2021年5月27日更新事業承継

事業承継問題の原因は?中小企業に残された解決法を紹介

事業承継は、経営者と後継者だけでなく、会社の役員・株主・従業員・取引先など多くの人間が関わる行為です。経営者としては、早期の段階で事業承継に関する意志を提示して後継者をはじめとする関係者に共有しておくと、事業承継問題への対策を講じることにつながります。

目次
  1. 事業承継問題とは
  2. 中小企業経営者が抱える事業承継問題
  3. 事業承継の成功・失敗事例
  4. 事業承継問題の解決方法
  5. 事業承継とM&A
  6. 事業承継の実行に向けた準備
  7. 事業承継問題のまとめ
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事業承継問題とは

事業承継問題とは

まずは、事業承継問題について理解を深めるために、概要および事業承継に課題を抱える中小企業の動向・2025年問題について順番に取り上げます。

事業承継とは

事業承継とは、会社の経営を後継者に引き継がせる行為をさします。後継者に継がせるモノは、事業に関わるすべての経営・資産・知的財産です。そのため、事業承継では、信頼のおける人物を後継者に選任するプロセスが非常に重要といえます。

事業承継を行う際は、後継者や引継方法に関する大きな課題と、これに付随する細かな課題や不安に悩まされる経営者の方が多いです。

中小企業の経営者にとって、事業承継はいずれ検討しなければならない重要事項のひとつです。近年、多くの中小企業では経営者の高齢化が進行しているうえに、後継者不在の状況も深刻な課題・悩みとされています。また、近年は「2017年問題」も取り沙汰されました。

団塊世代(1947年〜1950年生まれ)は、日本の人口割合のうち最も多い世代です。この団塊世代が2017年に70歳を超えて、現在では経営者の高齢化による事業承継問題がますます加速しています。

上記の他にも事業承継に伴う問題は数多く存在しており、問題を解決できないことで事業を引き継げずに廃業してしまった会社も少なくありません。こうした事態を回避するためにも、事業承継にいかなる問題が潜んでいるのか把握したうえで、自社を分析しておくプロセスが重要です。

事業承継に課題を抱える中小企業の動向

企業規模別 企業数の推移(出典:中小企業庁)

企業規模別 企業数の推移(出典:中小企業庁)

出典:https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2020/chusho/b1_3_1.html

日本の中小企業の多くは、事業承継に際して、経営者の高齢化や後継者の不在などの課題を掲げています。近年、これらの課題は深刻化しており、黒字企業であるにも関わらず事業承継できずに廃業に追い込まれてしまうケースが増加中です。

中小企業庁の「2020年版 中小企業白書」によると、調査が開始された1999年以降、日本の中小企業の数は減少傾向にあります。このうち、特に小規模企業の減少率が最も高い状況です。

今後も事業承継に関する課題が解消されない場合、事業承継問題に悩まされる企業の廃業が進み、中小企業の数はますます減少するものと見られます。

参考:令和元年度(2019年度)の中小企業の動向(中小企業庁)

2025年問題とは

2025年問題とは、西暦2025年以降に団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となり、日本が超高齢化社会になることを示す問題です。経済産業省によれば、現状の問題を放置すると中小企業の廃業件数が急増し、2015年〜2025年頃までの10年間の累計で約650万人の雇用・約22兆円のGDPが失われる可能性があります。

上記の事態を回避するために、政府は「事業承継税制の制定」「事業承継ガイドラインの制定」「事業承継ネットワークの構築」などの施策を実行しています。

参考:中小企業・小規模事業者の生産性向上について(経済産業省)

【関連】M&A(国内)の現状!市場規模や課題は?対策と今後の展開などを考察

中小企業経営者が抱える事業承継問題

中小企業経営者が抱える事業承継問題

中小企業の経営者は、事業承継問題に直面しています。そもそも中小企業は経営環境の変化の影響を受けやすいうえに、大企業と比べて会社が長期的に存続するための地盤が固まっていないケースも少なくありません。

そのため、中小企業における事業承継では問題が発生しやすく、十分な備えを持ったうえで対応すべきです。そこで本章では、中小企業の経営者が抱えがちな事業承継の問題について取り上げます。

  1. 後継者不在
  2. ワンマン経営の弊害
  3. 従業員・キーマン(後継者)の育成不足
  4. 経営状況の不安
  5. 事業承継・M&Aの相談先がいない

