2022年9月27日更新事業承継

事業承継の成功・失敗事例10選!要因、対策も徹底分析

事業承継は会社や事業を存続させるために必要な工程ですが、必ずしも成功するとは限りません。後継者不足や経営状況などが課題となり、事前準備を怠ると失敗に終わるケースもあります。本記事では、事業承継の特徴・成功するためのポイントなどを分析します。

目次
  1. 事業承継の成功・失敗を分ける手法
  2. 事業承継の成功・失敗事例10選!
  3. 事業承継に成功・失敗した会社の特徴
  4. 事業承継に失敗した会社の末路
  5. 事業承継の成功と失敗を分けた対策
  6. 事業承継の失敗を避けるための計画的な流れ
  7. 事業承継の失敗を避けるための相談先
  8. 事業承継の成功・失敗事例まとめ

事業承継の成功・失敗を分ける手法

事業承継とは、会社や事業の経営を後継者に引き継ぐことです。経営者の高齢化とともに経営力も落ちることが多いので、適切なタイミングで次世代に事業承継する必要があります。中小企業は経営者の経営手腕やリーダーシップに牽引される傾向が強いため、次の経営者が誰になるかによって事業承継の成功率が大きく変わるのです。

事業承継の手法は引継ぎ先によって3つに分類されます。この章では、各手法の特徴やメリット・デメリットを解説します。

  1. 親族内事業承継
  2. 親族外事業承継
  3. M&Aによる事業承継

親族内事業承継

親族内事業承継とは、親族に引き継ぐ方法です。配偶者・親子・兄弟姉妹などの親族関係がありますが、基本的に親から子への事業承継が多く見られます。親族内事業承継のメリットは、後継者育成の時間を確保しやすいことです。早期から経営者の傍で実務経験を積ませれば、経営者に求められる経験・スキルを養えます。

デメリットとしては、後継者に相応しい人材が見つからない可能性があることです。後継者候補を見つけても事業を承継する気がなかったり、経営者としての素質が足りなかったりするなどの理由で、事業承継が難航することもあります。

親族外事業承継

親族外事業承継は、親族以外の人材に引き継ぐ方法です。社内の役員・従業員を対象とすることが多く、最終的に親族に引き継がせるつもりで一時的に役員・従業員に経営を任せるケースもあります。

親族外事業承継のメリットは、後継者候補の選択における幅が広がることです。親族内事業承継は親族のみを対象としていますが、親族外事業承継は社内から適格者を選抜できるほか、必要であれば社外から招へいもできます。

デメリットは個人保証の引継ぎが難航しやすいことです。融資を受ける際、提供している個人保証も引き継がれるのが一般的ですが、親族外事業承継の場合は債権者である金融機関から承認を得られにくい問題があります。

M&Aによる事業承継

M&Aによる事業承継は、第三者に引き継ぐ方法です。親族や従業員などの身近な存在ではなく、関わりのない相手から買い手を探して会社・事業を引き継ぎします。M&Aによる事業承継のメリットは、創業者利益を獲得できることです。第三者への事業承継なので有償譲渡になり、会社・事業の価値に応じた売却益を獲得できます。

デメリットは、M&Aの相手を探す難易度の高さです。前述した2つの方法と比べると探索範囲が飛躍的に広がるため、相応のネットワークがなければ満足なM&A先の選定を行えません。ネットワークに関しては、日常的にM&A・事業承継に携わる専門家を頼る方法が有効です。M&A仲介会社などは高い専門性を有するので、特におすすめの相談先です。

【関連】事業承継の方法| M&A・事業承継の理解を深める

事業承継の成功・失敗事例10選!

