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逆さ合併とは?種類や特徴、注意点について解説!

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この記事の監修専門家
M&A総合研究所 公認会計士
高谷 俊祐

吸収合併に含まれる逆さ合併は、事業規模が小さな会社を存続会社とする合併です。会計処理が異なるため、逆取得に該当するかどうかに注意して逆さ合併の理解を深めておくと、合併そのものの理解にもつながります。

目次
  1. 逆さ合併とは
  2. 合併とは何か?
  3. 逆さ合併の特徴
  4. 逆さ合併の仕訳
  5. 逆さ合併と登記
  6. 逆さ合併と自己株式
  7. 逆さ合併の注意点
  8. まとめ

逆さ合併とは

逆さ合併とは、事業規模が小さい会社を存続会社として行う合併のことをいいます。一般的には、事業規模が大きな会社が事業規模の小さい会社を合併するケースが多く見られますが、これをあえて逆にした合併という意味で、「逆さ合併」と呼ばれます。

この逆さ合併には、合併差損の回避、繰越欠損金の控除などのメリットがあり、実際に行われた事例もあります。以下、こうした逆さ合併について、合併の仕組みも踏まえて整理していきましょう。

合併とは何か?

逆さ合併の仕組みや特徴を知るには、そもそも合併とはどういうものかを知っておかなければなりません。以下、順を追ってご説明します。

合併の意味

合併とは、簡単に言うと「2つ以上の会社が1つになること」を表します。もちろん逆さ合併も同じで、2つ以上の会社が合併して1つになるわけです。

先ほど、逆さ合併の意味として「事業規模が小さい会社を存続会社として行う合併」とご説明しましたが、これは、事業規模が大きな会社と事業規模が小さな会社が存在し、このうち事業規模が小さな会社を1つ残して合併することを意味します。

例えば、事業規模が大きなA社と事業規模が小さなB社があるとしたら、B社がA社を合併することで、最終的にB社のみになるということです。この場合、A社とB社という2つの会社が、B社という1つの会社になる状態を表します。

また、逆さ合併ではない通常の合併であれば、事業規模の大きなA社が事業規模の小さなB社を合併し、最終的にA社のみが残ります。この場合、A社とB社の2つの会社が、A社という1つの会社になるわけです。

これが、合併の基本的な仕組みとなります。

合併の種類

合併には、「吸収合併」と「新設合併」があります。

吸収合併というのは、A社とB社がもともと存在し、B社がA社に吸収されてA社のみが残るといった形の合併のことをいいます。一方で、新設合併というのは、A社とB社が合併して新たにC社が設立されるといった形による合併のことです。

以下、吸収合併と新設合併の仕組みについて、それぞれ具体的にご紹介します。

吸収合併の仕組み

吸収合併とは、合併により消滅する会社の権利義務の全てを、合併後存続する会社に承継させることです。ごく単純に言えば、「一方の会社が他方の会社を吸収する」ということです。A社がB社を吸収する場合であれば、B社の権利義務の全てがA社に承継されることになります。そして、最終的にB社は消滅し、A社だけが残ります。

さて、吸収合併においては、合併によって消滅する会社を「吸収合併消滅会社」、合併後に存続する会社を「吸収合併存続会社」といいます。A社がB社を吸収する場合なら、A社が吸収合併存続会社、B社が吸収合併消滅会社となります。以下、吸収合併消滅会社を「消滅会社」、吸収合併存続会社を「存続会社」としてご説明します。

吸収合併の特徴は、消滅会社の権利義務の全てを、存続会社が承継するという点にあります。そのため、消滅会社の雇用関係も存続会社に承継されることになるわけです。消滅会社の全ての権利義務が存続会社に受け継がれるので、消滅会社の雇用契約も存続会社に承継されることになるのです。

簡単に言えば、消滅会社の従業員は存続会社のもとで勤務できるということです。合併によって会社が消滅するというのは、従業員のリストラを意味するのではありません。

新設合併の仕組み

新設合併とは、2つ以上の会社が合併し、新たに設立する会社に全ての権利義務を承継させることをいいます。例えばA社とB社を消滅会社とし、新たにC社を設立するといった形になります。この例でいうと、消滅するA社とB社の権利義務の全ては、新たに設立されたC社が承継します。もちろん消滅会社の雇用契約も、新たに設立される会社が承継することになります。

