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2019年3月10日更新

会社解散の手続き

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この記事の監修専門家
M&A総合研究所 公認会計士
高谷 俊祐

会社解散には一定以上の時間や手間、コストがかかります。会社解散の種類には任意解散、強制解散、みなし解散があります。会社解散の事由、株主総会による特別決議での会社解散の手続きのプロセスについても解説します。会社解散の際には手続きを熟知しており、税務や会計の知識に明るい専門家の助けを借りておくことがおすすめです。

目次

    会社解散の手続き

    会社解散は経営者の方であれば何らかの形で経験する可能性が高いものです。

    会社解散は文字通り会社を解散することですが、その手続きは決して簡単なものではありません。

    ただ会社を解散するだけでも様々な手続きが必要であり、一定以上の時間や手間、コストがかかります。

    そのため会社解散の手続きについて理解を深めましょう。

    今回は会社解散の概要や会社解散のための手続きについてお伝えしていきます。

    会社解散とは

    まずは会社解散がどういうものかについてお伝えしていきます。

    会社解散は読んで字のごとく、会社を解散させることによって法人格を消滅させる手続きを指します。

    ただ会社解散は法人格を消滅させるための各種手続きを意味しており、後述する会社の資産や債券、債務を整理する清算というプロセスを完了させて初め法人格の消滅が完了します。

    会社解散の種類

    そんな会社解散は大きくわけて3種類あり、任意解散と強制解散、みなし解散が挙げられます。

    また会社解散と共に行う会社の清算も任意清算、法定清算、特別清算の3種類があります。

    1. 任意清算は合資会社や合名会社のみが使える清算方法。
    2. 法定清算は清算人が清算を進めていく一般的な方法。
    3. 特別清算は債務超過の疑いがある、あるいは債務超過になっている会社が裁判所の指導を受けながら清算を進める破産に近い清算方法。

    ちなみに会社解散は倒産と同じようなイメージだと思われがちですが、実際は違います。

    倒産は法的には破産と呼ばれるものであり、会社更生法や民事再生法などを適用して破産状態に入ったことを指します。

    つまり会社解散と違って倒産したからとって会社そのものが消滅するわけではありません。

    確かに倒産実質的に会社の経営が破綻しているため会社解散を選択する事例は多いですが、倒産しても会社そのものを残して再建するケースもあります。

    あくまで会社解散をしなければ倒産しても会社は消滅しないというわけです。

    そのため会社が倒産していても解散していないケースもあれば、逆に会社の経営が黒字になっているにも関わらず会社解散を行うケースもあります。

    会社解散の事由

    会社解散の事由は会社解散の種類によって異なっています。

    まずはさきほどお伝えした任意解散、強制解散、みなし解散それぞれの法律に定められている事由をお伝えします。

    【任意解散】

    • 株主総会で決議される。
    • 定款で定められている会社の存続期間が終了する。
    • 定款で定められている会社解散の事由が発生する。
    • 合併によって当該会社が消滅会社となって消滅する。

    【強制解散】

    • 休眠会社をみなし解散する。
    • 破産手続きの開始を決定する。
    • 裁判所から解散を命ずる判決が下される。
    • 銀行法や保険業法などといった特別法に基づいた解散事由が発生する。

    【みなし解散】

    • 最後に登記した日から12年を経過している休眠会社。

    基本的に上記の事由に該当した場合はいずれかの形式の会社解散を行うことになります。

    元々会社解散といえば会社の経営が悪化し、回復が難しいと判断された際に行われるものです。

    経営が悪化した状態だとその会社の取引先や顧客にも迷惑がかかる恐れがありますし、回復の見込みがないまま無理に会社を経営しても、更なる悪化を招いて債務超過に陥れば元も子もありません。

