2021年5月5日更新会社・事業を売る

企業買収とは?企業買収の方法と価格

企業買収の方法は複数種類あるため、それぞれのメリット・デメリットを十分に踏まえて行う必要があります。本記事では、企業買収の目的・企業買収の失敗/成功事例・企業買収のメリット/デメリット・企業買収の方法・企業買収の価格を中心に詳しくまとめました。

目次
  1. 企業買収とは?
  2. 会社の買収を失敗した事例5選
  3. 企業買収の成功事例5選
  4. 企業買収のメリット・デメリット
  5. 企業買収の方法
  6. 企業買収の価格
  7. 企業買収を成功させるポイント
  8. 企業買収まとめ
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企業買収とは?

企業買収とは?

昨今、M&Aによる企業買収さまざまな会社が実施を検討しており、「M&A=企業買収」というイメージを持っている経営者の方も少なくありません。しかし、今や企業買収は、ポピュラーな経営戦略の手法となりつつあります。

この企業買収は多様な手法に分かれており、それぞれに異なるメリットやデメリットが存在します。そのため、これらのポイントを十分に踏まえたうえで実施しないと失敗してしまいかねません。そこで今回は、企業買収の目的・手法・メリット/デメリットなどを中心に紹介します。

企業買収の意味

企業買収を文字通り読むと「企業を買収する」となりますが、厳密には企業における議決権の過半数や一部の事業を買い取る行為を意味します。つまり、企業買収とは、対象となる企業の経営権・事業を買収する行為のことです。

M&Aにより企業買収を行うと、買い手となる企業は対象企業の支配権を獲得する一方で、対象企業は買い手となった企業の子会社あるいは完全子会社となります。

なお、M&Aから企業買収を連想する経営者の方も多いですが、正確にいうとM&Aは「Mergers(合併)」と「Acquisitions(買収)」の双方の意味を含む行為です。

合併と買収は一見すると似ていますが、合併では経営統合の実施時に当事会社のいずれかが消滅する点に相違が見られます。

また、広義のM&Aには企業同士の連携も含まれており、資本提携や一部株式譲渡などもM&Aに該当する手法です。

とはいえ、M&Aによる企業買収にもさまざまな手法が存在しており、実施時は自社に最適な手段を選び取る必要があります。

敵対的買収と友好的買収の相違点

企業買収は、大まかに敵対的買収と友好的買収の2つに分けることも可能です。このうち前者は、買収対象とされた企業の経営陣と買収者の合意が取り付けられないまま取引が進行する状態をさします。

上記に対して、後者は、当事会社の合意に基づいて実施される行為のことです。なお、日本で実施される企業買収のほとんどは友好的買収に該当します。

また、株式を公開していない中小企業のM&Aでは、経営者の意向に沿わない敵対的買収はほとんど起こり得ません。

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企業買収の目的

企業買収の目的にはさまざまなものがありますが、本章では大きく4つに分けて取り上げます。

  • 企業のさらなる成長の実現
  • 海外進出
  • 経営再建
  • 事業承継

それぞれの目的を順番に詳しく紹介します。

企業のさらなる成長の実現

企業買収の代表的な目的は、企業のさらなる成長の実現にあります。企業買収により事業領域を拡大し、異なる企業のノウハウ・設備などを取り込んで経営のシナジー効果を獲得すれば、企業がより成長するきっかけを作れます。これと同時に、買収対象企業の人材・シェアなどを獲得できる点も非常に有益です。

また、企業買収は、新規事業に進出する際にも大いに活用できます。企業買収であれば、新事業に必要なノウハウ・設備・許認可などをまとめて獲得できるため、事業拡大にかかるコストを軽減できる可能性が高いです。さらには、新しいエリアに展開したい際にも、企業買収を利用すれば容易に進められます。

海外進出

最近では、企業の海外進出のために企業買収が活用されるケースも多いです。特定の国・地域に進出するために企業買収を行っている日本企業は、数多く見られます。これは新規エリアでの事業展開を目的とする企業買収と類似するケースであり、現地企業の買収によってその国への進出の足掛かりとなります。

