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2021年4月28日更新資金調達
資金調達コスト
ビジネスを拡大させ、経営を継続していくためには資金調達が必要不可欠です。しかし、資金を調達するとなればコストも必要になります。今回は、資金調達におけるコストの概要やコストを抑える調達方法などについて詳しく解説していきます。
はじめに
会社を経営する中で、資金調達が必要となる場面は意外と多く、ビジネスを拡大させ経営を継続していくためには必要不可欠なことです。しかし、実際に資金を調達するとなると、どの程度のコストがかかるかご存じない方も多いのではないでしょうか?
資金調達には借り入れや増資などさまざまな方法があり、それぞれの方法で調達コストが異なっています。正確な資金調達コストを把握するためには、ファイナンス、会計に関する専門的な知識が必要です。
そこで今回は、資金調達コストに関してわかりやすくご紹介します。企業ファイナンスの基礎となるため、経営者の方は必見です。
資金調達コストとは
資金調達コストとは、文字通り「資金調達する際に必要になるコストのこと」です。
借り入れや増資などさまざまな資金調達手段があり、健全な経営を続けるためには、資金調達コストを正確に把握しておく必要があります。
またM&Aを行ううえでも、会社を買収するためには多額の資金が必要です。買い手は資金調達のコストを考慮しておかなければなりません。
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株主資本コストと負債コスト
会社が資金を調達する際のコストには、大きく分けて2つの方法があります。
1つ目は株主からの投資「株主資本コスト」、そして2つ目は銀行や金融機関等からの借り入れである「負債コスト」です。株主からのお金は「投資」と考えられ、銀行融資などの借り入れは「負債」と考えられます。
①株主資本コスト
はじめに、「株主資本コスト」について説明します。
「株主資本コスト」とは、株主から資金調達する際に必要になるコストをさします。具体的には、増資による資金調達のコストです。企業が株式を発行して調達する際に必要になります。
株主は、リターン(配当金) を期待して投資を実施しています。そのため、最低でも期待されている収益率を株主に分配する必要があります。
会社にとって株主に支払う分配は、資金調達に要するコストであると考えられるため、株主資本コストは株主が要求するリターン(要求収益率)と同じであると言えるのです。
ただし、一般的な中小企業の場合、株主資本コストは考慮しなくても問題ないでしょう。なぜなら、株主と経営陣が一致していることが多いからです。経営陣が株主である場合、ほとんどの中小企業では配当金を配りません。そのため、株主資本コストはかからないものであると言えます。
株主資本コストの計算方法
負債コストとは違い、株主資本コストに明確な数値は存在しません。なぜなら、株主ごとに要求する収益率が異なるからです。そこで、ビジネスの現場では、「CAPM」と呼ばれるモデルを利用します。
「CAPM」は、主にM&Aの企業価値評価(DCF法)に必要となる割引率(WACC)を計算する際に用いられるものです。株主資本コストを用いてWACCを計算し、そのWACCを用いてM&Aで必要となる企業価値を算出します。
「CAPM」では、下記の計算式によって株主資本コストを計算することができます。
- 株主資本コスト=リスクフリーレート+β×市場リスクプレミアム
リスクフリーレート
「リスクフリーレート」とは、投資する際のリスクがほぼ0の資産から得られる収益率です。具体的には、銀行預金や長期国債の収益率が該当します。
β(ベータ)
「β」は、その資産が市場の動きに対して、どの程度変動するかを表す数値です。「β」が大きいほど、リスクが大きいと言われています。
リスクプレミアム
「リスクプレミアム」とは、ある資産に期待していたリターン(配当金)から、無リスクで得られる収益率(リスクフリーレート)を差し引いた残りのことです。そのため、「リスクプレミアム」は、一定のリスクを負って得られる収益率とも言えます。
このように、株主資本コストの算出は非常に複雑で難しいものですが、中小企業の場合、基本的には株主資本コストは0であるため、使いこなせなくても問題はありません。
②負債コスト
次に、「負債コスト」について説明します。
「負債コスト」とは、銀行から借り入れをする際に発生するコストのことです。負債による資金調達では、ほぼ利子の支払いが発生します。よって、負債コストは、負債の利子率(支払利息の利率)となります。
「負債コスト」は、「株主資本コスト」とは違い、非常に簡単に算出することができます。そのため、多くの中小企業では、負債による資金調達を実施しており、「資金調達コスト=負債コスト」となるのが一般的です。
負債コストの計算方法
負債コストは、下記計算式によって計算できます。
- 負債コスト=支払利息の利率×(1−法人税率)
ここで注目したいのが「(1−法人税率)」の部分です。負債の利子支払い分は損金算入できます。損金算入すると、その分税金の支払いが減少します。
つまり、利子の支払い分だけ、節税の効果が生じるということです。資金調達コストを考える際は、節税効果を考慮する必要があるため注意しましょう。
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資金調達コスト(WACC)の算出方法
ここまでは、「株主資本コスト」と「負債コスト」の概要と計算方法について紹介してきました。先述した通り、会社が資金を調達したい場合は「株主資本コスト」と「負債コスト」によって資金を調達します。
しかし、資金調達コスト(WACC)を求める場合は、株主資本コストと負債コストを加重平均しなくてはなりません。
