M&Aとは?意味や動向とM&Aを行う目的・メリットなどをわかりやすく解説!
2022年6月6日更新事業承継
経営理念とは?経営理念を作る目的や作り方などをご紹介!
経営理念はその企業の顔であり、イメージそのものだといっても過言ではありません。そのため、創業者・経営者の想いやビジョンが反映されるように、しっかり考えて決める必要があります。
経営理念とは
そもそも経営理念とは何でしょうか?端的にいうのであれば「企業の基本的な活動方針を示す考え方」のことで、「クレド」や「フィロソフィ」と呼ばれることもあります。経営理念は創業者や経営者によって設定されるものであり、その内容は以下のように多種多様なものがあります。
- 創業者・経営者の商売の考え方・価値観
- 企業の目標
- 企業の存在意義・使命
経営理念とよく似た言葉に「企業理念」というものがあります。一見するとあまり違いがないように見える2つの言葉ですが、実は経営理念と企業理念はある一点が大きく異なっています。
経営理念は経営方針ともいえるものであるため、創業者や経営者がその気になれば変更することもありますが、企業理念は企業が創立した段階で設定されるものであり、「初志」にあたるため一般的には変更することがありません。
「変えられるか、変えられないか」という点が経営理念と企業理念の決定的な違いだといえるでしょう。
経営理念の目的と効果
経営理念を作成するにあたり、その目的と経営理念のもたらす効果を正しく理解せず、ただやみくもに決めたのでは意味がありません。これらをまずは正しく理解したうえで、企業にとって効果的な経営理念を作成していきましょう。
企業の方向性を決める
経営理念において最も重要な目的は「企業の方向性を決める」ことです。どんな業界・業種の企業でも、どのように事業を展開していくのか、業務に取り組んでいくのかというベクトルは決まっているものです。
経営理念はそのベクトルを端的に示すものとして機能しており、そうして設定された経営理念は、その企業の今後の立ち回り全てに影響を及ぼし続けるものとなります。
従業員の行動規範
経営理念は、企業としての在り方だけでなく、所属する従業員の行動規範としても機能します。「全従業員はこの経営理念の下で、業務に勤しんでください」と伝えるために設定されるわけです。
十人十色というように、従業員も人間である以上それぞれ個性や考え方はもちろん、仕事に対するスタンスも異なるため、多様な従業員を統制し、同じ方向に向いてもらうために力を発揮するのが経営理念です。
ブランドイメージ
企業のブランドイメージを構築するためにも、経営理念は設定されます。経営理念はその企業の個性を示すものであり、ブランドイメージを決定するものでもあります。他の企業と違う経営理念を掲げれば、ブランドイメージの差別化にもつながるでしょう。
ブランドイメージとしての経営理念は、新たな取引や人材採用の際に相手が持つイメージの元にもなるため、印象的な経営理念は、その企業の求心力に影響を与えるでしょう。
経営理念のメリット・デメリット
経営理念にはメリットもあればデメリットもあります。経営理念を作成する際には、まずどのような点で力を発揮し、どのような点で制限をもたらすのかを把握しておくことが重要です。
経営理念のメリット
経営理念のメリットには大きく分けて以下の2つが挙げられます。
- 企業の方針・ビジョンが明確になり、共有しやすくなる
- ブランドイメージを作ることができる
企業の方針・ビジョンが明確になり、共有しやすくなる
経営理念を設定することで企業の方針・ビジョンが明確になり、自他ともに共有しやすくなります。創業者や経営者はそれぞれ独自の哲学を持ち、独自のビジョンをもって経営に取り組んでいますが、それを全従業員と共有することは決して容易なことではありません。
経営理念というわかりやすい形で、企業の方針・ビジョンを呈示することができれば、従業員はもちろん取引先など、外部の人間とも共有しやすくなります。個々に考えや価値観が異なる従業員を一つにまとめるうえでも、共有しやすい経営理念は非常に役に立ちます。
一つの経営理念を共有することは、企業全体の一体感を生み出すことにもつながります。従業員によって仕事への向き合い方は異なりますが、経営理念を共有することで業務の向き合い方を均質化できるようになり、経営者の意向が実現しやすくなります。
ブランドイメージを作ることができる
ブランドイメージを作ることができることも、経営理念の大きなメリットです。斬新な経営理念は、広告に掲載した際に印象に残りやすくなり、宣伝効果も期待できます。
経営理念は会社の顔ともいえる部分であり、個性的な経営理念はそれだけで会社のイメージを決定づけます。意図的に「記憶に残る」経営理念を作ることも、企業の成長において有効的な手段だといえるでしょう。
経営理念のデメリット
このように経営理念にもメリットがある一方で、いくつかのデメリットも存在します。主なデメリットとしては以下の2つが挙げられます。
- 作成するのが大変
- 束縛されることもある
作成するのが大変
当たり前のことではありますが、経営者の哲学やビジョン、企業の方針を完全に取り込んだ経営理念を決めることは大変なことです。経営理念は内部の人間のみならず、不特定多数の外部の人間にも見せるものであり、その企業のブランドイメージを決定づけるものでもあります。
自分の想いを言葉にするという作業は、決して簡単なものではありません。経営理念を設定する際には、経営者自身だけで考えるよりも、信頼できる第三者に相談しながら作成するのが良いでしょう。
束縛されることもある
経営理念は企業の顔でありイメージそのものになり得るものですが、良くも悪くも理想的な言葉が並べ立てられたものであり、それに経営者が束縛されてしまうこともあります。それを見た外部の人間からすると経営者も従業員も、その経営理念通りに行動しているものだと判断します。
経営者も従業員も人間である以上、迷うこともあれば失敗することもありますが、経営理念を見た外部の人間からすると、経営者も従業員もその経営理念通りに行動しているものだと判断します。
