M&Aとは?意味や動向とM&Aを行う目的・メリットなどをわかりやすく解説!
2021年4月25日更新会社・事業を売る
M&Aの成功を左右する企業価値
企業価値の評価によって、M&Aの成功が左右するといっても過言ではありません。上場企業と非上場企業では、企業価値の算出方法は異なります。この記事では、企業規模別の企業価値の算出手法について解説します。売り手と買い手が満足のいく企業価値にするのが望ましいです。
企業価値とは
企業価値とは、対象となる会社の価値をさします。エンタープライズバリューとも呼ばれます。M&Aでは、企業価値に応じて支払う対価が変動します。つまり、M&Aにおける企業価値とは、M&Aの売り手企業に付ける価値です。
企業価値は、M&Aを成功するための非常に重要な要素です。M&Aを実施する際、売却側はできるだけ高い値段で売りたいと考えます。金銭の獲得を目的として、売り手側はM&Aを実行するからです。
そもそもM&Aを検討する理由
M&Aの検討理由は後継者不足などです。業績悪化などのマイナス要素があれば、立て直しに特にお金が必要です。また、業績が良くてもM&Aを実施するケースもあります。ある事業の業績が非常に良い場合、その事業を売却すれば多くの現金を獲得できます。
新しい事業に参入する際は資金が必要です。そのため、需要のある事業を売却して、新規事業を立ち上げる企業もあります。いずれにしても、売り手側は資金獲得を目的にM&Aを活用します。
一方、買収側がM&Aを検討する理由は、ほとんどが自社の成長のためです。新規事業に参入する際は時間とお金、経験が必要です。その際M&Aを利用すれば、それらを大幅に短縮できます。
しかし、欲しいものを買うときに費用がかかれば、意味がありません。そこで買い手は極力安い値段でM&Aを行いたいと考えます。
企業価値はM&Aの取引価格を決定する重要な指標
売却側と買収側では意見が正反対です。ではこのとき、どのようにM&Aの買収価格を決定するのでしょうか?原則的には、M&Aを行う双方に公平な価格を決定する必要があります。M&Aの取引価格を決定するうえで、重要な指標が企業価値です。
売り手の企業価値を公正に算定し、M&Aを実行します。つまり企業価値とは、M&Aの公平性を保つうえで非常に重要な要素です。企業価値の評価方法は、数種類あります。M&Aの企業価値は、業種や買い手が望む条件などで変わります。
企業価値の評価方法が1種類であれば、M&Aの際に不利な会社があります。企業価値の評価方法が複数ある点も、M&Aの公平性を保っています。
企業の規模別に見る企業価値
どの企業価値の評価方法を用いるかによって、M&Aの成功は左右します。その方法は業界や業種によっても異なり、上場しているか否かでも異なります。
上場企業の企業価値評価
基本的に企業価値の算定では、会社が持つ純資産を評価します。その評価方法には時価と簿価があり、時価は、対象の資産をそのときの価値で算出します。簿価は、対象の資産を仕入れた当時の金額で算出する方法です。そのため、用いる純資産の基準によって、M&Aの企業価値が異なります。
上場企業は1株あたりの株価と、株式の数などから株式の時価を知ります。この指数があるため、M&Aの際に企業価値を評価するのは難しくありません。しかし上場企業は一般的に、膨大な数の株式を発行します。そのため、投資家は各主観に基づき投資を実行します。
よって株式の評価が、M&Aの企業価値に直結するわけではありません。そのため、上場企業の企業価値は、M&A事例ごとに異なります。複数の評価法を用いても、絶対的な評価を算出するのは困難です。
非上場企業の企業価値評価
上場企業がM&Aを実施する際、企業価値の算定はさほど困難ではありません。しかし非上場企業がM&Aを行う場合、参考とする指標が少ないため企業価値の算定は非常に難しくなります。株式の発行数は、上場企業に比べると少なく、他社にどれだけの金額で株式を譲渡しているのか不明です。
そのため、M&Aの企業価値を算定する際は、上場企業と同様には算出できません。したがって、上場していない企業は、適切な方法で企業価値を算出する必要があります。
M&Aで用いる企業価値の評価手法
企業価値の評価方法は、M&Aを行う企業のどこに着目するかで異なります。M&Aを行う際の主な企業価値の評価手法は、下記になります。
- 対象とする会社の資産に着目する「純資産価額法」
- 会社の収益や利益、将来的なキャッシュフローに着目する「DCF法」
- 同業他社の評価と比較する「類似会社比準法」
複数の手法があるのは「売り手が自社のどこを評価して欲しいのか」「買い手が何を求めているのか」について公平に取り入れるためです。企業価値の評価方法は、上記の3種類からさらに細分化されます。また、M&Aの際には複数の手法を併用するケースもあります。
つまり売り手がDCF法を要求する一方で、買い手が純資産価額法を要求した場合、両方を活用して企業価値を算出できます。M&Aの際、1種類のみ用いるのが単独法です。一方で複数使用するのが併用法や折衷法です。
