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2019年12月10日更新
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事業承継ファンドの活用とメリット・デメリット

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この記事の監修専門家
M&A総合研究所 公認会計士
高谷 俊祐

事業承継ファンドを活用すれば、事業承継問題は解決可能です。事業承継ファンドの概要をはじめ、活用方法、メリットとデメリットなどについて紹介します。加えて、事業承継ファンドの種類や、事業承継ファンドとM&Aのどちらを活用すべきかといった事柄についても見ていきます。

目次
  1. 事業承継ファンドとは
  2. 事業承継ファンドの活用方法
  3. 事業承継ファンドのメリット
  4. 事業承継ファンドのデメリット
  5. 事業承継ファンドの種類
  6. 事業承継ファンドとM&Aを検討する際のポイント
  7. まとめ

事業承継ファンドとは

最近、中小企業を中心に、事業承継が深刻な問題となっています。この事業承継を取り巻く問題は、中小企業の存続に関わっているといっても過言ではないです。とりわけ、後継者不在にまつわる問題については、経営者を最も悩ませています。

事業承継ファンドは、事業承継にまつわる問題を解決する糸口として注目が集まっています。そのため事業承継にまつわる問題に直面しているならば、事業承継ファンドについて把握しておくべきです。

はじめに、事業承継ファンドの基礎知識を押さえるために、以下の2項目に分けて見ていきます。
 

  1. 事業承継ファンドの概要
  2. 事業承継ファンドの活用事例が増加した背景

これら2項目について押さえておけば、事業承継ファンドにまつわる基礎知識を把握できます。それでは、それぞれの項目について順番に見ていきましょう。

(1)事業承継ファンドの概要

事業承継ファンドは、公益機関である中小企業基盤整備機構(中小機構)が筆頭となって設立されました。とはいえ現在では、民間企業により組成された事業承継ファンドも珍しくないです。

ファンドとは「投資事業有限責任組合」を指します。辞書では、基金や資金などと記述されることが多いですが、金融業界では一般に、「投資のために集めた資金や運用を目的とする一定規模以上の資金」という意味を表します。

事業承継ファンドの収益として挙げられるのは、株式売却時に得られる売却益です。ここでは、中小機構の事業承継ファンドを例に挙げて、仕組みを簡単に見ておきましょう。

たとえば、中小機構に運営されている事業承継ファンドでは、民間のファンド(投資会社)にファンド総額の50%を投資することで、事業承継問題で悩む中小企業に対して、さまざまな経営支援を行っています。

(2)事業承継ファンドの活用事例が増加した背景

最近、事業承継ファンドの活用事例が増加している背景には、多くの企業が頭を抱えている後継者不在の問題と深い関わり合いがあります。後継者不在とは、企業の後を継ぐ人材がいないことで生じる問題です。最近、中小企業を中心に経営者の高齢化が進んでいます。

そこで引退を目前に控えているにもかかわらず、後継者が見つからないという状態が増加中です。また価値観の変化によって、「子供が親の会社を継ぐべき」という考え方がなじまなくなったという事情も、後継者不在問題の深刻化に拍車をかけています。

そもそも中小企業では、創立者である経営者がワンマン経営を行いがちであり、結果として後継者の選定や育成が進まないまま、事業承継できない状態に陥るケースが少なくないです。

事業承継の道が途絶えると、経営者の引退以降、会社を存続させることが非常に困難となります。経営者の跡を継ぐ後継者がいないために、適切な教育が済んでいない人材を経営者としたところで、安定した経営は望めないはずです。

上記の理由から、経営が黒字であるにもかかわらず、後継者不在の状態に陥ったがために会社を廃業してしまうケースも珍しくないです。しかし廃業を選んでしまえば、会社が持つ重要なノウハウや技術に留まらず、籍を置く地域の雇用やサービスが喪失してしまいます。

国もそういった事情を鑑みて、事業承継が困難化している中小企業に向けてさまざまな手助けを行っています。事業承継ファンドもその一環であり、事業承継が難しい状態の会社を救う手段として近年注目を集めているのです。