    そういった事態を避けるためにも会社解散は選択肢の一つとして経営者も考えておくべきものだといえます。

    ただ、昨今はこのような会社の経営が悪化した以外の理由で会社解散を行うケースが増えています。

    代表例としては中小企業に多い後継者不在の状況に陥り、事業承継が難しいと判断された際に会社解散を行うケースです。

    この場合は会社が黒字だったとしても会社解散を行うことも珍しくありません。

    また、ハッピーリタイアメントの一環として会社解散を行うケースもあります。

    経営者の中には50代のうちに会社解散して早いうちに老後の生活に備えるという人もおり、最近の経営者のライフプランの変化を如実に表している例だといえます。

    会社解散の手続きのプロセス

    会社解散の手続きはいくつかのプロセスに分かれており、全てを完了させるまである程度の期間を必要とします。

    ここでは会社解散の手続きの際に行うそれぞれのプロセスをお伝えしていきます。

    ①株主総会による特別決議

    会社解散を決定する際はまず株主総会を開催、普通決議ではなく特別決議を行います。

    この株主総会で決めることは解散日ですが、定款に定めがない場合は清算を行う清算人の選任も株主総会で行います。

    特別決議ではその会社の株式の過半数を持つ株主が出席し、その株主が有する議決権の3分の2以上の賛同が得られれば会社解散は承認されます。

    株主総会で定められた解散日になるとその会社の事業活動は全て終了します。

    ②解散・清算人選任の登記と解散の届け出

    解散日を過ぎたら、それから2週間以内に解散・清算人の登記や2カ月以内に各種機関への解散の届け出を行う必要があります。

    これが少し面倒なプロセスです。

    まず解散・清算人選任の登記はその会社がある管轄区内の法務局で行います。

    解散・清算人の登記は定款や株主総会議事録などといった書類が必要であり、加えて登録免許税(会社解散の登記が30000円、清算人選任の登記が9000円)を支払わらなければいけません。

    さらに解散の届け出は税務署、ハローワーク、都道府県税事務所、市区町村役場、社会保険事務所、労働基準監督署などといった機関に届け出る必要があります。

    届け出をしなければならない機関が多いので気を付けておきましょう。

    ③財産目録・貸借対照表の作成

    清算人は選任されてからすぐに財産目録や貸借対照表を作成していきます。

    作成した財産目録や貸借対照表は株主総会の承認を得る必要があり、承認を得て初めて清算にとりかかれるようになります。

    承認を得た財産目録などは会社で保管します。

    ④官報公告

    会社解散を行う際には官報で解散公告を行います。

    この官報公告は最低2カ月間の公告期間を終了しなければ債務の弁済ができないので注意しておきましょう。

    官報公告自体は債権者の有無に関わらず行わなければいけません。

    ただ、会社が帳簿などで把握している債権者がいる場合は官報公告とは別に個別で催告を出しておく必要があります。

    ⑤清算、清算終了後の残余財産の確定と分配

    清算人は公告期間が終了したらただちに清算に取り掛かります。

    債権があれば債権を取り立て、未払いの債務があれば取り立てていきます。

    そして清算が終了した際に残余財産があるのなら、残余財産を確定させ、それを株主に分配していきます。

    さらに清算が終了した際には決算報告書を作成し、株主総会を開催したうえで清算事務報告の承認を得る必要があります。

    ちなみにこのプロセスの過程で会社に債務超過の疑いが発生した場合、法定清算が特別清算に切り替わることがあります。

    ⑥清算決了の登記・届け出

    全ての清算が終了し、株主総会で決算報告書の承認を得られたのなら、最後は清算決了の登記・届け出を各機関に行います。

    清算決了の登記は解散・清算人選任の登記の際と同じ法務局で行いますが、ここでもやはり登録免許税(この場合は2000円)が発生するので気を付けてください。

    清算決了の登記は清算事務報告の承認を得てから2週間以内に行う必要があり、株主総会議事録も必要なので注意しましょう。

    さらに清算決了の届け出を税務署や都道府県税事務所、市区町村役場などに提出しておきます。

    これらの登記や届け出を終えて清算は完了、会社解散を行った会社の法人格は完全に消滅します。

    ただ、清算人は清算の際の帳簿や清算に関係する重要な書類は今後10年間保存しておかなければいけないので気をつけておきましょう。

    会社解散には専門家の助けを借りよう

    会社解散を行う際には専門家の助けを得ることがおすすめです。

    ここまで読んでいただければわかるように会社解散は様々な書類を用意し、様々な機関に登記や手続きを行い、さらにきっちり会社の債務・債権などを清算していくなど、必要なプロセスの数も多い作業です。

