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2019年11月25日更新
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事業承継における節税

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この記事の監修専門家
M&A総合研究所 公認会計士
高谷 俊祐

事業承継では、相続税や贈与税等の税金が課税されます。多額の税金によって、事業承継が妨げられる恐れもあります。この記事では、円滑な事業承継を実現する為の節税対策についてご紹介します。

目次
  1. 事業承継における節税
  2. 事業承継における節税の重要性
  3. 非上場企業の株価算定
  4. 事業承継の節税対策(生前贈与の活用)
  5. 事業承継の節税対策(株価の引き下げ)
  6. 事業承継の節税対策(事業承継税制の活用)
  7. まとめ

事業承継における節税

今後多くの中小企業は事業承継について考える機会が増えてくるかと思います。

事業承継は経営していた会社を後継者に受け継ぐ大事なイベントです。

全国的に経営者の高齢化が進行している現在、事業承継の重要性も相対的に高まっています。

事業承継を実施する際、避けて通れないのが「税金の支払い」です。

事業承継では、店舗や自社株式等様々な資産を後継者に受け継ぎます。

その際、相続税や贈与税などの税金が課されます。

この税負担によって、事業承継を円滑に進められない企業は少なくありません。

円滑な事業承継の為に、節税対策が不可欠です。

そこで今回、事業承継には欠かせない節税対策を詳しくご紹介します。

事業承継の節税にお悩みの方必見です。

事業承継における節税の重要性

⑴事業承継とは

事業承継とは、経営する会社を信頼出来る後継者に引き継ぐ行為です。

事業承継では誰に会社を引き継ぐかが重要となります。

一昔前までは、経営者の子供が家業を継ぐ形が一般的でした。

俗に言う「親族内承継」です。

しかし近年は、子供が親とは違う仕事に就くケースも増加してきました。

それに伴い、従業員や全くの第三者に事業承継する事例が、ポピュラーになりつつあります。

誰を後継者にするかによって、事業承継の対策や手続きが変わります。

その為、経営者は早い段階から後継者を決定するのが重要です。

後継者の決定は、節税と同じくらい重要と言っても過言ではありません。

また近年は、M&Aを用いた事業承継も活発化しています。

M&Aを活用することで、幅広い範囲から優秀な後継者を探せます。

加えて、経営者は多額の売却利益を獲得できます。

M&Aを用いて事業承継する際には、M&A仲介会社を起用するのが一般的です。

その際、事業承継型のM&Aに精通しているM&A仲介会社に業務を依頼しましょう。

上記が事業承継に関する基本的な知識です。

事業承継に対して幅広い選択肢を持つために、知識を持つことが大切です。

⑵事業承継で課される税金

「誰に」事業承継するのかによって、課される税金は全く異なります。

今回の記事では、親族に事業承継する場合に生じる税金についてご紹介します。

M&Aを活用する場合は、所得税や法人税が課されます。

M&Aを活用する場合でも当然節税の意識を持ちましょう。

「親族内承継」では、相続税もしくは贈与税が発生します。

経営者が健在のタイミングで株式を生前贈与する場合には、贈与税が課されます。

一方で経営者が亡くなってから株式を引き継ぐ場合には、相続税が課されます。

事業承継のタイミングによって、課される税金が異なります。

活用出来る節税対策は、基本的には同じです。

つまり今回の記事で紹介する節税対策は、親族内承継の全般に活用可能です。

※関連記事

事業承継とは?方法や事業承継税制・補助金、M&Aでの活用について解説

非上場企業の株価算定

節税対策をご紹介する前に、まずは前提知識をお伝えします。

相続税や贈与税は、引き継ぐ株式の価値によって決定します。

よって節税対策の効果を高める為には、自社の株価を把握する必要があります。

自社の株価が把握できたら、節税対策を効果的に設計できます。

節税する為には、「純資産」「配当金」「利益」のいずれかを減らします。

上記の要素を減らせば、株価が下落します。

株価が下落することで、支払うべき税額も減少します。

ここでは、節税に欠かせない非上場企業の株価算定手法をご紹介します。

非上場企業の株価算定は、三種類の手法に大別できます。

⑴類似業種比準法

類似業種比準法では、対象企業と類似する業種に属する上場企業を基準にします。

主に大会社の事業承継で用いられる算定手法です。

上場企業の株価変動に伴って、対象企業の株価も変動します。

上場企業の株価は、短期的に本来の企業価値と無関係に変動する場合があります。

その理由には、国際情勢や投機的な事情等があります。

その為この手法を用いる場合、若干正確性に欠ける株価が算出される可能性もあります。

類似業種と対象企業の下記3要素を参考に、株価を算定します。

  • 配当金
  • 利益
  • 純資産

その性質上、自社の利益や配当金、純資産の金額を減少させると、株価が下落します。

一方で増加させると、株価も上昇します。

⑵純資産価額法

純資産価額法では、対象企業の純資産を用います。

主に小会社の事業承継で用いられる算定手法です。

純資産のみで、簡単に株式価額を算定できます。

また類似業種比準法と比べ計算される株価は変動しにくいです。

何故なら、純資産は利益や株価と比べて変動しないからです。

基本的に純資産額は、経営期間が長い企業ほど多いです。

