M&Aとは?意味や動向とM&Aを行う目的・メリットなどをわかりやすく解説!
2025年8月27日更新事業承継
管工事会社のM&A・事業承継を徹底解説!成功のポイント、メリット・デメリット、手続き、費用相場
管工事会社のM&A・事業承継は、後継者不足の解消や事業拡大に有効な手段です。本記事では、管工事会社におけるM&A・事業承継のメリット・デメリット、手続き、費用相場、成功のポイントなどを解説します。
目次
管工事業界の現状とM&A・事業承継の動向
最初に、管工事会社(管工事業界)の基本的な知識をチェックしましょう。管工事会社(管工事業界)の主な業務内容と特徴、市場規模を押さえた上で、業界の各社で見られる事業承継・M&Aの動向を解説します。管工事会社(管工事業界)では、どのような目的で売却・買収が繰り広げられているのでしょうか。
管工事会社(管工事業界)とは
管工事会社(管工事業界)は、空調や給排水、ガスや冷暖房機器に必要な配管工事・施工・管理といった業務を手掛ける業界です。水や空気、ガスや油などの物質を通すために使われる設備の工事を請け負います。
管工事の部分をゼネコンから発注を受けて請け負う「下請け」と、計画立案から施工まで自社で手掛ける「自己建設」という2種類の業態が存在する点が管工事業界の特徴です。幅広い設備を請け負えるように、建設に関するさまざまな許認可を取得している会社も存在します。
管工事会社(管工事業界)の市場規模
国土交通省によると、管工事業界の工事種類別受注高は、2023年9月では1,864億円で、2022年9月よりも2.9%減少が見られます。このうち、民間からの受注は0.7%増え、一方官公庁からの受注は47.9%減少しています。(国土交通省「令和5年9月分(速報)設備工事業に係る受注高調査結果(各工事主要20社)」
管工事会社(管工事業界)の事業承継の動向
管工事業界では、経営者の高齢化と後継者不足が深刻な課題となっています。そのため、M&Aによる事業承継が増加傾向にあります。また、老朽化インフラの更新需要や、脱炭素化に伴う設備改修需要の高まりを受け、大手企業による管工事会社へのM&Aも活発化しています。2025年には、さらなる市場拡大が見込まれており、M&Aを通じた事業再編が加速すると予想されます。
管工事会社M&Aのメリット・デメリット:売却側と買収側の視点
管工事会社(管工事業界)で事業承継を実施する際に当事者企業が得られるメリットと、同時に想定されるデメリットを解説します。事業承継に成功すれば、確かに多くの恩恵を受けられますが、一定のリスクにも配慮しなければなりません。売却側・買収側それぞれの立場でメリット・デメリットを確認しましょう。
売却側
まず、売却側の視点からメリットとデメリットを解説します。管工事会社(管工事業界)の事業承継で売却を実施する際、どのような点で恩恵が受けられ、一方どのような点に留意すべきなのでしょうか。両方をバランスよく確認してから、事業承継手続きに入りましょう。
メリット
管工事会社(管工事業界)で事業承継を実施する際、売却側企業が得られるメリットには、主に以下のような項目が挙げられます。
- 事業の売却益を得られる
- 廃業を回避し、事業を継続できる
- 従業員の雇用を維持できる
- 後継者不足の問題を解決できる
- 大手企業の傘下に入ることで、経営基盤を強化できる
- 新たな事業展開の機会を得られる
M&Aによる事業承継に成功すれば、国内の多くの企業で深刻化する後継者不足や人材不足の課題を解決できます。廃業を避けられる上、売却先企業で事業を継続させられる点が大きなメリットです。将来の経営難が心配される場合、大手の傘下企業になることで、安定した経営のもとで事業展開できるでしょう。
デメリット
一方、管工事会社(管工事業界)で事業承継を実施する際売却側に対して想定されるデメリットは、次の通りです。
- 自社従業員が売却を不安視し退職するおそれがある
- 取引先との関係悪化により契約が打ち切られる可能性がある
- 相手企業とのマッチングに苦戦する場合がある
- 経営者の会社経営に対する影響力が縮小する
- 理想の条件が全て通るとは限らない
事業承継を進める中で、売却の誤った情報を耳にした従業員が、今後の処遇に不安を感じて退職するおそれがあります。企業価値が下がり交渉が決裂する可能性もあるので、情報管理を最後まで徹底しなければなりません。また、相手企業がすぐに見つかるとは限らないので、余裕を持った手続きをおすすめします。