当然ながら、現地企業は現地の習慣・法律・市場動向など経営の必要事項を心得ているため、買収すれば海外進出を効率的に進められます。

経営再建

経営が悪化している企業であれば、経営再建を目的に企業買収を行うケースもあります。これは特に売り手となる企業に多い目的であり、売り手から見れば会社売却に該当する行為です。

たとえ経営状態が悪化し赤字から脱却できない企業であっても、会社売却を行えば買い手企業による新たな資金の投入などを通じて経営再建のめどを立てられます。そして何よりも売り手企業の経営者のメリットとして大きいのは、自分の企業を存続させられる点です。

その一方で買い手企業としても、経営が悪化している企業に投資して収益性を引き上げれば自社の成長に寄与させられます。ただし、こうした目的を掲げる企業買収では、特に売り手企業の選び方に注意が必要です。

事業承継

事業承継も、売り手となる企業が企業買収の当事会社となる際に掲げる目的の1つです。もともと事業承継からは、「経営者が自身の子供を後継者として企業を承継させる」パターンを連想する経営者の方が多く見られます。

しかし、近年では中小企業を中心に後継者不在の問題が深刻化しており、後継者がいないために廃業を余儀なくされる企業が増加傾向にあります。こうした企業にとって企業買収は有効的な手段であり、買い手企業に買収してもらえば企業の存続だけでなく企業の成長までかなえられる可能性があります

そのため、近年ではM&Aによる企業買収を利用して事業承継を行う企業が増えています。

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通常、M&Aによる企業買収には半年〜1年程度の期間が必要とされていますが、M&A総合研究所ではスピーディーなクロージングを目指しており、最短3カ月での成約実績を有している点も強みです。

料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。相談料は無料となっておりますので、お気軽にお問い合わせください。

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会社の買収を失敗した事例5選

会社の買収を失敗した事例5選

本章では、「実際に企業買収を行い会社の買収を失敗した」事例を5つ取り上げます。

  1. のれんの減損処理が巨額に上ったケース
  2. M&A後に売り手企業で不祥事が発覚したケース
  3. 新規事業への進出に遅れを取ったケース
  4. バブル崩壊の影響を受けたケース
  5. 資金投入のタイミングを誤ったケース

それぞれの事例を順番に詳しく解説します。

失敗事例①:のれんの減損処理が巨額に上ったケース

東芝

東芝

出典:https://www.toshiba.co.jp/index_j.htm

1つ目に、のれんの減損処理が巨額に上ったことが原因となり失敗に発展した企業買収の事例を取り上げます。そもそも「のれん」とは、企業買収の対象となる企業が将来にわたって収益を獲得する力を買い手企業が評価したものです。貸借対照表では、無形固定資産として計上されます。

もしも企業買収後に対象となった企業の収益力が低下したと判断される場合、のれんの評価を引き下げて損失処理を行わなければなりません。この手続きを、「のれんの減損処理」と呼んでいます。企業買収に伴い、のれんの減損処理が巨額に上った企業は、主に以下の通りです。

  • 東芝(米原発子企業ウエスチングハウス社の買収で約7,200億円の減損処理(2017年3月期))
  • 日本郵政(豪物流子企業トール・ホールディングス社の買収で約4,000億円の減損処理(2017年3月期))
  • パナソニック(三洋電機の買収で約2,500億円の減損処理(2012年3月期))
  • 富士通(英国ICL社の買収で2,900億円の評価損計上(2007年3月期))
  • NTTコミュニケーションズ(ベリオ社の買収で5,000億円の減損処理(2001年9月))

失敗事例②:M&A後に売り手企業で不祥事が発覚したケース

第一三共

第一三共

出典:https://www.daiichisankyo.co.jp/

2つ目に取り上げるのは、M&A後に売り手企業で不祥事が発覚したことで失敗に発展した企業買収の事例です。2008年、第一三共はインドの後発医薬品メーカー「ランバクシー」を買収しました。

買収側の第一三共は、日本の大手製薬会社です。武田薬品工業・アステラス製薬・大塚ホールディングス・エーザイと合わせて、国内製薬会社大手5社の1つに数えられています。

