによる事業承継では、譲渡費用以外にアドバイザーへの報酬など多くの資金が必要になり、資金面の問題からハードルが高いと思われがちです。

しかし、少子高齢化を背景とした事業承継ニーズの高まりを受けて、国の施策として行われる補助金制度や融資を利用するという選択肢もあり、これらの補助金や融資をうまく利用することで事業承継をスムーズに実行できます。

ここでは、以下の3つの補助金や融資の概要を見てみましょう。

  1. 事業承継・引継ぎ補助金
  2. 低利融資
  3. 経営承継円滑化法に基づく信用保証

①事業承継・引継ぎ補助金

中小企業庁管轄で実施されている中小企業の事業承継関連補助金制度が、「事業承継・引継ぎ補助金」です。具体的には3パターンの補助金があり、以下のような中小企業・小規模事業者(個人事業主含む)が対象者となっています。

  • 経営革新補助金:事業承継・M&Aを契機に新規事業などの経営革新を計画している事業者
  • 専門家活用補助金:M&Aによる事業承継を行う予定の事業者(売り手・買い手の双方)
  • 廃業・再チャレンジ補助金:現在の事業を廃業し新事業に挑む予定の事業者

各補助金ごとの具体的な金額規模や対象経費は以下のとおりです。
補助金名目 上限金額 対象経費
経営革新 600万円 設備投資費用、人件費、店舗・事務所の改築工事費用など
専門家活用 600万円 M&A支援業者に支払う手数料、デューデリジェンスにかかる専門家費用など
廃業・再チャレンジ 150万円 廃業支援費、在庫廃棄費、解体費など

※上限金額はいずれも実費の3分の2までです。
※M&A手数料は、M&A支援機関登録制度に登録されたファイナンシャルアドバイザーまたはM&A仲介会社の手数料限定です。

なお、この補助金の場合、用意する資料や応募できる期間などが厳密に定められています。専用ホームページが開設されているので、そちらで詳細を確認してください。

②低利融資

金融機関からの融資を低利で受ける方法です。よく利用されるものは、日本政策金融公庫が実施している「事業承継・集約・活性化支援資金」という低利融資です。

通常、金融機関から事業資金の融資を受ける場合、リスクフリーレートにリスクプレミアムという信用リスクを加味した利率が適用されるため、相当程度の利息負担が生じます。

一方、この制度では、利率上限が3%となっており、非常に低利な条件で融資を受けられるのです。ただし、事業計画策定などの一定の条件があるため、各金融機関に詳細を確認しましょう。

③経営承継円滑化法に基づく信用保証

経営承継円滑化法に基づく認定を得た会社、または個人事業主に対して、事業承継に関する資金を金融機関から借り入れる場合に、信用保証協会の通常の保証枠とは別枠が与えられる制度です。

実質的には保証枠が2倍になる制度であり、資金調達を行う際に有利になります。ただし、一定の要件を満たすことと、都道府県への申請が必要です。必要な要件については中小企業庁のホームページなどを確認しましょう。

事業承継時の相談先と専門家の活用

事業承継は経営上の意思決定として重要度が高く、家族や従業員にも大きな影響を及ぼす非常にセンシティブな内容を含みます。それに加えて専門知識も必要になるため、事業承継の専門家のサポートを受けながら進めるのがおすすめです。

ここでは、事業承継時に頼るべき主な相談先・専門家として以下の3つを紹介します。

  1. 公認会計士・税理士
  2. 金融機関
  3. M&A仲介会社

①公認会計士・税理士

事業承継に関する手続き・会計・税務面に精通し、交渉先の選定や今後の計画、事業承継によるメリットの検討など、多くの局面でサポートが期待できる存在です。また、会社の顧問先であることも多く、気軽に相談しやすいという側面もあります。

中小企業庁が発行している中小企業白書でも、中小企業が考える事業承継時の相談先として、公認会計士・税理士が相談したい相手のトップです。ただし、全ての公認会計士・税理士が事業承継に精通しているわけではありません。

仮に専門外であったとしても同業者間での連携が強いため、事業承継に精通した別の専門家を紹介してもらうようにしましょう。

②金融機関

幅広いネットワークを持っているため、事業承継の相手先の選定や専門家の紹介など有利な提案を受けられる可能性があります。

金融機関としては、融資先からの資金回収が滞る事態は避けたいため、事業承継でもできるだけ財務面でメリットが大きい選択肢をとってほしいのが本音にあるためです。

すでに融資を受けている場合は、特に早い段階で相談しておいたほうが、スムーズな事業承継の実現につながる可能性が高いでしょう。

③M&A仲介会社

M&A仲介会社は、M&Aを通じた事業承継に特化しており、幅広い情報ネットワークで最適な候補先とのマッチングや手続き面でのフォローなどを行います。

事業承継時に親族・社内以外の第三者を後継者候補とするケースでは、より慎重に事業承継を検討する必要があるため、M&A仲介会社を利用して複数の候補と交渉を行うことが重要です。

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