M&Aとは?意味や動向とM&Aを行う目的・メリットなどをわかりやすく解説!
2024年1月28日更新会社・事業を売る
会社売却の価格・相場はどれくらい?算出方法や事業売却との違い・高値で売るポイント・税金も解説
会社売却をする場合、最大の関心ごとはその価格です。本記事では、会社売却の概要・事業売却との違い・会社売却の価格を決める流れ・会社売却価格の算出方法・価格に影響を与える要素・価格を高めるポイント・税金・メリット・会社売却の手順などを解説します。
目次
会社売却とは
M&Aは、売却側と買収側がいることで成立する行為です。M&Aにおける会社売却とは、一般に株式譲渡をさします。株式譲渡とは、売却側企業の株式を売却することで、買収側に経営権を譲渡することです。
従来、中小企業の会社売却の主な目的は、大手企業の傘下に入って経営の安定化や業績拡大を目指すことや、売却益を獲得することなどでした。昨今では、それに加えて後継者不在問題解決のための事業承継を目的とする会社売却も増加中です。
会社売却による事業承継とは、会社を売却することでその買い手が後継者(新たな経営者)となり、事業承継を実現して会社の存続を図ることを意味します。
会社売却と事業売却の違いとは?
会社売却と類似する言葉に、事業売却(事業譲渡)があります。会社売却は会社を丸ごと譲渡する行為である一方、事業売却は会社組織を手元に残し、事業・それに関連する資産を選別して売却する行為のことです。
それぞれの状況・事情により会社売却・事業売却は使い分けられていますが、会社売却は事業売却と比較して、主に以下の点がメリットと考えられています。
- 会社売却は価格が高くなる
- 会社売却は税率が低い
- 会社売却で会社経営から解放される
①会社売却は価格が高くなる
会社売却は、会社の全資産を包括して売却します。その一方、事業売却では、会社の中の一部の事業・資産・権利義務・組織を売却するものですから、売却内容が限定的です。したがって、会社売却の方が売却額が高くなるのは必然の結果といえます。
②会社売却は税率が低い
会社売却と事業売却では、課税対象者が異なるため一概に比較はできないのですが、その税率には主に以下のような違いがあります。
課税対象者 | 税率 | |
---|---|---|
会社売却 | 個人(中小企業の場合) | 20.315% |
事業売却 | 法人 | 約31%(実効税率) |
※税率は2022(令和4)年4月現在のもの
中小企業のオーナー経営者が会社売却(株式譲渡)した場合、株式を譲渡した当事者個人に譲渡所得税が課されます。株式譲渡所得税は分離課税で税率が固定です。なお、法人が子会社の株式を譲渡するケースもあり、その場合は該当法人に税金が課されます。
事業売却の売却当事者は会社であり、該当法人に法人税が課されますが、事業売却益に直接的に課税されるわけではありません。決算時に他の損益と通算され、最終的な利益額に対して課税されます。
③会社売却で会社経営から解放される
中小企業では、「会社経営=運転資金繰り」という一面があります。そして、会社が金融機関から融資を受ける場合、多くの中小企業では経営者が個人保証したり担保を差し入れたりするのが実情です。つまり、個人保証や担保差し入れも含めて、会社経営といえます。
会社売却した場合、単純に経営権を買収側に譲渡するだけでなく、会社の負債も買い手に引継がれるため、個人保証や担保の差し入れも解消されるのです。これは、さまざまな側面において、会社経営の重荷から解放されることを意味します。
会社売却の価格・相場を決める流れ
会社売却では、DCF法(詳細は後述)などの専門的手法で算出した企業価値に微調整を加えて売却価格を決定します。ここでは、その流れ・プロセスの概要を確認します。
- 企業価値を算定
- バイヤーズバリュー算出
- 会社売却価格の決定
①企業価値を算定
まず、企業価値を算出からスタートします。企業価値を算出する手法は、大別して以下の3系統です。
- マーケットアプローチ
- インカムアプローチ
- コストアプローチ
