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2019年4月30日公開

JTのM&Aとは?買収事例やM&A成功の秘訣、JTのM&Aについての本もご紹介

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この記事の監修専門家
M&A総合研究所 公認会計士
高谷 俊祐

JTは、現在に至るまでに様々なクロスボーダーM&Aを行ってきました。​​​​​​​今のJTのグローバル展開は、M&Aによって成し遂げられたものでもあります。

目次
  1. JTのM&Aとは?
  2. JTのM&A成功の秘訣
  3. JTのM&A買収事例
  4. JTのM&Aから学ぶなら本もおすすめ
  5. まとめ

JTのM&Aとは?

JTは、クロスボーダーM&Aに積極的な姿勢でも知られています。
クロスボーダーM&Aというのは、売り手・買い手のどちらかが海外企業であるM&Aのことです。 さて、こうしたクロスボーダーM&Aを行う企業は多いですが、特にJTは様々なクロスボーダーM&Aを行ってきた歴史があります。 1999年のRJRナビスコ社の海外たばこ事業(アメリカ)の買収、2007年のギャラハー社(イギリス)の買収など、クロスボーダーM&Aとして有名な事例ばかりです。 積極的にクロスボーダーM&Aを行う姿勢は近年も変わらず、国内のたばこ市場縮小も踏まえ、海外での事業展開を進めています。 こうしたM&A戦略もあり、海外たばこ事業からの売上はJTグループ全体の利益の3分の2を占めています。

JTのM&A成功の秘訣

多角化で失敗した経緯がある

1985年の民営化後、国内のたばこ事業の成長が見込めないなどの理由もあり、JTは事業の多角化を進めていました。 多角化の例としては、不動産業、飲料事業、スポーツクラブの経営、バーガーキングの経営など、様々な業界での事業展開が見られました。 しかし、事業の多角化で成功事例が目立つとは言えず、撤退した事業も多く見られます。 長年に渡って何とか継続できた事業においても、赤字が目立つ傾向があります。 こうした状況を踏まえると、多角化はやはり失敗だった言えるでしょう 多角化戦略が失敗した以上、必然的にたばこ事業への期待は大きくなります。 しかし、国内のたばこ市場は縮小傾向が続いていたため、国内だけで利益を出すことは困難です。 そこで、海外市場への参入の足掛かりとして、クロスボーダーM&Aを積極的に行うことになりました。

クロスボーダーM&Aの成功

先ほども少し触れましたが、JTのクロスボーダーM&Aの事例としては、1999年のRJRナビスコ社の海外たばこ事業(アメリカ)の買収、2007年のギャラハー社(イギリス)の買収が代表的です。
いずれの買収事例も、当時の日本企業による外国企業買収としては史上最高額となっています。
特にギャラハー社の買収は1兆7310億円で、最も買収規模が大きい事例となりました。

RJRナビスコ社のたばこ事業の買収が残したもの

RJRナビスコ社のたばこ事業の買収によって売り上げは約10倍にまで増加しました。
また、「Winston」「CAMEL」の2大世界ブランドを獲得したほか、グローバルな流通・販売網や製造拠点の確保、さらには海外たばこ事業を担当するJTIの設立など、グローバル展開のうえで必要な基盤が構築されました。 さらに、世界第3位のポジションまで獲得しているのです。 RJRナビスコ社のたばこ事業の買収は、その後のJTのクロスボーダーM&Aが加速したきっかけとも言えます。 この買収によってJTは多くの成果を挙げ、その後、各国のたばこ事業の買収を進めています。 もちろん近年でもクロスボーダーM&Aは積極的に行われており、最近では東南アジア地域などでの事業拡大を目指した事例も多く見られます。

ギャラハー社の買収が残したもの

JTの2007年のギャラハー社(イギリス)の買収事例も有名です。 ギャラハー社の買収によって世界第3位のポジションがさらに強化され、シェアNo.2以上の市場の数は10まで拡大しました。 また、「BENSON&HEDGES」「SILK CUT」「LD」「SOBRANIE」「Glamour」などのブランドの獲得のほか、イギリス、アイルランド、オーストリア、スウェーデンなど、欧州での事業基盤も獲得しています。 同時に、技術や流通インフラも強化され、グローバル企業としての基盤が大きく強化されました。

