2023年7月28日更新会社・事業を売る

事業売却とは?会社売却との違いやメリット、手続き、価格相場、税金を紹介

事業売却は赤字による資金繰りの悪化などネガティブな理由に限らず、会社の発展などポジティブな理由でも行われます。近年は、後継者不足などを理由とした個人の事業売却も増えている状況です。今回は、事業売却の方法や事例など事業売却に必要不可欠な知識を説明します。

目次
  1. 事業売却とは
  2. 事業売却と会社売却の違い
  3. 事業売却の税金
  4. 事業売却のメリット
  5. 事業売却のデメリット
  6. 事業売却の相場・取引価格
  7. 事業売却の手続きを行う流れ
  8. 事業売却を高値で成功させる条件
  9. 事業売却の注意点
  10. 事業売却に関する相談先
  11. 事業売却のまとめ

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事業売却とは

昨今は、事業売却を用いて会社を売却するケースが増加している状況です。今回は、事業売却の相場や方法など、事業売却を実施する際に必要不可欠な知識を紹介します。

事業売却の定義

事業売却とは、会社の一部である事業を他の会社に売却する行為をいいます。特徴は、売却対象の資産と負債が、契約にもとづいた取引行為として、個別の移転手続などを経て移転・承継される点です。同じ意味をさす言葉に、事業譲渡があります。

近年は業績の悪化や後継者不足問題の深刻化など、先行きがわからない市場環境へ不安を抱える中小企業が増え、廃業に追い込まれるケースも珍しくありません。経営資源に乏しい中小企業は、一度深刻な問題を抱えてしまうと、自力で解決するのが難しくなります。

ひと昔前までは、事業売却やM&Aと聞くと「身売り」や「買われた」などネガティブな印象も強かったですが、近年はM&Aが広く認知され企業規模を問わず活用されるようになりました。そこで、経営問題を解決するポジティブな方法として、事業売却をはじめとしたM&Aが注目を浴びるようになってきています。

事業売却の目的

事業売却は、会社の特定事業を切り離すときに用いられます。事業売却では、赤字事業、成長事業、ノンコア事業など、自社の経営戦略に応じて、自由に売却する事業を選択べるからです。

事業を売却して対価を獲得し、それを新しいビジネスに投資できるなど、経営戦略におけるメリットを得ることができます。

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事業売却と会社売却の違い

上述したとおり、事業売却は会社の一部である事業を他の会社へ売却する方法です。会社自体はなくなりません。

会社売却は、会社が持つ全株式を他の会社へ譲渡するため、あらゆる事業や資産を他社へ譲渡します。会社売却では会社の経営権を手放す、と考えればわかりやすいでしょう。

会社売却の概要

会社売却は、特定の事業ではなく、会社全体を売却する行為です。経営者が保有する対象企業の株式を、第三者へ売却します。会社売却では会社の経営権を手放す、と考えればわかりやすいでしょう。

買収側は、株式売却の代金を払って株式を所有することで経営権を得て、売却した会社は、新しい経営者のもとでM&A後も存続します。

事業売却と会社売却の相違点

事業売却と会社売却には、どのような相違点があるのでしょうか。ここでは、売却対象や対価の受領者など、主な相違点を解説します。

売却対象

事業売却では、事業を成す資産・負債を売却します。そのため、事業譲渡契約書に、対象の資産や負債を記します。会社売却は株式を売却するので、株式譲渡契約書には事業譲渡契約書のような対象の資産や負債を記しません。

対価の受領者

事業売却では、対価の受領者は事業を持つ会社です。会社売却では、株式を持つ株主が対価の受領者になり、個人株主のケースや法人株主(子会社株式・投資有価証券を売却する場合など)のケースがあります。

消費税の課税対象となるかどうか

事業売却では、消費税の課税対象となる対象資産があれば、消費税の支払いが生じます。会社売却では、株式の売却となるので消費税を支払う必要はありません。

事業売却の税金

事業売却では、主に法人税と消費税が課税されます。法人税は、事業売却した際の譲渡益に対して課税され、譲渡益とは、売却する資産額と負債額の差額を超えた部分をさし、以下の計算式で求めます。