各アプローチの詳細は後述しますが、併せて以下の動画も参考までにご覧ください。
②バイヤーズバリュー算出
次に、買い手側はバイヤーズバリューを算出します。バイヤーズバリューとは、買い手側が妥当と考える会社売却(買収)価格です。算出するために、買い手側はデューデリジェンスを実施します。
デューデリジェンスとは、財務・法務・税務・労務・ビジネスなどさまざまな分野に関して、売り手側を詳細に調査する行為です。この調査によって、シナジー効果・相手企業の優位性などのプラス要素を洗い出します。
また、簿外債務や訴訟などのマイナス要素も洗い出さなければなりません。バイヤーズバリューは、企業価値にプラス要素やマイナス要素を加減算して求められます。バイヤーズバリューの構造は下記のとおりです。
- バイヤーズバリュー=企業価値+シナジー効果などのプラス要素−簿外債務などのマイナス要素
③会社売却価格の決定
バイヤーズバリューが算出された後、それをもとに買い手・売り手の交渉によって会社売却価格が決定されます。会社売却側としては、契約締結までの交渉過程で、いかにバイヤーズバリューよりも高い価格に設定できるかが大きなポイントです。
自社の魅力や期待できるメリットについて、買い手側に最大限、伝えなくてはいけません。買い手側に会社売却の価格を納得してもらえる説明ができるよう、十分な資料を準備して説明に臨むと良いでしょう。
売却価格を決めるうえで、基準となる企業価値を算出することが重要です。ただし、最終的に売却価格が決定するのは、交渉の場であることは肝に銘じておきましょう。
会社売却の価格交渉を進めるうえで重要となるのは交渉力です。M&Aの知識や経験も必要になるため、M&Aの専門家によるサポートは不可欠といます。頼りになるM&Aの専門家として、M&A総合研究所がおすすめです。
M&A総合研究所では、財務の知識やM&A経験が豊富なアドバイザーが、M&A・会社売却をフルサポートいたします。料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。
随時、無料相談をお受けしておりますので、M&A・会社売却をご検討の際には、お気軽にお問い合わせください。
会社売却・事業売却の価格・相場の算出方法
ここでは、会社売却価格を決定するうえで重要な企業価値の算出手法を具体的に確認します。
- マーケットアプローチ
- インカムアプローチ
- コストアプローチ
マーケットアプローチ
マーケットアプローチでは、市場取引を基準にして企業の価格を算出します。類似する他社や類似する取引を参考にするため、客観性に優れた企業の価格を算出可能です。その一方で、一時的な市場の変動に株式価格が左右されやすいデメリットもあります。
マーケットアプローチに属する手法の中から、以下の3つを解説します。
- 類似会社比準法(マルチプル法)
- 類似取引比準法
- 市場株価法
①類似会社比準法(マルチプル法)
類似会社比準法(マルチプル法)とは、売り手会社と事業内容などが類似する会社を参考にする方法です。具体的には、参考にする会社のEBITDAやPERなどの指標を用います。会社売却価格を考える場面では、EV/EBITDA倍率を参考にするのが一般的です。
EV/EBITDA倍率とは、EV(企業価値)がEBITDA((営業利益+減価償却費)の何倍かを表す指標です。自社のEBITDAに類似会社のEV/EBITDA倍率を掛け合わせることで、会社の価格を把握できます。
以下の動画では、M&A総合研究所のアドバイザーが、計算例を用いてマルチプル法を解説しています。
②類似取引比準法
類似取引比準法では、自社の行う会社売却と類似するM&A事例を参考にします。類似する事例を見つけ、客観性のある会社の売却価格を把握するのです。しかし、現実的には、まったく同じレベルで類似する事例を見つけるのは困難だといえます。
自社の会社売却と類似するケースがなければ、この手法は活用できません。
③市場株価法