よって純資産価額法を用いる場合、経営期間の長い企業ほど株価は高くなります。

時価純資産から法人税等を差し引くことで、株式価額を算定できます。

⑶配当還元法

配当還元法では、対象企業の配当金に着目して、株式価額を算定します。

同族株主以外の人物が株式を受け継ぐ場合に、この手法を利用します。

簡単に言うと、事業承継の際、経営権を得ない人物が対象となる手法です。

正確に株価を算定する為には、配当金が変動しにくい必要があります。

配当還元法は、事業承継だけでなくM&Aでも活用されています。

M&Aの実務上では、「インカムアプローチ」と呼ばれます。

配当還元法では、「年間配当金」と「一株あたり資本金」を用いて株価を算出します。

年間配当金の計算方法は、国税庁が公表しています。

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事業承継の株価算定

事業承継の節税対策(生前贈与の活用)

ここからは、事業承継で活用できる節税対策をご紹介します。

まずは、生前贈与を活用した節税をお伝えします。

生前贈与を効果的に活用することで、節税対策に繋がります。

⑴計画的な生前贈与

生前贈与を計画的に行えば、贈与税を節税できる可能性があります。

年間110万円以内の生前贈与ならば、贈与税が非課税となります。

つまり毎年非課税での贈与を繰り返せば、贈与税を支払わずに事業承継を完了できます。

早く事業承継を完了させる為にも、株価が低いタイミングで贈与するのがベストです。

小規模かつ株価が低い会社では、この手法が絶大な節税効果を発揮します。

ただし贈与税の計算には、株式以外に贈与された財産も含まれます。

他の財産と合わせて110万円を超えると、贈与税が課されます。

生前贈与を節税に役立てる時には、この点に注意しましょう。

⑵相続時精算課税制度の活用

相続時精算課税制度とは、贈与税の課税制度の一つです。

贈与税の課税方法には、暦年課税と相続時精算課税の二種類あります。

暦年課税とは、年間110万円以上の贈与を行う場合に、贈与税が発生する制度です。

一定金額ごとに税率が上昇する点が特徴です。

一方で相続時精算課税とは、年間2,500万円まで贈与税が発生しない制度です。

2,500万円を超えた場合、金額に関係なく20%の贈与税が発生します。

この制度を活用すれば、贈与税の負担を軽減した上で、事業承継を実施できます。

その為相続時精算課税は、事業承継の節税対策として活用されています。

ただしこの制度を節税対策として使う際、一点注意する必要があります。

生前贈与分の金額が、相続税の計算に加えられる点です。

とはいえ暦年課税と比べると、最終的な節税効果は高いです。

事業承継の節税対策(株価の引き下げ)

事業承継の節税対策として、「株価の引き下げ」は非常に効果的です。

前述の通り、株価を引き下げるとその分節税に繋がります。

節税に直結する為、事業承継時は株価を可能な限り下げるのがベターです。

⑴生命保険への加入

生命保険への加入は、事業承継の節税手法として昔から活用されてきました。

他の資産と同様に、生命保険にも資産価値があります。

生命保険の資産価値は、保険解約時に手元に戻る金額(解約返戻金)となります。

日本では、初年度の解約返戻金が0円に設定されている保険が多いです。

長く加入している程、解約返戻金の金額が多くなる仕組みです。

事業承継では、このシステムを利用して節税します。

まず初めに、高額な生命保険に加入します。

その時点では、生命保険に支払った金額分、会社の資産が減少します。

何故なら加入時点では、生命保険の価値はゼロだからです(初年度の解約返戻金が0円の場合)。

資産が減少すれば、前述した通り株価は下落します。

下落したタイミングで事業承継を行えば、本来支払うべき税金を節税できます。

何故なら株価が下落すれば、その分税金の支払いが減るからです。

上記の通り生命保険を利用すれば、大幅な節税を見込めます。

⑵役員退職金の利用

経営陣への退職金も、事業承継の節税に役立てられます。

役員退職金を経営陣に支払えば、その分利益額が減ります。

利益が減ることで、非上場企業の株価も下がります。

結果として、節税した上で事業承継を実行できます。

また役員退職金を利用すれば、節税以外にもメリットがあります。

それは、役員退職金を事業承継の納税資金に出来る点です。

節税だけでなく納税資金の工面も出来るので、まさに一石二鳥の対策法です。

自身への労いの意味でも、この節税方法は是非とも活用してください。

⑶不動産購入

実は不動産購入も、事業承継に役立つ節税方法の一つです。

何故なら現金を不動産に変える事で、財産の評価額が減少するからです。

課税資産額の減少に伴い、節税効果を期待できます。

また、賃貸住宅等の不動産購入によっても、節税が期待できます。

詳しい説明は省略しますが、賃貸住宅は時価の6〜7割の価値で評価されます。

それに伴い、現金で保有する時と比べて、帳簿上の純資産額が減少します。

上記の理由から、賃貸住宅の購入は事業承継の節税に効果的です。

ただし、むやみに不要な資産を購入するのはオススメ出来ません。

購入後全く使わなければ、お金を無駄にしたことと同じです。

後から売ろうと思っても、購入時よりも安く売却するケースが殆どです。

よって、本業に関係のある不動産購入がベストです。

事業承継の節税だけの為に、不動産を購入することはオススメ出来ません。

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相続税の節税

事業承継の節税対策(事業承継税制の活用)

