M&Aとは?意味や動向とM&Aを行う目的・メリットなどをわかりやすく解説!
2021年5月4日更新会社・事業を売る
自己破産とは?メリット・デメリットや費用、方法をわかりやすく解説
自己破産はデメリットのことが先行してネガティブなイメージを持ちますが、メリットもあるため場合によっては手続きしてしまったほうが良いケースもあります。しかし、当然のようにデメリットには注意しなければなりません。自己破産の種類や方法、流れや手続きを解説します。
目次
自己破産
自己破産といえば手続きすることのデメリットばかりが先行して、どうしてもネガティブなイメージを持ってしまいます。たとえば、自己破産をするとローンやクレジットカードの契約で制限がかかり、社会的にも良いものとして扱われているわけではありません。
しかし、自己破産にはメリットもあるため、場合によってはできるだけ早く手続きをしてしまったほうが良いケースもあります。今回は、自己破産の流れやメリット・デメリットなどについて解説します。
自己破産とは?自己破産の条件
自己破産とは、わかりやすくいうと「返済できなくなった借金を裁判所の認可を得ることで免除してもらう」というものです。そのため、自己破産を行うとその人は借金の返済義務はなくなり、すべての借金がなくなります。
ただし、単純に借金が消えてしまうということではありません。詳細は後述しますが、自己破産は借金を返済するためにその人の財産を現金化し、債権者に配当していくプロセスがあります。それでも借金が返済できなかった場合に、残りの借金を免除するということです。
つまり自己破産は、単純に借金をゼロにするわけではなく、財産を処分してまでも返済できない借金を免除してもらうという行為なのです。そのため、自己破産を行うと返済の過程で一定以上の財産を手放すことになります。
自己破産の可否に借金の額は関係ない
自己破産というと、1,000万円などといった高額な借金を背負っている人が行うものであり、100万円などの少ない借金ではできないというイメージがあります。しかし、自己破産ができるかどうかということに借金の金額はあまり関係ありません。
そのため、数十万円しか借金がないから自己破産できない、数千万円の借金があるから自己破産できるというわけではありません。あくまでも、裁判所が自己破産となるまでに至った理由や資産状況、収入などを鑑みて総合的に判断して決定します。
自己破産を認可してもらえないこともある
自己破産は申し立てること自体は借金の額に関係なくできますが、裁判所に認可してもらえるかどうかはまた別の話になります。破産法では自己破産できない理由を定めており、これを「免責不許可事由」といいます。主な免責不許可事由は、以下のとおりです。
免責不許可事由 | 免責不許可事由に該当する行為 |
財産の隠匿 | 特定の財産を財産目録から外し、あたかもその財産を所有していないと偽るなどの行為 |
換金行為 | ショッピング枠の現金化などの行為(申し立て直前) |
偏頗返済 | 複数ある借金のうち、特定の借金にだけ申し立ての前に返済を行う行為 |
ギャンブル・浪費 | 収入の範囲を超える買い物、ギャンブルや株などで財産を著しく減らす行為 |
詐欺による借入 | 1年以内において、虚偽の書類(身分証明書や収入証明書など)により借入を行う |
その他 | 裁判所の調査を遅らせる、虚偽の書類を提出するなどの行為 |
よく「パチンコや競馬で作った借金は自己破産できない」と言われているのも、自己破産には上記のような免責不許可事由があるからです。
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自己破産の種類と方法
自己破産には「同時廃止事件」と「管財事件」の2種類があります。それぞれの特徴を見ていきましょう。
同時廃止事件
同時廃止事件は、破産手続き開始と共に破産廃止手続が実行されるというものであり、同時廃止事件は債権者に配当すべき財産がない場合に適用されます。したがって、財産を処分する手間がない分スピーディーに進みます。
同時廃止事件は早ければ2、3ヶ月、遅くとも半年程度で自己破産を完了させることができます。基本的に個人が自己破産をする場合は、この同時廃止事件として扱われるケースがほとんどです。
管財事件
管財事件は、債権者に配当すべき財産がある場合に行われる自己破産であり、選任された破産管財人が財産を処分する手続きを行います。管財事件は財産の処分を行うため同時廃止事件より時間がかかるものであり、長ければ1年近くかかることもあります。
また、手続きが長くなることで裁判所への予納金も増えます。管財事件は通常管財と少額管財の2種類があり、それぞれ自己破産をする人が持つ資産の大小によって変わります。通常管財は大規模な法人の自己破産で行われるケースであり、規模によっては完了までに数年かかることもあります。
