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2021年4月22日更新会社・事業を売る
中小企業の人手不足の原因とは?実施可能な対策も紹介
中小企業の多くが抱える人手不足問題は、年々深刻になってきています。中小企業が人手不足に陥っている原因を解説します。またこの問題を解決する方法として、従業員への対応改善、採用方法の変更および経営の改善が効果的とされています。
目次
中小企業の人手不足
昨今、中小企業経営を脅かすものとして「人手不足」が課題となっています。人手不足は会社を経営していく上で、致命的な問題です。少子高齢化を背景として人口減少が進む中、企業は労働力を確保するのが難しくなってきており、特に中小企業の人手不足は深刻な状況です。
日本経済の成長のためには、経済を支えている中小企業が労働生産性を高めることが不可欠となっています。今回は中小企業が人手不足に陥る現状や原因、雇用確保の対策などをご紹介します。
中小企業が人手不足に陥る3つの原因とは
平成28年度の総務省の統計によると、中小企業は国内の全企業数のうち99.7%を占めており、従業員数は、約3,200万人で68.8%、およそ7割が雇用されていることになります。
このように日本経済を支えている中小企業ですが、近年、人手不足による倒産を余儀なくされる企業もあり、危機的状況です。ここでは、その中小企業が人手不足に陥っている原因と現状をお伝えします。
①生産年齢の人口減少と、労働人口における年齢構成の変化
国内の年齢別構成比を見てみると、2008年を頂点に2011年以降は人口減少が続いています。内訳で見ると生産年齢である64歳以下の人口が減少傾向ですが、一方で75歳以上の人口の割合が増加しています。しかし就業率でみると、2013年以降は6年連続で増加傾向にあります。
性別や年齢ごとに確認してみると、女性の25〜44歳の年齢層、高齢者の中でも比較的若い層である60~69歳の積極的な労働参加が進んでいることが分かります。このように生産年齢人口の変化と労働人口の年齢構成が変化してきており、それが人手不足に影響しているのです。
中小企業は女性や高齢者が労働へ参加させることで、生産年齢人口減少の影響を少しでも緩和していくことが重要です。人手不足に陥っている中小企業では、会社を担う若い世代の不足のほか、女性や高齢者の雇用が進んでいないことが原因でもあります。
②労働市場が売り手市場である
近年の労働市場は求職者に対して、求人数が多い売り手市場の傾向にあります。つまり、求職者は自由に就職先を選択できる状況にあるのです。2008年のリーマンショックのときは、求人数が減少したため、就職先を選べない立場にありました。
しかし売り手市場においては、福利厚生の整った大手企業で高い給与をもらい、ワークライフバランスの取れた生活の方が良いと考える求職者は多くなります。求職者が中小企業よりも大手企業を優先して選ぶ現状があります。
次に大卒求人倍率で見ても、2019年卒の求人倍率は従業員300人以上の企業は0.9倍であり1倍を下回っていますが、従業員299人以下の中小企業では、求人数が9.9倍となり、2015年から連続で増加しています。
転職者についても、前職が中小企業であった転職者の場合、中小企業への転職がほぼ横ばいであるのに対して大企業への転職が増加傾向にあります。また前職が大手企業であった転職者においても、中小企業への転職よりも大企業への転職が増加傾向にあります。
データで見ても分かるように、中小企業が転職先として選ばれにくい現状があると考えられます。
③求人と求職者の条件が一致していない
求人と求職者の条件が一致条件が一致していないとは、企業側と求職者のニーズに隔たりがあることを指しています。人事関連において一般的に条件が合わない理由として、以下が挙げられます。
- 労働市場の変化における求人需要と求職者数の不一致
- 企業、求職者それぞれが求める雇用条件の不一致
- 企業風土と求職者自身の不一致
中小企業の人手不足は、主に「労働市場の変化における求人需要と求職者数の不一致」であると考えられます。中小企業の人手不足については、業種別にみると2013年第4四半期以降、全業種で人手が足りていないと答えた企業が多く、年々人手不足感が強まり続けています。
業種別では、特に建設業やサービス業で顕著に表れているのが分かります。次に職業別の求人倍率は2016〜2018年で比較すると、管理的職業以外のどの職業についても求人倍率は増加しており、人手不足となっています。