シナジー効果の創出

M&Aによるシナジー効果としては、企業規模の拡大によるスケールメリットの享受、事業基盤の強化、事業の効率化、当事者企業の相互補完性などが挙げられます。 もちろんJTのクロスボーダーM&Aも例外ではなく、様々な分野でシナジー効果を創出しています。 上記で例に挙げたRJRナビスコ社のたばこ事業の買収やギャラハー社の買収事例でも、様々なシナジー効果が生まれています。 事業展開に必要な基盤の構築と強化、規模の拡大によるスケールメリットの享受、事業の効率化など、その後のグローバル展開に貢献するシナジー効果が創出されています。 また、たばこ販売においてJTは世界第3位ですが、その地位をJTはクロスボーダーM&Aによって得たことになります。 1位2位と戦うためのグローバルな基盤をM&Aのシナジー効果で構築したことは、JTのクロスボーダーM&A戦略として大きく評価されるべきものです。

独自のM&Aプロセス

JTのM&Aでは、投資銀行やコンサルタントの利用はあまり見られません。 他の機関・会社のサポートを受けるというより、自社で日頃からM&A候補の検討を行い、情報収集をしています。 どのようなエリアを対象とすべきか、具体的にどのようなシナジー効果が生まれるのか、自社内で様々な観点から分析をしているのです。 投資銀行やコンサルタントを活用する場合も、投資銀行でのみ得られる情報の入手など、必要最低限での活用が多いと言えます。 また、M&Aの一連の流れにおいてサポートを受ける場合でも、成立後の統合は全て自社で行います。 特に成立後の統合に力を入れている点は、JTの大きな特徴でもあります。 JTは早い段階で統合計画を作り、実際の統合が迅速に進むようにしています。 M&Aは、成立後の統合に時間がかかってしまう場合もあります。 統合が長引くと従業員のモチベーションが下がる原因にもなり、組織運営として大きな問題があります。 こうした事態を避けるため、JTでは迅速な統合に力を入れているのです。

JTのM&A買収事例

アキジグループの買収

2018年8月、バングラデシュ第2位のたばこ会社であるアキジグループの買収が発表されました。 発表では買収金額1645億円とされ、同年11月に買収手続きが完了しています。 アキジグループはバングラデシュたばこ市場で約20%のシェアを持ち、低価格帯の製品に強みがあります。 アキジグループの買収により、JTはアジアでのさらなる事業基盤強化を図っています。 バングラデシュのたばこ市場は世界8位の規模を誇ります。 また、市場成長率は2%で、他国よりも比較的高い割合となっています。 近年はバングラデシュ政府が農村部の開発・所得向上に力を入れていることもあり、JTも政府方針に合わせ、アキジグループの従業員の雇用維持とたばこ農家の所得向上を目指しています。

ドンスコイ・タバックの買収

2018年8月、ロシア第4位のたばこ会社であるドンスコイ・タバックの買収が発表されました。 同年8月に買収手続きが完了し、買収金額は1900億円規模とされています。 ロシアのたばこ市場では、JTはもともと3割強のシェアを有していました。 ドンスコイ・タバックの買収により、ロシア市場におけるJTのシェアは約40%に達する見込みで、ロシアにおける事業基盤の強化につなげています。 まら、ドンスコイ・タバックはロシア市場で約7%のシェアがあります。 低価格帯の製品に強みがあり、JTのブランドとの補完によって競争力をさらに強化することができます。 ロシアのたばこ市場の規模は世界第3位です。 ドンスコイ・タバックの買収は、その世界第3位の市場においてJTの地位を強化したことになります。 一方で、ロシアでは近年たばこ規制の強化が進んでいます。 今後の市場拡大はあまり見込まれないため、ドンスコイ・タバックの買収を否定的に見る見方もあります。 先ほどご紹介したアキジグループの買収事例のような、成長率の高い市場を狙ったケースとは異なります。 ただ、世界第3位の市場においてNo.1たばこ会社としての地位を強化したという点は、事業の盤石化としては大きな意味があります。

NTE社の株式取得

2016年7月、エチオピアたばこ大手であるナショナル・タバコ・エンタープライズ(以下、NTE社)の発行済株式の40%を、JTはエチオピア政府から取得しました。 また、2017年12月には、同じくエチオピア政府からNTE社の発行済株式の約30%を追加取得しています。 2016年の株式取得金額は約535億円、2017年の株式取得金額は約490億円とされています。 NTE社への最初の出資により、エチオピア市場でのJTのさらなる成長が見込まれたため、2017年に株式追加取得が行われる形となりました。 結果として、JTはNTE社の約70%の株式を保有し、NTE社を子会社化しています。 こうした一連の株式取得によって、JTはエチオピア市場での事業展開を加速させています。 また、市場拡大が著しいアフリカでの事業強化にもつなげています。 約9700万人の人口を抱えるエチオピアは経済成長率も高く、たばこ市場の拡大も見込まれています。 JTはNTE社を子会社化することにより、市場の拡大に対応した製造・流通体制の強化を図っています。