買収側
では次に、買収側の視点から事業承継で得られるメリットと留意すべきデメリットとなる点をチェックしましょう。一般的に事業承継で想定されるデメリットは、多くの場合事前に入念な対処を講じることでリスクを軽減させられます。
メリット
管工事会社(管工事業界)で事業承継を実施する際、買収側企業が得られるメリットには、主に次のような点が挙げられます。
- 優秀な人材や技術を確保できる
- 事業規模の拡大、シナジー効果による収益向上を見込める
- 新規事業参入にかかる時間とコストを削減できる
- 既存の顧客基盤や取引先ネットワークを活用できる
買収の大きなメリットは、売却側の経営資源や人材を有効活用できるという点です。特定事業に参入する場合、設備投資や人材採用・教育研修に多額の費用を投じなければなりません。事業承継なら、コストや労力を抑えられるため、効率的に事業を軌道に乗せられます。シナジー効果で事業拡大も目指せるでしょう。
デメリット
一方、管工事会社(管工事業界)で事業承継を実施する際買収側企業が考慮すべきデメリットとなる点は、以下の通りです。
- 売却側とのシナジー効果がなかなか得られない場合もある
- 売却側の従業員が処遇に不満を抱くおそれがある
- 売却側の簿外債務が見つかる可能性がある
- 買収にかかる資金を調達しなければならない
- 売却側の企業価値が下がりのれん代を回収できない場合がある
メリットで挙げたシナジー効果は、必ずしも得られるとは限りません。また、買収先従業員との人間関係構築に苦戦する可能性もあるでしょう。また、簿外債務発覚で買収資金を回収できなくなるおそれもあります。このように一定のリスクを想定しながら、買収手続きを進める必要があるでしょう。
管工事会社の事業承継(M&A)の成功事例
ここで、管工事会社(管工事業界)で過去に執り行われた事業承継(M&A)による成功事例を紹介します。当記事で取り上げるのは、以下の6事例です。当事者各社はどのような目的・狙いから売却・買収を実施したのでしょうか。活用したスキーム(手法)や実施目的を中心に、それぞれ取引概要を確認しましょう。
- コムシスホールディングスと朝日設備工業のM&A
- 中電工と杉山管工設備のM&A
- 四電工と菱栄設備工業のM&A
- イシイ設備工業と東海管工のM&A
- 協和日成と静岡ガスリビングのM&A
- OCHIホールディングスと太陽産業のM&A
コムシスホールディングスと朝日設備工業のM&A
情報通信工事や電気通信設備工事を手掛ける会社が、管工事会社を株式交換で完全子会社化した事例です。市場で見られる競争激化や顧客獲得競争に対応するには、生産性の高い施工体制や経営基盤の強化が必要と判断し、今回の買収で経営資源のシナジー効果を得ることを目的に買収を実施しました。
売却側企業(株式交換完全子会社) | 朝日設備工業 (管工事、水道施設工事、機械器具設置工事) |
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買収側企業(株式交換完全親会社) | コムシスホールディングス (情報通信工事事業、電気通信設備工事業、情報処理関連事業) |
M&Aのスキーム(手法) | 株式交換 |
M&Aの実施目的 | ・東海を中心とする地域や事業分野等の強み活用 ・広範囲な事業展開と経営資源の連携によるシナジー効果の最大化 ・グループにおける成長戦略推進 ・企業価値の一層の向上 |
実施時期 | 2020年8月 |
中電工と杉山管工設備のM&A
空調管工事を手掛ける会社間で実施されたM&A事例です。買収側は、売却側が保有する優秀な人材と協力会社、優良顧客を獲得することで、グループ会社として首都圏における空調管工事の拡大を目指せると期待しました。当事例で活用されたM&Aスキームは、株式譲渡です。なお取引価格は公表されていません。
売却側企業 | 杉山管工設備 (空調管工事、冷暖房設備工事、給排水・衛生工事、産業配管プラント工事、防災設備工事) |
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買収側企業 | 中電工 (空調管工事) |
M&Aのスキーム(手法) | 株式譲渡 |
M&Aの実施目的 | ・優秀な人材と協力会社の確保 ・売却側が保有する優良顧客の獲得 ・首都圏における電気工事や空調管工事の拡大 |
実施時期 | 2016年8月 |
取引価格 | 非開示 |
