M&Aとは?意味や動向とM&Aを行う目的・メリットなどをわかりやすく解説!
2022年6月6日更新資金調達
新規事業開発の成功と失敗
新規事業開発はゴールを見据え、そのゴールに到達した際に獲得できる利益や達成できる使命を予測して実行する必要があります。この記事では、新規事業開発における事業戦略のフレームワークや成功のポイント、成功事例などについて解説します。
目次
新規事業開発の現状
昨今、市場の円熟や事業ライフサイクルの短期化によって新規事業開発は重要視されており、さまざまな会社で積極的に行われています。円熟した市場の中でも会社のさらなる成長を図るうえで、非常に重要なものとなっています。
昨今における新規事業開発は単に新しい事業を立ち上げるだけのものではありません。新しい事業分野を開拓することを通じ、その会社の確かな成長を実現するためのプロセスです。会社の成長や変革のプロセスと重なる一面があるといえます。
しかし、新規事業開発の成功率は決して高いものではありません。そのため、経営セミナーなどでは成功させるための議論が活発に行われています。新規事業開発は会社全体で行うべきものであり、経営陣も従業員も熱意を持ち、しっかりと連携したうえで取り組むことが重要です。
また、やみくもに取り組むのではなく、ゴールを見据え、そのゴールに到達した際に獲得できる利益や達成できる使命などを予測しながら実行する必要があります。適切なプロセスを踏むことで、その成功率は上がります。
新規事業開発における4つの事業戦略フレームワーク
新規事業開発を行う際に意識しておきたいのが事業戦略のフレームワークです。新規事業の精度を上げるためにさまざまな事業戦略フレームワークが使われています。
代表的な事業戦略フレームワークには、以下の4つがあります。
- MVVの設定
- ペルソナ分析
- 3C分析
- PDCA
それぞれの事業戦略フレームワークを見ていきましょう。
①MVVの設定
MVVとはMission(使命)、Vision(将来像)、Value(価値)という3つの言葉の頭文字をとったもので、新規事業開発を行う際に事前に設定します。これは会社経営における重要な要素でもあり、MVVを設定することにより、会社の理想的な組織風土を形成できます。
Missionで「我々はどんな使命を果たさなければならないのか」、Visionで「中長期的にどんな将来像を描くのか」、Valueで「どんな価値観を持って取り組んでいくか」を決め、それらを経営陣だけでなく従業員とも共有して新規事業開発に取り組んでいきます。
②ペルソナ分析
ペルソナ分析とは仮想の顧客を設定し、そのペルソナ(ラテン語で人格)を分析することによって新規事業を組み立てる事業戦略フレームワークです。より具体的に顧客のペルソナを設定し、分析することで新規事業の精度は上がっていきます。
仮想の顧客であるペルソナを分析することにより、顧客の要望やサービスの活用方法など、さまざまな発見が可能です。その分析が実際の顧客に合致すれば、新規事業を展開した際に固定客となり、ロイヤリティの高いユーザーとなります。
しかし、ペルソナ分析は実際の顧客の傾向に合致した、より具体的かつ正確な設定を必要とします。仮に誤った認識でペルソナを設定すると効果がないどころか、誤った方向に事業が傾いてしまう恐れもあるため十分に注意する必要があります。
③3C分析
3C分析はCompany(自社)、Competitor(競合)、Customer(顧客)の3点から新規事業を分析する事業戦略フレームワークです。顧客を分析する点はペルソナ分析に似ていますが、3C分析では新規事業に取り組む際の自社のリソースや競合他社の状況なども加味して分析します。
新規事業開発は顧客を分析するだけでなく、自社の内情や他社との競合優位性など、さまざまな事柄を検討することが必要です。3C分析はより多角的な視点を備えるうえでも、必要不可欠といえます。
④PDCA
PDCAとはPlan(計画)、Do(実行)、Check(検証)、Action(改善)を繰り返す事業戦略フレームワークであり、取り組んでいるプロジェクトを改善していくものです。常に計画と検証を繰り返して改善点をつまびらかにできるため、着実にプロジェクトを進められます。
PDCAを成功させるポイントは数字で事業を管理していくことです。数字は事業の結果を可視化できるため、新たな計画の立案や改善点の発見につながります。数値化することで従業員と情報を共有しやすくなることも大きな利点だといえるでしょう。
また、常に目標値を設定することも重要です。目標達成に必要な対策や目標に至らなかった場合の改善点、目標達成後の取り組みなど、目標値を設定することで取り組み方は整理され、課題に気づけるようになります。
新規事業開発の成功率
新規事業開発の成功率はどの程度なのでしょうか。全企業が実施する新規事業開発の状況や進展具合を調べるのは難しいですが、経営コンサルティング会社の独自調査を参照する限り、新規事業が軌道に乗って黒字化したケースは全体の25%ほどだといわれています。