市場株価法では、過去数カ月の平均株価を基準に企業の価格を算出します。この手法では、短期的な市場の変化による影響を最小限に抑えられます。その点で、マーケットアプローチ手法の中では優秀です。
ただし、株式取引市場の株価を用いるため、非上場企業の会社売却では利用できません。
インカムアプローチ
インカムアプローチとは、将来的に得られると期待されるキャッシュフローや利益を基準にして、会社の価格を算出する方法です。買い手側は、シナジー効果や利益の獲得を目的にM&Aを実行します。
そのため、将来性を考慮するインカムアプローチは、会社売却の場面では非常に有用です。ただし、将来への期待はあくまでも予想に過ぎず、恣意的な価格となりやすいデメリットがあります。代表的なインカムアプローチの手法としては、以下の2つです。
- DCF法
- 配当還元法
①DCF(Discounted Cash Flow)法
将来得られるフリーキャッシュフロー(FCF)をもとに、会社の価格を計算する手法です。国内では、多くの会社売却案件で用いられている手法です。将来、得られるFCFを現在価値に割り引くことで、企業価値を算出します。FCFは以下の算式で求めるのが一般的です。
- FCF=税引後営業利益+減価償却費−運転資本増加額−設備投資額
DCF法を用いる場合、綿密な事業計画の作成がポイントといえます。事業計画が正確であるほど、将来、得られるFCFの予測精度も高まるためです。
②配当還元法
配当還元法とは、将来に獲得できる配当金を基準に企業価値を算出する方法です。この方法を用いるには、配当金額の安定が条件となります。いい換えると、配当金額が不安定な会社には向いていない手法です。
基本的に、上場会社よりも非上場会社の方が配当金は安定しています。したがって、配当還元法は、主に非上場会社の会社売却価格を計算する際に活用されるのです。配当還元法では、株式の価格を下記の式で算定します。
- 配当還元価額=(年間配当金額÷10%)×(1株あたり資本金÷50円)
算出された株価をベースにして、会社の価格を計算します。
コストアプローチ
コストアプローチでは、貸借対照表に記載された純資産をベースに会社の価格を算出します。貸借対照表さえあれば、簡単に会社の価格を計算可能です。また、純資産をベースにしているため、客観性の高さが担保される点も魅力的です。
ただし、将来的な成長性や収益性を考慮していない欠点もあるため注意しておかなければなりません。M&Aは、将来的なメリットを期待して行われます。したがって、会社売却の場面にはそれほど向いていない手法です。
ただし、会社を清算する場面では、信頼性の高い価格となります。コストアプローチの代表的な手法は、以下の3つです。
- 簿価純資産価額法
- 時価純資産価額法
- 清算価値法
①簿価純資産価額法
簿価純資産価額法とは、貸借対照表に記載された純資産をベースに会社の価格を計算する方法です。 コストアプローチの中でも、特に簡単に利用できます。そのため、簡易的に企業価値を把握して会社売却価格を出す目的で用いられるケースが多いです。
ただし、他の手法と比べて、売却価格が低くなる傾向があるので注意しておかなければなりません。
②時価純資産価額法
時価純資産価額法は、資産・負債を一度、時価に換算する点で、簿価純資産価額法と異なる手法です。時価資産から自家負債を引くことで、時価純資産を計算します。企業価値は、時価純資産から営業債務(支払手形や買掛金など)を差し引くことで算出可能です。
- 企業価値=時価資産−時価負債−営業債務(支払手形や買掛金など)
時価を利用するため、より正確な会社の価格を計算できます。
③清算価値法
清算価値法では、正味売却価額をベースに会社の価格を計算します。正味売却価格とは、全資産の売却額から負債金額を差し引いた金額です。他のコストアプローチ手法と同様に、会社売却の価格算出場面では活用しにくいため注意しておかなければなりません。
ただし、会社を清算する際には使い勝手の良い手法です。
会社売却の価格に影響を与える5つの要素
ここでは、会社売却の価格に影響を与える5つの要素を確認します。
- 売上高・収益・市場シェア