ただし程度には差があり、最も求人倍率の高い保安職の求人倍率が 2018年で7.8倍である一方、事務的職業については0.5倍など、職業間でもばらつきが見られるのが特徴です。
中小企業の多くが人手不足になっており、経営に影響するレベルの企業もあります。中小企業の人手不足が深刻化した先にあるのはもちろん倒産です。営業先や取引先などもあるにも関わらず、「人手が足りない」という理由で倒産する企業が年々増加しているのです。
人手不足の兆候を実感する前に何らかの対策をしなければ、手遅れになる恐れがあります。
参考: 総務省・経済産業省「平成28年経済センサス‐活動調査結果」
中小企業庁「中小企業白書 (2019度版)」
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人手不足はなぜ起こる?原因や対策をご紹介
中小企業が実施可能な人手不足の対策(その①:従業員への対応改善)
前述の通り、中小企業にとって人手不足は解決すべき問題です。 では、どのような対応策があるのでしょうか。ここからは、中小企業が実際に活用できる対策を紹介します。まず一つ目は、「従業員への対応改善」です。
従業員への対応改善は、人手不足対策の第一歩となります。なぜなら、従業員が離職する原因として最たるものが会社への不満だからです。中小企業の人手不足を解消するうえでも、従業員への対応改善は最優先の課題といえるでしょう。
従業員の離職原因は、規模が少ない中小企業ほど給与や労働条件の悪さが挙げられています。しかし、将来の不確実性の高い昨今は、簡単に賃上げができる企業も多くはありません。そのため働きやすさに視点を移し、企業価値を高める企業が増えています。
従業員への対応改善として考えられるのは、「ワークライフバランスの取り組み」「福利厚生の拡充」です。
ワークライフバランスの取り組み
ワークライフバランスとは、仕事と生活の調和や調整を意味します。「生活の充実によって仕事がうまく進む」「仕事がうまくいき、生活も潤う」など、仕事と生活の相乗効果をもたらします。
またワークライフバランスには、「ファミリーフレンドリー」「男女均等推進度」の2つの概念が含まれています。
・ファミリーフレンドリー
ファミリーフレンドリーは両立支援とも言い表し、働きながら育児や介護をするための環境を整えることです。
・男女均等推進
男女均等推進には、均等を維持するために男女の差別を禁止することを意味します。また今ある格差を解消していく側面もあります。厚生労働省では、女性が能力を発揮できるポジティブな取り組みをしている企業を「均等推進企業」とし価値を高めています。
ワークライフバランスは、女性の働きやすさのためだけのものではありません。昨今の「少子化」「高齢化」に伴う、男性の子育て参加や親の介護などにも関わってきます。
従来の、9時から17時までのような時間拘束型勤務ではなく、自由な働き方を導入することによって、本来評価すべき成果に着目することができます。自由な働き方を推進すれば優秀なのに働けていなかった層を採用することができるでしょう。
このようにワークライフバランスは、育児や介護の社会的な背景が大きく影響しており、優秀な人材を確保するためにも積極的に取り組む必要があります。
福利厚生の拡充
福利厚生の拡充も、中小企業の人手不足を改善する上で有効です。福利厚生は、新卒が入社する際に重要視する条件の上位に挙げられます。したがって、採用を有利に進めるために、福利厚生を充実させるのは有効的です。とはいえ、中小企業が大企業と同等の福利厚生を持つのは難しいものです。
また最近は、福利厚生をアウトソーシングして備える中小企業も増加しています。外部が福利厚生を担ってくれるため、制度をゼロから構築するよりも手間がかからないうえに、コストも抑制できます。有効的な福利厚生の導入は、中小企業にとって従業員の満足度も高くなり活用のメリットが多いといえます。
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中小企業で深刻化する人材不足!原因と対策をご紹介
中小企業が実施可能な人手不足の対策(その②:採用方法の変更)
既存の採用方法を変更することも人手不足解決に有効です。中小企業にとって、採用は人材不足を解決し得るものです。ここでは採用を利用した対策をご紹介します。
