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2021年4月22日更新会社・事業を売る
会社の解散に伴う解散決議
会社を解散するためには、解散決議が必要です。会社の解散を考えているならば、解散や清算のサポートを専門にしている弁護士・司法書士の協力を得るほうが良いでしょう。この記事では、会社解散の手続き、解散方法、解散決議について解説をします。
会社の解散について
経営者の中には、「会社の解散」を考える人もいるかもしれません。会社の解散は経営者の意志ですぐにできるものではなく、適切な手順や手続きを踏んで実施する必要があります。 今回は、あまり知られていない会社の解散について紹介します。
会社の解散とは?
会社の解散とは、文字通り会社を解散して法人格を消滅させる手続きです。会社は存続するほうがもちろん好ましいですが、業績の悪化や経営者の引退などで会社を解散せざるを得なくなる可能性もあります。
法人税・住民税は、会社が事業を実施している・いないに関わらず発生します。そのため、放棄されている会社でも、毎年税務署に決算報告を実施しなければいけません。そこで会社を解散し、会社を完全に消滅させる必要が出てきます。
ただ、会社の解散は経営者の自由ではなく法律で決められている7種類の事由に該当する必要があります。その事由は以下のとおりです。
- 定款で定まっている存続期間の満了
- 定款で定まっている解散事由の発生
- 株主総会の決議
- 合併によって会社が消滅する
- 破産手続開始の決定
- 裁判所による解散命令
- 休眠会社に対するみなし解散の制度
このうち1、2、3の事由に該当する場合は、後述する清算と呼ばれる手続きが完了するまで、会社を継続する必要があります。
注意したいのが⑦です。休眠会社とは、最後の登記から12年以上を経過している会社をさし、一般的には公告や通知の手続きを経て解散したとみなされます。
しかし、公告してから2ヶ月の間に役員変更の登記や事業の廃止などに関する届出をしなかった会社は、法務局によってみなし解散されるルールとなっています。つまり、休眠会社を長期間放置しているといつの間にか解散させられる事態もあり得るということです。
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会社の解散方法
会社の解散方法には2種類あります。それは「株主総会の決議による解散方法」と「書面決議による解散方法」です。ここでは2つの方法について詳しくご紹介していきます。
①株主総会の決議による会社の解散
会社の解散で最もポピュラーな方法は、株主総会の決議を経て会社を解散するパターンです。会社の解散決議は、基本的に定時株主総会や臨時株主総会で実施でき、まずは株主総会の日時や場所、目的を記載している招集通知を全株主に発送します。
もし株主全員の出席が確定するのであれば招集通知は不要です。株主総会で決議すべき事項は2つあります。「会社を解散させること」と「後々会社を清算する清算人の選任」です。株主総会で会社の解散を決議する場合「特別決議」が必要です。特別決議とは以下の条件を満たす決議です。
- 株主総会で議決権を行使できる株主の過半数、あるいは定款で定められている割合以上の議決権を有する株主が出席
- 3分の2、あるいは定款で定められている割合以上の賛成
一方で、清算人の選任決議は普通決議で決められます。普通決議とは株主の過半数の賛成で可決される決議です。ちなみに選任される清算人は、普通の会社であれば1人以上、監査役会がある株式会社であれば3人以上必要です。
会社の解散が株主総会で決議された後は本格的に会社の解散に向けた手続きが始まります。そして、手続きを完了させて初めて会社は解散、つまり完全に消滅することになります。
②書面決議による会社の解散
一方で、株主総会を開催しないまま解散決議することも可能です。株主総会を開催しない場合は、議決権を行使できる株主全員が書面あるいは電磁的記録によって、同意の意思表示の確認を取る必要があります。
このような決議は、「書面決議」と呼ばれる方法に類します。書面決議は、議決権を行使できる株主全員が提案内容や当該提案そのものに同意していると記載されている書面に、取締役か株主が署名をすると成立します。
会社の解散手続きは手間や時間がかかります。もし会社の解散ではなく、事業継承やM&Aを検討されている場合はぜひM&A総合研究所へご相談ください。
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解散決議後に行う手続き
解散手続きはあくまで会社の解散を決定するプロセスです。そのため、その後も会社の解散に必要な手続きをしなければなりません。この手続きを完了して、初めて会社の解散が成立します。 ここでは、解散決議後の代表的な手続きをお伝えしていきます。
①解散・清算人の登記、所定機関への解散届け出
解散決議後にやらなければならない手続きの一つが、解散・清算人の登記と所定機関への解散届け出です。解散・清算人の登記は法務局で行います。その際に、定款や株主総会議事録が必要となります。登記の際には登録免許税がかかります。