- 取引先・顧客のリスト
- 技術力・ノウハウ・特許
- 社員のスキル・経験・資格
- 企業理念・文化
①売上高・収益・市場シェア
売上高・収益・市場シェアといった会社の業績が会社売却価格に強い影響を与えることは、誰もが理解できることです。これを算定方法の観点から考えると、成長市場で事業を行っていて、そこで高いシェアがあるならば、DCF法では高い金額が算定されるでしょう。
また、売上高・利益額の数字が高ければ、純資産法での計算結果も高まります。
②取引先・顧客のリスト
会社売却では、数値に表せないものでありながら、売却価格に影響を及ぼすものが複数あります。そのうちの1つが、取引先・顧客リストです。業界内のリーダー企業との取引などは、望んで誰もが行えるものではありません。
また、他社との競争優位性を担保できる顧客を持っているのであれば、高い評価を得られます。このように、取引先・顧客リストの内容次第では、大きな武器となるのです。
③技術力・ノウハウ・特許
開発・技術力やノウハウ・特許・商標などの知的財産も、他社との差別化を明確にできるため、会社売却では価格を上下させる要素の1つです。開発・技術力に関するものとしては、研究力・製造力・それを支える特殊な設備・機械類も対象となります。
ノウハウに関連するものとしては、企画力・営業力・マーケティング力・独自のITシステムなども、買収側にアピールして会社売却価格に上積みが期待できる要素です。
④社員のスキル・経験・資格
現在の日本では、少子化による人口減少により多くの企業が人手不足に陥っている状況です。したがって、人材の補充・確保を目的にM&Aを行う企業もあります。自社内にスキル・経験豊富な社員が多いほど、会社売却価格には好影響となるはずです。
特に従業員の資格を要するような事業では、高スキルで経験を持った有資格者が多くいれば、それだけ売却価格の加算につながります。
⑤企業理念・文化
買収側にとって、M&Aの成功とは成約後の経営統合が成功し、想定どおりの業績向上が得られることを意味します。その経営統合プロセス(PMI=Post Merger Integration)で重要な要素とされているのが、売却側・買収側それぞれの企業理念・文化の近しさです。
いい換えれば、企業理念・文化は、経営者の経営ビジョン・社風です。お互いの会社の経営ビジョンや社風が似ているほど、経営統合が成功する可能性が高まります。したがって、経営ビジョン・社風の類似性が見られる場合、会社売却価格には好影響が及びやすいです。
会社売却の価格を相場よりも高める8つのポイント
ここでは、より高額で会社売却を行えるようになるポイントを解説します。
- 自社の長所・短所を整理する
- 売却のタイミングを逃さない
- 買収側が得られるシナジー効果を考慮する
- 相手先候補を多く集める
- 同業他社に候補を絞って検討する
- 事業の収益性を高める
- 財務状況を改善しておく
- M&A仲介会社に相談・依頼する
①自社の長所・短所を整理する
会社売却価格を高めるには、自社の長所・短所の把握から始めます。そのうえで、長所・短所とどう向き合うかのポイントは以下の2つです。
- 無形資産の価値を高める
- マイナス要素を減らす
無形資産の価値を高める
会社売却では、無形資産の価値が重視されます。無形資産とは、主に以下のようなものです。
- ノウハウ
- 特許・商標
- 優秀な人材
- 技術力
- 販路や顧客リスト
このように、目に見えないものも会社売却の価格を決めるためには重要です。会社売却を検討し始めた段階で、上記要素の強化に努めましょう。無形資産の価値を高めると、会社を売却する際に営業権(のれん)として評価されます。
マイナス要素を減らす
会社売却の際、マイナス要素があれば売却価格が下がります。マイナス要素が原因で企業価値が減少するのは、非常にもったいないことです。マイナス要素は、会社売却の前に可能な限り排除しておきましょう。具体的には、以下の要素が価格の減少要因となり得ます。
- 簿外債務
- 訴訟リスク
- 過剰在庫