つまり、4社に1社しか新規事業開発に成功していないことになります。そもそも新規事業開発において、新規事業のスタート地点に到達できる会社は決して多くありません。新規事業コンセプトの設定や、事業を立ち上げる準備の段階で挫折するケースも少なくないです。
新規事業を行うための資金準備やチーム体制構築の段階で躓いてしまうことも考えられ、必要な人材が集まらずに頓挫する可能性もあるでしょう。新規事業開発では、さまざまなプロセスを確実にクリアしていくことが求められます。
新規事業開発の定番手法「リーンスタートアップ」
決して成功率が高いとはいえない新規事業開発を成功させるには、具体的にどのようなステップを踏んで実行すればいいのでしょうか。新規事業開発を遂行するための手法にはいくつかの種類がありますが、代表的なのが「リーンスタートアップ」と呼ばれる手法です。
リーンスタートアップは、顧客ニーズを重視しながら時間も経費もかけずにリスクを最小限にする新規事業開発の進め方です。失敗も視野に入れて何度も小さな挑戦を繰り返せるため、リスクを抑えながら改善も行って成功率を高められます。
新規事業開発を成功させるポイント
新規事業開発を成功させるにはいくつかのポイントがあり、それらを意識しておく必要があります。特に重要なのが以下の3つです。
- 時代の変化を踏まえる
- 顧客ニーズの把握
- 組織はシンプルに
それぞれのポイントを詳しく見ていきましょう。
①時代の変化を踏まえる
新規事業開発を成功させるうえでは、時代の変化を踏まえたビジョンを持つことが非常に重要なポイントです。新規事業はただ新しいことをやればよいわけではなく、時代の変化を踏まえ、一定以上の継続性を持たなければなりません。
たとえ新規参入の余地があっても、市場や経営環境の変化によって揺らいでしまう、継続性のない事業では意味がありません。また、ビジョンが明確なことも重要です。明確なビジョンでなければ従業員と目標を共有できず、新規事業の必要性も不明瞭になってしまいます。
②顧客ニーズの把握
どんなに画期的な事業でも顧客のニーズがなければ成立しません。会社の自己満足にならないように、顧客のニーズや生まれつつある需要を正確に読み取ったうえで新事業は立案されるべきです。
新規事業開発における4つの事業戦略フレームワークとして紹介したペルソナ分析や3C分析を行うことによって、顧客のニーズをしっかりと把握し、そのうえで新規事業に取りかかることが重要となります。
③組織はシンプルに
新規事業開発に取り組む際、その組織はできるだけシンプルであることが理想です。少数精鋭のシンプルな組織であれば理念や目標の共有、意思の伝達、意思決定などが行いやすく、フットワークも軽くなります。
ただし、内向的な組織になると新しい情報を取り入れたり意識革新を行ったりすることが難しい場合もあるため、時には外部の人材を取り入れることも大切です。角度を変えた別の立場からの視点やアドバイスは、新しいアイディアを生み出すきっかけにもなります。
新規事業開発の成功事例
きちっとしたビジョンを持って準備すれば、新規事業も成功しやすくなります。昨今の新規事業開発の主な成功事例としては以下のようなものがあります。
- UBER(ウーバー)
- プロント
- スマートウォッチ
それぞれの成功事例を具体的に見ていきましょう。
UBER(ウーバー)
配車サービスのウーバーは、新規事業開発の成功事例の一つです。ユーザーはスマートフォンのアプリで場所を指定するだけで周辺のタクシーが迎えに来て目的地まで送ってくれる便利なサービスです。飲食店と提携した宅配サービス「ウーバーイーツ」も都会を中心に浸透し始めています。
ウーバーのモデルは、他社のソフトウェアを活用して独自のビジネスを展開していく「API(Application Programing Interface)エコノミー」の代表的な例です。他社サービスを活用するため設備投資やドライバーの雇用も必要ないのでコストを圧倒的に抑えられます。
同種の配車サービスは海外でも成功しており、タクシーだけではなく一般人でも自家用車を利用してドライバーになることができる国も多くあります。目的地を伝える必要もなく支払いもキャッシュレスであるため、外国人観光客にとっても便利なサービスとして定着しつつあります。
プロント
サントリーとUCC上島珈琲の合弁事業として立ち上げられたプロントも新規事業開発の成功例といえます。日中はコーヒーショップとして営業し、夕方のある時刻からメニューを入れ替えて夜はダイニングバーとしての顔に変身する二毛作経営によって成功を収めました。
しかし、日中と夜間で別の顔を見せるスタイルは珍しいものではありません。プロントの成功要因は、この二毛作経営を完璧に運用するシステムを構築したところにあります。夕方5時30分に全てを完全に切り替えるシステムをハード、商品、物流、従業員などの各レベルで実現しています。