節税対策としてポピュラーなものが、「事業承継税制の活用」です。

従来も節税対策として、効果を発揮してきました。

ですが今年の税制改正により、中小企業にとって更に使いやすい制度となりました。

事業承継を実施する方には、この制度について知っておくのをオススメします。

⑴事業承継税制とは

事業承継税制とは、未上場株式を相続等により承継した際に、贈与税・相続税の納税が猶予される税制度です。

中小企業の事業承継をサポートする為に作られた制度です。

先述した通り、事業承継では多額の相続税や贈与税が発生します。

様々な節税対策を試しても、どうしても税負担を軽減できない場合があります。

行き過ぎた節税は、「脱税」になる危険性もあります。

よって、通常の節税対策では限界があります。

そんな時事業承継税制を活用すれば、税金の支払いを猶予できます。

事業承継税制の活用は、いわば究極の節税方法とも言えます。

⑵節税できる範囲

事業承継税制の活用は、納税を先延ばしできる「究極の節税方法」です。

では一体、どの程度の節税効果が期待できるのでしょうか?

条件さえ満たせば、引き継ぐ全株式について、贈与税と相続税共に100%の納税猶予を受けられます。

つまり、事業承継の際に全く税金を支払わずに済みます。

「究極の節税方法」と言ったのはこの為です。

しかし実は、平成30年度の税制改正によって便利な制度になりました。

それまでは議決権株式総数のうち、3分の2までしか納税猶予を受けられませんでした。

加えて相続税は、80%までしか猶予が許されていませんでした。

ですので、事業承継の節税対策としては、いささか不便な制度でした。

今回の税制改正は、中小企業にとって追い風となるものでした。

事業承継を迎える方は、節税の一環として積極的に制度を活用しましょう。

⑶事業承継税制の利用条件

節税手段として効果的な事業承継税制ですが、利用するには条件があります。

利用条件は大きく分けて、「会社」と「先代・後継者」の二種類の条件があります。

①会社に関する条件

会社に関する条件とは、事業承継を実施する企業が満たす条件です。

会社に関する主な条件は下記になります。

  • 総収入金額がゼロではない
  • 常時雇用の従業員が1人以上
  • 資産運用会社ではない
  • 風俗関連事業を行う会社ではない
  • 不動産管理会社ではない
  • 経営承継円滑化法上の中小企業者
  • 中小企業基本法の中小企業である

上記以外にも、様々な条件があります。

つまり、しっかりと事業を運営している中小企業であるのが条件です。

②先代・後継者に関する条件

先代・後継者に関する条件とは、事業承継の当事者(先代経営者・後継者)が満たす条件です。

先代・後継者に関する主な条件は下記になります。

  • 先代が代表者である
  • 後継者が代表者になる
  • 先代が筆頭株主である
  • 後継者が筆頭株主になる

上記以外にも、様々な条件があります。

簡単に言うと、先代経営者と後継者の双方が、経営の実権を握っている(握る)のが条件です。

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事業承継に関する税制改正

まとめ

今回は、事業承継で重要な節税についてご紹介しました。

事業承継では、相続税や贈与税など様々な税金が課されます。

税負担の重さから、円滑な事業承継を実行できない企業は少なくありません。

よって事業承継を行う上で、節税対策は不可欠です。

事業承継では、様々な節税対策を活用できます。

制度の隅を突く節税対策や、納税猶予を利用する節税対策など多種多様です。

多様にある節税対策から、自身に合った節税対策を活用するのがベストです。

ただし、事業承継で用いる節税手法には、専門知識が必要となります。

自力で活用するのが難しい節税手法もあります。

税理士等の専門家に力を借りた上で、節税対策を実行することがオススメです。

また節税対策も含め、事業承継には時間と手間がかかります。

その為、早い時期から計画的に事業承継を進める必要があります。

後継者の決定や会社の磨き上げ等、事業承継ではやるべき業務が山ほどあります。

後から慌てない為にも、今すぐからでも事業承継を意識して準備しましょう。

要点をまとめると下記になります。

  • 事業承継とは

→経営する会社を信頼出来る後継者に引き継ぐ行為

  • 事業承継で課される税金

→相続税や贈与税

  • 非上場企業の株価算定

→類似業種比準方式、純資産価額方式、配当還元法

  • 事業承継の節税対策(生前贈与の活用)

→計画的な生前贈与、相続時精算課税制度の活用

  • 事業承継の節税対策(株価の引き下げ)

→生命保険への加入、役員退職金の利用、不動産購入

  • 事業承継の節税対策(事業承継税制の活用)

→一定条件を満たせば、相続税・贈与税の納税が猶予される

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