2020年11月26日更新会社・事業を売る

休眠会社売買の方法とは?売買のメリットやM&Aの活用を解説

休眠会社とは、最後の登記から12年を経過した株式会社です。法務省による休眠会社の整理作業の中で、長期間事業活動をしていないと判断されると、みなし解散される可能性があります。ここでは、休眠会社について詳しく説明していきます。

目次
  1. 休眠会社とは
  2. 休眠会社の特徴
  3. みなし解散とは?
  4. 休眠会社とM&A
  5. 休眠会社を売買する際のポイント
  6. 休眠会社を売買する際のメリット
  7. 休眠会社を売買する際の注意点
  8. ペーパーカンパニーとの違い
  9. 休眠会社売買を専門家に相談する場合
  10. まとめ
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休眠会社とは

休眠会社とは長期間事業活動をしていない株式会社のことをさします。

会社法では、休眠会社は「株式会社であって、当該株式会社に関する登記が最後にあった日から十二年を経過したもの」(会社法第472条第1項)と規定されています。つまり、最後の登記から12年を経過すると、長期間事業活動をしていないと判断され、休眠会社として扱われます。

休眠会社の特徴

ここでは、休眠会社の正確な定義である「株式会社であって、当該株式会社に関する登記が最後にあった日から十二年を経過したものをいう」をもとに、休眠会社の特徴を説明していきます。

休眠会社はM&Aの事例でも登場するため、定義と特徴を知っておくと事例の分析などに役立ちます。ポイントは以下の2点です。

  1. 株式会社である
  2. 最後の登記から12年を経過する

①株式会社であること

休眠会社は、基本的に株式会社の仕組みです。一般財団法人や一般社団法人でも休眠一般財団法人や休眠一般社団法人という仕組みがありますが、休眠会社と表現すると、基本的には株式会社に限った話になります。

ちなみに一般財団法人と一般社団法人は、最後の登記から5年を経過したら、それぞれ休眠一般財団法人、休眠一般社団法人になります。つまり、休眠会社より期間が短いです。

また、会社法上の会社には、株式会社のほかに持分会社があります。しかし、持分会社には休眠会社の仕組みがありません。休眠会社の規定には「株式会社であって」と明記されており、持分会社が含まれていないからです。

持分会社には合名会社、合資会社、合同会社の3つがありますが、いずれも休眠会社の仕組みがないです。さらに、特例有限会社には会社法第472条が適用されないため、こちらも休眠会社の仕組みがありません。

②最後の登記から12年を経過すること

登記された株式会社でも、最後に登記があった日から12年を経過したら休眠会社になります。これは、長期間にわたって事業活動が行われていないことを意味します。

株式会社が通常の事業展開を行う場合、一定期間内に登記すべきタイミングが発生します。たとえば、株式会社には取締役がいますが、取締役には任期があります。任期満了に伴い、他の取締役が選任される場合など、その都度変更登記をしなくてはなりません。

もし、このような変更登記が行われない場合、会社が事業活動を行っていないと判断されます。そして、最後に登記があった日から12年を経過したら、休眠会社として扱われる仕組みです。

みなし解散とは?

休眠会社のみなし解散の際は、法務大臣が「事業を廃止していない旨の届出を、2ヶ月以内に登記所にするように」との公告をすると、その旨の通知が登記所から休眠会社に届きます。ここで、休眠会社がその届出をしないと2ヶ月の期間満了時に解散したものとみなせる仕組みになっています。

ただし、その期間内に、休眠会社に関する何かしらの登記をすれば、解散したものとはみなされません。また、一度みなし解散になっても、3年以内に株主総会の特別決議で継続を決めれば、解散前の株式会社として継続することができます。

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会社解散の手続き

休眠会社とM&A

近年増加しているM&A案件の中には、休眠会社を買収する事例も見られます。休眠会社を買収する際のメリットとしては、「会社の新規設立における資本金が必要ない」「許認可の手間やコストの節約」などが挙げられます。