スマートウォッチ
新規事業開発は、必ずしも新たな価値をゼロから構築するものではありません。既存アイディアの組み合わせで新たな価値を生み出すことも可能であり、たとえばスマートウォッチなどはその成功例の一つといえます。
スマートフォンはすでに大半の人が所持する一般的なアイテムとなっており、いうまでもなく腕時計も既存のものでした。しかし、その2つを組み合わせることで新たな価値の提供に成功したのがスマートウォッチです。
誰もが驚くようなイノベーションは、ゼロから生まれるものではありません。顧客ニーズを考えて、スマートウォッチのように既存のものを組み合わせるというアイディアも新規事業開発を成功させるためには非常に重要なポイントといえます。
新規事業開発の失敗要因
一方で新規事業開発は成功率が低く、失敗に終わるケースも多いのですが、その要因には何があるのでしょうか。新規事業開発の失敗要因は、事例によって細かく異なりますが共通点も見られます。
代表的なものが以下の3つです。
- 資金調達の失敗
- 経験値不足
- 市場参入のタイミング
1つずつ順を追って、失敗の要因を詳しく見ていきましょう。
①資金調達の失敗
やはり新規事業を実現するために必要な資金の調達に失敗したケースは珍しくありません。これは会社経営にもいえることですが、資金調達の目途が不明瞭な状態で新規事業開発に取り組んでも成功する可能性はほとんどありません。
事業ビジョンの設定や顧客ニーズの分析などの準備も重要ですが、まずは資金の確保を優先的に取り組みましょう。
②経験値不足
ベンチャー企業などに多く見られる傾向がありますが、経験値不足が新規事業開発の失敗要因となることも多くあります。基本的な経営の経験値が不足しているために、問題への対処や情報収集のやり方などを間違えてしまうパターンです。
事業を行う際に必要なノウハウや知識が足りていない場合には、それを補う工夫をしなければなりません。新規事業開発の計画を練る際に外部の人材を取り入れることも、経験値の不足を補う一つの方法といえます。
③市場参入タイミング
新規事業開発を行う際には市場の動向や経営環境の変化を適切に読みとる必要があります。それを読み違えてしまい、新規事業開発を行うべき市場参入のタイミングを逃してしまうことも失敗要因となります。
市場参入のタイミングを逃せば競合他社が先に同じような新規事業を行うこともありますし、新規事業の展開までこぎつけても強力な他社が参入してシェアを奪われることもあります。新規事業開発を行うタイミングは非常に重要な要素なので、十分に注意が重要です。
まとめ
新規事業開発はただやみくもに行えばいいものではなく、開発に取り組む組織のビジョンや情報を集める手法など、さまざまな要素に注意を払う必要があります。事業戦略フレームワークを参考にし、成功のポイントをおさえて少しでも成功率を高めましょう。
独善的な判断ではなく、顧客ニーズを含めた多角的な分析を心がけ、タイミングを見計らって新規事業開発を行うことが大切です。
今回の記事をまとめると、以下のようになります。
・新規事業開発の現状
→会社のさらなる成長のために重要視されているが、成功率は決して高くない
・4つの事業戦略フレームワークとは?
→MVVの設定、ペルソナ分析、3C分析、PDCA
・新規事業開発の成功率は?
→黒字化するケースは全体の25%ほどといわれる
・新規事業開発の定番手法は?
→リーンスタートアップ
・新規事業開発の成功ポイントは?
→時代の変化を踏まえる、顧客ニーズの把握、組織はシンプルに
・新規事業開発の失敗要因は?
→資金調達の失敗、経験値不足、市場参入のタイミング
M&A・事業承継のご相談なら24時間対応のM&A総合研究所
M&A・事業承継のご相談は成約するまで無料の「譲渡企業様完全成功報酬制」のM&A総合研究所にご相談ください。
M&A総合研究所が全国で選ばれる4つの特徴をご紹介します。
M&A総合研究所が全国で選ばれる4つの特徴
- 譲渡企業様完全成功報酬!
- 最短49日、平均6.6ヶ月のスピード成約(2022年9月期実績)
- 上場の信頼感と豊富な実績
- 譲受企業専門部署による強いマッチング力
M&A総合研究所は、M&Aに関する知識・経験が豊富なM&Aアドバイザーによって、相談から成約に至るまで丁寧なサポートを提供しています。
また、独自のAIマッチングシステムおよび企業データベースを保有しており、オンライン上でのマッチングを活用しながら、圧倒的スピード感のあるM&Aを実現しています。
相談も無料ですので、まずはお気軽にご相談ください。
銀行系M&A仲介・アドバイザリー会社にて、上場企業から中小企業まで業種問わず20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、不動産業、建設・設備工事業、運送業を始め、幅広い業種のM&A・事業承継に対応。