  • 譲渡益=売却価格-(資産-負債)
  • 法人税額=譲渡益×法人税率

法人税率は、各企業によって異なりますが、平均的には約30%です。消費税については、事業売却で獲得した金額のうち、課税資産の部分に課税されます。課税資産に該当するのは、土地を除く有形固定資産や無形固定資産、営業権などです。

また、非課税となる資産もあり、土地や有価証券、売掛金などの債権が該当します。計算の都合上、課税資産の占める割合が大きいほど、税金の負担も大きくなるため、営業権(のれん代)の額が大きい場合は、事業売却の際に支払う税金の額が大きくなるため注意が必要です。

売却側の課税

事業売却は時価での取引が原則であるため、譲渡損益が生じます。売却側は譲渡益が生じると法人税を支払う必要があり、「譲渡益×実行税率」で求めた額が法人税額です。

なお、事業売却は合併や会社分割などの組織再編行為には該当しないため、税制適格要件はありません。

買収側の課税

事業の買収は、消費税の課税取引に該当します。譲渡対象の資産に課税対象資産があれば、消費税10%がかかるのです。課税対象資産には、土地は含まれず、有形固定資産や営業権などをさします。

買収側は、譲受した資産や負債を時価で受け入れ、支払対価との差額があれば税務上のれんとして処理します。のれんは、5年の定期償却が求められ、償却額は損金算入が可能です。

事業譲受を行った会社で利益(課税所得)があれば、事業譲受により法人税を節税できる可能性があります。

会社売却の税金

M&Aでは、事業売却ではなく会社売却を用いるケースも多いです。ここでは、会社売却にかかる税金をみていきましょう。会社売却のの場合、売り手側の株主が個人か法人かによって支払う税金の種類が異なります。

株主が個人の場合に課されるのは、所得税と住民税です。売却価格から各費用を差し引いた部分(譲渡所得)に対して、それぞれ課税されます。

ここでいう費用にあたるのは、会社設立時に株式取得する際に要した費用や、譲渡するときに生じた費用です。譲渡所得に対し、所得税(15.315%)と住民税(5%)がそれぞれ課税され、以下の計算式によって税額が求められます。

  • 譲渡所得=売却価格-各費用(株式の取得費用や譲渡費用)
  • 税金額=譲渡所得×20.315%(所得税15.315%+住民税5%)

株主が法人の場合に課されるのは、法人税に加え、法人住民税や事業税です。法人税率は規模や所得によって異なりますが、法人住民税や事業税を含めると大体30%~40%程度になります。

事業売却のメリット

事業売却には、買い手側、売り手側のそれぞれに異なるメリット・デメリットがあります。

現状における自社の問題点を解決できるメリットがあるか、想定されるデメリットを受け入れた場合でも安定して事業を継続できるか、を慎重に検討したうえで事業売却を行うことが重要です。まず、買い手側、売り手側それぞれのメリットを説明します。

売り手側のメリット

事業売却による売り手側の主なメリットは以下のとおりです。

  • 譲渡益を注力事業に投入できる
  • 優先度や収益性の低い事業から撤退できる
  • 資産や従業員はそのまま残せる
  • 債権者への個別通知や催告が不要となる

譲渡益を注力事業に投入できる

事業売却の売り手側は、売却益を得られます。事業売却は、売買契約で成り立ちます。契約成立により売却益を獲得できるのです。

譲渡益を注力事業に投入すれば、経営改善にもつながります。

優先度や収益性の低い事業から撤退できる

事業売却では、不要な事業を譲渡できます。つまり、優先度や収益性の低い事業から撤退できるのです。会社として好調な事業を残し、問題がある不要な事業を譲渡して、経営の安定を促すことも可能です。

資産や従業員はそのまま残せる

事業売却では、資産や従業員をそのまま残せるのもメリットといえます。会社売却や株式譲渡とは違い、会社自体がなくならないため、以前と変わらない従業員体制で仕事に取り組めるでしょう。