四電工と菱栄設備工業のM&A
電気設備工事を手掛ける企業が、管工事会社を株式譲渡で買収したM&A事例です。売却側と買収側の工事領域を掛け合わせることで、より一体となったサービスの提供と、首都圏での収益基盤強化を期待できるとしました。
売却側企業 | 菱栄設備工業 (管工事、給排水・衛生設備工事、空調設備工事) |
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買収側企業 | 四電工 (電気設備工事業) |
M&Aのスキーム(手法) | 株式譲渡 |
M&Aの実施目的 | ・電気と空調・管工事を合わせた一体的なサービス提供の実現 ・首都圏における収益基盤の強化 ・協業による売上・利益の拡大・収益力強化・効率化 |
実施時期 | 2018年10月 |
取引価格 | 非開示 |
イシイ設備工業と東海管工のM&A
管工事を手掛ける2社によるM&A事例です。売却側はかねてより経営体質の強化に向けて取り組んでおり、買収側のグループ会社になることで、その目的を達成できると判断しました。買収側もM&Aを活用し、更なるユーザーニーズに応えるとしています。
売却側企業 | 東海管工 (管工事、空調・冷暖房、給排水・衛生設備工事) |
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買収側企業 | イシイ設備工業 (管工事、空気調和・冷暖房設備・給排水・衛生・換気設備工事、 省エネ・リニューアル工事) |
M&Aのスキーム(手法) | 株式譲渡 |
M&Aの実施目的 | ・更なるユーザーニーズ対応 ・更なる事業の発展 |
実施時期 | 2020年12月 |
取引価格 | 非開示 |
協和日成と静岡ガスリビングのM&A
こちらは吸収分割が実施された事例です。ハウジング事業やライフサポート事業など多岐にわたる事業を手掛ける会社に対し、売却側が保有するエネリア事業(機器販売事業)を吸収させる形でM&Aが実施されました。
売却側企業(分割会社) | 協和日成 (管工事、ガス設備事業、建築設備事業、電設土木事業) |
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買収側企業(承継会社) | 静岡ガスリビング (ハウジング事業、ビジネスサポート事業、ライフサポート事業、 工事保安事業、エネリア事業等) |
M&Aのスキーム(手法) | 吸収分割 ※分割対象事業は、売却側のエネリア事業(機器販売事業) |
M&Aの実施目的 | ・買収側におけるエリア営業体制の再構築実現 ・工事会社としての機能強化の推進 ・安定した収益確保 |
実施時期 | 2018年9月 |
取引価格 | 非開示 |
OCHIホールディングスと太陽産業のM&A
建材や住宅設備機器の卸売会社が空調機器の販売会社を買収したM&A事例です。買収側は、売却側の事業ノウハウを獲得することで事業ポートフォリオの拡大と東日本エリアでの事業強化が見込めるとして、M&Aを実施しました。
売却側企業 | 太陽産業 (冷凍冷蔵・空調・厨房機器の販売・設置工事) |
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買収側企業 | OCHIホールディングス (建材・住宅設備機器の卸売事業、 生活事業・加工事業) |
M&Aのスキーム(手法) | 株式譲渡 |
M&Aの実施目的 | ・事業ポートフォリオの拡大 ・東日本地区における事業展開の強化 ・持続的成長の実現 |
実施時期 | 2018年8月 |
取引価格 | 約18億円 |
管工事会社M&Aの手続きと流れ:円滑な承継を実現するために
上記では、管工事会社(管工事業界)で実施された事業承継の成功事例を紹介しましたが、実際に事業承継を実施するとなると当事者企業はどのような手順で手続きを進めていけば良いのでしょうか。
- M&Aの目的・目標の設定
- 専門家(M&Aアドバイザー、弁護士、会計士など)の選定と相談
- 企業価値の算定、売却価格の設定
- M&A候補先の探索、選定
- 秘密保持契約の締結
- 相手企業との交渉、条件調整
- デューデリジェンス(買収監査)の実施
- 最終契約の締結
- クロージング(株式譲渡、事業譲渡)
①事業承継(M&A)の検討・専門家への相談