その一方で、最近では、M&Aの手段を用いて事業承継を行うケースも増えています。もしも事業承継ファンドの活用とあわせ、M&Aによる事業承継も視野に入れているなら、M&A総合研究所にご相談ください。

M&A総合研究所では、M&Aに豊富な知識と経験を持つプロがM&Aをフルサポートいたします。相談は無料ですので、お気軽にお問い合わせください。また、費用に関しても国内最安値水準ですのでご安心ください。

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事業承継ファンドの活用方法

ここでは事業承継ファンドの活用方法として、以下の3つのシーンを見ていきます。
 

  1. 後継者不足の解消による会社存続
  2. 事業資金の供給などによる経営支援
  3. 第三者承継における資金不足の解消

これら3つの活用シーンをそれぞれ押さえておきましょう。

(1)後継者不足の解消による会社存続

1つ目の活用シーンは、会社存続の実現です。事業承継ファンドは、対象会社の株式を取得することで新たなオーナーとなります。そのため、会社内の人材を育てたり、後継者にふさわしい人材を発見することが可能です。

このように、事業承継ファンドに会社経営を任せることによって、会社を確実に存続させていくことができます。なお最近では、会社後継者を経営者の親族や内部の従業員ではなく、外部の第三者に広く求めることも珍しくないです。

そこで事業承継ファンドの幅広いネットワークを利用すれば、会社にとって最適な人材に会社の経営を任せることが可能です。とはいえ、もちろん会社内に後継者候補がいる場合であっても、事業承継ファンドは有効的といえます。

なぜなら、事業承継ファンドによって、育成に必要な人材を派遣してもらうことができるためです。これにより、後継者の育成を促し、経営者にふさわしい人材にブラッシュアップさせていけるメリットがあります。

(2)事業資金の供給などによる経営支援

事業承継ファンドは、会社の経営支援のためにも活用されます。なぜなら、事業承継ファンドは積極的に経営に関与するなかで、手厚い支援を行ってくれるためです。会社に必要な事業資金の供給などにより、経営を手助けしてくれます。

これにより、会社が目標とする販路拡大などを実現できます。さらに事業承継ファンドは、経営全般のみに留まらず、業務管理・財務経理・組織人事などのバックオフィス業務を含めて、中長期的視点から課題を抽出しつつ、課題解決に向けたアドバイスの提供が可能です。

上記のように、事業承継ファンドによる手助けしてもらえば、ただオーナーに依存するのではなく、従業員一人ひとりが自立して会社の成長に取り組めるような組織作りを実現できます。

(3)第三者承継における資金不足の解消

事業承継ファンドは、第三者に事業承継する際の、資金不足解消にも活用されています。第三者に事業承継する際、株式譲渡の手法を採用するのが一般的です。ところが後継者側では、株式取得のための資金不足の問題に直面するケースが少なくないです。

上記の問題が発生すれば、円滑な事業承継が妨げられることになります。しかし、ここで事業承継ファンドを活用できれば、上記問題の解決が可能です。なぜなら事業承継ファンドは、対象会社の株式を取得を請け負うためです。

そのため、後継者となる第三者側では、株式を取得する必要がなくなります。このとき後継の経営者に対しては、ストックオプションを付与することで、保有株式数の調整が図られることが多いです。

なおストックオプションとは、株式会社の従業員や取締役が、自社株をあらかじめ定められた価格で取得できる権利を指します。

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事業承継ファンドのメリット

ここまで見てきた活用方法を踏まえ、事業承継ファンドのメリットを見ていきましょう。事業承継ファンドを活用して得られるメリットは、事業承継の完遂に留まらず、会社の成長に関わるものもあるなど、多角的です。事業承継ファンドのメリットは、以下の4つです。
 

  1. 意図に沿った事業承継の実現
  2. 売却資金の獲得
  3. 経営者の負担軽減
  4. 会社の理念・文化・風土の維持

これら4つのメリットを押さえておけば、事業承継ファンドが、自社や経営者にどれほどの利益をもたらすのか確認できます。それでは、それぞれのメリットを順番に見ていきましょう。

