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2020年1月13日更新
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売渡請求とは?株式等売渡請求の意味やM&A、相続での活用を解説

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この記事の監修専門家
M&A総合研究所 公認会計士
高谷 俊祐

株式等売渡請求は、相続(事業承継)や完全子会社化、少数株主の排除等の場面で活用されます。メリット・デメリットを踏まえながら専門家を活用して進めていきましょう。

目次
  1. 株式等売渡請求は経営者に必要な知識
  2. 株式等売渡請求とは?
  3. 株式等売渡請求のメリット・デメリット
  4. 相続人に対する株式等売渡請求
  5. 株式等売渡請求を用いたスクイーズアウト
  6. M&Aにおける特別支配株主の株式売渡請求
  7. まとめ

株式等売渡請求は経営者に必要な知識

事業承継やM&Aが増えてくる中、経営権の分散を防ぐことは経営者にとって重要な課題です。「株式等売渡請求」は経営権の集中に繋がるため、この課題に対して非常に有効な解決策となります。

株式等売渡請求に関する知識は、事業承継やM&Aを実施する方にとって必須の知識と言えるでしょう。この記事では、そんな株式等売渡請求について分かりやすく解説します。

株式等売渡請求とは?

まず初めに、株式等売渡請求の意味と使用場面について解説します。使用場面にはいくつか種類があるので、ご自身に合った使用ができるように基本的な事項を押さえておきましょう。

(1)株式等売渡請求の意味

株式等売渡請求とは、相続等で株式を取得した株主に対して、定款の定めにより当該株式を売り渡すことを請求できる制度です。同意を得ずとも強制的に取得できる点が株式等売渡請求の特徴であり、平成26年の会社法改正により導入された制度です。

(2)株式等売渡請求の使用場面

株式等売渡請求は、相続(事業承継)や100%子会社化、少数株主の排除等の場面で活用されます。特に完全子会社化の手段として、株式等売渡請求は有効性が高いです。

従来(改正前)、上場企業を完全子会社化する為には、二段階買収を実施するケースが一般的でした。二段階買収とは、公開買付けにより株主総会における特別決議を可決できるだけの株式を取得し、全部取得条項付種類株式または株式交換を用いて買収する事です。

平成26年度の会社法改正により、全部取得条項付種類株式や株式交換の代わりに、株式等売渡請求を活用すれば完全子会社化を実現できるようになりました。株式等売渡請求によって、従前に比べ、容易に完全子会社化を実行できるようになったのです。

二段階買収と比べて容易に完全子会社化を実行できるとはいえ、株式等売渡請求には複雑なプロセスも存在します。もし何も知らずに株式等売渡請求を実行しようとしても失敗してしまう可能性が高いでしょう。

株式等売渡請求を用いた完全子会社化を行う場合は、必ず専門化の協力が必要です。M&A総合研究所では、株式等売渡請求を熟知したM&Aアドバイザーが親身に対応いたします。実績がある専門アドバイザーと専任の公認会計士の2名体制でフルサポートいたしますので、お気軽にご相談ください。

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株式等売渡請求のメリット・デメリット

この項では、株式等売渡請求のメリットとデメリットをそれぞれ解説します。それぞれを踏まえて株式等売渡請求を実行するかどうか検討してみてください。

(1)式等売渡請求のメリット

株式等売渡請求のメリットには、主に以下の3つがあります。

  1. 経営者に経営権を集中できる
  2. M&Aの実行機関を短縮できる
  3. 税制上有利な条件で自社株を取得可能
  4. 新株予約権も強制取得できる

①経営者に経営権を集中できる

株式等売渡請求最大のメリットは、経営者が経営権を集中的に取得できる点です。相続(事業承継)時点で株主が親族間で分散している場合、後継者に経営権を集中できない恐れがあります。十分数の議決権株式を保有していなければ、意思決定の際に遅れが生じます。

株式等売渡請求を行使すれば、半ば強制的に経営権を集中させることが可能です。M&Aの場面においても、自社にとって不都合な株主を強制的に排除できる(スクイーズアウト)メリットがあります。

②M&Aの実行期間を短縮できる

株式等売渡請求には、完全子会社化等のM&A実行期間を短縮できるメリットもあります。全部取得条項付種類株式や株式交換を実施する場合、株主総会決議の実行が必要となります。

