2021年4月22日更新会社・事業を売る

経営再建

経営再建では、まず経営状況が悪化した原因を解明する必要があります。経営再建を成功させるには、経営再建できる可能性を見極めるほか、資金繰り改善・収益性確保などのプロセス実施が大切です。専門家に相談しつつ、自社に適する方法で経営再建を目指すと良いです。

目次
  1. 経営再建
  2. 経営再建前の確認事項
  3. 経営再建を目指すステップ(その1)
  4. 経営再建を目指すステップ(その2)
  5. 経営再建に関する相談先
  6. まとめ

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経営再建

経営者であれば、企業の経営が傾いて倒産・破産などの危機に陥る事態は避けるべきといえます。現代日本において、破綻などの危機に陥って経営再建の必要性に迫られる企業は一定数見られます。

今回は、経営状況が悪化した企業を建て直す「経営再建」について解説します。

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経営再建前の確認事項

経営再建に着手する前に、はじめに自社の経営状況が悪化した原因を確認しておく必要があります。経営状況が悪化した原因を見極めて分析しなければ、経営再建に向けた具体策を講じることはできません。

原因を解明できないまま経営再建に乗り出してしまうと、自社にとって不適切な施策を講じてしまいかねません。場合によっては、経営状況をさらに悪化させるおそれもあります。経営再建の実施前には、経営状況が悪化した原因を正確につかみ取ることが大切です。

中小企業の経営課題

経営状況悪化の原因を探る足がかりとして、ここでは中小企業が抱える経営課題について解説します。中小企業の現状を見ると、企業の倒産・破産件数そのものは減少傾向にあります。主な理由としては、アベノミクス効果による経営環境の向上などが挙げられます。

その一方では、大企業と中小企業において企業間格差の広がりが深刻化している状況です。残念ながら、経営環境向上の波に乗れている企業の多くは大企業です。大多数の中小企業は、アベノミクスの恩恵を受けられていません。

また、円安の影響で、原材料を輸入し商品を製造して大企業に卸す下請け企業は、大きな痛手を受けています。さらに、中小企業では人手不足も深刻な問題です。人手不足の状態では、経営を継続するために必要不可欠な人材が不足し、いずれ経営が成立しなくなります。

少子化の影響で、最近は人手不足に陥る中小企業が増加中です。こうした中小企業の中には、経営者の引退時に後継者が見つからず、仕方なく廃業を選ぶケースも見られます。人手不足を原因として、黒字企業が経営困難となる事態は社会全体からみても避けるべきです。

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経営再建を目指すステップ(その1)

企業ごとの事情で多少変化しますが、実際に経営再建を目指す場合に取られる手順の多くは共通しています。具体的な施策を講じる前に、まずは「経営再建の可能性」や「経営者」に関して見極めるステップが必要です。

ここからは、それぞれのプロセスについて順番に解説します。

①経営再建の可能性を見極める

前提として、自社の経営再建が可能なのかどうかを見極める必要があります。企業が赤字の状態であれば経営再建は最優先課題ですが、経営再建時には多大な費用が必要となる場合があります。

企業の状態によっては、廃業・売却などで撤収した方が費用を抑えられるケースもあります。経営再建が限りなく不可能に近い状態ならば、清算手続きを実施すると余計な労力・費用をかけずに済ませられます。

経営者にとってはつらい決断となりますが、経営再建以外の施策を選ぶことで、無理な経営再建に奔走して信頼を失うよりも良い結果をもたらすケースは少なくありません。

②経営者を見極める

次に、経営再建を進める経営者を見極めます。経営者の能力・素質が不足していると、経営再建を進めるうえで支障が出るおそれがあります。当然ですが、経営再建を最後まで済ませる体力・精神力も必要です。

具体的には、経営者の意欲が低かったり、高齢で体力面に不安があったりする場合には、経営再建の成功確率が下がります。こうした事情を受けて、最近は外部から経営者を招くなど、新たな手法を取り入れて経営再建を目指す企業も多いです。

もともとの経営者が経営再建を進めるケースが順当ですが、企業利益の観点から考えると別の手段を講じるべき場面は存在します。

経営者を支える人材の見極めも大切

経営者のみならず、経営者を支える人材の見極めも大切です。経営者が1人で悩みを抱え続ける状態では、経営課題の根本的な解決に至らない可能性が高いです。経営再建では、従業員・家族・取引先など、周囲の人間が経営者を支える環境整備も必要不可欠です。