本件企業買収の金額は当時の為替レートで約4,900億円と発表され、大規模M&Aとして注目を浴びました。ところが結果的には、第一三共は2009年3月期にランバクシー関連で3,500億円以上の特別損失を計上しています。特別損失の原因は、ランバクシーの抱えるトラブルに気が付かなかった点にあります。

この企業買収ではTOBが採用されましたが、TOB期間中に米国食品医薬品局(FDA)より抗生物質の取り扱いや製造器具の洗浄状況・生産管理・品質管理などに関する記録保存の問題が改善されていないことを理由に、30種以上の医薬品の米国への輸入を禁止する措置を講じられました。

これにより、ランバクシーの株価は買収価格より70%近く下落してしまい、特別損失を計上しなければならなくなりました。以上の失敗を踏まえて、売り手企業のトラブルを洗い出すためにも、企業買収ではデューデリジェンスを徹底すると良いでしょう。

失敗事例③:新規事業への進出に遅れを取ったケース

マイクロソフト

マイクロソフト

出典:https://www.microsoft.com/en-us/?ql=2&spl=1

3つ目に、新規事業への進出に遅れを取ったことで失敗に発展した企業買収の事例を取り上げます。2014年、アメリカのマイクロソフトは、フィンランドの通信インフラベンダー「ノキア」のデバイス事業を買収しました。当時の買収額は約72億ドルと発表されています。

買収側のマイクロソフトは、ソフトウェアの開発・販売を手掛ける会社で、1975年にビル・ゲイツとポール・アレンにより創業されました。1985年にはパソコン用OSのWindowsを開発し、1990年にはWindows向けのオフィスソフトとしてMicrosoft Officeを販売するなど、世界的に高い知名度を誇る企業です。

対する売却側のノキアは、従来型の携帯電話の時代において世界トップのシェアを誇っていたメーカーです。本件企業買収の当時、マイクロソフトはスマートフォン事業においてApple・Googleなどに大きな遅れを取っていました。

そのため、ノキアの買収によりスマートフォンへの対応を加速化させる狙いがありましたが、買収後もスマートフォン事業の遅れを取り戻せませんでした。結果的に翌年の2015年にはCEOを変更し、元ノキアの社員を大量にリストラしたうえに約76億ドルの減損損失を計上しています。

このように、企業買収ではたとえ買収自体には成功したとしても、その後の業績向上につながらず失敗に発展するおそれがあります。

失敗事例④:バブル崩壊の影響を受けたケース

三菱地所

三菱地所

出典:https://www.mec.co.jp/

4つ目に取り上げるのは、バブル崩壊の影響を受けたことで失敗に発展した企業買収の事例です。1989年、三菱地所は、アメリカ・ニューヨークのロックフェラーセンターを買収しました。当時の買収金額は2,200億円と発表されています。

買収側の三菱地所は、日本の不動産ディベロッパーです。グループ内には、丸ビル・新丸ビルなどのオフィスビルのプロパティマネジメントを担う「三菱地所プロパティマネジメント」や、住宅事業を担う「三菱地所レジデンス」・設計事業を担う「三菱地所設計」などを擁しています。

本件企業買収はいわゆるバブル時代によく見られた「日本企業による海外資産の買収ケース」の一つです。また本件は、当時アメリカ国民とニューヨーク市民より大きな反感を買っています。

そして、その後のバブル崩壊により、1995年には莫大な負債を抱えた運営企業が破綻しました。買収した物件の大半を放棄した結果として、三菱地所は1,500億円の損失を計上しています。

失敗事例⑤:資金投入のタイミングを誤ったケース

ウォルマート

ウォルマート

出典:https://corporate.walmart.com/

5つ目に、資金投入のタイミングを誤ったことで失敗に発展した企業買収の事例を取り上げます。2002年、アメリカの小売大手「ウォルマート」は、本件企業買収当時、業績不振に悩んでいた西友と資本業務提携を実施しています。

買収側のウォルマートは、アメリカ・アーカンソー州に本部を置く世界最大のスーパーマーケットチェーンであり、売上額で世界最大の企業です。ウォルトン一族による同族経営企業(ファミリー・ビジネス)としても高い知名度を誇っています。