くわえて、債権者との紛争が発生して手間がかかることが多いため、通常管財が行われることは多くありません。対して少額管財は、比較的財産が少ない場合に適用されます。少額管財は通常管財ほど手間がかからないものであり、早ければ同時廃止事件と同様に半年程度で自己破産が完了することもあるようです。
自己破産のやり方とは?流れと手続き
自己破産には同時廃止事件と管財事件の2種類がありますが、手続きの流れはおおむね同じです。自己破産は以下のような流れで進めていくことになります。
- 委任
- 破産申立・免責申立
- 破産審尋
- 破産手続き開始決定
- 破産手続き開始決定
- 債権者集会・免責審尋
①委任
委任とは、弁護士に自己破産の手続きを依頼することです。自己破産をする際の書類は難しく、高度な知識も必要なため一般的には弁護士などに委任して行います。また、委任を受けることで弁護士は、債権者に受任通知を発送します。
②破産申立・免責申立
破産申立と免責申立は、それぞれ自己破産と免責を行うための申立です。裁判所に申立を行いますが、この際に必要な書類があります。申立を行う人の状況によって異なることがありますが、必要な書類は以下のようになっています。
- 申立書
- 陳述書
- 債権者一覧表
- 滞納公租公課一覧表
- 財産目録
- 債権者宛名ラベル原稿
- 添付書類一覧表
- 身分に関する一覧表
- 職業や収入に関する資料
- 現在の住居に関する資料
③破産審尋
破産審尋は、裁判官と行う面接です。申立からおおむね1ヶ月後に行い、自己破産をする理由や現在の資産状況などについて確認されます。
④破産手続き開始決定
破産審尋で申立者に自己破産が適用されることが決定されれば、破産手続きが開始されます。同時廃止事件であれば、このまま免責審尋に移ります。
⑤破産管財人の選任
管財事件の場合は破産手続きが開始された後に、まず財産を処分する破産管財人が選任されます。申立者は破産管財人と打ち合わせを行い、財産の処分に際して必要な書類を提出して処分を進めていきます。
⑥債権者集会・免責審尋
債権者集会・免責審尋は、債権者と会議して免責を行うか否かを決定する手続きです。債権者集会は債権者から意見などがある場合に開催されますが、債権者から申し立てがなければすぐに終了します。免責審尋は、破産審尋と同様に裁判官との面接であり、破産管財人を交えて行われます。
ここで問題がなければ免責が決定されて免責決定書が届き、そこから約2週間後に免責が確定して自己破産の手続きは完了します。なお、債権者集会・免責審尋は破産手続き開始から2~3ヶ月後に行われ、同時廃止事件であれば破産手続き開始から約2ヶ月後に行われます。
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自己破産のメリット・デメリット
自己破産はイメージが目立ってしまいますが、デメリットばかりではなくメリットもあります。ここでは、自己破産のメリット・デメリットをみていきます。
自己破産のメリット
まず、自己破産のメリットには以下のようなものがあります。
借金の返済義務がなくなる
自己破産の最大のメリットは、借金の返済義務がなくなるという点です。返済能力を超えた借金は生活に負担が大きいものであり、返済義務がなくなることで生活をやり直すきっかけになります。また、借金を背負っているという精神的な負担からも解放されます。
借金を苦に自殺や夜逃げをしてしまう前の選択肢として、自己破産は有効的だといえるでしょう。
ある程度の財産は残せる
自己破産は管財事件のように財産を処分するプロセスもありますが、すべての財産がは処分されることはありません。20万円以下の現金やテレビ、冷蔵庫などの生活必需品については1台に限り残しておくことができます。
また、自己破産の手続きに入っている間、債権者は財産の差し押さえをすることができなくなります。そのため、差し押さえられたくない財産を守ることができる可能性もあります。
家族に悪影響は及ばない
自分が自己破産をすることで、その影響が家族にまで及んでしまうと思っている人も少なくありません。具体的には、家族が借入をする場合やクレジットカードを作る際に、家族に自己破産者がいるという理由で断られてしまうということです。
しかしそれはまったくの間違いであり、自分の自己破産が家族に影響を与えることはありません。そのそも、ローンやクレジットカードというのは、申込者本人の信用状態を審査しています。つまり、家族の信用状態はまったく関係のないことなのです。
自己破産のデメリット
次に、自己破産のデメリットは以下のとおりです。
ブラックリストに載る
自己破産において懸念すべき事柄の一つが、金融機関のブラックリストに載ってしまうことです。ブラックリストに載ることで自己破産を行ったことが知られ、クレジットカードの契約やローンを組むことができなくなります。