債権者への個別通知や催告が不要となる

事業売却は、債権者への個別通知や催告をする必要がありません。余計な手続きや公告なしで事業売却を進められるので、これもメリットといえます。

買い手側のメリット

事業売却による買い手側の主なメリットは以下のとおりです。

  • 不要な資産や負債は承継しなくて良い
  • のれん償却が損金扱いになることで節税効果がある
  • 必要な人材も合わせて獲得できる
  • 債権者に通知・公告する必要がない

不要な資産や負債は承継しなくて良い

事業売却の際、買い手側は希望する資産や事業を選ぶことが可能です。不要な資産や負債は承継する必要がありません。売り手と買い手のニーズが合って事業売却が成立すれば、買い手のメリットへつながります。

のれん償却が損金扱いになり節税効果がある

事業を買収した後の5年間は、のれん償却を損金扱いにできます。節税効果がある点も買い手にとってはメリットです。

必要な人材も合わせて獲得できる

事業売却における買い手側のメリットに、必要な人材も合わせて獲得できる点が挙げられます。事業売却を実施すると多くの人材が移動しますが、薬剤師や医師、技術者など専門的で大量採用が難しい人材を確保しやすいメリットもあるのです。

債権者に通知・公告する必要がない

事業売却では、買い手側も債権者に通知や公告をする必要がありません。これは売り手側のメリットでもありますが、買い手側のメリットでもあるのです。

余計な手続きや通知なしで手続きを進められるので、円滑に事業売却が進みます。

事業売却のデメリット

メリットがある一方、事業売却にはデメリットもあります。現状における自社の問題点を解決できるメリットがあるか、想定されるデメリットを受け入れた場合でも安定して事業継続できるか、を慎重に検討したうえで、事業売却を行うことが重要です。

買い手側、売り手側それぞれのデメリットを説明します。

売り手側のデメリット

事業売却による売り手側の主なデメリットは以下のとおりです。

  • 株主総会の特別決議など手間が必要
  • 売却益に税金がかかる
  • 負債の取り扱いに慎重な検討が必要
  • 売却後の事業展開が制限される

株主が複数いる場合は、株主への個別説明や同意取得までに時間がかかるおそれがあるため、時間に余裕を持って対応しましょう。売却益には税金がかかり、売却益の全額を会社の利益として計上できないため、注意が必要です。

株主総会の特別決議などの手間が必要

事業売却の売り手側に、株主総会における特別決議などの手間が必要となるデメリットがあります。これは、売却資産が売却会社における総資産の5分の1を超える場合です。

事業譲渡は、株主からの賛同が必要なため、手続きや根回しに時間がかかるのです。

売却益に税金がかかる

事業売却で売り手側は売却益を得られます。しかし、売却益には税金がかかります。自社の売却にどれくらいの税金がかかるのかチェックしましょう。

負債の取り扱いに慎重な検討が必要

事業譲渡の際、負債が発生するケースでは、その取り扱いをどのようにするか慎重に検討しなければなりません。利益が出る事業なら問題ありません。しかし、負債を抱える事業は、負債の取り扱いに慎重な検討が必要です。

売却後の事業展開が制限される

事業売却後は、会社法により売り手側は20年間同一市町村の区域内および隣接する市町村の区域内で、売却した事業と同事業は行えないと制限されています。

この競業避止義務は、当事者間が同意したうえで特約を付ければ、期間を拡大あるいは縮小できます。競業避止義務を省くことも可能でしょう。

買い手側のデメリット

事業売却による買い手側の主なデメリットは以下のとおりです。

  • 必要な許認可を取り直す必要がある
  • 優秀な人材が流出する
  • 移転手続きに手間がかかる

事業売却は会社売却と異なり、売り手側が取引先とすでに締結している契約書があれば、契約上の権利義務は買い手側に移転しません。買い手側への契約上における権利義務の移転は、取引先へ個別に同意をもらう必要があるのです。

