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2019年11月27日更新
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相続税と相続に伴う破産

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この記事の監修専門家
M&A総合研究所 公認会計士
高谷 俊祐

相続の際に考慮しなければならない相続税ですが、相続に伴って発生し得る破産も考慮しなければいけません。最悪の場合、相続放棄か自己破産のいずれかを選ばなければならなくなるケースもあります。相続破産とは、相続税の申告、相続税の納税義務を持っている人、相続放棄と自己破産の違い、相続で相続人が自己破産の手続きを進めている場合、倒産・民事再生・会社更生・私的整理の費用について解説していきます。

目次
  1. 相続税と相続に伴う破産
  2. 相続破産とは
  3. 相続税の申告を行うべき財産、行わなくてもよい財産
  4. 相続税の納税義務を持っている人
  5. 相続放棄と自己破産の違い
  6. 相続で相続人が自己破産の手続きを進めている場合
  7. 倒産・民事再生・会社更生・私的整理の費用
  8. まとめ

相続税と相続に伴う破産

相続の際に考慮しなければならない相続税ですが、相続に伴って発生し得る破産も考慮しなければいけません。

相続税や、相続に伴って発生し得る破産は、いずれも相続に多大な影響を与えるものであり、最悪の場合、相続放棄か自己破産のいずれかを選ばなければならなくなるケースもあります。

今回は相続税や相続に伴う破産など、相続に関連する様々な事柄をお伝えしていきます。

相続破産とは

相続破産とは相続に伴って発生し得る破産のことを指します。

相続破産が発生すると、結果として相続の対象となっていた家や土地を手放したり、会社であれば倒産してしまう恐れがあります。

相続破産は一般家庭や富裕層、会社経営者を問わず発生するリスクがあり、相続を控えているのであれば慎重に対処する必要があるものです。

相続破産は主に2つのパターンで発生します。

1つ目は相続税が予期せぬ税額にまで膨らんでしまったケースです。

これは平成27年の相続増税以後に頻出しているケースであり、相続税の税率が引き上げられたために相続税が予想以上に膨らんでしまい、結果として相続を諦めてしまうことが多くあります。

また税理士が算定した評価額と実際の評価額にギャップがあり、その結果想定外の相続税が発生し、相続破産に陥るケースがあります。

これは不動産鑑定に疎い税理士が評価額を算定した際に発生することが多いケースです。

2つ目は相続の際に何かしらの負債を背負うというケースです。

相続の厄介な点は、相続の対象となる財産の中には負債なども含まれているという点です。

そのため相続に際して負債を受け継いでしまい、その負債を返しきる目途が立たないがゆえに相続破産に陥るというケースもあります。

また会社の事業承継を伴う相続の場合、負債だけでなく会社が持っている貸付金なども相続破産の引き金になるリスクがあります。

相続税の申告を行うべき財産、行わなくてもよい財産

相続税には申告を行うべき財産と行わなくてもよい財産があります。

申告を行うべき財産、行わなくてもよい財産を把握しておけば相続税の計算が楽になるでしょう。

相続税の対象となる財産、ならない財産は以下の通りです。

【相続税の申告を行うべき財産】

  • 不動産(宅地、山林、田畑などの農地、敷地権や借地権など)、建物(区分建物、駐車場、倉庫、借家権など)
  • 金融財産(現金、預貯金、株式、投資信託など)
  • 自動車、家具、リゾート会員権、ゴルフ会員権、著作権、商標権、電話加入権、骨とう品など

【相続税の申告を行わなくてもよい財産】

  • 祭祀承継の対象となるもの(墓石、墓地、仏壇、仏具など。ただし投資価値が高いものに関しては骨とう品扱いとなるため、相続税の対象となる)
  • 死亡保険金(500万円×法定相続人の数の範囲内が非課税となる。相続放棄をした相続人や死亡保険金を相続しない相続人も計算に入れることが可能。ただこの範囲を超えると課税対象になるので注意)
  • 死亡退職金(死亡保険金と同じ計算法で課税される)