(1)意図に沿った事業承継の実現

事業承継ファンドにある最大のメリットは、意図に沿った事業承継が実現しやすい点です。事業承継ファンドは、事業承継にまつわるノウハウを活用しつつ、後継者の選定・育成に大きく貢献してくれます。そのため、対象会社にふさわしい人材を後継者に据えることが可能です。

当然ですが、後継者を育成するうえで、対象会社のコンセプトや特徴を確実に根付かせてくれるため、経営者の意図に沿った事業承継が実現できます。また事業承継ファンドは、必要があれば外部からも後継者にふさわしい人材を見つけ出すことが可能です。

これは、事業承継ファンドが持つ幅広いネットワークの賜物であり、経営者の意図に沿った事業承継を実現するために必要となります。

(2)売却資金の獲得

事業承継ファンドを活用する場合、経営者による株式譲渡が実施されます。そのため経営者は、株式の売却利益を得られます。これは、新事業立ち上げの資金を確保したり、悠々自適な生活を送りたい経営者にとって大きなメリットとなります。

なお、事業承継ファンドを活用すれば、売却後にも共同で事業を手助けしてくれるため、M&Aを用いた株式譲渡と比べ、契約までの時間や手間を省略可能です。

(3)経営者の負担軽減

事業承継ファンドは、経営者に代わってオーナーとなる形式を取ります。これによって結果的に経営者の負担軽減にもつながるのです。経営者は、事業承継問題に留まらず、銀行から借り入れた債務など、経営上のさまざまな不安要素を抱えていることが多いです。

会社の存続をかけた事業承継問題のみだけでも大きな負担ですが、万が一事業承継に失敗したときの債務処理の方法も考えなければならないため、不安ばかりが経営者を襲い大きな精神的負担がのしかかります。

ところが事業譲渡ファンドでは、事業承継のみならず、対象会社における経営上のパートナーとして力を貸してくれます。これにより、経営者の負担を大きく軽減させることが可能です。

中小企業のような規模の限られた会社であると、多くの事柄が経営者の双肩にかかってしまいがちですが、事業承継ファンドは、心強いパートナーとして、経営の課題に向き合う力を貸してくれます。

(4)会社の理念・文化・風土の維持

事業承継ファンドは会社の理念・文化・風土を維持しながら、経営支援や事業承継支援を行ってくれます。ここでは最近、事業承継を解決する手段として注目されているM&Aと比較して見ていきます。確かにM&Aを用いれば、スムーズな事業承継を狙えます。

ただし、もしも成功したとしても、M&Aでは相手会社の理念・文化・風土が合わずに従業員が流出する可能性が少なくないです。さらには従業員同士でトラブルが起こったり、相手会社の持ち味を生かせないというリスクが懸念されるものです。

しかし事業承継ファンドでは、対象会社の理念・文化・風土に留まらず、経営者の意向をしっかり踏まえたうえで、事業承継支援や経営支援に取り組むよう心がけてくれます。これにより、会社の理念・文化・風土を維持することが可能です。

これは、事業承継後も愛着のある会社をできるだけ変えずに存続させたい経営者にとって大きなメリットとなります。さらには、従業員に与えるオーナー変更による悪影響を、最小限に抑えることもできるはずです。

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事業承継ファンドのデメリット

事業承継ファンドにあるデメリットは、相性によって結果が大きく左右されるという点です。基本的に事業承継ファンドは、対象会社の特性を十分に把握したうえで仕事に取り組みますが、活用するファンドによってノウハウが異なることも珍しくないです。

そのため、対象会社と事業承継ファンドの相性が悪い場合があります。そうなるとノウハウが十分に発揮されず、歩調をそろえられなくなってしまうケースも少なくないです。

またファンドのノウハウについても、どれだけ経験値や実績を積んでいるかによって、クオリティは変わってくるものです。経験値や実績が不足しているようなファンドであれば、前述したメリットが十分に得られない可能性もゼロではありません。