一方で株式等売渡請求を活用すれば、取締役会の決議のみで実行できる上に、株式の端数処理も不要となるため、大幅に期間を軽減できます。

スクイーズアウト目的のM&Aを短期間で実行できる点は、株式等売渡請求の大きなメリットです。
しかし、相続場面での株式等売渡請求では、特別決議が必要となるのでご注意ください。

もしより早く株式等売渡請求を行いたければ、M&A総合研究所にご相談ください。通常のM&A取引では交渉から成立まで半年から1年程度かかる場合もありますが、M&A総合研究所は早いクロージングを目指し、平均して3ヶ月から6ヶ月でクロージングを行います。
 

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③税制上有利な条件で自社株を取得可能

非上場企業が自社株を取得する際、基本的にはみなし配当課税が生じます。みなし配当課税では最高で50%の課税が生じる為、自社株取得の負担は大きいです。

株式等売渡請求により相続人から取得した場合は、みなし配当ではなく「譲渡所得」とみなされます。譲渡所得は一律で20.315%の課税となる為、軽い税負担で自社株を取得可能です。非上場企業の事業承継において、この点は魅力的なメリットです。

④新株予約権も強制取得できる

株式等売渡請求では、新株予約権も強制取得出来ます。新株予約権の強制取得は、他の手法にはない独自のメリットです。

全株式を取得しても新株予約権が残っている場合、完全子会社化は実現できません。新株予約権を発行している企業を完全子会社化する際には、株式等売渡請求を実行する必要があります。

(2)株式等売渡請求のデメリット

株式等売渡請求を検討する際は、メリットだけでなくデメリットも把握しておくことが大切です。ここでは、主なデメリットを3つ紹介します。

  1. 実行要件が厳しい
  2. 税務上の非効率が生じる恐れがある
  3. 裁判等の手続きが生じるリスクがある

①実行要件が厳しい

株式等売渡請求最大のデメリットは、実行するための条件が厳しい点です。スクイーズアウトや完全子会社化を目的として株式等売渡請求を行使する為には、総議決権のうち90%以上を有している必要があります。

つまり株式が分散している場合には、株式等売渡請求を行使出来ない可能性が高いです。もし株式等売渡請求を行いやすい会社を見つけたいなら、M&A総合研究所のM&Aプラットフォームをご利用ください。当社独自のAIを用いて条件の合う会社をマッチングいたします。

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②税務上の非効率が生じる恐れがある

株式等売渡請求によるスクイーズアウトを実施する際、税務上の非効率が生じる恐れがあります。スクイーズアウト後も株主として残したい相手がいる場合、一旦は全株式を特別支配株主に譲渡し、その後に再度株式を戻す必要があります。二度手間となる上に、課税がその都度発生してしまいます。

 

③裁判等の手続きが生じるリスクがある

少数株主が裁判を起こした場合、売渡請求を実行した側は裁判手続きに着手する必要があります。本来必要ない手間が発生し得る点は、株式等売渡請求のデメリットです。

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相続人に対する株式等売渡請求

この項では、相続人に対する株式等売渡請求について解説します。

(1)制度の概要

この制度は、相続人の間で事業承継の際に株式が分散する事態を防ぐ目的で制定されました。事業承継の際に株式が分散すると、事業承継後の経営が円滑に進まなくなる恐れがあります。

各相続人に売渡請求を行えば、強制的に後継者に株式を集中させる事が可能です。円滑に事業承継を実施する上で、相続人への株式等売渡請求は不可欠な手続きと言えます。

(2)相続人に対する株式等売渡請求の条件

相続人に対する株式等売渡請求には、いくつかの条件があります。まず一つ目は、相続の事実を知ってから一年以内に請求することです。一年を過ぎると、株式等売渡請求を実行できない為注意が必要です。

二つ目は、分配可能利益の範囲内で株式買取を実行する点です。分配可能利益は、その他資本剰余金とその他利益剰余金の合計となります。上記の規定がある為、株式等売渡請求の実施にはある程度の資金力が必要となります。

三つ目の条件は、株式等売渡請求の対象は譲渡制限株式であることです。譲渡制限株式とは、株式譲渡の際に会社側の合意が必要となる株式です。殆どの中小企業は譲渡制限株式となる為、この点はほぼ心配ありません。