まず、事業承継(M&A)の検討を実施します。自社状況の把握と課題点を明確にした上で仲介会社や専門家に相談し、事業承継をすべきか判断しましょう。事業承継を実施することで課題解決や一定の効果が見込める場合に、具体的な手続きに進みます。効果が期待できない場合、無理に手続きを進めるのは危険です。
②事業承継(M&A)売却価格・条件・課題などを検討
事業承継(M&A)を実施するべきと判断した場合は、M&A仲介会社のサポートを活用しながら売却価格や希望取引条件などの検討に入ります。会社名が特定されない匿名の状態で、事業展開エリアや事業内容・売却価格・条件を記載した「ノンネームシート」と呼ばれる書類を作成・提出するのが一般的です。
③交渉相手を選ぶ
次は、相手企業の選定(マッチング)プロセスです。買収側企業は、公開されたノンネームシートを活用しながら事業を譲り受ける相手企業を絞り込みます。効果が見込めると判断できた企業があればマッチングは成功ですが、市場動向や業界需要の状況によっては時間を要する場合もあるので注意してください。
④秘密保持契約の締結
相手企業が見つかったら、条件交渉に入る前に秘密保持契約書(Non Disclosure Agreement)を締結しましょう。交渉中に情報漏洩があると、当事者企業は従業員の退職や取引先との関係悪化など不利益を被り交渉が失敗する可能性があります。リスク軽減のためにも、取り交わすことを強くおすすめします。
⑤相手企業との交渉開始
秘密保持契約書を締結したら、事業承継・M&Aの具体的な条件交渉に進みます。売却側も買収側も有益だと思える取引内容にまとめ上げることが重要です。売却側企業の場合は、売却後に自社従業員の待遇が悪化することが無いよう、待遇確保に努めましょう。不安要素をよく確認しておくことをおすすめします。
⑥基礎情報開示
ノンネームシートを介して企業選定を行っていた場合、インフォーメーションメモランダム(IM)と呼ばれる資料を活用して情報が開示されます。インフォメーションメモランダムには、会社名や所在地、企業概要のほか、財務情報や税務情報など、より具体的な情報が記載されているのが特徴です。
⑦デューデリジェンス実施
事業承継(M&A)の具体的な取引条件がまとまったら双方で基本合意書を締結し、買収側によるデューデリジェンスが実施されます。デューデリジェンスは、売却側の財務や税務状況、リスク・負債などあらゆる項目を調査し、開示された情報に虚偽が無いかをチェックするために実施される実態把握プロセスです。
⑧最終契約締結
次に、基本合意書の記載内容とデューデリジェンスの実施結果をもとに細かい条件を再調整します。最終的な取引条件がまとまったら、当事者間で最終契約書を締結しましょう。最終契約書は締結すると、法的拘束力が発生する書類です。トラブルを最小限に抑えるために、契約前に条件を入念に確認してください。
⑨クロージング
最終契約書に記載されたスケジュール・内容に従い、売却側は株式の譲渡や事業の引き継ぎ、買収側は対価の支払いを実施します。事業承継手続きの中で、最終段階に位置するこのプロセスがクロージングです。クロージングの際の具体的な取引内容は、採用した手法や最終契約書の条件によってさまざまです。
管工事会社の事業承継を行うべきタイミング
事業承継は、一般的に会社が抱える課題の解決を目指す際に用いられることが多い対処方法ですが、実際に行うとなるとどのタイミングで手続きを始めれば良いのか気になるというのが経営者の本音です。ここでは、管工事会社(管工事業界)で事業承継やM&Aを開始するべきタイミングを3パターン解説します。
- 業界内の競争環境が変わったとき
- 会社の経営状態の良いとき
- 経営者が元気で引き継ぎの準備ができるとき
業界内の競争環境が変わったとき
1つ目のタイミングは、業界内の競争環境が変化したときです。管工事会社(管工事業界)の市場動向や競合他社の状況を常に注視しましょう。例えば、自社における市場占有率が高い状態なら一般的に企業価値が高くなるので、より理想に近い価格で事業承継(M&A)を実施できます。
会社の経営状態の良いとき
2つ目は、自社の経営状態が良いときです。経営が好調な企業は、一般的に企業価値を高く評価されます。逆に経営が悪化してから事業承継やM&Aの手続きに入っても、なかなか相手企業が見つからない可能性があるでしょう。業績が良い時ほど将来に向けて事業承継の計画を立てておくことをおすすめします。
経営者が元気で引き継ぎの準備ができるとき