対する売却側の西友は、東京都を拠点としてスーパーマーケットチェーン・ゼネラルマーチャンダイズストア ・スーパーセンターなどを全国展開する企業です。かつては、旧セゾングループの中核的存在に位置づけられていました。

上記の資本業務提携後も西友の業績は改善しなかったため、2008年にウォルマートは約1,000億円を追加投入して西友を完全子会社化しています。これにより、最終的なウォルマートの投資額は2,500億円にも及びました。

ウォルマートからすると経営再建への見通しを立てていたと考えられますが、2002年に資本業務提携を行った際に完全子会社化していれば買収金額を抑えられたとも推測されています。

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企業買収の成功事例5選

企業買収の成功事例5選

本章では、企業買収の成功事例として以下の5つを取り上げます。

  1. サコスグループによる親和電気の株式取得(株式譲渡)
  2. ユーグレナによるLIGUNAとの株式交換
  3. ジェクシードによるXYEEDの株式取得(第三者割当増資)
  4. ワットマンによるシナノ・グループのゲームステーション事業の譲受(事業譲渡
  5. サンケン電気によるGSユアサへの子会社譲渡(会社分割)

それぞれの事例からポイントをつかんで、自社の企業買収戦略の策定に役立てましょう。

成功事例①:サコスグループによる親和電気の株式取得(株式譲渡)

サコス

サコス

出典:https://www.sacos.co.jp/

2021年1月、株式譲渡により、サコスグループは親和電気の株式すべてを取得すると発表しました。本件企業買収の取引価格は非公開です。買収側のサコスグループは、機械/機器のレンタル・リース業・機械・機器などの輸出入および販売業を展開しています。

対する売却側の親和電気は、名古屋市を拠点に、総合電気設備/資材卸販売業・電気をアクセスとした快適空間・環境商品の開発・関連工事請負業などを手掛けている企業です。本件企業買収の目的は、グループの成長戦略の達成および中長期的な企業価値向上にあります。

成功事例②:ユーグレナによるLIGUNAとの株式交換

ユーグレナ

ユーグレナ

出典:https://www.euglena.jp/

2021年1月、ユーグレナは、LIGUNAとの間で簡易株式交換を実施すると発表し、株式交換契約を締結しました。本件株式交換では、ユーグレナを株式交換完全親会社、LIGUNAを株式交換完全子会社としています。

ユーグレナは、藻類の一種であるミドリムシを中心とした微細藻類に関する研究開発・生産管理・品質管理・販売などを展開している企業です。ミドリムシの59種類の栄養素を活用し食品販売・化粧品販売を展開しながら、ミドリムシ由来のバイオジェット燃料・バイオディーゼル燃料の研究開発を行っています。

一方のLIGUNAは、スキンケア・雑貨・食品の企画開発および通信販売事業などを手掛けています。本件企業買収の目的は、ユーグレナの直販顧客基盤をはじめとする事業基盤・ブランド力・資金力と、LIGUNAのサステナブルな健康や美容を実現する商品開発力・ブランド力の融合による協業の実現にあります。

成功事例③:ジェクシードによるXYEEDの株式取得(第三者割当増資)

ジェクシード

ジェクシード

出典:https://www.gexeed.co.jp/

2020年12月、ジェクシードは、株式取得および第三者割当増資の引き受けによりXYEEDを子会社化すると発表しました。本件企業買収の金額は1,000万円です。

買収側のジェクシードは、ERPコンサルティング・人事コンサルティング・業務効率化・セキュリティ対策を手掛ける企業です。クラウドストレージ「Box」・AIオペレーター「commubo」・業務自動化RPA「UiPath」の導入支援コンサルティングで得た経験を生かし、企業のテレワーク推進を支援しています。

対する売却側のXYEEDは、教育事業を展開する企業です。本件企業買収の目的は、教育事業の拡大およびグループとしての収益力強化にあります。

成功事例④:ワットマンによるシナノ・グループのゲームステーション事業の譲受(事業譲渡)