(3)相続人に対する株式等売渡請求の手続き

相続人に対する株式等売渡請求には、いくつか経るべき手続きがあります。まず初めに、定款に相続人への売渡請求を実行できる旨を定めます。

次に株式等売渡請求を行う株式数と対象者の氏名(名称)について、特別決議を実施します。特別決議で可決されたら、対象者に売渡請求の通知を行い、対象者と会社側で売買価格を決定します。

売買価格が協議で決まらない場合は、裁判所に決定してもらえます。裁判所に決定してもらう際は、株式等売渡請求から20日以内に申し立てする必要があります。売買価格が決まった後、株式の売渡を実行します。

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株式等売渡請求を用いたスクイーズアウト

この項では、株式等売渡請求を用いたスクイーズアウトについて解説します。

(1)スクイーズアウトを実施するメリット

株式等売渡請求によりスクイーズアウトを実施すると、様々なメリットが得られます。スクイーズアウトの結果経営者が全株式を保有することで、あらゆる決定を自身の一存で決定できる様になります。

その結果、経営に関する意思決定が迅速化します。株主間で意見が食い違うと面倒な紛争が生じますが、スクイーズアウトの実施後はその心配もありません。

株主が経営者一人になる事で、株主の管理に伴う事務作業も削減できます。株式等売渡請求を用いたスクイーズアウトでは、上記の通り多種多様なメリットを享受できます。

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(2)株式等売渡請求を用いたスクイーズアウトの手続き

スクイーズアウトを実施する際、まずは会社に対して株式売渡請求を実行する旨を伝えます。株主の請求に応じて会社側では取締役会を開き、株式等売渡請求の実行を承認し、他の株主に株式売渡請求を承認した旨を通知します。

会社側は株式売渡請求に関する資料を、会社法の規定に基づいて本店に備え置く必要があります。その後株式売渡請求を実行する株主(経営者)は、予め設定した「取得日」に株式を強制的に取得し、取得代金を対象株主に支払います。

株式等売渡請求の実行が完了したら、会社側では株式等売渡請求に関する資料を、本店に一定期間備え置きます。以上が株式等売渡請求を用いたスクイーズアウトの手続きとなります。この手続きは最短20日で完了するので、比較的短期間でスクイーズアウトを実行可能です。

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M&Aにおける特別支配株主の株式売渡請求

最後に、M&Aにおける特別支配株主の株式等売渡請求に関する注意点をお伝えします。特別支配株主とは,対象会社の総株主の議決権の90%以上を保有する者のことです。特別支配株主がM&A目的で株式等売渡請求を実施する際は、下記の点に注意しましょう。

(1)90%要件の確認タイミング

M&A目的の「特別支配株主の株式等売渡請求」では、90%の議決権保有が条件となりますが、満たすタイミングが複数設定されています。

「株式等売渡請求時」「承認時」「取得日」の各々のタイミングで、90%の議決権保有を満たす必要があります。任意の時点で90%の議決権を保有していれば良いわけではないため、十分注意が必要です。

(2)条件の妥当性

特別支配株主から請求を受けた会社は、株式等売渡請求を承認するか否かを決議します。決議の際には、「株式等売渡請求の条件が、対象株主にとって適正であるか」という観点から、実行可否を判断する必要があります。

対象となる株主からすると株式を失うことによって重大な損失を被るリスクがある為、妥当な条件や対価の金額が設定されている必要があります。

(3)種類株式発行会社における株式等売渡請求

種類株式発行会社の場合、株式等売渡請求に際して注意点があります。種類株主に損害を及ぼす恐れがある場合は、種類株主総会の決議が必須となります。

種類株主総会の決議を経なければ、取締役会による承認の効力が発生しません。株式等売渡請求を実行する際は、種類株主の有無と損害の有無について、慎重に確認しなくてはいけません。

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まとめ

株式等売渡請求は、相続(事業承継)や完全子会社化、少数株主の排除等の場面で活用されます。完全子会社化のM&A実行期間を短縮化できる点や税制上有利な条件で自社株を取得可能のメリットがある一方、株式が分散している場合には、株式等売渡請求を行使出来ない可能性もあるため注意が必要です。

 

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