逆さ合併とは?種類や特徴、注意点について解説!

吸収合併に含まれる逆さ合併は、事業規模が小さな企業を存続会社にする合併です。会計処理が異なるため、逆取得に該当するかどうかに注意しましょう。逆さ合併を学ぶと合併自体も理解できます。

事業承継

2019年12月16日更新

目次
  1. 逆さ合併とは
  2. 逆さ合併の仕訳
  3. 逆さ合併と登記
  4. 逆さ合併と自己株式
  5. 逆さ合併の事例
  6. 逆さ合併の注意点
  7. まとめ

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逆さ合併とは

一般的には、事業規模が大きな会社が事業規模の小さい会社を合併することが多い傾向です。その反面、逆さ合併は、事業規模が小さい会社を存続会社にします。合併差損の回避や繰越欠損金の控除などのメリットがある点も見過ごせないポイントです。逆さ合併についての理解を深めるために、まずは合併の仕組みから整理していきます。

合併とは何か?

合併とは、2つ以上の会社が1つになることを表します。たとえば、A社とB社があるとしましょう。B社がA社を合併することで、最終的にB社のみになります。これが、合併の基本的な仕組みです。合併には、吸収合併と新設合併があります。吸収合併と新設合併の特徴は下記の通りです。

吸収合併の特徴

吸収合併は、一方の会社が他方の会社を吸収する合併です。合併で消滅する会社の権利義務の全ては、合併後の存続会社に引き継がれます。A社がB社を吸収する場合であれば、B社の権利義務の全てがA社に承継され、最終的にB社は消滅してA社だけが残ります。

この際、雇用関係も存続会社に引き継がれるため、消滅会社の従業員は存続会社のもとで勤務可能です。合併による会社の消滅は、単に従業員のリストラを意味するのではありません。

ただし、吸収合併後は、企業文化の融合によって従業員が不安を抱きやすくなることが想定されます。そのため、個性の強い企業同士が合併する場合は、それぞれの従業員が一緒に仕事しやすい環境を整えることが大切です。

このように従業員に与える影響は少なくありませんが、その一方で、存続会社に負債や不要な資源なども引き継いでもらえる点は見過ごせません。消滅会社にとっては、メリットになることでしょう。

新設合併の特徴

新設合併は、2つ以上の会社が合併し、新たな設立会社に全ての権利義務を承継させる方法です。合併によってもとの会社は消滅し、存続するのは設立会社だけになります。消滅会社の雇用契約も新たな設立会社が承継します。

新設合併のメリットは会社の規模が広がることです。人員増加によって新事業を立ち上げることも可能になります。また、吸収合併と異なり、支配関係が生じないため被合併会社の従業員や経営者のモチベーションに影響が生じにくい点も見過ごせない利点です。

ただし、新設合併では、新たな会社を立ち上げるため、被合併会社の資格・免許・許認可などが消滅してしまうデメリットがあるので見過ごさないようにしましょう。

合併の手続き

吸収合併を行うためには、合併会社と被合併会社間での合併契約の締結と、取締役会における合併承認決議のプロセスが必要です。取締役会で決議された後に合併契約を結び、株主総会で承認を求めるのが順序として一般的です。

次に、合併契約書を含む事前開示書類を登記に基づく本店に配備し、債権者に催告や公告を実施します。債権者が異議を申述できる期間は1か月以上に定めるのが義務です。被合併会社が株券発行会社であれば、株券提出の通知も必要になります。

その後、株主を株主総会に招集します。この通知は総会の2週間前までに実施する必要があります。異議申述期間を過ぎ、株主総会で合併が認められると、契約された内容に効力が生じる仕組みです。それに伴い登記を2週間以内に申請しなければなりません。

逆さ合併の特徴

逆さ合併は、事業規模が小さい会社を存続会社にする吸収合併です。つまり、事業規模が大きな会社が消滅し、事業規模が小さな会社を存続します。新設合併のように新しく会社を設立するわけではありません。既存会社の間で事業規模の大小を判断します。

逆さ合併のメリット

逆さ合併のメリットの一つが合併差損を回避できることです。合併差損とは、消滅会社の債務額や資産額などの要因によって存続会社が被る損失を指します。費用面が足かせとなって株式上場ができない場合に活きるメリットといえるでしょう。

また、繰越欠損金の控除を活用できる点も長所です。繰越欠損金とは、課税所得がマイナスになって欠損金が生じた際に、将来に繰り越せる額を表します。繰越欠損金の控除によって税額を減少させることが可能です。

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合併の種類

逆さ合併の仕訳

逆さ合併と似た言葉に、逆取得があります。逆さ合併の仕訳では、この逆取得の理解が不可欠で、それに伴い合併対価と取得企業の意味も知っておく必要があります。まずは、合併対価と取得企業の意味からご説明していきます。

合併対価とは?

合併では、権利義務を全て承継するかわりに、消滅会社の株主に対価を交付しなくてはなりません。合併対価の種類は、存続会社の株式や新株予約権、社債などです。仮に、合併対価が存続会社の株式であれば、消滅会社の株主は合併後に存続会社の株主になれます。

取得企業とは?