必要な許認可を取り直す必要がある

事業売却における買い手側のデメリットに、必要な許認可を取り直さなければならない点が挙げられます。

許認可の種類にもよりますが、M&Aや株式譲渡では、基本的に許認可は承継されます。しかし、事業譲渡では新たに行政上の手続きを進めなければならないため、すでに許認可権を取得した同業者間で実施することが多いです。

優秀な人材が流出するおそれがある

事業売却に伴い、売り手側の従業員が買い手側に移動したり、買い手側の経営方針や風土に合わない理由で退職したりするケースもあります。優秀な人材が流出するおそれがある点も、買い手側のデメリットです。

移転手続きに手間がかかる

M&A、株式譲渡、会社売却と同じく、事業売却でも各種移転手続きが必要で手間がかかります。時間的制約・物理的制約がかかり、多くの労働力が割かれる点も、買い手側のデメリットです。

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事業売却の相場・取引価格

事業売却を検討する際、「どれくらいの金額で売却できるのか」は特に気になる事項です。一般的に事業売却する際の価格は交渉によって決定します。

とはいえ、基準となる相場がなければ、事業売却の交渉が平行線となってしまいます。なぜなら、売り手側が極力高く売りたいと考えるのに対して、買い手側は極力安く買いたいと考えるからです。

一般的に事業売却の相場は、売却資産額に、売却事業が上げる利益の3~5年分を足した値段になります。純資産額に数年分の利益をプラスする理由は、将来的に獲得できる利益分を考慮するからです。

つまり、事業売却は、今後数年にわたり事業運営して獲得できると予想される利益を今まとめて獲得できる方法です。簡単な事業売却の相場は、上記の方法で計算できます。ただし、実際の事業売却では、さらにさまざまな要素を考慮したうえで価格を決定するのです。

事業売却と会社売却の相場比較


事業売却と会社売却の相場を比較すると、当然のことですが、会社全体を売却する会社売却の方が高額になります。事業売却は、会社の事業の一部を売却するからです。
高額になるからといって、安易に会社売却をするのではなく、会社にとってどちらが最善の選択なのかを検討したうえで、決めるとよいでしょう。事業売却と会社売却のメリットとデメリットを確認してみると、検討しやすいです。

技術・ノウハウ・ブランド力などの無形資産

技術・ノウハウ・ブランド力などの無形資産を持っている企業ほど、高い値段で事業売却できる可能性が高まります。無形資産の希少性が高いほど、事業売却の相場が上昇するのです。

こうした貴重な無形資産を強みにしている場合は、特に新事業の展開を検討している企業へ事業売却しましょう。

優秀な人材

優秀な人材の存在も、事業売却の相場に影響を与える要素です。医師や薬剤師など高い専門性があり、資格がある人材は高い評価を受けます。建築関係などの職人も高い評価を受ける傾向です。

しかし、事業売却の際に優秀な人材が流出する可能性もあります。勤め先が変わることを良く思わず、会社を辞めるケースもあるからです。

専門性や技術力が高い優秀な人材を採用するのは簡単ではないため、こういった人材の流出が事業売却の相場に悪影響をおよぼすおそれがあります。事業売却の際は、人材の流出にも細心の注意を払いましょう。

事業売却の価格算定方法

では、事業売却の際、その価格はどのように算定されるのでしょうか。算定方法にはいくつかの種類がありますが、ここではよく用いられる手法について解説します。

DCF法

DCF法(Discounted Cash Flow法)は、将来に見込まれるキャッシュフローに着目して事業(あるいは企業)の価値を算出する方法で、フリーキャッシュフローを現在価値に割り引いて求めます。

対象事業における将来の計画によっても事業価値が変わるため、合理的な計画をいかに作れるかが実務において重要です。

類似会社比較法

類似会社比較法は、似ている上場企業の株価をベースとして事業価値を算出する方法です。上場企業の財務数字における企業価値の倍率(マルチプル)は、売上高、営業利益、最終利益、純資産、EBITDAなどがよく用いられます。