3つ目のタイミングは、経営者が元気なときです。経営者が健在なうちに引き継ぎ準備を済ませておけば、相続トラブルを回避できます。本人の意思もスムーズに反映させられるので、早めに後継者や事業承継の話をしておくと良いでしょう。高齢になってから急いで手続きを行うのはリスクが高くおすすめできません。
管工事会社の事業承継の費用と価格相場
事業承継による売却を実施する際の取引額相場ですが、管工事業界内には一概に言える共通相場がありません。会社や事業の規模、将来性や収益性など当事者ごとに企業価値を評価する必要があるためです。ここでは、事業承継の価格相場を算出する際に用いられることが多い3つの評価アプローチを紹介します。
- コストアプローチ
- インカムアプローチ
- マーケットアプローチ
コストアプローチ
1つ目は、コストアプローチです。これは、企業の純資産における時価評価額等を基準に価値を算出する評価方法です。中小企業で用いられるケースが多く、別名でストックアプローチとも呼ばれます。客観性のある価値を算出できる点が魅力です。一方、将来の価値を反映できないというデメリットもあります。
インカムアプローチ
2つ目は、インカムアプローチです。これは、当事者企業の将来におけるキャッシュフロー(利益予想)を基準に価値を算出する評価方法です。企業の将来性に焦点を当てるため、現実的な価値を算出できる点が魅力です。一方、客観性が薄く、必ずしも正確な数値を出せるとは限らないというデメリットもあります。
マーケットアプローチ
3つ目は、マーケットアプローチです。これは、当事者と同じ市場で実施された類似の取引事例を基準に価値を算出する評価方法です。算出が比較的簡単で、客観性のある価値を算出できる点がメリットです。一方、市場に影響されやすく、業界が冷え込んでいる際は価値が下落しやすいというデメリットもあります。
管工事会社M&Aにおける注意点:リスクを最小限に抑えるために
ここでは、管工事会社(管工事業界)で事業承継を実施する際に当事者が気を付けたいポイントを紹介します。事業承継に成功すれば多くのメリットを獲得できますが、見込んだ効果を得るためには事前の準備やリスク軽減など対策が必要です。以下、6つの点に注意しながら事業承継手続きを進めましょう。
- 事業計画や財務状況を整理しておく
- 透明性の高い経営を心掛ける
- 適切なタイミングを見極める
- 情報管理を徹底する
- 従業員への丁寧な説明と理解を得る努力をする
- 専門家のアドバイスを受ける
受注の計画に配慮しながら前もって準備を始める
1つ目の注意点は、受注計画に配慮することです。管工事の受注を請け負っている最中に突然事業承継を実施すると、業務に支障をきたすおそれがあります。現在受注がある場合は業務に配慮しながら事業承継計画を立ててください。先ほど記載しました通り、できるだけ早い段階から準備を進めることが理想です。
透明性のある経営に努力し魅力的な会社作りを行う
2つ目は、魅力的な会社作りを心掛けることです。企業価値を高めたいからといって虚偽情報を提示したり粉飾決算を行ったりしないようにしてください。企業価値を高めるためには、透明性のある経営と労働環境整備が欠かせません。経営者は労力がかかるかもしれませんが、有益なM&Aを目指すためには必要です。
タイミングを逃さない
3つ目は、タイミングを逃さないことです。理想に近い価格で事業承継やM&Aを実施するには、企業価値が高い状況で売却する必要があります。経営者が健在で経営が比較的安定しており、管工事業界の需要も高まったタイミングですぐ売却できるように準備を済ませておくことが重要なポイントです。
情報の漏えいに注意する
4つ目は、情報が流出しないように注意することです。事業承継の交渉中に誤った情報が流れると、従業員の退職や取引先との関係悪化による契約打ち切りといったトラブルが発生します。最悪の場合、事業承継やM&Aの話が破談に終わる可能性があるので、当事者は特に注意が必要です。
従業員の退職や取引先の減少があると、企業価値の下落は避けられません。このようなリスクを最小限に抑えるためにも、当事者間で交渉を実施する際は、事前に秘密保持契約書を取り交わしましょう。
従業員や職人の離脱・モチベーションの低下に注意する
5つ目は、従業員や職人の離脱やモチベーション低下が起こらないように注意することです。情報管理を徹底していても、情報公開を行った時点で全従業員が納得するとは限りません。売却後の処遇への不安から、離職を考える方も出てきます。不安を解消するためには、交渉段階で待遇を確保しておくことが重要です。