過剰在庫は短期間で解消できますが、簿外債務と訴訟リスクに関しては買い手側は特に嫌うため、会社売却価格を高めたいならば極力なくす努力をしましょう。
②売却のタイミングを逃さない
M&Aでは、タイミングが非常に重要です。タイミングには、2つの観点があります。1つは売却側の観点として、業績が好調のときに会社売却した方が、高額で取引できるでしょう。
もう1点は、買収側の観点です。例えば、業界再編が行っており、買収に積極的な企業が多いときは、高額での会社売却の可能性が高まります。逆にこうしたタイミングを逸してしまうと、高額での売却ができないばかりか、会社売却の成立自体が危うくなるかもしれません。
③買収側が得られるシナジー効果を考慮する
M&Aにおける買収側は、売却側との間で得られるシナジー効果への注目度が高いです。売却側としても、買収側の目線になってシナジー効果をアピールすると、会社売却価格の高額化が望めます。
④相手先候補を多く集める
買収側候補を数多く集めることで、より高額の買収をしてくれる相手が見つかる可能性が高まります。また、複数の候補に対して入札方式を取れれば、さらなる高額化が見込めるでしょう。
⑤同業他社に候補を絞って検討する
事業によっては、同業社でなければ売却側の強みを正確に把握できません。そのようなケースでは、複数の買収側候補がいる場合、同業他社に候補を絞ると、売却価格の高額化を実現しやすいです。
⑥事業の収益性を高める
会社の業績が高いほど会社売却価格が高くなるのは自明の理です。会社売却を実施する前に、少しでも収益性を高めておきましょう。
⑦財務状況を改善しておく
買収側としては、同じ事業規模・業績の会社ならば、負債が少ない方の会社を売却相手に選ぶでしょう。財務状況の即時改善は難しいので、会社売却を検討し始めた段階から意識して、財務状況の改善に努めることが望ましいです。
⑧M&A仲介会社に相談・依頼する
M&A仲介会社は、M&Aの専門業者です。M&Aの仲介・アドバイザリーを行う会社や機関は他にもありますが、特化した専門家はM&A仲介会社であるため、会社売却の成功率を高め、少しでも高額で売却するためにはM&A仲介会社を活用しましょう。
会社売却の価格と税金
会社売却(株式譲渡)の当事者として、個人の場合と法人の場合では課税内容が異なります。まず、個人の場合は、株式譲渡所得に対し、以下の税が課されますが、総合課税とは切り離された分離課税です。
- 所得税:15%
- 住民税:5%
- 復興特別所得税:0.315%(2037⦅令和19⦆年までの時限税)
また、株式譲渡所得額は、以下のように計算します。
- 株式譲渡所得額=譲渡対価-取得費用-委託手数料
取得費用とは、株式を取得する際に要した金額です。委託手数料とは、M&A仲介会社などに支払う手数料をさします。一方、法人に課されるのは、株式譲渡益に対し以下の各種法人税です。全ての法人税を合わせた実効税率は、2022年4月現在、約31%となっています。
- 法人税
- 地方法人税
- 法人住民税
- 法人事業税
法人の株式譲渡益の計算方法は、個人における株式譲渡所得の場合と同様です。なお、法人税は株式譲渡益単独に課されるものではなく、会社の決算時に全ての損益と通算した利益額に課されます。したがって、大きな損金が発生し、決算が赤字だった場合、法人税は課税されません。
会社売却のメリット・デメリット
会社売却には、メリットもあればデメリットもあります。会社売却を実施する際には、メリット・デメリットの両方を十分に把握して行うことが肝要です。ここで、どのようなメリット・デメリットがあるのか確認しておきましょう。
メリット
会社売却では、以下のようなメリットが得られるとされています。
- 事業承継の実現:後継者不在だったとしても会社売却によって、経営は買い手に引継がれ会社は存続する。
- 従業員の雇用継続:廃業を免れ会社が存続することによって従業員の雇用も守られる。
- 売却益の獲得:自由使途の資金を獲得し、老後の生活資金を備えられる。
- 個人保証の解消:会社の負債は買い手に引継がれるため、個人保証を解消する手続きが可能になる。