相続税の納税義務を持っている人

相続税を納税する義務を持っている人は法律で決まっています。

ちなみにこの相続税を納税する義務を持っている人はすなわち相続税申告を行わなければならないケースでもあります。

だから基礎控除以下でそもそも相続税を支払わなくてもよいケースなどは含まれません。

それでは、相続税を納税する義務を持っている人は以下の通りです。

  • 相続に際して遺産をもらった、あるいは承継した相続人
  • 被相続人の遺言書により遺産をもらった、あるいは承継した人(遺産の受遺者ではあるが、相続人に限ったものではない)
  • 被相続人の生前(正確には相続の発生前の3年以内)に贈与を受けていた相続人。しかし生前贈与を受けていた場合でも、相続が発生した後、相続人が相続放棄をした際や孫など相続人ではない人であるなら相続税の課税対象外となる。
  • 相続放棄をしていても保険金をもらっている相続人

基本的に、相続税を納税する義務を持っている人は何らかの形で被相続人の遺産を受遺、あるいは承継していることが条件に含まれているということがわかります。

相続放棄と自己破産の違い

もし相続によって不利益が生じてしまう場合、とりわけ負債を背負ってしまうような状態に陥ってしまった場合、相続人の頭に過ぎる選択肢として挙げられるのは相続放棄と自己破産だと思います。

ただ、この両者の違いはどこにあるのでしょうか?

一般的にネガティブなイメージが強い自己破産ですが、これは自己都合で背負った負債、相続の際に引き継がれてしまう負債に関わらず、特別に返却を免除してもらうことを指します。

しかし自己破産は相続税の免除までを保証してくれるわけではないため、相続税の義務は継続しています。

そんな自己破産に対し、相続放棄はその名の通り相続そのものを放棄することを指します。

相続放棄においては相続できる財産も負債も全て放棄する形になるため、相続自体がそもそも発生しません。

そのため相続放棄を行った場合は相続税の納税義務自体がなくなります。

ただ、相続放棄は良くも悪くも相続それ自体を放棄するものであり、財産の相続を放棄するということに抵抗感を覚える人は少なくないかと思います。

そんな時には限定承認という方法が使えます。

限定承認は相続人の責任の範囲内で相続する財産を限定できる方法であり、相続する財産を超える分の負債の相続を避けることができます。

負債の相続を避けるうえで限定承認は有効的な方法だといえるでしょう。

ただ、限定承認は共同相続人全員による手続きが必要であり、また清算手続きや準確定申告などやらなければならない手続きも多いため、かなり手間がかかるものです。

おまけに共同相続人の内、一人でも反対する相続人がいれば限定承認は成立しなくなってしまうため、実際に行うのは難しいでしょう。

相続で相続人が自己破産の手続きを進めている場合

決して一般的なケースとはいえませんが、相続の際に相続人が自己破産の手続きを進めている場合、破産法で定められた通りに対応する必要があります。

相続人が自己破産手続きを行っている場合、相続人がもし遺産を承継、あるいは受遺するとそれは全て借金の返済にあてられるため、遺産を手元に残すことはできません。

しかし相続放棄を行えば相続ができなくなるだけで遺産それ自体は残るため、遺産を守ることができます。

ただし、注意しておきたい点は自己破産手続きを行っている際に相続が発生したタイミングによって手続きが変わるという点です。

もし破産の手続きが始まる前に相続が発生して入れば問題なく相続放棄を行うことができます。

しかし数年前に相続が発生していた場合は相続放棄ができなくなります。

なぜなら相続放棄は相続が発生してから3ヶ月以内に行う必要があり、その期間を過ぎると相続放棄ができなくなるからです。

ただ、このケースで意外と多いのが不動産などの名義が特定の相続になっておらず、複数の相続人の共有になっていることです。

この状態になっていれば遺産が取り上げられるようなことはないので、慌てて対処する必要はありません。

むしろ慌てて名義人を共有に変えるようなことをすると逆効果になります。

破産手続きを控えているうえで相続登記を変更するような行為を行うと「財産逃れ」と疑われ、破産管財人が否認権を行使し、相続登記の変更を含めた遺産分割協議全てを無効にしてくる可能性があります。