事業承継を計画どおりに実行して成功する会社もあれば、準備不十分で失敗する会社もあります。この章では、事業承継の成功・失敗事例を解説します。

  1. 製造・小売業の親族内事業承継【成功】
  2. 機械製造業の親族内事業承継【成功】
  3. 電気工事業のM&Aによる事業承継【成功】
  4. 光学機器製造業の親族内事業承継【失敗】
  5. 事業承継の準備不足・社長が病気に【失敗】
  6. 経営者の急死により相続争いが勃発【失敗】
  7. 事業承継が親族トラブルに発展【失敗】
  8. 事業承継後も会長が経営権を渡さない【失敗】
  9. 後継者探しが進まない【失敗】
  10. 派閥争いが原因で資金が流出【失敗】

①製造・小売業の親族内事業承継【成功】

本事例は、代表者の高齢化をきっかけに親族内承継を実施したものです。親族内の後継者候補に恵まれたため順調に準備を進めたものの、事業の成長性や財産面の発展があまりみられないことに漠然とした不安を抱えていました。

専門家を交えて協議した結果、今後のスムーズな経営の継続には、経営ビジョン・コンセプトの明確化が必要不可欠という判断に至り、中期経営計画の策定を行います。綿密な計画を立てるうえで抱えている課題や取り組むべき事項が明らかになり、事業承継をスムーズに進めることに成功しました。

②機械製造業の親族内事業承継【成功】

本事例の後継者は、大学卒業と同時に父親が経営する機械製造会社に入社しました。入社から20年経過し、専務取締役で経理・財務以外における事業の大半を引き継いでいます。入社段階から後継者としての自覚を持ち、技術面ではなく現場周り・営業・管理などの営業面を重視して経験を積んでいます。

後継者は父親に対し経営者として尊敬の念を抱いており、コミュニケーションが円滑だったことも好材料でした。20年の歳月をかけて経営者としての経験・スキルを積み、見事に事業承継を成功させています。

③電気工事業のM&Aによる事業承継【成功】

本事例は、地域に根差した電気工事業のM&Aによる事業承継を実施したものです。経営者は82歳の高齢と健康面が不安でしたが後継者不在のため、M&Aによる事業承継を決意します。事業展開を地元地域に特化したこともり、地域内の信用度・ブランドは強固に構築しており、金融機関からも高い信用を獲得している強みがありました。

M&Aによる事業承継はM&A先の選定がハードルになりがちですが、高い評価を得ていたことから該当地域への進出を目指していた大手電機工事業の目に留まり、M&A交渉や契約が円滑に進んで無事に成約に至っています。

④光学機器製造業の親族内事業承継【失敗】

本事例は、光学機器の企画・開発・販売を手掛ける会社が親族内事業承継を実施したものです。後継者は自分の世代で経営方針を転換することを目指していましたが、残念ながら叶いませんでした。

後継者は大学の希望した学部に入れず、研究者の道を目指せなくなったので事業を引き継ぐことを決めます。しかし、元々は家業を継ぐことに抵抗感を感じていたこともあり、社内の幹部や社員との交流は図っていませんでした。

また、父親(現経営者)との間で経営的視点における意見の食い違いが度々起き、事業承継後の経営にも歪みが生じてしまいます。業績の悪化こそしませんでしたが、後継者が思い描いていた計画とはかけ離れた結果となりました。

⑤事業承継の準備不足・社長が病気に【失敗】

社長が健康面の不安により、役員をしていた弟へ代表権を委ねました。しかし、弟も同様に健康面の不安を抱えてしまいます。そして、業績が下がったタイミングと経営者の健康が悪くなったタイミングが重なり、適した経営の判断が行えない状況となったのです。親族にはほかに後継者がおらず、事業の存続が難しくなりました。

対策

この失敗事例は、事業承継の準備不足が要因です。準備をせずに突然事業承継のタイミングとなれば、相続人も従業員も混乱します。経営者が健康でも、ある程度の年齢になれば、事前に事業承継の準備を始めなければなりません。

⑥経営者の急死により相続争いが勃発【失敗】

多くの自社株式や事業用の不動産などを有する経営者が、急に亡くなってしまいます。遺言書はなく、法定相続人は長男の現社長と、経営に関与していない親族と反りが合わない次男の2人です。