さて、新設合併の大きな特徴は、新しく設立した会社に権利義務を承継させるという点にあります。一方で、吸収合併の場合、既存の会社を存続会社として権利義務を承継させるので、新しく会社を設立するわけではありません。この点は吸収合併と新設合併の違いとしておさえておく必要があります。

逆さ合併の特徴

さて、ここまでご紹介した合併のポイントを踏まえ、逆さ合併の特徴について整理してみましょう。

まず、逆さ合併というのは、基本的に吸収合併によるものとなります。逆さ合併は、事業規模が小さい会社を存続会社として行われる合併です。これは、事業規模が大きな会社を消滅会社、事業規模が小さな会社を存続会社とした、吸収合併の形となります。

事業規模が小さいか大きいかは、すでに存在している会社だからこそ判断できる問題です。新設合併のように新しく会社を設立するという形式ではなく、既存の会社の中で事業規模の大小を判断し、そのうち事業規模が小さな会社を存続会社として行われる合併が、逆さ合併になるわけです。

逆さ合併の仕訳

逆さ合併と似た言葉に、「逆取得」というものがあります。逆さ合併の仕訳については、この逆取得との関係もしばしば問題になるので、ここで触れておきます。

逆取得とは

逆取得の仕組みを考えるには、合併の対価の仕組みと、「取得企業」という言葉の意味を知っておく必要があります。最初にこれら2点について整理し、その後、逆取得の仕組みをご説明します。

合併対価とは?

そもそも合併というのは、消滅会社の株主に対価を交付しなくてはなりません。吸収合併を例に挙げると、存続会社は消滅会社の権利義務を全て承継するかわりに、消滅会社の株主に対価を交付しなければならないのです。合併対価としては、存続会社の株式や新株予約権、社債などが挙げられます。

例えば合併対価が存続会社の株式であれば、消滅会社の株主は、合併後に存続会社の株主になれるわけです。このように、消滅してしまう会社の株主にはきちんと対価を交付する必要があります。

取得企業とは?

取得企業は企業結合会計における用語で、ある企業または企業を構成する事業を取得する企業のことをいいます。吸収合併を例に挙げると、対価として議決権のある株式を交付する側の企業が、通常は取得企業となります。要するに、通常のケースであれば、対価を交付する吸収合併存続会社が取得企業となるわけです。

逆取得の仕組み

合併対価と取得企業の意味を踏まえ、以下、逆取得の仕組みを整理してみましょう。

逆取得というのは、吸収合併存続会社が消滅会社の株主に対価として株式を交付した結果、消滅会社の株主が存続会社の支配権を獲得してしまった場合のことを指します。これは、消滅会社の株主が実質的な支配権を得るということで、消滅会社が取得企業になることを意味します。

通常のケースであれば、議決権のある株式を交付する側の企業(存続会社)が取得企業となりますが、吸収合併のように、場合によっては消滅会社が取得企業に該当するというケースもあるわけです。この場合、株式を交付した会社と取得企業が一致せず、逆取得の状態となります。

さて、この逆取得という言葉は、企業結合会計基準における用語です。一方で、この逆取得を一般的に逆さ合併と呼ぶケースも多いです。というのも、逆さ合併として事業規模の大きな会社が消滅しつつ、その消滅会社の株主が存続会社の実質的な支配権を維持するために、存続会社の株式の多くを取得して支配権を獲得するというケースも多いからです。

これは、逆さ合併として事業規模の小さな会社が存続会社となりつつ、結果的に消滅会社(事業規模が大きな会社)の株主が、存続会社(事業規模が小さな会社)の支配権を維持しているという状態です。つまり、逆さ合併の形で逆取得が行われたことを意味します。

このような背景もあり、逆取得を逆さ合併と呼ぶ場合もあります。

逆取得の会計処理

逆取得と判定された場合、会計処理が異なるので注意が必要です。そのため、逆さ合併の会計・仕訳の問題を考えるには、逆取得かどうかを判断することが重要になります。

取得企業(消滅会社)は合併によって消滅するので、合併の前日を最終日として決算するため、通常のケースと同じになります。一方で、被取得企業(存続会社)の場合、取得企業の資産・負債を簿価で受け入れる形になります。時価ではないので注意が必要です。

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逆さ合併と登記

逆さ合併は吸収合併となるので、ここでは吸収合併の登記について整理しておきます。吸収合併は消滅会社と存続会社があるので、登記手続きもそれぞれに分けて考える必要があります。