ワットマン

ワットマン

出典:https://wattmann.jp/

2020年12月、ワットマンは、事業譲渡の手法を用いてシナノ・グループのゲームステーション事業を譲受すると発表しました。本件企業買収の金額は非公開です。

買収側のワットマンは、神奈川県に本社を置く販売事業者です。 以前は家電製品の販売事業を中心としていましたが、現在はリユース・リサイクル事業を主軸としています。売却側のシナノ・グループは、「TSUTAYA」「Game Station」などのメディアのほか、ウェルネス・不動産事業を展開する企業です。

本件企業買収の目的は、神奈川県におけるホビー商材専門店の出店推進にあります。

成功事例⑤:サンケン電気によるGSユアサへの子会社譲渡(会社分割)

サンケン電気

サンケン電気

出典:https://www.sanken-ele.co.jp/

2020年8月、サンケン電気は、吸収分割を採用して、パワーシステム事業のうち社会システム事業を子会社「サンケン電設」に承継させたうえで、サンケン電設の発行済株式すべてをGSユアサに譲渡すると発表しました。本件企業買収の金額は、約48億円です。

買収側のサンケン電気は、埼玉県新座市に本社を置く電気機器メーカーです。電源3社の一角を占めており、3社の中で最も事業規模が大きく中心的存在に位置づけられています。

一方のGSユアサは、ジーエス・ユアサ コーポレーションのグループ企業です。自動車用/産業用各種電池・電源システム・受変電設備・照明機器・紫外線応用機器・その他電気機器の製造・販売を手掛けています。

本件企業買収の目的は、主力の半導体デバイスとパワーモジュールへの経営リソースの集中に伴う、一層の競争力強化・経営効率向上の推進・さらなる企業の成長にあります。

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企業買収のメリット・デメリット

企業買収のメリット・デメリット

M&Aによる企業買収を実際に行う際は、メリットとデメリットを十分に把握しておかなければなりません。そこで本章では、企業買収に伴うメリットとデメリットを順番に取り上げます。はじめに紹介するのは、企業買収に伴うメリットです。

企業買収のメリット

企業買収のメリットは、異なる企業同士の経営統合により得られるシナジー効果とも言い換えられます。企業買収を行うと、他の企業のノウハウ・技術・人材などさまざまな要素を吸収可能です。これらの経営資源を利用すれば、事業拡大・新事業への参画などが容易に進められます。

また、企業買収は、財務力の強化にもつながります。事業資金の充実している企業を買収できれば、資金力が向上するだけでなく、資金調達時にかかるコストの軽減も期待できます。その他、企業買収で期待できる主なメリットを以下にまとめました。

  • 非効率な経営の改善(経営資源の共有化による収益性の改善など)
  • 商品・サービスの拡充
  • 事業エリアの拡大
  • 業績の安定化(事業リスクの分散)
  • 規模のメリットの獲得
  • 周辺分野への進出
  • 競合企業の吸収
  • 新たな経営手法の導入(社員の意識改革)

ただし、企業買収でこうしたメリットを最大限に獲得するには、条件の合う売り手企業を見つける必要があります。

企業買収のデメリット

企業買収のデメリットには、主に以下の2つが挙げられます。

  • 不要なものを承継する可能性がある
  • 人材の流出を招く可能性がある

それぞれのデメリットを把握して、自社の企業買収戦略の策定に役立てましょう。

不要なものを承継する可能性がある

主として企業買収は対象となる企業の経営権を獲得する行為であり、対象となる企業を包括的に承継する行為です。つまり、買い手となる企業は買収対象企業のすべてを引き継ぐため、この中には負債・不要な資産・契約などのネガティブな項目も含まれます。

とりわけ債務に関しては帳簿に記載されていない簿外債務・偶発債務などが懸念材料となり、企業買収時に気付かないまま承継してしまうと後々トラブルに発展する可能性が高いです。これを回避するには、買い手・売り手の両社で協議を重ねて、トラブルの種となる要素を排除しなければなりません。