長男である社長は、亡くなった経営者における遺産の全事業用不動産を相続することを提案します。しかし、次男は反対し、法定割合の遺産分割を主張して相続争いとなります。遺産分割の協議はスムーズにいかず、次男にも事業用不動産を相続することになり、次男は相場より高値で不動産の買い取りを長男に要求しました。

対策

この失敗事例は、⑤の事例と同じく事業承継の準備不足から生じています。想定外のことを避けるには、前もって準備を行うことが欠かせないのです。経営者が元気でも、突然亡くなることはあり得ます。相続人や従業員の混乱を避け、適切な経営判断を行うためにも、健康なうちから事業承継の準備を開始してください。

⑦事業承継が親族トラブルに発展【失敗】

経営者である父は、引退するときに長男へ経営権、ほかの会社に勤める次男へは株式の一部を相続しました。長男が会社を運営しますが、会社の業績が悪くなり長男は業績の改善に追われます。しかし、経営にはかかわらない次男は配当の要求を継続し、会社は業績を改善できず経営ができなくなりました。

対策

この失敗事例は、事業承継後のトラブルです。経営にかかわらない親族へ株式を保有させると、上記のトラブルや経営状況を把握していないのに経営へ口を出すなどのトラブルが生じます。兄弟でも、各社会的立場が違う場合は、はっきりと線引きしてください。トラブルを避けるためにも、親族間の事業承継は慎重に行いましょう。

⑧事業承継後も会長が経営権を渡さない【失敗】

先代の社長が高齢となり、子どもへ事業承継します。先代の社長は会長となりましたが、社長となった子供へ会社の経営権を渡す気がありません。株式の過半数も所有した状態です。会長が実権を渡さないため、社長は思いどおりの経営ができず不満が高まってしまいます。その結果、会長と社長が対立してしまい、社員は混乱して業務に支障が生じる状況となりました。

対策

この失敗事例は、会長の緊密なコミュニケーションが解決するための対策です。先代が実権を渡さないことが、失敗原因となっています。先代は、後継者を信じ任せることが後継者の育成と考えなければなりません。また、後継者は、事業承継に伴い経営権を渡してもらうよう先代としっかり話し合い、事業承継を進める必要があります。

⑨後継者探しが進まない【失敗】

現経営者は、長男を後継者に据えたいと考えていました。しかし、長男には経営者になる気がないと断られます。社内には、ほかに後継者に適した人がいないため、事業承継したくてもできずに困ってしまった失敗事例です。

対策

後継者がいない問題に対して、さまざまな対策があります。後継者を親族や従業員から探すのではなく、国が全国に設置している事業承継・引継ぎ支援センターなどで、マッチング支援を受ける方法などがあります。公的支援を利用し、第三者への承継も選択肢に入れましょう。

⑩派閥争いが原因で資金が流出【失敗】

経営者の父は、長男と次男へ株式の保有をさせていました。その後、長男は社長、次男は専務として事業承継しますが、実際には次男が会社の成長における力となっていたのです。

それにもかかわらず、前経営者の父は長男を後継者として社長に選んだため、次男は反発して派閥争いが生じました。次男は会社を辞め、保有株式の買い取りと退職金を要求したので、会社における多額の資金が流出してしまいました。

対策

強引に後継者を選択すると、トラブルにつながります。特に株式を有する人へは、慎重に対応しましょう。後継者の候補が数人いる場合は、派閥争いが生じないよう配慮することも重要です。

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事業承継に成功・失敗した会社の特徴

事業承継は成功する会社がある反面、失敗に終わる会社も多いです。過去に事業承継を実施した会社はいくつかの共通する特徴があるので、事業承継前に把握すれば成功率の向上を図れます。

事業承継に成功する会社の特徴

成功者の特徴は積極的に学んで実践しましょう。特に大きな影響を及ぼすと考えられる特徴は以下の3つです。

  1. 財務や税務上の問題、事業承継の課題を知っている後継者を選ぶ
  2. 後継者に事業承継後の問題や課題に取り組む意欲がある
  3. 従業員や取引先、顧客などに事業承継の理解を得る