取引前に従業員や職人が去ってしまうと、事業承継が失敗する可能性が高まります。人材は企業価値を決める重要な要素であるからです。売却後に会社が不利益を被ることが無いよう、配慮が求められます。従業員や職人に対して丁寧に説明し、事業承継やM&Aが有益なものであることを理解してもらいましょう。
M&Aの専門家に相談する
6つ目は、M&Aに詳しい専門家に相談することです。事業承継やM&Aは、手続きに税務や法務に関する専門知識が求められます。その上、相手企業の選定まで行わなければなりません。多大な労力がかかるので、当事者個人の力だけで進めるのはおすすめできません。M&A仲介会社など専門家のサポートを得ましょう。
管工事会社M&Aを成功させるためのポイント:専門家活用と綿密な計画
管工事会社(管工事業界)で事業承継を成功させるために押さえたいポイントを紹介します。事業承継の手続きには税務や法務に対処できる専門知識が必要です。個人の力で進めると多くの労力がかかるため、専門家に相談しサポートを得ながら進めることをおすすめします。以下3つの相談先を押さえましょう。
- M&Aアドバイザーに相談する
- M&A支援制度を活用する
- 弁護士、会計士等の専門家のサポートを得る
管工事会社のM&Aは、専門的な知識と経験が求められるため、M&Aアドバイザーをはじめとする専門家のサポートを受けることが成功の鍵となります。
金融機関に相談する
銀行などの金融機関では、事業承継やM&Aに関する相談を受け付けるケースが多くあります。普段から金融取引のある地方銀行なら、自社の経営状況に寄り添ったアドバイスが得られるでしょう。M&Aの専門知識を持った行員が在籍する銀行は多く存在します。金融機関なので、情報流出リスクが少ない点も魅力です。
公的支援機関に相談する
事業承継やM&Aの相談を受け付ける公的支援機関の利用もおすすめします。国や公共団体によって設置・運営されているため、さまざまな支援サービスを無料で受けられる点が魅力です。事業承継の支援が受けられる公的支援機関には、主に以下のような窓口があります。最寄りの機関を活用してみてください。
- よろず支援拠点
- 事業承継・引継ぎ支援センター
- 商工会議所
- 信用保証協会
M&Aの経験と知識が豊富なM&A仲介会社に相談する
事業承継やM&Aの手続きに関する全般的なサポートを受ける場合は、M&A仲介会社の利用をおすすめします。各種手続きに加え、M&A手法の策定や相手企業の選定までさまざまなアドバイスを受けられる点が魅力です。依頼の際は、仲介手数料など料金体系を確認してからアドバイザリー契約を取り交わしましょう。
管工事会社M&Aの費用相場
M&Aにかかる費用は、案件の規模や複雑さによって大きく変動します。主な費用項目は以下の通りです。
M&Aアドバイザー費用
M&Aアドバイザーへの報酬は、一般的に成功報酬型で、ディールバリュー(取引金額)に応じて決定されます。相場は、ディールバリューの1~5%程度です。
弁護士費用
弁護士費用は、契約書の作成・レビュー、法的デューデリジェンス、交渉サポートなど、M&Aのプロセス全体を通して発生します。案件の規模や複雑さによって異なりますが、数百万円から数千万円程度かかる場合もあります。
会計士費用
会計士費用は、財務デューデリジェンス、企業価値評価、税務アドバイスなどに必要となります。こちらも案件によって異なりますが、数十万円から数百万円程度かかるケースが多いです。
管工事会社の事業承継はM&A専門家の助けを得て成功させよう
管工事会社(管工事業界)では、リニューアルやリフォーム工事の需要が増えたことから、将来的に需要が伸びる業界と予想されます。ただ、多くの企業で後継者不在や職人の高齢化による人材不足といった課題が深刻です。事業承継やM&Aを活用すれば、廃業を避けられる上、売却先で事業拡大も狙えます。
ただ事業承継やM&Aは、手続きに高度な専門知識が求められる上、多くの労力がかかるものです。より多くの効果が得られる有益な事業承継に繋げるためにも当事者個人の力だけで進めようとはせず、M&A仲介会社など専門家に相談することをおすすめします。
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株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。