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2021年4月28日更新資金調達
中小企業向けの融資制度
中小企業に役立つ融資制度が増えています。背景には資金繰りが悪化し、廃業を余儀なくされる中小企業を救済、応援する目的があります。本記事では銀行融資、セーフティーネット貸付制度、マル経融資、新創業融資制度について解説していきます。
中小企業向けの融資制度
日本には、人口減少の波が押し寄せています。それに加えて、グローバル化や技術力の向上により、製品の差別化が困難になっています。中小企業が継続して経営を続け、生き残りるためには難しい環境といえます。
資金繰りが悪化し、廃業を余儀なくされる中小企業は後を絶ちません。中小企業にとって、資金繰りは会社の存続に関わる重要な要素です。資金繰りを良くするため、融資を利用する中小企業は多いです。
ほとんどの中小企業は、銀行の融資を利用していますが、銀行以外にも、中小企業が利用できる融資制度は多く存在します。そこで今回は、中小企業が利用可能な融資制度をいくつかご紹介します。
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銀行の融資
まずは、中小企業にお馴染みの銀行融資から確認しましょう。
銀行融資の金利
銀行融資の金利は、消費者金融から借りるより低金利です。中小企業は安心して融資を利用できます。基本的に金利は、日本銀行が設定した金利を基に決定されます。バブル期と比べると、金利は非常に低くなりました。一昔前と比べると、昨今は中小企業にとっても融資を利用しやすい環境といえます。
銀行融資を成功させる方法
銀行からの融資は当然、断られる場合もあります。特に中小企業が融資を断られる例は少なくありません。一方で、通常よりも低金利で融資を受けられる中小企業も存在します。融資を受けられる可能性を高め、なおかつ低金利で借りることができる方法をご紹介します。
銀行からの融資を成功させるためのポイントは、主に以下の3つです。
- 格付けを上げ融資を受けやすくする
- 消費者金融の利用は控える
- スプレッド融資の利用
それぞれのポイントについて、一つずつ見ていきましょう。
格付けを上げ融資を受けやすくする
銀行では、融資対象の中小企業を格付けしています。格付けが高いほど、融資を受けられる可能性が高く、低金利で融資を受けられます。格付けを高くするためには、業績をよくすることが絶対条件です。収益力を高め、負債比率を下げる対策が有効です。
消費者金融の利用は控える
消費者金融から資金を借りた経験があると、銀行からの借り入れは困難となります。なぜなら、高金利の機関から借りていると、それだけ余裕のない企業だと見なされるからです。
よほど資金繰りに苦労していない限り、消費者金融からの借入は行わないようにしましょう。中小企業の場合は特に、消費者金融の利用を慎重に判断する必要があります。
スプレッド融資の利用
スプレッド融資とは、一年以内の短期融資です。通常よりも低金利ですので、中小企業はぜひとも利用したい制度です。ただしスプレッド融資は、条件が非常に厳しくなっています。業績のいい中小企業のみが、スプレッド融資を活用することができます。
セーフティーネット貸付制度
続いては、セーフティーネット貸付制度です。まずは、どういった制度なのかを確認していきましょう。
セーフティーネット貸付とは
セーフティーネット貸付は、中小企業に比較的馴染みのある融資制度です。セーフティーネット貸付制度とは、一時的に資金繰りが悪化しているものの、中長期的には回復する見込みのある中小企業に対する融資です。
国の機関である「日本政策金融公庫」が、この融資を運営しています。外部要因(経済や社会、取引先等からの影響)によって、資金繰りが悪化した中小企業を融資の対象としています。
セーフティーネット貸付の条件
セーフティーネット貸付制度では、下記3つの資金融資を実施しています。
- 経営環境変化対応資金
- 金融環境変化対応資金
- 取引企業倒産対応資金
各融資ごとに対象者となる条件は異なりますので、一つずつ説明していきます。
経営環境変化対応資金
経済・社会環境の変化による影響で、一時的に売上高や利益が減少している中小企業が対象です。経済・社会環境の変化とは、たとえば原材料の高騰やデフレーションなどを指します。
金融環境変化対応資金
金融機関との取引状況の変化の影響で、一時的に資金繰りに支障をきたしている中小企業が対象です。追加担保の設定要請や借入残高の減少要請等があった場合には、融資対象となります。
取引企業倒産対応資金
自社と関係のある企業が倒産したことで、経営に支障が出ている中小企業が対象です。ただし、取引企業倒産対応資金については運転資金のみが融資対象となります。
セーフティーネット貸付の内容
セーフティーネット貸付制度について、具体的な貸付の内容を見ていきましょう。
対象資金
セーフティーネット貸付制度では、設備資金と運転資金を融資対象としています。ただし、前述の通り取引企業倒産対応資金の場合は、運転資金のみが対象となっています。
貸付限度額
貸付限度額は、ケースバイケースとなります。実際に活用する際は、運営する機関にご相談ください。
貸付期間
設備資金に対する融資であれば、最長15年間です。一方で運転資金に対する融資は、最長8年間です。ただし、どちらも3年間の据置期間が設定されています。この期間内は、元本の支払いが猶予されます。
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マル経融資
続いての融資制度は、マル経融資です。制度の詳細をご説明します。
マル経融資とは