そうなると結果的に遺産を取り上げられてしますので注意してください。

そしてこれ以上に最悪なケースとして挙げられるのは破産手続きの申し出を行い、破産手続き開始される1週間のうちに相続が発生してしまうというケースです。

これはかなり厄介であり、このケースに陥ってしまうと相続放棄自体できなくなります(強権的な印象がありますが、これも債権者保護のためにやむを得ないことです)。

そして遺産分割協議を行えば問答無用で破産管財人に否認権を行使され、遺産を取り上げられることになります。

このケースはおおよそ不幸としか言いようがないものなので仕方ない一面がありますが、自己破産手続きを行おうと考えている相続人候補は注意が必要です。

倒産・民事再生・会社更生・私的整理の費用

何かしらの事情で会社が倒産、民事再生、会社更生、私的整理をすべき事態になった際、そこには一定の費用がかかります。

ここではそれぞれの手法を選んだ際にかかる費用についてお伝えしていきます。

ただ、お伝えする費用以外にも弁護士などの専門家に協力を依頼した報酬がかかることも想定しておいてください。

倒産、民事再生、会社更生、私的整理の費用は以下の通りです。

①倒産の費用

倒産(会社破産)の場合、おもに裁判所に納める費用として申し立ての際にかかる収入印紙や郵券、予納金が発生します。

収入印紙や郵券に関しては2万円程度がかかるだけですが、予納金に関しては負債の総額によって変化します。

ただこの予納金に関しては裁判所ごとに変わりますので、会社がある地域の裁判所が定めた通りに従う必要があります。

しかし少数管財事件である場合、負債の総額に関わらず予納金は一律で20万円となっています。

②民事再生の費用

民事再生の場合、その費用の詳細は倒産とほとんど同じです。

民事再生の場合も裁判所への申し立てに必要な収入印紙、郵券、予納金が費用として発生しますが、収入印紙や郵券に関しては倒産と同様かかる費用は2万円程度です。

また予納金に関しても負債の総額によって変化していく形になります。

こちらも裁判所によって異なる場合があるので事前にチェックしておくことがおすすめです。

ただ民事再生は倒産と違い、手続きが完了してからは会社を立て直すために事業を継続していくことになるものです。

そのため会社の経営を続けていくための運転資金や従業員への賃金など、ある程度の資金を保っておく必要があります。

この点が破産と大きく異なるので気を付けてください。

③会社更生の費用

会社更生はここでご紹介する手続きの中で最も費用がかかるものです。

会社更生でも裁判所申し立てのための収入印紙、郵券、予納金のための費用を用意しておく必要があります。

収入印紙、郵券に関しては総額で6万円程度かかる傾向があります。

そしてやっかいなのが予納金ですが、会社更生に関しては破産や民事再生のように負債総額によって比例するような形の設定ではありません。

会社更生は負債総額ではなく、債権者数や会社の財産状況を裁判所が考慮して設定します。

そのため会社更生の予納金は裁判所がどんな判断をくだすかにかかっており、そのため明確な基準を見出すことが難しくなっています。

しかし会社更生の際の予納金に関してはおおむね2000万円程度が最低限度だといわれています。

ここからわかるように、会社更生の予納金は少数管財事件であれば20万円、負債の総額によっては数百万程度に落ち着く倒産や民事再生と異なり、かなり高額の予納金が発生することがわかります。

④私的整理の費用

私的整理の費用に関しては任意整理と共通しており、さらに倒産、民事再生、会社更生とは根本的に異なっています。

そもそも私的整理は経営破綻を迎えている、あるいは経営破綻を迎えようとしている会社の経営者が裁判所を介在させず、債権者など特定の相手方と事業再建のための協議を行うという手法です。

そのため私的整理においては倒産、民事再生、会社更生と異なって裁判所に支払う費用が発生しません。

この点は任意整理でも共通しています。

実際的に私的整理で発生する費用は協議を行ううえで弁護士などに協力を依頼している際に発生する報酬などに限られるでしょう。

ただ、私的整理の過程で万が一訴訟に発展した場合は弁護士などへの報酬も含め、費用が大きく変わる可能性があるので気を付けてください。

まとめ

相続税や相続に伴う破産に関する知識は円滑な相続を行ううえで不可欠なものだといえます。

とりわけ自己破産手続きと相続の関係性については正しい知識をあらかじめ抑えておかなければ、相続される遺産それ自体が取り上げられてしまう可能性がありますし、他の相続人に迷惑がかかることにもなりかねません。

そのため自己破産の手続きをしなければならない状況になってしまった相続人は細心の注意を払う必要があります。

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