①財務や税務上の問題、事業承継の課題を知っている後継者を選ぶ

事業承継は会社の株価総額や事業用資産の価値に応じた納税義務が課されるため、財務・税務の知識が必要不可欠です。相続税・贈与税の節税対策には、自社株の評価引き下げなどがあります。役員退職金やオペレーティングリースで赤字計上するなどして、あえて企業価値を引き下げて税金負担を軽くする方法です。

また、事業承継税制を活用して猶予・免除措置を受けられます。従来の制度は要件のハードルが高く利用件数も限定的でした。しかし、平成30年の改正で要件が大幅に緩和されて活用しやすい便利な制度に生まれ変わっています。

後継者が取り組むべき事業承継の課題は、税務問題にもさまざまなものがあります。これらの課題を正しく認識して取り組める後継者であれば、事業承継も成功しやすいでしょう。

②後継者に事業承継後の問題や課題に取り組む意欲がある

事業承継は現経営者の主導で進められますが、後継者側にも強い意志が求められます。事業承継後の問題や課題に対して取り組む意欲があれば、事業承継が成功する可能性は飛躍的に上がります。

親族へ引継ぎの場合、後継者に強い意思がなくても候補に挙げられることが多いですが、準備を妥協して曖昧なまま進めると後悔することになりかねないので、取り組む意欲の確認は不可欠です。

具体的な例としては、各種制度の統合や経営管理体制の再構築などがあります。事業承継する企業は、新たなリーダーのもとで再出発するので、後継者における経営者の素質を選定段階で見極めることが大切です。

③従業員や取引先、顧客などに事業承継の理解を得る

事業承継で経営者が変わることに関して、従業員・取引先・顧客に報告することも大切です。事業承継の手法や後継者候補が決まった時点で、順番に顔どおしを行えばスムーズに進められます。

後継者を社内の役員や従業員から選んだ場合、社内で派閥争いが勃発する恐れもあります。一定の競争意識は大切ですが、度を過ぎると悪影響になるので理解を得やすい人材を選ぶとよいでしょう。

取引先・顧客に関しては、中小企業の場合は経営者との個人的な付き合いから、取引を継続している場合もあります。知らせや通知を徹底すれば契約を打ち切られにくくなり、事業承継も結果的に成功しやすくなります。

事業承継に失敗する会社の特徴

成功ポイントを意識することも大切ですが、失敗部分に着目し反面教師として生かすことも可能です。多く見受けられる特徴には以下があります。

  1. 事業承継問題の解決を外部や他人頼みにする
  2. 事業承継や会社運営に対する後継者と経営者の考え方に違いがある
  3. 後継者の育成に取り組んでこなかった
  4. 後継者に株式を集中させられない
  5. 理念を承継できていない
  6. 相続問題が生じている
  7. 経営者の過干渉が見られる
  8. 事業承継前に経営者の体調不良が発生している
  9. 納税資金を確保できていない
  10. 社内分裂が起こっている

①事業承継問題の解決を外部や他人頼みにする

事業承継は大きな問題なので、事業承継の専門家によるサポートを受けながら進めることが一般的ですが、すべての進行を任せてしまうと理想的な事業承継を実現しにくくなり、失敗につながる可能性が高まります。

特に後継者に関しては、それぞれの価値観や得意・不得意分野があり、事業内容や現経営者の思いにかかわらず、後継者自身が主体的に自身の強みを発揮する方法を探らなければ、モチベーションを維持するのは難しいでしょう。

会社や経営者・後継者の事情を考慮したうえで綿密に計画を立てなくてはならないので、関係者一人ひとりが当事者意識を持って取り組むことが求められます。

②事業承継や会社運営に対する後継者と経営者の考え方に違いがある

後継者と経営者の考え方に違いがあると、事業承継の前と後のギャップが埋まらず、従業員がついてこれないおそれがあります。もちろん保守的な考え方だけでは企業成長を図れないので、運営方針における多少の転換なども必要ですが、従業員の反発を生み退職が相次ぐと経営や事業に悪影響がでるのは必至でしょう。