解散登記の場合は3万円、清算人選任の登記の場合は9,000円の登録免許税が発生します。さらに、所定機関への解散の届け出も実施しなければいけません。
解散の届け出を送る機関は、主に税務署や都道府県税事務所、市区町村役場、社会保険事務所、ハローワーク、労働基準監督署です。加えて、官報公告を通じて解散の旨を債権者に通知する必要もあります。
②清算の作業
清算は、会社の解散で最も重要な作業です。清算とは解散する会社の財産を換金したり、債券・債務を弁済したりする手続きです。清算人が中心となって執行します。公告期間を過ぎたのちに清算人は清算を行い、債務を債権者に弁済します。
弁済後、会社の残余財産があった場合は、株主にも分配する必要があります。清算が完了したら、決算報告を株主総会で審査にかけ決議を得ます。その後に清算決了の登記をすれば完了です。一般的に、この手順で進む清算を「通常清算」といいます。
注意点として、清算人は自身に課せられた義務(現務の完結、債権の取立てと弁済、残余財産の分配)を確実に果たす必要があります。万が一清算人が自身の義務を怠り会社に損害を与えた場合は、その清算人には損害賠償責任が発生する恐れがあります。
そのため、清算人の人選には債券・債務や会社の資産を把握している人や、経理関係の知識を持っている人を据えたほうが良いでしょう。
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その他の清算方法
清算には、通常清算のほかに特別清算と任意清算と呼ばれる方法があります。特別清算は裁判所の監督下で清算を実施する方法です。例えば、会社の資金繰りが行き詰まっていたり、債務の弁済ができないレベルの債務超過であったりする場合はこの方法が用いられます。
特別清算では、清算人は債権者集会の中で出席債権者の過半数と、総債権額3分の2以上の債権者の同意を得て可決した協定案に従って、債務を返済していきます。特別清算は裁判所が介入するので、破産と似たネガティブなイメージを持たれます。
しかし、あくまで会社の債務を弁済・清算していく行為です。ですので、債務の弁済を放棄する破産とは根本的に意味合いが異なっています。ところが、債権者の同意が得られない場合や、債権者の利益に反すると判断された場合は、破産手続きに切り替わる恐れがあります。
また、通常清算を実施している過程で債務超過が発覚し、特別清算に切り替わるケースもあります。
一方任意清算は、無限責任社員の財産が会社債務の引当てとなっている合名会社・合資会社にのみできる清算方法です。清算人を置かない点が特徴です。任意清算では、定款の定めや全社員からの同意に従って、残余財産の処分が可能です。
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会社を解散した際の財産の行方
会社を解散した際の清算手続きでは、会社の債権回収や債務の弁済を行って財産を片付けます。そして清算手続き後に余った資産は、株主のもとへと行きます。株式会社のケースでは、会社の実質的なオーナーは株主になります。そのため、会社を消滅させる前に余った資産は株主のものになるのです。
残余財産を分配する方法としては、清算人の決定によって残余財産の種類や株主への残余財産の割当てに関することを決めます。原則として、株主平等の原則に従いそれぞれの株主が所有する株式数に応じて平等に割り当てます。 原則では残余財産は換金して金銭で分配しますが、不動産などを現物分配できます。
会社の解散にかかる費用
会社を解散するときに必要となる費用は、下記のとおりです。
- 解散並びに清算人選任登記の登録免許税が3万9,000円
- 清算結了登記の登録免許税が2,000円
- 登記事項証明書の取得費用が数千円
- 官報公告費用など諸費用が約3万2,000円
また、「弁護士費用」「司法書士への依頼費用」「従業員への退職金の支給規定などがある際の退職金」などの費用がかかることもあるので注意してください。さらに、各登記手続きや株主総会議事録の作成などを委託した場合は、弁護士費用や司法書士費用が軽く10数万円かかるでしょう。
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まとめ
会社の解散について解説しましたが、いかがだったでしょうか?会社の解散に際しては、専門家のアドバイスを得たほうが良いです。会社の解散にはさまざまな手続きが必要で、特に清算は会社の債務状態によってはスムーズにいかず、清算方法を切り替える必要性も出てきます。
そのため、弁護士・司法書士といった専門家のアドバイスを得たほうが、解散・清算をスムーズに完了できるのです。会社の解散を考えているならば、解散や清算のサポートを専門にしている弁護士・司法書士の協力を得る方が良いでしょう。要点をまとめると下記のとおりです。
会社の解散とは
→会社を解散して、法人格を消滅させる手続き
会社の解散方法
→株主総会の決議や、書面による決議を実行する
解散決議後に行う手続き
→解散・清算人の登記、所定機関への解散届け出、清算手続き
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株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。