もしその迷いや失敗が経営理念に反するものであれば、それだけ企業のイメージを損なうことにも繋がりますし、万が一企業が不祥事を起こすようなことになれば、その企業の経営理念が立派なものであればあるほど企業への心証は悪化してしまいます。
創業者・経営者が経営理念を変更した際には、前の経営理念とのギャップを指摘されることもあります。当然ながら、失敗を恐れて経営理念を立てないようなことに意味はありませんが、経営理念にはそれだけの重みがあるということは承知しておきましょう。
経営理念の決め方
経営理念を作成する際には、前述した経営理念の目的や効果の他にも要点をおさえておく必要があります。要点をおさえて順序立てて行うことで、より良い経営理念を作成することができます。
4つの軸を理解する
経営理念には4つの軸があり、まずそれを理解しておくことが重要となります。経営理念における4つの軸とは以下になります。
- 使命
- 価値観
- 行動指針
- 目標
創業者・経営者の理念をまとめる
経営理念は創業者・経営者が作成するものであるため、創業者・経営者の理念がまとまっていなければ意味がありません。まずは創業者・経営者が理念(自身の哲学や価値観、考え方など)をまとめ、何を伝えるべきかを整理しておくようにしましょう。
この理念をまとめるこの作業は、創業者・経営者が起業する動機や将来的なビジョンに直結するものですし、日頃どれだけ自分の企業について考えているかによって、作業にかかる時間が左右されるだけでなく、ある程度の論理的な思考も求められます。
経営理念を作成するうえで最も大変な作業であり、情熱だけを全面に出しても決して上手くいかないので注意しておきましょう。
必要があれば勉強・相談する
経営理念を作成する際には、必要に応じて自分で勉強したり他の人に相談したりすることも大切です。自分の想いを言葉にする作業は意外と難しいものであり、ある程度の語彙や発想も必要になるため、他の会社の経営理念を参照したり本を読むなどして勉強したり、信頼できる人に相談してみましょう。
語彙は他の人の言葉に触れることで培われるものですし、コミュニケーションを通じて新たな発想が生まれることもあります。経営理念は創業者・経営者が作成するものですが、一人で作ることがベストというわけではありません。必要があれば周囲に積極的に意見を求めるようにしましょう。
少しズルい方法ですが、身近にコピーライターがいるのであればその力を借りるのも良いでしょう。コピーライターはキャッチコピーを考えるプロフェッショナルであり、経営理念のような「想いをわかりやすい言葉でまとめる」という作業を日頃行っているため、より良い経営理念を作成することができるでしょう。
経営理念の事例
最後に誰もが知る、大手企業の経営理念を3つご紹介します。どの企業の経営理念も洗練されたものですので、参考にしてみると良いでしょう。
- A Better Life, A Better World/パナソニック
- 情報革命で人々を幸せに/ソフトバンク
- 服を変え、常識を変え、世界を変えていく/ユニクロ
A Better Life, A Better World/パナソニック
世界的な電機メーカーであるパナソニックの経営理念は「A Better Life, A Better World」です。文字通り「より良い暮らしを、より良い世界を」という意味であり、常に人々の生活を良くする電化製品を提供しているパナソニックにピッタリだといえるでしょう。
実はこの経営理念は、創業者である松下幸之助の綱領をベースにしています。「産業人タルノ本分ニ徹シ社会生活ノ改善ト向上ヲ図リ、世界文化ノ進展ニ寄与センコトヲ期ス」というのが松下幸之助が呈示した綱領ですが、これを現代向けにわかりやすく表現したのが「A Better Life, A Better World」というわけです。
パナソニックの経営理念は、経営理念が時代に合わせて変化することもあり得ることを示している好例だといえます。
情報革命で人々を幸せに/ソフトバンク
日本の大手キャリアのソフトバンクの経営理念は「情報革命で人々を幸せに」です。情報革命を通じてひとりでも多くの人へ、喜びや感動を伝えることで幸せを感じてほしい、という想いから創業当時より一貫して、人類と社会への貢献を推進してきたソフトバンクの志が凝縮されたものです。
創業時からの志を上手くまとめており、かつ情報社会の発展が著しい現代にもぴったりの経営理念のひとつだといえるでしょう。
服を変え、常識を変え、世界を変えていく/ユニクロ
いわずとしれた大手アパレル製造小売業であるユニクロの経営理念は、「服を変え、常識を変え、世界を変えていく」です。ユニクロは誰もの身近にある服から、今までにない新しい価値を見出していくことで、そこから生まれる喜びを通じて、世界に満足や幸せを提供することをコンセプトにしています。
ソフトバンクと同じく、モノ・サービスを提供することで幸せを感じてほしいという理念は、多くの経営者にとって参考になるのではないでしょうか。
まとめ
経営理念はその企業の顔であり、イメージそのものだといっても過言ではありません。創業者・経営者の想いやビジョンが反映されるように、しっかり考えて作成する必要があります。
一人で作成することが難しいと感じたら、周囲の人に相談したり、様々な本や別の会社の経営理念を参照したりすると良いでしょう。要点をまとめると以下になります。
・経営理念とは
→企業の基本的な活動方針を示す考え方
・経営理念の目的と効果
→企業の方向性を決める、従業員の行動規範、ブランドイメージを決定する
・経営理念のメリット
→企業の方針・ビジョンが明確になり共有しやすくなる、ブランドイメージを作ることができる
・経営理念のデメリット
→作成するのが大変、束縛されることもある
・経営理念の決め方
→4つの軸を理解したうえで創業者・経営者の理念をまとめていき、必要があれば勉強・相談する
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株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。