たとえば、ある上場会社の企業価値が売上高の10倍で株式市場で評価されている場合は、類似した事業の売上×10倍が事業売却の価値となります。

時価純資産法

所持する資産の時価から負債の時価を控除して事業価値を出します。事業売却の対象資産に、大きな額の土地が含まれるケースで有用です。

赤字企業でDCF法や類似会社比較法が用いられない場合は、消去法で時価純資産法が使われるケースもあります。

年買法

年買法では、時価純資産+営業利益×年数分で事業価値を出します。上述した方法と比較すると、この算出方法はあまり理論的とはいえません。

一方で、M&Aにおける実務の簡易的な価値算定に、用いられることがあります。時間をかけることなくおおよその金額を出したい場合に有用です。

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事業売却の手続きを行う流れ

事業売却の手続きは、さまざまなプロセスを必要とします。この章では、事業売却の手続きを行う流れについて見ていきましょう。

①M&A仲介会社に相談・依頼

事業を売却するには、売却先の選定や交渉などいろいろな手続きが要ります。自社だけで行うのは難しいため、M&A仲介会社などM&Aの専門知識を持つM&Aアドバイザーに相談しましょう。

M&A仲介会社は多数存在します。仲介会社の持つ実績や業務内容の多さから選ぶことをおすすめします。無料セミナーがあれば参加して相性を確認するとよいでしょう。

②売却先企業の選定・マッチング

次に、売却先企業の選定・マッチングを行います。売却先となる企業を探すのです。売却先がなければ事業売却はできません。どこにどの事業を売却するのか検討しましょう。

③買収側による基本条件の提示

事業の買い手が見つかれば、意向表明書の提出により事業売却をする買い手側から基本条件の提示を受けます。事業売却では、買い手と売り手の希望を擦り合わせることも重要です。

買収側の基本条件をチェックして、事業売却を進めるか検討してください。

④基本合意契約の締結

次に、基本合意書の締結により事業売却への基本合意を行います。条件に納得できなければ、基本合意は進めないでください。後でトラブルに発展することもあるからです。

売り手と買い手のニーズに合う条件となれば、基本合意の手続きを進めます。

⑤デューデリジェンスの実施

次は、デューデリジェンスの実施です。デューデリジェンスでは、事業をビジネス・法務・税務・財務など多方面から調査します。非常に重要な手順なので、弁護士や公認会計士など、専門家に依頼しましょう。

買い手企業は、この結果により契約書の内容や譲受価格の修正を行います。そして、最終的に買い取るかどうかを決めます。

⑥取締役会の決議

デューデリジェンスを終えたら、次は取締役会の決議です。会社役員の決議を取り、本格的な契約を進める段階です。この時点で書類や契約事項に不備がないようしっかり確認しましょう。

⑦事業譲渡契約書の締結

次は、事業譲渡契約書の締結です。これにより、事業譲渡の契約は完了です。

ここまでの流れに留意し、各手続きを確実に進めましょう。書類は人数分用意して、一人ひとりが適切に内容を確認できるようにしてください。

⑧報告書の提出・届け出

事業譲渡契約書の締結後は、報告書の提出と届け出を行います。社内で事業売却の情報を保管するためにも大切な書類です。

この段階で臨時報告書の提出と公正取引委員会への届け出も行います。

⑨株主への通知・公告、株式総会での承認

事業売却は、株主総会での決議が必要です。会社や事業の方針を株主に説明し、事業売却についても株主への通知と公告が必要となります。事業売却契約における効力発生日の20日前までに株主に対する通告・公告を実行します。

基本的には、議決権における過半数の株主が出席し、3分の2以上の賛成が必要です。事業売却に反対した株主から株式の買い取り請求が行われると、その株式を買い取ります。
 

⑩許認可の取得・名義変更手続き

最後に、許認可の取得と名義変更手続きなどを行います。会社の財産や権利、債務や契約といった事項を移転する手続きも必要です。雇用契約の手続き、事業のノウハウ、のれんなどの譲渡手続きも済ませれば、事業売却が完了します。

事業売却の手続きは、会社売却より必要なプロセスが多いです。そのため、時間に余裕を持って漏れのないように対応しましょう。

M&Aには専門知識が必要なので、専門家やM&A仲介会社を利用することをおすすめします。M&A総合研究所では、専門的な知識や経験が豊富なM&Aアドバイザーが、丁寧に案件をフルサポートいたします。