    そのため中小企業のような規模が小さく、人員も限られる会社にとって会社解散の手続きを完遂させるのは簡単な作業ではありません。

    だから会社解散の際には手続きを熟知しており、税務や会計の知識に明るい専門家の助けを借りておくことがおすすめです。

    会社解散の場合、有効的な助けを得られるのは行政書士や会計士、税理士といった専門家です。

    会社解散を行う場合はこういった専門家の事務所に助けを依頼しておくといいでしょう。

    もちろん依頼をすれば報酬は発生しますので予算に見合った報酬を提示している事務所に助けを依頼した方がいいです。

    また最近は行政書士や会計士、税理士の資格を持っているスタッフが常在しているコンサルティング会社もあり、そういった会社でも会社解散のサポートをしてくれるサービスを提供している例があります。

    そういった会社に依頼するのも会社解散をスムーズに進めるうえで役に立つでしょう。

    会社解散とM&A

    経営者の方にご理解いただきたいのは会社解散があくまで選択肢の一つだということです。

    さきほど会社解散が様々な理由で行われていることをお伝えしてきました。

    確かに会社の経営が悪化したり、後継者不在によって会社の存続が難しいと判断された際には会社解散は有効的な手段になり得るものだといえます。

    ただ手続きの流れを見て頂ければわかりますが、会社解散は様々な書類を作成したり、株主総会を開催するなど様々な手続きを行ううえに、官報公告期間などを踏まえると一定以上の期間を確実に要する作業です。

    端的にいってしまえば会社解散はかなり手間がかかる方法だといえます。

    また会社解散は必ずしも有効的な手段とは限りません。

    最近は経営の悪化や後継者不在という状況に対し、M&Aで行うことで解決を図るというケースが増えています。

    M&Aは主に会社売却や合併などを実行するパターンが多く、決して成功率が高いとはいえません(一般的にM&Aの成功率は3割といわれています)。

    ただM&Aは成功すれば会社が存続できるだけでなく、経営者に譲渡益が入ってくるため、金銭的にもメリットがあるといえます。

    この点が会社解散と大きく異なる部分だといえるでしょう。

    会社解散は会社の存続ができないですし、清算を行ってもM&Aが成功した際と同等のお金は入ってきません。

    むしろハッピーリタイアメントとして使うならM&Aの方が一般的です。

    加えて中小企業の経営者の方にとってうれしいのが、最近は中小企業の経営支援や事業承継をサポートする公的機関や制度ができているということです。

    最近は国が中小企業を重視し、会社解散せずに会社が存続できるようにしてくれるサポートを手厚くする施策を打ちだしています。

    だから会社解散よりもM&Aをした方が経営者の方や株主にとってメリットがあるケースが増えているのです。

    こういった点を踏まえておくと、経営者の方は会社解散をあくまで選択肢の一つに留めておいた方がいいでしょう。

    むしろ会社解散は最終手段だと捉えておいた方がいいかもしれません。

    まとめ

    今回の記事をまとめると以下のようになります。

    • 会社解散とは会社の法人格を消滅させる手続きであり、清算も同時に行うケースが多い。
    • 会社解散の事由は法律で定められている。
    • 最近は経営悪化だけでなく後継者不在やハッピーリタイアメントのために会社解散を行うケースもある。
    • 会社解散の手続きは様々なプロセスがあり、様々な機関に登記や手続きを行ったり、株主総会を開催するなど手間がかかることが多い。
    • 会社解散をスムーズに完了するためにも専門家の助けは借りておいた方がいい。
    • 会社解散はあくまで選択肢の一つであり、最近ではM&Aで会社を存続させるケースが増えているため、そちらも考慮した方が良い。

    会社解散はただ会社を解散させるだけといっても様々なプロセスがあり、手間も時間もコストもかかるものです。

    そのため会社解散を行うと決めた際にはしっかりスケジュールを組み、長期的なプロセスであることを踏まえたうえで臨んでおくべきものだといえます。

    もし会社解散を経営陣だけで行うことが難しいと判断された場合は専門家の助けを借りることがおすすめです。

    専門家の助けが得られれば煩雑な手続きが多い会社解散もスムーズに完了させられるようになるでしょう。

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