運営方針における転換の影響は、社内にとどまらず取引先に及ぶこともあります。取引・契約の打ち切りを回避するため、事業承継後における会社運営の方針に関してある程度の共有化を図ることが大切です。

③後継者の育成に取り組んでこなかった

後継者不足は、事業承継で最も深刻化している問題です。経営者の高齢化以外にも、不慮の事故や病気で事業承継の必要に迫られ、突然の事態に対応できない企業も少なくありません。

経営者の育成に要する期間は5~10年間といわれ、早期に着手しなければ間に合わないケースが多いです。現経営者が若く健康体でも、後継者育成は進める必要があります。

後継者が習得するべきことは、企業独自の経営理念・方針の理解や、環境変化に対応するための経営実務などです。社内の各部門や責任のある役職を付けるなど、さまざまな経験を積ませることで育成を進めることができます。

社外教育の点では、他社勤務や子会社・関連会社で経営実務を経験させるなどもよい方法です。能力・スキルが試されるので、経営者としての資質を見極める場としても活用できます。

【関連】後継者育成とは?課題、準備、育成のポイントを解説!| M&A・事業承継の理解を深める

④後継者に株式を集中させられない

後継者に一定数の株式を集中させないことが原因で、経営者が議決権を行使できない場合も多く見られます。円滑な経営判断が困難になってしまうほか、派閥争いに発展するケースも少なくありません。場合によっては、和解金の支払いなど余計な費用が発生してしまうリスクも伴います。

⑤理念を承継できていない

特に外部の人材が後継者となった場合、理念の承継が非常に大切です。顧客・取引先・従業員の中には、経営理念に共感している人も多くいます。経営理念が踏襲できないと顧客が離れてしまい、収益が減少したり従業員の離職につながったりするおそれがあります。

⑥相続問題が生じている

親族内承継を行う際は親族を後継者とするケースが多いですが、このときに相続人が複数人いると相続問題に発展します。場合によっては、後継者に経営権を握らせることが困難になってしまい、事業の存続が危ぶまれます。

⑦経営者の過干渉が見られる

前経営者が事業承継後も会社経営に干渉してくる場合、事業承継が失敗してしまうおそれがあります。後継者は自身の意思決定を行えず、従業員から信頼を失ってしまうこともあります。

⑧事業承継前に経営者の体調不良が発生している

事業承継前に経営者が体調不良になってしまうと、その後の事業承継が進まなくなるおそれがあり、業績が悪化してしまうケースがあります。事業計画を策定できず、従業員から反発を受けて大量離職につながるケースも少なくありません。

⑨納税資金を確保できていない

準備・対策を講じていないと、相続税の納付資金を確保できず、事業承継の失敗につながってしまうおそれがあります。

⑩社内分裂が起こっている

親族争い・派閥争いを発端に社内分裂が発生することで、事業承継の失敗につながります。事業承継時に社内が分裂してしまい、大量離職が起こるリスクもある点に注意してください。

事業承継に失敗した会社の末路

この章では、事業承継に失敗した会社はどのようになるのか解説します。

廃業

廃業は、最も避けたい事態です。事業承継を行いたい理由に、業績の改善を挙げる経営者が少なくありません。うまくいけば期待したシナジー効果で、事業拡大につながります。

一方、事業承継がうまくいかなかったり見込んだ相乗効果が表れなかったりすると、事業の衰退を生じる可能性があります。成長させてきた事業の廃業は、経営者にとって避けたいものです。良い事業承継先を見つけて事業を継続させましょう。

業績悪化

廃業にならなくても、業績が悪くなることがあります。事業承継を業績改善のために行ったケースでは、後継者の手腕や承継時期により、期待どおりにいかないことも少なくありません。準備不足は、事業承継がうまくいかない一番の要因です。事業承継の準備には時間がかり、勢いだけで動き出すと、むしろ業績が悪化し続けることもあります。

人材の流出

事業承継の失敗で、人材が流出することも考えられます。従業員が離職する理由はさまざまあり、経営者の変更で経営方針が変わり、新しい経営方針に賛成できないケースなどがあります。経営者が代わり次第、急な社内改革を進めた結果、従業員が混乱して退職者が増えたケースも少なくありません。