採用ターゲットの変更
これまで積極的に採用しなかった女性を多く採用する中小企業が最近増加しています。採用はそれだけでも社内環境に良い作用をもたらすので、積極的に実施すべきです。中小企業の採用の現場で、これまで多くなかった人材の積極採用を行う必要があります。
女性の活用
女性の人材には、家庭の事情を理由に、フルタイムでは働けないものの、優秀な能力を持った人材がまだ多くいます。
非正規社員(短時間勤務、パートタイム労働、契約社員など)を含めた多様な雇用形態を用意することで、これまで未開拓であった優秀な女性人材を、積極的に活用することができます。
女性は結婚や出産を機に離職することが多く、再就職には大きな決断が必要になります。小さな子供がいる場合、フルタイムで仕事を続けるのは難しいでしょう。
しかし子供がいる場合は短時間勤務を許可したり、出産後の復職をしやすくする体制を作ることで、女性が働きやすい職場環境を作りましょう。中小企業の中には、託児所を増設するなどの施策で対応しているケースもあります。
シニア層の活用
人手不足を解消するためにも、優秀な高齢者の人材の活用は必須です。定年延長、定年後再雇用などを活用するなどで雇用を維持するのも大切です。また、シニア層はの労働参加は増加の一途を辿っており、労働意力の高さもみられます。
外国人労働者の活用
経済のグローバル化が進んでおり、中小企業やベンチャー企業であっても、海外進出の機会が多くある時代です。在留資格(ビザ)の関係で、一定の期間、業種でしか就労できない外国人もいますが、外国人労働者を活用するのも良いでしょう。
昨今では海外向けのインターンの実施や、留学生の積極的な採用を実施している中小企業も増加しています。優秀な外国人労働者は人件費が抑えられるケースもあり、人手不足の解消だけでなく会社全体のコストの見直しにも繋がる可能性があります。
中小企業が実施可能な人手不足の対策(その③:経営の改善)
会社の経営自体を改善することも、人手不足解決に向けた対策の一つです。
業務の効率化を図る
中小企業の人手不足は、従業員一人一人の負担が増加することで、さらに離職が連鎖することで悪化していきます。それには従業員の負担を軽減するシステムを構築するのが効果的です。
具体的な方法としては、生産性向上を目的とした業務効率化や省略化も推奨することがおすすめです。外注への切り替えやITシステムの導入などで、従業員の作業量を削減出来ます。
人手不足の状態であれば、現状の経営システムでは成り立たないケースが大半です。人材の変化に合わせて、改善していくのが理想的でしょう。IT技術の導入は従業員の多能化や兼任を促す効果もあり、従業員のモチベーションのアップも期待できます。
人手不足による従業員の負担は、中長期的に蓄積されていくものであり、組織の活性化や働きやすさに悪影響を与えてしまいます。業務効率化や省略化は、経営改善することにより改善していくことが急務です。
事業承継に早くから備える
後継者不在の人手不足による倒産に陥らないため、経営者が元気な間に事業承継対策を検討しておくようにしましょう。事業承継は、会社の事業を後継者に引き継ぐことですが、その方法は大きく分けて3種類あります。
・親族内承継
現在の経営者の息子や娘など親族を後継者とした事業承継
・社内承継
社内の役員や幹部社員などを後継者とした事業承継
・M&A
第三者に会社を売却する事業承継
M&Aで事業譲渡を検討しているのであれば、M&A仲介会社などの専門家にサポートを依頼することをおすすめします。
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中小企業の事業承継とは?事業承継税制や課題、事業承継の方法を解説
まとめ
中小企業の人手不足は年々深刻になっています。放置しておくと、深刻な問題が生じかねないので、早めの対策を実施しましょう。 要点をまとめると下記になります。
・中小企業の人手不足
→少子高齢化を背景として人口減少が進む中、中小企業の人手不足は深刻
・中小企業が人手不足に陥る原因
→生産年齢の人口減少と労働人口における年齢構成の変化、労働市場が売り手市場である、求人と求職者の条件が一致していない
・中小企業が実施できる人手不足の対策→従業員への対応改善、採用方法の変更、経営の改善
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