上記の理由から、事業承継ファンドを選ぶ際には、実績やノウハウ、出資者や投資方針や理念など幅広い観点で検討することが大切です。

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事業承継ファンドの種類

ここでは、公的機関や全国的な規模を持つ大手の事業承継ファンドの中でもとりわけ有名な、以下の3つを見ていきます。
 

  1. 中小機構の事業承継ファンド
  2. 日本投資ファンド
  3. SBI地域事業承継ファンド

これら3種類の特徴を押さえておけば、自社にふさわしい事業承継ファンド探しに役立ちます。それでは、それぞれの事業承継ファンドを順番に見ていきましょう。

(1)中小機構の事業承継ファンド

1つ目は、冒頭でお伝えした中小機構の事業承継ファンドです。独立行政法人の公的機関である中小機構により運営されており、民間のファンドと比較して公共的視点での経営支援に強みがあります。

中小機構がファンド組成額の50%を出費し、残りを金融機関に出費させるという手法が採用されています。

(2)日本投資ファンド

日本投資ファンドは、日本M&Aセンターと日本政策投資銀行が折半で出資して設立したファンドです。政府系金融機関が出資に関わっているため、中小機構の事業承継ファンドと同様、公的なニュアンスが強いファンドといえます。

日本投資ファンドに出資する日本M&Aセンターは、さまざまな事業承継や投資を手掛けた実績を持っているため、ノウハウやネットワークに信頼が置けます。

その豊富な実績・ノウハウや広大なネットワークを生かして柔軟に手助けしてくれるため、頼りになるパートナーとなるはずです。

(3)SBI地域事業承継ファンド

SBI地域事業承継ファンドは、SBIホールディングス株式会社の子会社である、SBI地域事業承継投資株式会社によって設立されました。2019年10月に設立された、比較的新しい事業承継ファンドの1つです。

SBIグループでは、ファンド設立前からSBI証券内に地方事業承継室を設けるなど、事業承継サービスを展開してきました。そこで事業承継サービスを一層強化する目的で、事業承継ファンドを設立しています。

SBI地域事業承継ファンドが対象とするのは中堅・中小規模の事業承継案件がメインですが、小規模案件にも注力する方針です。こうした企業の事業承継を実現し、企業を存続することで、地域活性化を目指しています。

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事業承継ファンドとM&Aを検討する際のポイント

事業承継ファンドとM&Aを検討する際には、どちらが会社にとって最適な手段なのか考えなければなりません。事業承継を解決するうえで、事業承継ファンドとM&Aはそれぞれ効果的な手段です。しかし、事業承継ファンドとM&Aでは、手法が大きく異なっています。

つまり、事業承継ファンドは「ファンドと2人3脚で会社を存続させ、会社の成長を目指す」手法であるのに対して、M&Aは「会社を他社に託して存続を図り、他の会社のノウハウを借りて会社を成長させる」手法です。このように2つの手法には、大きな相違点があります。

とはいえ、事業承継ファンドもM&Aも、いずれかが優れているというわけではありません。したがって、最適な手法を検討するには、会社の内情に合っているかどうか判断しなければなりません。

たとえば、「ある程度自助努力で存続・成長可能と判断できる余地がある」なら事業承継ファンドを、「単純な経営支援では会社の存続・成長が難しいと判断される」ならM&Aを選ぶ、といった要領です。このように会社の存続・成長を達成できるかを検討すると良いです。

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まとめ

事業承継ファンドは、後継者不在問題を抱えた会社の事業承継を手助けするファンドです。単純な事業承継に留まらず、経営支援も期待できます。

かつて、投資ファンドは「ハゲタカ」とやゆされるようにネガティブなイメージを持っているものでしたが、最近は純粋に中小企業を手助けしてくれるファンドが増えています。事業承継ファンドはまさにその最たる例です。

民間のファンドでも事業承継ファンドとして多いに活用できる会社が増えており、今後もさまざまな会社の事業承継で、事業承継ファンドが活躍すると予想できます。

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