KDM社とSMNグループの買収

2017年8月、インドネシアのたばこメーカーであるカリヤディビア・マハディカ社(以下、KDM社)と、その流通会社となるスーリヤ・ムスティカ・ヌサンタラ社(以下、SMNグループ)の買収が発表されました。 買収総額は約1100億円とされ、同年10月に買収手続きが完了しています。 インドネシアのたばこ市場は、中国に次ぐ世界第2位の規模を誇ります。 紙巻きたばこの販売本数は約2850億本となり、今後のさらなる市場拡大も見込まれています。 また、KDM社はインドネシア特有のたばこである「クレテックたばこ」を主に生産し、2016年の売上高は約560億円、インドネシアの市場シェアは2.2%となっています。 一方、JTのシェアは1%に満たない割合でした。 JTはこうした状況の中、KDM社とSMNグループの買収によってインドネシア市場でのシェア向上を目指しています。 この事例は、先ほどご紹介したロシアのドンスコイ・タバックを買収した事例と比較するとわかりやすいです。 世界第3位のロシア市場では、JTはすでにNo.1たばこ会社として多くのシェアを持っていました。 そのため、ドンスコイ・タバックの買収は事業基盤の強化という側面が強かったのです。 一方で、世界第2位のインドネシア市場におけるJTのシェアはまだ低く、これからシェアを拡大していくという段階です。そのため、KDM社とSMNグループの買収は、将来的な事業展開・拡大をにらんだ事例と言えます。 JTが今度着実にシェアを拡大するのか、その動向に特に注目されている事例でもあります。

マイティー・コーポレーション社の資産取得

2017年8月、フィリピンのたばこ大手マイティー・コーポレーション社のたばこ事業に関する資産を取得することが発表されました。 同年9月に資産取得の手続きが完了し、取得対価は約1020億円となっています。 マイティー・コーポレーション社はフィリピンのたばこ市場で第2位のシェアを有しています。 シェアの割合は23%で、フィリピン全域での確かな流通販売網にも特徴があります。 マイティー・コーポレーション社の資産取得により、JTは事業基盤の強化やシェアの向上を目指しています。 この事例は、先ほどご紹介したバングラデシュのアキジグループの買収、インドネシアのKDM社とSMNグループの買収などと合わせ、東南アジア地域での事業拡大を目的とした事例でもあります。 各国の市場シェアの向上だけでなく、東南アジア全体における今後の事業展開にどうつながるのか、より広い視点で注目されている事例とも言えるでしょう。

JTのM&Aから学ぶなら本もおすすめ

JTのM&Aを一から学びたい場合は、以下の本もおすすめです。
『JTのM&A 日本企業が世界企業に飛躍する教科書』/新貝 康司 著 (日経BP社/2015年) こちらの本では、JTやJTIの副社長を務め、JTの様々なM&Aに関った著者が、JTのM&Aについて細かく紹介しています。 国内事業を中心としていたJTが、M&Aによってどのようにグローバル展開を進めるようになったのか、一つ一つの流れを詳しく知ることができます。 この本には、成功事例だけでなく失敗事例も書かれており、その原因や分析も細かく示されています。 そのため、具体的なM&A戦略や手法、そのメリットやデメリットなどを知るうえでも、大変勉強になる本です。

まとめ

JTは、現在に至るまでに様々なクロスボーダーM&Aを行ってきました。
今のJTのグローバル展開は、M&Aによって成し遂げられたものでもあります。
多角化の失敗や国内市場の縮小といった状況の中、海外への事業展開の足掛けとして、クロスボーダーM&Aの積極的な活用が行われたのです。 クロスボーダーM&Aによって創出されたシナジー効果も大きいものでした。 事業基盤の構築や強化など、着実に事業展開を進めるための根本的な部分がM&Aによって確立されています。 一つ一つのM&A事例が、その後のグローバル展開にも大きく貢献し、現在に至っています。 近年、様々な業界でM&Aが活発化する中、クロスボーダーM&Aの事例も増えています。 JTがこれまで歩んだM&Aの歴史や特徴、事例などを知ることは、今後のクロスボーダーM&Aを成功させるためにも大きな意義があります。

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