マル経融資は、正確には「小規模事業者経営改善資金融資制度」と呼ばれます。日本政策金融公庫が、商工会等が行う経営改善普及事業を補完する役割で運営している融資です。無担保・無保証人・低利子で融資を受けられる点が、マル経融資最大の特徴です。中小企業にとっては、非常にありがたい融資制度です。
マル経融資の条件
マル経融資を受けるためには、下記5つの条件を満たす必要があります。
- 常時使用する従業員が20人以下(商業・サービス業は5人以下)の中小企業・個人事業主である
- 商工会・商工会議所の経営指導を原則6ヶ月以上受けている
- 義務納税額を全て支払っている
- 原則同一地区内で1年以上事業を実施している
- 商工業者であり、日本政策金融公庫の非対象業種ではない
特に、商工会・商工会議所の経営指導が重要な条件です。
マル経融資の内容
マル経融資について、具体的な融資の内容を見ていきましょう。
対象資金
マル経融資では、設備資金と運転資金を対象としています。この点は、セーフティーネット貸付と同様です。
貸付限度額
貸付限度額は2,000万円です。ただし、1,500万円を超える融資を受けるためには、事前に事業計画を作成する必要があります。加えて融資後に残高が1,500万円以下になるまで、商工会・商工会議所の実地訪問を、半年ごとに受けなくてはいけません。
貸付期間
設備資金の融資ならば、最長10年間です。一方で運転資金への融資では、最長7年間となります。この融資制度でも、据置期間が設定されています。設備資金の場合には2年間、運転資金は1年間の据置期間が設けられます。
新創業融資制度
最後に、新創業融資制度についてご紹介します。
新創業融資制度とは
「新創業融資制度」は中小企業を設立したばかりの方や、これから中小企業を設立する方にとって役立つ融資です。
新創業融資制度とは、事業計画等の審査を基に無担保・無保証人で融資する制度です。こちらの融資も、日本政策金融公庫が実施しています。新創業融資制度は利用件数がこのところ急激に伸びており、2010年には約10,500件程度だったのが、2015年度には約26,000件まで増加しました。
新創業融資制度の条件
新創業融資は、主に下記要件を全てクリアする中小企業等を対象としています。
- 新規に事業を始める者、事業開始後税務申告を2期終えていない中小企業等
- 雇用創出を伴う事業を始める(1,000万円以下の融資では満たさなくてもいい)
- 現在働いている企業と同種の業種で事業を行う(1,000万円以下の融資では満たさなくてもいい)
- 産業競争力強化法に定める認定特定創業支援事業を受けて事業を始める(1,000万円以下の融資では満たさなくてもいい)
- 創業資金総額の10分の1以上が自己資金である(これから創業する方や、税務申告を一期終えていない中小企業等)
以上の通り、非常に融資条件が複雑です。上記以外にも、例外的な条件が設けられています。新創業融資を活用する際は、担当機関にご相談することをおすすめします。
新創業融資制度の内容
新創業融資制度における具体的な融資の内容を見ていきましょう。
対象資金
新創業融資は、設備資金と運転資金を対象とした融資制度です。つまり、マル経融資やセーフティーネット貸付と同様です。
貸付限度額
貸付限度額は3,000万円です。ただし、そのうちの1,500万円は運転資金となります。
貸付期間
新創業融資は、「新規開業資金」や「女性、若者/シニア起業家支援資金」の利用が前提となっています。ですので、利用する融資制度によって貸付期間は異なります。
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中小企業向けの長期事業資金融資
その他にも、中小企業向けの長期事業資金の融資はさまざまなものがあります。新企業育成貸付、企業活力強化貸付、環境・エネルギー対策貸付、企業再生貸付などです。
これらはいずれも中小企業向けの長期事業資金を融資するもので、短期の運転資金は扱われていません。長期の事業資金であるため、融資額の平均は約1億円となっています。これらの融資制度は、財務省所管の特殊会社である日本政策金融公庫によって運営されています。
まとめ
今回は、中小企業が活用可能な融資制度をいくつかご紹介しました。
中小企業にとって、融資は欠かせないものです。多くの中小企業は、銀行から融資を受ける可能性が十分あります。しかし、審査が厳しいため、融資を受けることができない中小企業も多く見受けられます。
銀行よりも好条件で利用できる制度も存在するため、中小企業は銀行以外の融資制度も検討しなくてはいけません。
要点をまとめると下記になります。
◎銀行融資
・銀行融資の金利は?
→消費者金融よりも低金利。近年は特に金利が低い
・銀行からの融資を成功させるためには?
→融資する魅力のある会社にする、消費者金融は利用しない、スプレッド融資の利用
◎セーフティーネット貸付制度
・どんな融資制度?
→一時的に資金繰りが悪化しているものの、中長期的には回復する見込みの中小企業等に対する融資
・融資の条件は?
→経営環境の変化や金融機関との取引関係の変化、関連企業の倒産によって資金繰りが悪化している
・融資の内容は?
→8〜15年間に渡り、設備資金や運転資金を融資
◎マル経融資
・どんな融資制度?
→無担保・無保証人・低利子で融資を受けられる
・融資の条件は?
→従業員の雇用数や、6ヶ月間の経営指導等の条件がある
・融資の内容は?
→7〜10年間に渡り、最長2,000万円の設備・運転資金を融資
◎新創業融資制度
・どんな融資制度?
→創業したての中小企業や中小企業を設立する方に対して、無担保・無保証人で融資する制度
・融資の要件は?
→雇用創出や自己資金等の要件がある
・融資の内容は?
→最大3,000万円の融資を受けられる(期間は用いる融資制度によって異なる)
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