ブラックリストに載った名前は、消えるまでに5~10年程かかるといわれています。なお、自己破産したことは官報にも公告されますが、これは一般的に見られているものではないため、職場の人などに知られる可能性は低いです。
職業に制限がかかる
免責が確定するまでの期間は、就ける職業に制限がかかることも自己破産のデメリットだといえます。弁護士、司法書士、会計士、税理士などといった士業、質屋、古物商、保険外交員、警備員、宅地建物取引主任者などの職業がこれに該当します。
また、会社によっては過去に自己破産したことがあった人の採用は行わないとするところもあります。
保証人になっている家族には迷惑がかかる
基本的に、自分が自己破産したことでその影響が家族に及ぶことはありません。しかし、自分の借入に家族が保証人となっている場合は事情が違います。債権者は借金をしている本人だけでなく、保証人にも取り立てをする権利を持っています。
そのため、借金をした本人が自己破産したとなれば、債権者は保証人に取り立てを行うことになります。つまり、保証人となっている家族に迷惑をかけることになります。家族が保証人となっている借金がある場合は、自己破産することについて十分に話し合うようにしましょう。
自己破産の期間と専門家依頼の費用とは
自己破産を行う場合、完了までの期間と専門家に依頼した際の費用はどのくらいかかるのでしょうか。
自己破産の期間
自己破産の期間は同時廃止事件と管財事件で異なります。同時廃止事件や財産の規模が少ない少額管財であれば3ヶ月~半年程度で完了することが多いです。基本的に自己破産の手続きは、それぞれのプロセスが進行する間に2週間~2ヶ月程度のインターバルがあります。
そのため、最低でも約3ヶ月はかかることになります。管財事件、それも通常管財の場合はさらに期間が延びます。最低でも半年はかかりますし、長ければ数年に及ぶこともあります。また、同時廃止事件・管財事件いずれの場合も、自己破産の手続きを進める過程で債権者とトラブルになれば期間が長くなります。
最悪の場合、訴訟に発展することもあるため注意しなければなりません。
専門家に依頼した際の費用
自己破産を行う場合、弁護士に依頼して手続きを行うことが一般的です。弁護士に依頼した際の費用は事務所によって変わりますが、基本的には着手金・実費・成功報酬の3段階に分かれています。
着手金・実費・成功報酬それぞれにどれだけ費用がかかるかはケースバイケースですが、トータルで見ると50万円前後かかることが多いようです。また、実費の中には自己破産で裁判所に納める予納金も含まれます。
予納金は管財事件の方が同時廃止事件よりもかかるため、手続きによってはトータルで100万円近くの費用が発生する可能性もあります。ここまで聞くと弁護士に依頼することを躊躇(ちゅうちょ)してしまいますが、多くの弁護士事務所では分割払いに対応しています。
法人・会社の自己破産は?注意点や従業員・役員への影響
法人・会社が自己破産を行う場合は、個人とは違う注意点がありますので注意する必要があります。法人・会社の自己破産の注意点は、以下のようなものがあります。
否認権
基本的に法人・会社の自己破産は管財事件になるケースがほとんどですが、その際は破産管財人の否認権に注意しておきましょう。否認権とは、破産手続を開始する前に処分したものや、本来は債権者に配当するはずであった財産を、破産管財人が取り戻すことができるという権限です。
この否認権は、いってしまえば法人・会社が行おうとしている財産の処分を否定できるものであり、破産管財人が債権者の権利を侵害したと判断すると経営者が望む財産の処分ができなくなります。
従業員・役員への影響
法人・会社は自己破産と行うと消滅することになりますが、それに先んじて従業員や役員にはしっかり説明をしておく必要があります。とくに賃金についてはしっかりと説明しなければならず、法人・会社が自己破産を行う場合は従業員への賃金や退職金などは優先的に用意をする必要があります。
ただし、役員報酬は従業員の賃金と比べてそこまで優先的に扱われません。それどころか役員報酬の支払いは、支払停止の状況においては許されないものであり、もし支払った場合は否認権の対象になります。
まとめ
自己破産にはネガティブなイメージがありますが、借金の返済義務がなくなることや一定の財産は残しておけるなどのメリットもあります。自己破産のプロセスは煩雑であり、注意点も多いのですが、弁護士に委任することで安心して任せることができます。
弁護士への報酬は決して安いとは言えませんが、多くの弁護士が分割に対応していますし、返済能力を超えた借金を放置しているよりはいいはずです。しかし、自己破産には免責不可事由もあるため申し立てをしても必ず認可されるわけではないことに注意しなくてはなりません。
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株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。