デメリット
一方で、会社売却では、以下のようなデメリットが発生するおそれがあります。
- 必要資産の除外手続き:非上場企業の場合、本来は経営者個人の資産であるものを会社の資産として利用している場合があり、除外する手続きをしないとそれも買収側の手に渡ってしまう。
- ロックアップ条項:会社売却後、前経営者には経営の引継ぎや経営統合への協力が求められるため、契約内容に一定期間、会社に残る取り決め(ロックアップ条項)が付加されることがある。
- 空虚感:会社経営の責任からの解放は、一方で人生のモチベーションの低下を招くことがある。
事業売却のメリット・デメリットとの違い
ここまでは会社売却について紹介しましたが、事業売却には以下のようなメリットがあるのが特徴的です。
- 売却後も引き続き会社の商号を使える(譲渡側)
- メイン事業に経営リソースを集中させられる(譲渡側)
- 不要な資産を抱え込まずに済む(譲受側)
- 簿外負債の引き継ぎリスクがない(譲受側)
ただし、以下のようなデメリットの発生が問題となることもあるため注意しましょう。
- 個別に引き継ぎ手続きを行うため多くの手間と時間が必要(譲渡側)
- 消費税が課される(譲受側)
会社売却を行う手順・方法
会社売却は、一般的に以下のようなプロセスで進めます。
- M&A仲介会社など専門家の選定:自社単独で会社売却を進めるのは難しいため、専門家を起用し業務委託契約を締結する。
- ノンネームシート作成:会社売却先探しのために用いる匿名の会社概要書を、M&A仲介会社が作成する。
- 売却先探し:M&A仲介会社が売却先候補を複数見つけてくるため、慎重に検討して選ぶ。
- 秘密保持契約書:交渉を希望する相手の意思を確認し、合意できたら秘密保持契約を締結する。
- 交渉開始:情報を開示し交渉が開始する。交渉はM&A仲介会社が行う。
- トップ面談:売り手・買い手の経営トップが直接会って面談する。
- 基本合意書:条件が大筋で合意できた場合に締結する。これには一般的に法的拘束力はない。
- デューデリジェンス:買収側による売却側への精密な監査が行われる。
- 最終交渉:デューデリジェンスの結果も踏まえた最終交渉が行われる。ここで合意できないと破談となる。
- 最終契約書:最終交渉で合意できれば、会社売却が成約する。
- クロージング:最終契約書に記された内容を売却側・買収側ともに履行し、会社売却が完了する。
会社売却の価格・相場に関するQ&A
会社売却の相談の際に、よく受ける質問が2つあります。それぞれの詳細と回答を紹介します。
- 赤字の会社は売却できる?
- 会社売却にかかる期間は?
①赤字の会社は売却できる?
赤字企業が不利なことは事実ですが、決して会社売却が不可能ではありません。特に以下のような条件のいずれかが備わっていれば、会社売却できる可能性は高まります。
- 参入障壁が高い事業を行っている。
- 取得難易度が高い許認可を持っている。
- 他社にない特許や技術力、ノウハウ、ブランドなどを所有している。
- 優秀な人材が多い。
- 財務が安定すれば黒字化できる余地がある。
- 買収側が同一事業を行っていて事業の立て直しが容易である。
②会社売却にかかる期間は?
会社売却は、一般に6カ月~1年程度の期間が求められます。3カ月で成約した事例もあれば1年半以上かかった例もあり、各社の状況・タイミング・社会情勢などにより左右されるため、一概に断定できません。
会社売却の価格・相場に悩んだときの相談先
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会社売却の価格・相場まとめ
会社売却は大きな決断であるため、検討段階から専門家に相談し、慎重に検討して進めていくことが望ましいでしょう。検討段階からM&A仲介会社などの専門家に相談することで、必要な準備やしかるべきタイミングを検討できます。
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