人材の流出を招く可能性がある

企業買収は異なる企業同士が経営統合する行為であるため、必ずしも従業員が歓迎するとは限りません。異なる企業であれば、理念・風土・ルールなどの企業文化も異なるため、従業員同士で摩擦が発生するリスクは十分に考えられます。

特に売り手となる企業では、買い手となる企業の傘下に入ることを不満に感じる従業員の発生が懸念されます。実際にM&Aによる企業買収を行ったことで、従業員が流出したケースは珍しくありません。

もしも事業の中核を担うような人材が流出してしまえば、想定していたシナジー効果が大幅に低下するおそれがあります。したがって、企業買収への反発が想定される従業員がいる場合には、事前に説得しておくと良いでしょう。

【関連】簿外債務

企業買収の方法

企業買収の方法

企業買収の方法はそれぞれ共通点もありますが、厳密にはスキームが大きく異なるため注意して把握する必要があります。企業買収の方法は、主に以下の5つです。

  1. 株式譲渡
  2. 株式交換
  3. 第三者割当増資
  4. 事業譲渡
  5. 会社分割

それぞれの方法を順番に紹介します。

①株式譲渡

株式譲渡は、M&Aによる企業買収において最も活用されている方法です。株式譲渡とは、その名の通り株式の3分の2以上を取得し経営権を獲得することで、対象企業を買収する方法をさします。

株式譲渡は株式譲渡契約の締結を完了させれば即座に実行できるため、公的機関をとおさずスピーディーに手続きを進められます。手続き自体も簡略であるため多くの企業で使用されていますが、包括的承継を行うために売り手の内情に大きく左右されやすい点がデメリットです。

②株式交換

株式交換は株式譲渡と類似する手法ですが、株式交換では「対象企業の株式を100%取得して完全子会社化することが目的として掲げられる」点において相違が見られます。また、株式交換では、株式譲渡と異なり株主総会を開催しなければなりません。

とはいえ、一定条件を満たせば企業同士の合意のみで済ませられるため、比較的スピーディーに手続きを進められます。また、株式譲渡との大きな違いとしては、株式譲渡では現金のみが対価となるのに対して、株式交換では対価として株式の交付が可能である点も代表的です。

そのため、現金の用意ができない企業でも株式交換は実行できます。

③第三者割当増資

第三者割当増資とは厳密にいうと、買収ではなく増資に類する方法です。第三者割当増資は、「対象となる企業における株式の新株を引き受ける権利を特定の第三者に与える」形式で実行されます。

主に第三者割当増資は売り手となる企業の資金を増やしたい場合に採用される方法であり、売買ではないことから課税は発生しない点が特徴的です。

④事業譲渡

事業譲渡とは、企業内の事業の一部あるいは全てを譲渡する方法のことです。事業譲渡は、株式譲渡などとは違って、契約の範囲内で承継するものを選択できます。そのため、不要な資産・契約・簿外債務などの負債をあらかじめ取り除いたうえで事業を承継することが可能です。

とはいえ、事業譲渡では、取引先や従業員との契約・許認可の取り直し・不動産の移転といった必要な手続きが多くスキームが非常に煩雑です。なお、企業買収では法人税が課されるのが一般的ですが、事業譲渡では資産の売買として取り扱われるため消費税が課税されます。

⑤会社分割

会社分割は、企業における事業の権利義務のすべてあるいは一部を分割し別の企業に承継させる方法をさします。この点は事業譲渡と共通していますが、会社分割は事業譲渡と異なり吸収分割と新設分割の2つの手法に分かれる点が特徴的です。

このうち吸収分割は既存の企業に事業を吸収させる方法であるのに対して、新設分割は新たに設立した企業に事業を吸収させる方法をさします。

なお、後者は企業単体でも実施可能です。また、会社分割は株式譲渡と同じく包括的な承継を行う方法であり、不要な資産・負債などを事前に取り除くことはできません。

【関連】企業買収における株式交換
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企業買収の価格

企業買収の価格

本章では、企業買収の価格を取り上げます。実際に企業買収を行う際にまず行われるのは、売り手となる企業のおおよその売却価格を決めるためのバリュエーションです。

バリュエーションとは

バリュエーションとは、企業価値を算定するプロセスのことです。バリュエーションでは、主としてコストアプローチ・インカムアプローチ・マーケットアプローチなどの手法が採用されます。