事業承継による業績悪化のため人件費が削られ、退職を決める従業員もいます。人材は会社の重要な財産なので、人財に見放されると事業の生産性が下がります。事業継続には、人材の流出を防がなければなりません。

資金繰りの難化

事業承継が失敗すると、資金繰りが難化することもあります。事業の業績不振が続くと、金融機関から融資を受けられなくなります。そうなれば、事業承継によるシナジー効果などは生じません。

資金繰りが困難となる理由に、後継者が「融資を金融機関から受けようとしたけど事業内容の説明がうまくできなかった」といった知識不足も挙げられます。小さな原因が事業承継の失敗につながらないよう、綿密に計画することが大切です。

事業承継の成功と失敗を分けた対策

事業承継の成功や失敗事例は、ある程度パターン化できます。共通する特徴やパターンを見極めれば自社の事業承継に活用できるので、ここでは成功と失敗を分ける対策を解説します。

  1. 計画的に準備したこと
  2. 引退後のプランを決めていること
  3. 後継者の意思確認を丁寧に行っていること
  4. 事業承継計画を綿密に作成しておくこと
  5. 税金対策をしておくこと

計画的に準備したこと

事業承継の成功事例で見られる共通点は、十分な事前準備が行われていることです。後継者育成に関して準備の行い過ぎはなく、計画性があるほど事業承継の成功率を高められます。そのため、集中的に取り組みたい分野です。

用いる手法によっては遺産分割問題もあります。相続人の間で遺産分配による株式の分散が起こり、後継者に経営権を集中できないことがあるので、事前に相続人の間で話し合いを済ませましょう。

税金対策が不十分の場合、事業承継後の事業資金を確保できずに経営が傾くおそれもあります。優良な企業ほど企業価値が高く評価されるので、税金対策の準備も進めなくてはなりません。

そのほかにも準備することは多いです。準備不足のまま見切り発車で事業承継を実施すると、社内のガバナンス機能の低下や、取引先とのコミュニケーション不足などの事態に陥る可能性があります。

引退後のプランを決めていること

事業承継の計画策定段階では企業の行く末ばかりに気が取られがちですが、経営者の引退後の生活も考える必要があります。生活資金や引退後の収入源など、具体的にイメージすることが大切です。

中小企業の場合、全ての業務を一度に引き継ぐと後継者の負担が大きくなるため、事業承継後も企業に残るケースが多いです。その場合は勤務が継続して一定の収入を確保できるので、生活資金や収入源の心配はありません。

完全に引退する場合の主な収入源は公的年金です。望む生活レベルによっては足りないこともあるので、早期から金融資産の構築などを進めましょう。

健康体で元気な経営者の場合、隠居生活に耐えられないケースも見受けられます。人とのつながりがなくなったことや時間を持て余していることに不満が募り、働きたい気持ちが強くなることもあるため、セカンドキャリアの計画を立てると安心です。

後継者の意思確認を丁寧に行っていること

事業承継の際に最も重要といえるのが、後継者の意思をきちんと確認することです。後継者は、前任の経営者が培ってきた事業を継続して発展させ、従業員の生活も守らなければなりません。

適当な決意では後継者として任せられないため、経営者として事業を続ける必要について伝え、本人の意思確認を丁寧に行うことが大切です。意思を確認したら、時間をかけて引継ぎを実施します。後継者を養成するケースもあるので、長期的な計画を立てましょう。

事業承継計画を綿密に作成しておくこと

事業承継計画書とは、中小企業がスムーズな事業承継を実現できるよう中小企業庁が推奨する計画書をさします。後継者と事業方向性などの認識をすり合わせるのに有用な書類です。事業承継計画を綿密に作成すれば、突然事業承継しなければならない状況になっても、計画がないケースより円滑な事業承継が行えます。

税金対策をしておくこと

事業承継には贈与税や相続税が必要なこともあり、税金対策をしなければ、納税で資金がなくなってしまい事業承継に失敗することも考えられます。相続時精算課税制度、不動産購入による自社株の評価額引き下げ、などの節税対策を事前にチェックしましょう。