まず、消滅会社は合併によって消滅するので、「解散の登記」をします。一方で、存続会社はそのまま存続するので、消滅会社を合併したことなどを示す「変更の登記」を行います。合併は消滅する会社が必ず存在するため、解散の登記が行われることに特徴があります。

また、登記の申請人については特に注意が必要です。存続会社の場合であれば、存続会社の代表者が変更登記を申請します。存続会社はそのまま存続するので、申請人については通常の登記申請と同様です。

一方で、消滅会社の場合、存続会社の代表者が消滅会社を代表して解散登記を申請します。消滅会社の代表者が消滅会社の解散登記を申請するのではありません。この点は登記申請として特徴的なので、特に注意しておく必要があります。

逆さ合併と自己株式

逆さ合併は吸収合併の仕組みによるものですが、以下、吸収合併と自己株式の関係も整理しておきます。自己株式というのは、会社が保有する自社の株式のことをいいます。例えばA社がA社の株式を保有している場合、その株式が自己株式にあたります。

さて、先ほどご紹介したように、合併では消滅会社の株主に合併対価を交付する必要があります。ここで、自己株式が問題になることがあります。以下、2つのケースに分けてポイントを整理しておきます。

存続会社が消滅会社の株主である場合

以下、A社を消滅会社、B社を存続会社としてご説明します。

吸収合併によってB社はA社の株主に対価を交付するわけですが、この合併対価がB社の自己株式であったとします。B社が保有するB社の株式を、A社の株主に交付するということです。

さて、このケースにおいて、A社の株主にB社も含まれていたとします。すると、「B社の株式をA社の株主に交付する」というのは、表現だけ考えると、「B社の株式をB社に交付する」というようにも読み取れます。しかし、これはB社が自己株式を自社に割り当てることになり、意味がありません。そのため、この場合はA社の株主に対価を交付するといっても、B社がB社に交付することはできないという仕組みになっています。

そもそも自己株式に限らず、存続会社が存続会社に対価を交付すること自体ができません。それは、対価が自己株式であった場合に、自己株式を大量に取得することになるので、そもそも対価の交付自体を禁止していると考えることができます。

消滅会社が自己株式を保有している場合

同じく、A社を消滅会社、B社を存続会社としてご説明します。

B社がA社の株主に対価を交付することになりますが、ここで、消滅会社であるA社が自己株式を保有しているというケースを考えてみてください。もともと、対価の交付を受けるのは「A社の株主」です。ただ、A社が自己株式を保有している場合、「A社の株主」というとA社が含まれることになってしまいます。そうなると、「A社の株主に対価を交付する」という表現だけを考えた場合、「A社に対価を交付する」とも読み取れます。

しかし、A社は合併によって消滅するのです。そのため、合併によって「A社に対価を交付する」というのは、消滅する会社に対価を交付するというおかしな話になってしまいます。そこで、その自己株式については、合併対価は交付されないという仕組みになっています。

逆さ合併の注意点

逆さ合併は合併差損の回避や繰越欠損金の控除などを目的に行われますが、あくまで吸収合併の仕組みによるものです。そのため、吸収合併に必要な株主総会の特別決議などの手続きを経る必要があります。

また、上記でご紹介した登記手続きや自己株式をめぐる仕組みについても、通常の吸収合併と同様です。実際に吸収合併を行う場合にどのような手続きが必要になるのか、あらかじめ整理しておかなければなりません。

登記手続き一つとってみても、消滅会社と存続会社で手続きは大きく異なります。こうした点は、吸収合併の注意点として把握しておくことが重要です。また、先ほどもご紹介しましたが、会計処理の面では逆取得に該当するかどうかも注意しなくてはなりません。

まとめ

逆さ合併は吸収合併に含まれるので、まずは吸収合併の仕組みや新設合併との違いを知っておく必要があります。そのうえで、逆さ合併というのは、事業規模が小さな会社を存続会社とする合併であるという点をおさえておきましょう。また、吸収合併の一つとして考えると、自己株式との関係や登記手続き、注意点などもわかりやすくなります。

一方で、逆さ合併の場合、逆取得に該当するかどうかに注意する必要があります。会計処理が異なるため、この点は特に気をつけるべきポイントとなります。こうした特徴をおさえ、逆さ合併の理解を深めておくと、合併そのものの理解にもつながるはずです。

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