このプロセスでは会計・財務など多様な専門知識が求められるため、M&A仲介会社・会計士事務所など外部の専門家に依頼すると良いでしょう。なお、バリュエーションにより企業価値を算定しても、それがそのまま売却価格に設定されるわけではありません。

条件交渉による価格の決定

企業買収は企業の取引であり、もちろん交渉の場が設けられます。最終的な売却価格は、交渉の場で決められる仕組みです。交渉では、売り手企業であれば少しでも高く売却価格を付けたい心理が、買い手企業であれば少しでも安く売却価格を付けたい心理がそれぞれ働きます。

そのため、交渉の場ではお互いの企業が納得できる結果になるまで交渉が行われます。理想的な売却価格がある場合、売り手・買い手を問わず、交渉により実現を目指さなければなりません。条件を押し付け合ってしまうと交渉が難航するため、ときには譲歩する姿勢も大切です。

M&A総合研究所では、企業買収に関する経験が豊富なアドバイザーが在籍しており、M&Aによる企業買収をご相談からクロージングまで丁寧にサポートいたします。

M&Aによる企業買収では一般的に完了までに1年程度の期間が必要となることが多いですが、M&A総合研究所では最短3カ月での成約実績を有しています。

相談料は無料となっておりますので、M&Aによる企業買収を検討している場合には、買い手・売り手を問わずお気軽にお問い合わせください。

M&A・事業承継ならM&A総合研究所
【関連】バリュエーションとは?バリュエーションの方法と注意点

企業買収を成功させるポイント

企業買収を成功させるポイント

最後に企業買収を成功させるポイントについて、マッチング面と手続き面の2つに分けて取り上げます。企業買収におけるマッチングの成功ポイントは、主に以下の通りです。

  • 信頼感やネットワークの広さをもとに専門家を選ぶ
  • シナジー効果の大きさを検討したうえで相手企業を選ぶ
  • 相手企業と信頼関係が構築できるかどうか慎重に吟味する

次に、企業買収で必要な手続きを円滑に済ませるポイントとして、以下の項目を紹介します。

  • 自社の経営環境や経営資源を再確認して戦略を策定する
  • 経営統合(PMI)プロセスを丁寧に実施する
  • 専門性の高さでアドバイザーを選ぶ
  • 自社に潜むリスクは専門家と早急に共有する

これらのポイントを実践することで、買い手・売り手を問わず企業買収の成功確率を高められます。

【関連】M&A成功企業の戦略と事例

企業買収まとめ

企業買収まとめ

従来の企業買収に対しては「会社を売る」行為にネガティブな印象を抱く経営者の方が多く見られましたが、最近では企業買収をはじめとするM&Aの実施が一般化しており、日本でも多くの企業で行われています。

現在、さまざまなメディアにおいて大企業・有名企業が企業買収を行って事業の拡大を実現した旨のニュースが報じられています。とはいえ、企業買収には多くの方法があるため、それぞれのメリット・デメリットを踏まえて実施しなければなりません。

また、理想的な企業買収を実現するには交渉力も必要となるため、専門家であるM&A総合研究所にお任せください。今回の記事をまとめると、以下の通りです。

・企業買収
→企業の経営権や事業を買収すること

・企業買収の目的
→企業のさらなる成長の実現、海外進出、経営再建、事業承継

・企業買収のメリット
→他の企業のノウハウ/技術/人材などさまざまな要素を吸収できる、資金力が向上する、資金調達時にかかるコストの軽減も期待できる など

・企業買収のデメリット
→不要なものを承継する可能性がある、人材の流出を招く可能性がある

・企業買収の方法
→株式譲渡、株式交換、第三者割当増資、事業譲渡、会社分割

・企業買収の価格
→バリュエーションによる企業価値算定後に交渉で決定する

・企業買収を成功させるポイント
→信頼感やネットワークの広さをもとに専門家を選ぶ、自社の経営環境や経営資源を再確認して戦略を策定する など

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