ただし、休眠会社は事業内容などが不明瞭な場合も多く、買収の際には十分注意が必要です。また、休眠会社にはみなし解散の仕組みがあり、これは法務省による休眠会社の整理作業を意味します。

法務大臣の公告により、事業を廃止していない旨の届出をさせ、届出がなければ解散とみなす流れの中で、会社の実態を整理しているのです。休眠会社は法務省の整理作業の対象となるため、買収する際には公告のタイミングなども考慮する必要があります。

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休眠会社を売買する際のポイント

ここでは、休眠会社の売買方法についてご紹介します。

休眠会社とはいえ、みなし解散にさえならなければ、通常の企業と同じ構造です。そのため、基本的には通常の企業の買収と同じ方法で売買します。一方で、売却する側の休眠会社には、以下のポイントがあるため注意が必要です。

  1. 債務の明確化
  2. 許認可の獲得
  3. 繰越欠損金

①債務の明確化

売り手を取り込む立場となる買い手は、一般的にはリスクが高くなります。特に事業内容などが不明瞭な休眠会社の場合、買い手はより慎重にならざるを得ません。そのため、売り手となる休眠会社としては、買い手が感じる不安要素を軽減する必要があります。特に債務については明確にしなければなりません。

売り手の債務状況は、買い手が不安に感じる部分です。休眠会社が債務を隠しているのではないかと不安に感じることもあるでしょう。しかし、休眠会社が債務を明確に公表していれば、買い手の信頼を得やすくなります

一方、休眠会社としては、不利な側面は公表したくない場合もあるでしょう。しかし、会社の売買においては、公表すべき点を公表しないわけにはいきません。なぜなら、必要事項を公表しないとトラブルに発展する可能性が高まるからです。

売買が不成立になるだけでなく、契約違反として違約金を請求されるおそれもあります。このような状態にならないためにも、休眠会社は債務を明確にしなければなりません。

②許認可の獲得

休眠会社の買収は、買い手にとって許認可の手間やコストの節約というメリットがあります。

たとえば、買い手側の企業が許認可を必要とする事業を検討しているとします。その際、自社だけで事業を開始する場合は、必要な許認可を得なくてはなりません。一方で、すでに許認可を得ている休眠会社を買収すれば、新たに許認可を得ることなく、その事業に参入できます。

休眠会社の場合、長期間事業活動を行っていないため、事業面や収益での魅力はありませんが、何か許認可を獲得していれば、それが魅力の一つになります

③繰越欠損金

将来の黒字と欠損金を相殺することは、法人税の軽減につながるため、繰越欠損金は税金の軽減につながります。繰越欠損金とは、ある年度の赤字を翌年度に繰り越すことで、その赤字分が翌年度の黒字から差し引かれ、結果的に課税所得が減り、法人税が安くなる仕組みです。

繰越欠損金を持つ会社を買収すれば、買収企業の黒字と相殺することで、税金の軽減を図ることもできます。ただし、これは休眠会社の事業をそのまま継続する場合のみで、新事業の場合は繰越欠損金が使えません。

このように、必ずしも税金の軽減につながるわけではありませんが、繰越欠損金を持っていることは、買い手にとって魅力になる場合もあります

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事業承継の方法
繰越欠損金とは?税効果や期限、控除限度額をわかりやすく解説

休眠会社を売買する際のメリット

ここでは、休眠会社を売買する際の以下のメリットについて説明していきます。

  1. 許認可の獲得
  2. 資金面でのメリット
  3. 廃業コストがかからない

①許認可の獲得

飲食店、自動車関連など、許認可が必要な業種は多く存在します。もし休眠会社が買い手に必要な許認可を持っていれば、買い手にとって許認可の手間やコストを削減できます

②資金面でのメリット

現在は資本金が1円でも会社を設立できますが、実際には数百万円以上の資本金で会社を設立するケースが多いです。そのため、休眠会社の買収は、新規設立よりも安価で済む可能性があります。新規設立ほどの資金はかからないため、安価で新規事業をスムーズに開始できます。