M&Aでどのように企業価値を評価するかは、当事者次第です。しかし、M&A仲介会社に企業価値の算定を依頼するのも一つの手です。
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企業価値の算定方法
企業価値の各種評価方法
ここでは企業価値の評価方法である純資産価額法、DCF法、類似会社比準法についてご紹介していきます。
純資産価額法
純資産価額法は、最も単純かつ客観的にM&Aの企業価値を算出します。基本的に純資産価額法では時価を選択し、ある一定時点での売り手企業を評価します。しかし企業によっては、税法の基準に従い会計処理を行う可能性もあるでしょう。
その場合は企業価値を評価したいときに、時価が判明しないこともあります。そのケースでは、対象の資産を時価に換算し直します。単純に資産を時価に直すのではなく、下記の注意が必要です。
- 不渡り手形やジャンプ手形
- 不動産などの含み損益
- 偶発債務の訴訟リスク
- 税金や売掛金の計上漏れ
上記の点を確認し、時価に換算すれば企業価値を算出できます。しかし、純資産価額法では営業権、つまりは将来的な期待値を企業価値の評価に含めません。そのため、将来性を含めてM&Aを行いたい企業には適さない手法です。
DCF法
DCF法は、企業の将来性を重視した評価方法です。売り手にとって、将来の期待値に対価の支払いがある手法です。また買収側には、将来的な計画に基づきM&Aが実施できるメリットがあります。メリットが大きいため、比較的多くのM&Aで使用される企業価値の評価方法です。
DCF法では、まずは1年にどの程度キャッシュフローを生み出すのか算出します。そこで算出した金額に2年から5年分をかけた値が、M&Aの企業価値です。ここで乗算する年数は、業績や市場の需要によって異なります。特にソフトウェアなどの先端技術は成長性があると考えられるため、M&Aの際に企業価値が高くなります。
類似会社比準法
この手法は、現在の価値を算出する純資産価額法や、未来の価値を算出するDCF法とは全く異なります。類似会社比準法では、同一業界や取引内容が似ている企業の評価を基に、M&Aの企業価値を算出します。つまり、相場に従って譲渡金額を算出します。ここで重要なのは、比較する相手です。
業績が良い会社と比べれば、企業価値は下がります。逆に業績が悪い会社と比較すれば、企業価値は上がります。また、株価公開の企業でなければ比較の対象にはできないため、上場企業が比較対象です。しかし中小企業からすれば、企業価値が低くなる可能性があります。
類似会社比準法の最大の難点は、比較対象の選定です。運良く似た比較対象を探し出せても、売り手が納得できない評価になることがあります。したがって、M&Aにおける使用率は高くありません。
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DCF法による企業価値の算定
M&Aで企業価値を評価するタイミング
M&Aにはいろいろなプロセスがありますが、どの場面で評価が必要になるのかご説明します。まずは、M&A仲介会社の選定とNDA、FA契約の締結のタイミングで、売り手による売却希望価格の設定から始まります。そして売却希望価格を基に、企業概要書の提示で買い手が買収希望価格を決定し交渉を行います。
次に、意向表明書の提出における買収希望価格の記載です。それから事前情報や資料を精査し、基本合意書を締結するときに譲渡価格を設定します。その後デューデリジェンスを行い、その結果で譲渡価格を調整し、最終的な譲渡価格を決めます。そして最終譲渡契約締結です。
最終譲渡価格の決定までのさまざまな過程で評価は必要です。各タイミングで困難な価格調整が要るため、信頼のおけるM&Aアドバイザーなどと相談しながら交渉しましょう。
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まとめ
売り手買い手ともに、M&Aの際には慎重に企業価値を評価する必要があります。買い手にとってM&Aは、買収行為に過ぎないかもしれません。しかし売り手は、自社に対する思いがあります。そのような価値を付けにくい部分を尊重したうえで、M&Aを実施しましょう。双方が満足のいく企業価値にするのが望ましいです。
要点をまとめると下記になります。
・企業価値とは?
→M&A取引の公平性を保つうえで非常に重要
・企業の規模別に見る企業価値は?
→上場企業と非上場企業は、異なる方法で算出
・M&Aで用いる企業価値の評価手法は?
→純資産価額法、DCF法、類似会社比準法など
・純資産価額法とは?
→ある一定時点での売り手企業の価値を表す手法
・DCF法とは?
→会社の将来性を加味した手法
・類似会社比準法とは?
→同一業界や取引内容が似ている会社の評価を基に、M&Aの企業価値を算定する手法
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