取得企業は企業、あるいは、企業の事業に対する支配権を得る企業です。企業結合会計で使われる用語の一つとして知られています。吸収合併を例に挙げると、対価として株式を交付する企業が取得企業です。つまり、存続会社が取得企業に該当します。

逆取得の仕組み

逆取得は、存続会社が消滅会社の株主に対価の株式を交付した結果、消滅会社の株主が存続会社の支配権を獲得した事態を指します。つまり、消滅会社の株主が実質的な支配権を得るため、消滅会社が取得企業になります。

通常は、株式を交付する存続会社が取得企業ですが、逆取得の状態では株式を交付した会社が取得企業ではないのが特徴的です。

この逆取得という言葉は、企業結合会計基準における用語ですが、逆さ合併と呼ぶケースもあります。というのも、逆さ合併によって逆取得が行われることがあるからです。

たとえば、逆さ合併によって、事業規模が大きかった消滅会社の株主が、存続会社の実質的な支配権を維持するために、存続会社の株式を大量に取得して支配権を獲得するケースが該当します。

逆取得の会計処理

逆取得に該当する場合は会計処理が異なります。そのため、逆さ合併の会計・仕訳についても注意が必要です。

取得企業(消滅会社)は合併によって消滅し、合併前日を最終日として決算するので、通常のケースと変わりません。一方で、被取得企業(存続会社)の場合は、取得企業の資産・負債を簿価で受け入れるため、時価ではない点に注意しましょう。

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逆取得とは?事例やM&Aでの活用をわかりやすく解説

逆さ合併と登記

逆さ合併は吸収合併なので、吸収合併の登記について整理します。吸収合併では、消滅会社と存続会社の場合によって登記手続きが異なります。消滅会社は合併で消滅するので「解散の登記」をします。一方で、存続会社は消滅会社を合併したことを示す「変更の登記」を行います。

また、登記の申請人については特に注意が必要です。存続会社の場合は代表者が変更登記を申請します。申請人は通常の登記申請と同様です。一方で、消滅会社の場合、消滅会社の代表者ではなく、存続会社の代表者が消滅会社を代表して解散登記を申請します。

※関連記事

合併を行う際の登記とは?合併の登記書類、登記手続き、登録免許税を解説します

逆さ合併と自己株式

逆さ合併は吸収合併の仕組みに基づくため、吸収合併と自己株式の関係も整理しておきます。自己株式は、会社が保有する自社株式です。合併では、消滅会社の株主に合併対価を交付する必要があり、自己株式が関わってきます。

以下、2つのケースに分けて逆さ合併と自己株式の関係を説明します。

存続会社が消滅会社の株主である場合

吸収合併の際、存続会社が消滅会社の株式を所有していると、存続会社の株式を存続会社に交付するケースが考えられます。しかし、存続会社が自己株式を自社に割り当てることになり、財産も増加しません。この場合は、存続会社は存続会社に交付できない仕組みになっています。

消滅会社が自己株式を保有している場合

もともと対価の交付を受けるのは消滅会社の株主です。しかし、消滅会社は合併によって消滅するため、存続会社は消滅する会社に対価を交付することになります。そのため、この場合の自己株式については、合併対価として交付できないルールになっています。

逆さ合併の事例

逆さ合併について実際の事例を確認すると、さらにイメージが湧きやすくなります。まずは、わかしお銀行が実施した逆さ合併の例を挙げます。2003年3月7日に親会社の三井住友銀行と合併し、有価証券の含み損を排除することで経営改善を目指しました。

次に、日本板硝子が行った合併も逆さ合併の事例の一つです。世界的な知名度を誇る板ガラス大手のピルキントンと合併するために、2006年6月16日に日本板硝子は約6,000億円の資金を投じました。

それによって海外の拠点を増加させ、事業を拡大することが目的だったようです。合併後の売り上げは約2,700億円から8,000億円以上に増えたので、逆さ合併が成功した事例といってもよいでしょう。

また、大阪証券取引所の事例もあります。2011年1月1日に東京証券取引所との間で逆さ合併を実施しました。国際競争力を高めたり、システム費用を効率化したりすることが目的との見方があります。

そのほか、新光証券と旧みずほ証券の間で行われた合併や、フジスタッフとランスタッドの間で実施された合併なども逆さ合併です。これらの事例から、逆さ合併は、事業拡大・経営改善・費用削減など、それぞれの目的に応じて実施されていることがわかります。

逆さ合併の注意点

逆さ合併は、合併差損の回避や繰越欠損金の控除などを目的に行われますが、仕組みは吸収合併と同様なので、株主総会の特別決議などの手続きを経る必要があります。

また、登記手続きや自己株式の仕組みも吸収合併と同様であり、それに伴う手続きをあらかじめ整理しておかなければなりません。ただ、消滅会社と存続会社で手続きは大きく異なるので注意が必要です。会計処理の面では、逆取得に該当するかどうか確認しなければなりません。

まとめ

逆さ合併は吸収合併に含まれるので、まずは吸収合併の仕組みや新設合併との違いを知っておく必要があります。そのうえで、逆さ合併は、事業規模が小さな会社を存続会社とする合併であるという点をおさえておきましょう。

また、吸収合併の一つとして考えると、自己株式との関係や登記手続き、注意点などもわかりやすくなります。一方で、逆さ合併の場合、会計処理を誤らないよう、逆取得に該当するかどうかに注意が必要です。

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