③廃業コストがかからない

会社の廃業手続きはコストや手間がかかります。一方、廃業せずに休眠会社のまま売却できれば、コストがかからないだけでなく売却益を得ることもできます

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廃業手続きとは?廃業手続きの流れと費用

休眠会社を売買する際の注意点

繰越欠損金のように、節税として休眠会社の売買が行われる場合もあります。ただし、一定の条件下では繰越欠損金が使用できない場合もあるので注意が必要です。

また、休眠会社の債務など、不必要なリスクを抱え込むおそれもあります。もし買収を実行する場合には、節税効果について事前にきちんと検討しなくてはなりません。

休眠会社の債務についても、特に注意しなくてはなりません。買収の際には、対象企業の調査・検証(デューデリジェンス)を行いますが、すべての債務について問題点を洗い出せない場合もあります。もし後になって知らない債務が見つかれば、それだけリスクが高まってしまいます。

休眠会社の最大の特徴は、現在の事業の状況が不明瞭である点です。そのため、必然的に債務状況も不明確になります。売却に意欲的な休眠会社であれば、信頼を得るために債務をはっきり示すでしょう。

一方、節税効果などの目的で、意欲的でない休眠会社を買収するケースもあります。この場合、どうしてもリスクが高まる点には注意する必要があります。

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M&Aにおけるデューデリジェンスとは?費用や種類、注意点を解説

ペーパーカンパニーとの違い

ペーパーカンパニーとは、設立登記はされていても、実体のない名目だけの会社のことをいいます。意味だけを見ると休眠会社と似ていますが、言葉として実際に使用する場合には両者で大きな違いがあります。

休眠会社は、あくまで会社法で規定された表現です。株式会社の仕組みの一つとして、会社法で明確に示されています。一方、ペーパーカンパニーの場合は法律上の明確な定義があるわけではありません。

また、ペーパーカンパニーという表現は、悪い意味で使用されることが多いです。たとえば、税金逃れや債務の移し替えのために設立される会社として表現されることもあります。

休眠会社売買を専門家に相談する場合

休眠会社の売買はリスクが高い場合もあるため、きちんと専門家に相談する必要があります。

たとえば、休眠会社の買収を考える場合、税務上の扱いや節税効果は税理士に、債務については弁護士に相談できます。また、これらの専門家は、デューデリジェンスの際にも大きな力を発揮します。

休眠会社を買収する場合、買収したい休眠会社の財務状況、法律的な問題、税務上の問題などを詳しく調査し、検証しなくてはなりません。その際、企業の経営者が単独でできる分野ではないため、それぞれの専門家に依頼する必要があります。

さらに、M&Aの仲介会社に依頼することで、買収候補の検討から、買収後の統合段階に至るまで、それぞれの段階で手厚いサポートを受けられます。不安要素を一つひとつ解決してくれるため、当事者としても心強い存在といえるでしょう。

まとめ

休眠会社は、会社法で「株式会社であって、当該株式会社に関する登記が最後にあった日から十二年を経過したもの」と定義されている会社です。

つまり、最後の登記から12年を経過すると、長期間事業活動をしていないと判断され、休眠会社として扱われます。また、法務省による休眠会社の整理作業の中で、みなし解散という仕組みもあります。

休眠会社の売買にはメリットもありますが、注意点もあります。メリットを最大限に活かすためにも、事前に注意点を整理した上で検討しましょう。また、休眠会社のM&Aの際は専門家のサポートを受けることも重要です。

要点をまとめると下記のとおりです。

・休眠会社とは
→長期間事業活動をしていない株式会社のこと

・休眠会社の特徴
→株式会社である、最後の登記から12年を経過する

・みなし解散とは
→休眠会社が届出をしないと2ヶ月の期間満了時に解散したものとみなされる

・休眠会社の売買する際のポイント
→債務の明確化、許認可の獲得、繰越欠損金

・休眠会社を売買する際のメリット
→許認可の獲得、資金面でのメリット、廃業コストがかからない

・休眠会社を売買する際の注意点
→一定の条件下では繰越欠損金が使用できない、すべての債務について問題点を洗い出せない場合もある

・ペーパーカンパニーとの違い
→実体のない名目だけの会社のこと

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