外部の専門家も心強い存在ですが、頼りきりの状態は望ましくありません。むやみに専門家に相談したことで、多額の相談料を請求される事例も報告されています。アドバイスを受けることは有効策ですが、相談する専門家の吟味も大切です。

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経営再建を目指すステップ(その2)

「経営再建の可能性」や「経営者」に関する見極めが済むと、具体的な施策を講じるステップに移ります。経営再建を目指すための具体的な施策は、以下のとおりです。

  1. 資金繰りを改善する
  2. 収益性を確保する
  3. 従業員との関係性を構築する
それぞれのプロセスを順番に見ていきます。

①資金繰りを改善する

資金繰りの改善は、経営再建時に最も大切となるプロセスです。資金繰りを改善しなければ、経営再建の成功を目指すことはできません。一般的には、運転資金の2〜3ヶ月分程度を確保しておくことが目安です。

その一方で、資金繰りの改善ばかりに気を取られる事態も望ましくありません。経営再建を目指すうえで資金繰りの改善は確かに大切ですが、資金繰りばかりに気を取られると事業運営が疎かになりかねません。

むやみに金融機関などから借り入れたことで、かえって経営状況が悪化した事例も報告されています。経営再建を目指すうえで最優先課題となるのは黒字化であるため、黒字化を最大の目的に据えて資金繰りを検討すると良いです。

②収益性を確保する

経営再建時には、将来のキャッシュフローをチェックしつつ収益性を確保するプロセスも大切です。経営再建の最終目標が黒字化ならば、売上の伸長・売上に貢献する商品やサービスの開発が収益性確保の成否を分けます。

その一方で、反対の発想から、不採算部門の切り離し・従業員との雇用解消などで収益性を確保することもあります。場合によっては、M&Aによる不採算部門の売却で、経営再建の足掛かりを構築する方法も有効策です。

③従業員との関係性を構築する

経営再建時には、従業員との関係性構築も欠かせないプロセスです。従業員は経営者とともに経営再建を遂行する大切な仲間であるため、お互いに信頼関係を結んでおく必要があります。

優秀な従業員が続々と離職してしまう事態は、何としても避けるべきです。一部の従業員に過度な負担がかかっていると、結果的に優秀な従業員を流出させてしまいます。従業員の負担を調整しつつ新たな人材の採用にも挑戦して、人手不足の解消を目指すと良いです。

人手不足が原因で経営再建を実施する場合には、労働環境見直しの徹底もおすすめです。

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経営再建に関する相談先

経営再建の実施に関して不安がある場合には、以下のような機関に相談すると良いです。

  • 中小企業再生支援協議会
  • NPO法人起業家ホットライン

上記の機関は、いずれも経営再建の業務に強みを持つ相談先です。中小企業再生支援協議会は、中小企業の経営再建・事業再生に向けた取り組みを支援する公的な支援機関です。全国47都道府県に設置されており、商工会議所が受託・運営している都道府県もあります。

NPO法人起業家ホットラインは、中小企業の再生に特化した専門家集団です。弁護士・公認会計士・税理士・中小企業診断士・行政書士などが在籍しており、経営再建に悩む企業に適した施策を提案してもらえます。

なお、経営再建の一環としてM&Aによる企業・事業の売却を検討する場合には、M&Aの専門家への相談がおすすめです。

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まとめ

経営再建は、決して簡単に済ませられる行為ではありません。経営再建の成否は、経営者の手腕も少なからず関係します。経営再建の実施時には、経営再建できる可能性を見極めるほか、資金繰り改善・収益性確保などのプロセス実施が大切です。

専門家に相談しつつ、自社に適する方法で経営再建を目指すと良いです。要点をまとめると、以下のとおりです。

・経営再建前の確認事項
→自社の経営が悪化した原因を解明する

・経営再建を目指すステップ
→経営再建の可能性を見極める、経営者を見極める、資金調達する、収益性を確保する、従業員との関係性を構築する

・経営再建の相談先
→中小企業再生支援協議会、NPO法人起業家ホットライン、M&Aの専門家

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