ここでは、資金調達コスト(WACC)の概要や計算方法を解説します。フリーキャッシュフロー(FCF:自由に使える資金)の計算にとって、非常に欠かせない概念です。しっかりと押さえておきましょう。
①資金調達コスト(WACC)
資金調達コストを考える際は、株主資本コストと負債コストの双方を考慮することが重要です。そこでビジネスの現場では、「WACC」と呼ばれる指標が用いられます。
「WACC」とは、株主資本コストと負債コストの加重平均します。加重平均とは、単純に数値を平均するのではなく、値の重み(=ウェイト値)を加味したうえで平均することです。従って、「WACC」とは各コストの重みを考慮した資金調達コストになります。
また、資金調達のコストを下げるためには、WACCを下げる必要があります。そのためには、負債の割合を増やす方法がベストです。ただしその分、倒産リスクが高まる点には注意しなくてはなりません。
もしくは、株主に対する情報伝達を工夫することも効果的です。投資するリスクが高いと判断されれば、株主資本コストも高まります。安心して投資できる会社だと証明できれば、資金調達コストを下げられる可能性があります。
②資金調達コスト(WACC)の計算方法
資金調達コスト(WACC)は、下記の式で計算できます。
- 資金調達コスト(WACC)={E×rE+D×rD×(1−t)}÷E+D
E=時価株主資本総額
株式の時価総額のことです。株価に発行済み株式数を掛けて算出します。
rE=株主資本コスト
「株主資本コスト」は負債コストとは違い、株主資本コストに明確な数値は存在しません。そのため、「CAPM」と呼ばれるモデルを利用します。
- 株主資本コスト=リスクフリーレート+β×市場リスクプレミアム
D=有利子負債総額
金利や社債クーポンを付けて返済しなければならない債務のことです。簡単に言うと、利子が付いている負債額のことをいいます。
rD=負債コスト
銀行融資や債権者からの借り入れに対して支払う利息のことです。つまり、負債コストは負債の利子率(支払利息の利率)となります。この利息は会社によって異なるため、当然利率の低い融資を選択すれば資本コスト自体も高額にはなりません。
t=実効税率
税金の負担額のことです。法人の所得金額に対する法人税、地方法人税、住民税、事業税の額の合計額の割合、つまり合計税率をいいます。損金として算入される税金を考慮し、基本的には40%で計算します。
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資金調達コストが安くなる調達方法
最後に、資金調達コストが安くなる資金調達方法をご紹介します。
- 増資
- 内部留保
- 負債の借り入れ
①増資
増資とは、新株発行によって資金調達する方法です。増資だけを行った場合、株主資本コストが資金調達コストとなります。つまり、株主の要求収益率の分だけコストがかかることになります。
②内部留保
内部留保とは、会社内に貯めてある利益のことです。つまり、会社の貯金のことをいいます。利益から法人税などの税金を支払い、その後の残りが内部留保となります。従って、法人税などの税金が内部留保に要する資金調達コストに該当します。
しかし、法人税などによって、2~3割の利益が失われるため、内部留保による資金調達に頼ることはあまり合理的ではありません。
③負債の借り入れ
最後に、負債の借り入れによる資金調達コストを考えて見ましょう。負債の借り入れのみを考えると、負債コスト(支払利息の利率)が資金調達コストということになります。
負債コストを計算する際は、利息支払いで生じる節税効果分を差し引くことができるため、負債コスト自体が低くなる傾向にあります。
仮に同じ金額を資金調達する場合は、増資よりも借り入れのほうが資金調達コストが安く済みます。一般的に、「負債の借り入れ」というとマイナスなイメージが持たれていますが、資金調達コストを考えると、最も有利な資金調達の方法ともいえるでしょう。
しかし、すべての資金調達を借り入れで済ませることはおすすめできません。なぜなら、借り入れを増やすほど倒産リスクも高まってしまうからです。当然ながら、支払利息が払えないと資金繰りは悪化してしまい、経営継続が困難となる可能性もあります。
資金調達をする際はさまざまな資金調達方法を併用するなど、リスクとリターンのバランスをとりながら、自社に合った方法を選ぶことが大切です。
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まとめ
今回は、資金調達コストについてご紹介しました。資金調達コストには、株主資本コストと負債コストがあり、双方を考慮する際にはWACC(加重平均資本コスト)を資金調達コストとして用いるのが一般的です。WACCを計算することで、設備投資やM&Aの意思決定の参考になります。
また、資金調達にはさまざまな方法があります。理論上は、負債による資金調達を行うことが最も資金調達コストを抑えられますが、負債のみに頼ると資金繰りが苦しくなる恐れがあるため、会社を経営していくうえではさまざまな資金調達方法を併用することをおすすめします。
要点をまとめると、下記になります。
・資金調達コストとは?
→資金調達する際に必要になるコストのこと
・株主資本コストとは?
→資金調達コストの1つで、株主から資金調達する際に必要になるコストのこと
・負債コストとは?
→資金調達コストの1つで、銀行から借り入れをする際に発生するコストのこと
・資金調達コスト(WACC)の算出方法
→資金調達コスト(WACC)={E×rE+D×rD×(1−t)}÷E+D
・資金調達コストが安くなる調達方法
→増資、内部留保、負債の借り入れ
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