親族間での相続で事業承継をする際は、相続税がかかります。そのため、相続税対策も必要です。相続では親族内のトラブルが生じることもあるので、事業に影響が出ないよう前もって親族間で話し合う場を設けるとよいでしょう。

【関連】事業承継の課題と解決方法| M&A・事業承継の理解を深める

事業承継の失敗を避けるための計画的な流れ

円滑に事業承継を進行するには専門家のサポートを受けつつ早期に準備を始め、実行までのスケジュールを立てて堅実に進めることが大切です。

  1. 事業承継の準備
  2. 経営状況や経営課題をリストアップ
  3. 経営改善の実行
  4. 事業承継計画を練る
  5. 事業承継やM&Aを実行する

①事業承継の準備

1つ目の流れは、準備に取り掛かることです。準備する内容や準備する必要性などを改めて認識し、方針や取り組み方を決定します。後継者育成をする場合は5~10年はかかるので、経営者が遅くとも60歳には育成に着手しなければなりません。

しかし、早期着手といっても何から手を付けていいかわからないことも多いです。経営者が1人で抱え込むと事業承継が成功する望みは薄くなるので、外部の専門家に頼りましょう。

②経営状況や経営課題をリストアップ

円滑な事業承継を実現させるためには、経営状況・経営課題をリストアップして見える化することが重要です。現状の把握により事業の成長性における確認や利益を確保する仕組みの見直しを図れるので、企業成長につなげられます。

見直しは、財務の専門家や金融機関などに協力を仰ぐと成功率が高まります。事業承継は取り組むべきことが多いので、1人で抱え込みすぎないよう注意が必要です。

③経営改善の実行

親族内承継の場合、多額の納税を嫌うあまり、事業と無関係な資産の購入など過度な節税を実施してしまうケースも多いです。こうした施策は企業の事業継続や成長に相反することが多いので、経営改善と両立させにくいデメリットがあります。

改善点を浮き彫りにして、できるだけ良好な状態で引き継ぐことを意識しなくてはなりません。業務改善や経費削減に留まらず、商品・製品のブランド価値や優良な取引先・顧客との関係構築の改善に努めると事業承継が成功しやすくなります。

④事業承継計画を練る

自社の状況把握と改善を図り事業承継の準備が完了したら、次は会社の未来を見据えて、いつ誰にどのような形で承継するのか、具体的な事業承継計画を練る必要があります。ケース次第ではM&Aでの企業存続を決断せざるを得ない状況もあるため、さまざまな状況に対応できるように多角的な視野を持って計画しなくてはなりません。

練られた計画は経営者が認識するだけではなく、計画書として書面化しましょう。事業承継を進めるうえでは外部専門家とのやり取りも行われるので、書面化すれば内容を共有しやすいです。

⑤事業承継やM&Aを実行する

ここまでの流れで把握した課題の解消や改善を図りつつ、計画内容に沿って自社株や資産の移転に着手します。実行の際は計画段階で予期できない事態が発生することもあるので、状況の変化を踏まえながら随時計画内容を修正し臨機応変に対応しましょう。

税務や法務などで専門的な知識が求められる場合は、専門家に協力を依頼すると事業承継が成功しやすくなります。

【関連】事業承継マニュアル| M&A・事業承継の理解を深める

事業承継の失敗を避けるための相談先

事業承継の成功ポイントは、どれくらい綿密に計画を立てられるかです。計画段階ではさまざまな状況を予測する必要もあるため、事業承継の専門家からサポートを受けるとよいでしょう。

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事業承継の成功・失敗事例まとめ

成功を収めている会社は共通の特徴が見られるので、大いに参考になります。事業承継の際は、意識改革やM&Aの決断など、取り組むべき事項が多いです。とにかく時間を要するので、可能な限り早い段階で着手することが望ましいです。専門家などの協力を受けつつ計画的に進めれば、成功させやすいでしょう。

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