料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です。(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります。)無料相談を行っておりますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。

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会社売却の手続きを行う流れ

会社売却の方法を時系列順に説明すると以下のとおりです。②、③、④は自社の株式に譲渡制限がある場合に必要です。

  1. 自社の株式に譲渡制限がある場合、株主総会または取締役会の決議取得
  2. 株主総会または取締役会で決議した事項を株主側に通知
  3. 株式譲渡契約の締結
  4. 株主名簿の書き換えや証明書交付などの手続き実施

ほとんどの中小企業では株式に譲渡制限があります。④の株主名簿の書き換えや証明書交付などの手続きを経て、会社売却のプロセスが完了します。事業売却と比べて、手続きが簡単です。

事業売却を高値で成功させる条件

「事業売却を高値で成功させたい」と考える経営者は少なくありません。高値で事業売却を成立させるには、売り手側が特定の分野で圧倒的なシェアを持つことが条件といえます。

専門的な技術やノウハウを持つ人材も、事業売却を高値で成功させる条件です。買い手側が、人材に価値があると見なすため高値が付くのです。買い手側が、購入する事業を正確に操作できる人物の引き継ぎを条件にすることもあります。

事業売却の注意点

事業売却の実施を検討する際は、いくつかの注意点を踏まえる必要があります。

①確実に事業売却が成功する保証はない

実際に、事業売却の失敗事例は成功事例より多いです。事業売却が成功しても、希望の値段よりも低い金額でしか事業売却できないこともあります。

買い手側は、極力買収価格を低く抑えたいと考えるため、自分の希望を無理に押しとおそうとすると、事業売却の交渉が失敗するおそれもあります。そうすると、事業売却の成功が遠のきかねません。

事業売却を実施する際は、「欲張りすぎない」ことも意識しましょう。

②幅広く売却先を探す

M&A仲介会社に頼るだけでなく、取引先や知り合いの会社などからも事業売却先を探しましょう。意外と身近なところで、事業売却先が見つかった事例も少なくありません。

より確実に事業売却先を見つけるために、可能であれば自力でも相手探しを行ってください。

③従業員とのコミュニケーション

どのような理由であれ、事業売却に関する話は従業員としっかり共有しましょう。新たな環境で働く従業員の士気に大きく影響するからです。情報の共有がきちんと実施されなかったために、混乱が起こったケースも少なからず存在します。

従業員との事前の共有が不十分なことにより、事業売却先に多大な迷惑をかけてしまう可能性もあるのです。

上記の注意点に加え、自社の事業売却によって実現したい目標と近い成功事例や失敗事例を参考にすれば、より効果的な事業売却の検討ができます。

【関連】事業譲渡・事業売却の戦略策定方法まとめ!成功・失敗ポイントは?【事例あり】| M&A・事業承継の理解を深める

事業売却に関する相談先

事業売却をする際は、さまざまな専門知識が必要なため、自力で進めるのは難しいものです。相談に乗ってくれるところは多々ありますが、相談からクロージングまでサポートをしてくれるM&A仲介会社に相談することをおすすめします。

事業売却をするなら、経験豊富なアドバイザーが在籍するM&A総合研究所にご相談ください。担当のアドバイザーがつき、M&Aをフルサポートいたします。

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事業売却のまとめ

今回は、事業売却を実施する際に必要不可欠な知識を紹介しました。今回の要点をまとめると以下のとおりです。

・事業売却とは
→会社の一部である事業を他の会社に売却する方法

・買い手側の事業売却によるメリット・デメリット
→メリット:不要な資産・負債の承継不要、節税など
 デメリット:必要な許認可の取り直し、人材の流出など

・売り手側の事業売却によるメリット・デメリット
→メリット:主力事業に集中、売却益の取得など
 デメリット:株主総会特別決議などの手間、売却益に課税など

・会社売却との手続きの違い
→会社売却のほうが手続きは簡単

・事業売却でかかる税金
→法人税と消費税が課税

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