それぞれの項目を順番に詳しく紹介します。

①後継者不在

後継者不在は、事業承継シーンにおいて中小企業の経営者の多くが抱える問題です。後継者不在とは、会社を引き継ぐべき後継者が不在である状態をさします。中小企業は日本企業の大部分を占めるほど数が多く、すべての中小企業が後継者を確保しているわけではありません。

中小企業では、後継者がいないうえに事業承継の見とおしが立っていない企業が少なくありません。また、後継者を確保できない問題とともに、経営者の高齢化も進行しています。さらには少子化も進み、将来的に会社のリーダーとなる若者の数が減少中です。こうした状況が、後継者不在問題を深刻化させています。

上記のほか、価値観の変化も問題を深刻化させている要因のひとつです。もともと中小企業では、自身の子ども・親族・兄弟を後継者として会社を引き継がせる形式が主流でしたが、最近では価値観の変化に伴って親族が会社を引き継ぐケースが減少しています。

そのため、以前より後継者として期待していた候補者に承継を拒否されてしまったといった形式で、後継者不在に悩まされる中小企業の経営者も見られます。

②ワンマン経営の弊害

多くの中小企業ではワンマン経営の体制が敷かれており、これに伴う弊害で事業承継が失敗するケースも存在します。ワンマン経営を行う経営者は優れたリーダーシップがあるものの、裏を返せば周囲の人間がイエスマンばかりで意見を示す人材がいない状況を生み出しかねません。

特にワンマン経営の弊害が大きくなるタイミングは、経営者が高齢になった後です。仮に経営者が高齢化したことで健康状態が不安定になり判断能力が衰えた場合、事業承継プランの設計自体が困難になります。

また、ワンマン経営の体制が敷かれている会社は、正常な判断力が衰えている状態にも関わらず経営者に対して意見を示す人間がいない環境だといえます。そのため、後継者の選定はおろか、事業承継自体を行えないまま経営者が亡くなり、結果的に会社が窮地に立たされる可能性が高いです。

こうした会社では、たとえその後に後任者を据えたとしても経営が立ち行かなくなりやすく、後任の経営者が見つからずに廃業に陥るケースが多いです。

③従業員・キーマン(後継者)の育成不足

従業員・キーマン(後継者)の育成不足も、事業承継における深刻な問題のひとつです。事業承継を円滑に成功させるためには、従業員およびキーマン(後継者)に対して自社の事業に関するさまざまな知識・技術を身に付けさせる必要があります。

しかし、多くの中小企業では人材の育成にかける時間が不足しており、育成が円滑に進んでいない状況です。特に後継者の育成には、5年〜10年程度の期間が必要とされています。高齢の経営者には体調悪化のリスクもあるため、余裕を持ったスケジュールで育成を進めると良いでしょう。

④経営状況の不安

たとえ自社にふさわしい後継者が見つかったとしても、自社に魅力を感じてもらえないと事業承継に結び付かないケースも多いです。例えば、経営状況や先行きに不安が見られる場合には、後継者に事業承継を拒否されてしまう可能性があります。

なお後継者側としても、事業承継に伴い発生するリスクの存在を把握しておく必要があります。具体例を挙げると、事業承継では金融機関の個人保証や負債なども後継者に引き継がれる場合が多く、この点にリスクを感じて事業承継を拒まれるケースも少なくありません。

事業承継を成功させるには、マイナスの要素も引き継がれる点を把握したうえで実行する必要があります。

⑤事業承継・M&Aの相談先がいない

周囲に相談先がいないために、事業承継できずに廃業してしまう中小企業も存在します。事業承継の知識を持たない経営者としては、周囲に相談先を見つけられないとプロセスを進められません。

これに対して、M&Aによる事業承継もサポートする相談先を見つけられれば、急速に自社の事業承継問題の解決を図れます。

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事業承継の成功・失敗事例

事業承継の成功・失敗事例

実際に事業承継を行った企業について把握しておくと、自社における計画策定に役立つ可能性が高いです。そこで本章では、事業承継の成功・失敗事例について順番に取り上げます。

成功事例2選

まずは、成功事例として以下の2件を取り上げます。

  1. M&Aによる事業承継の成功事例
  2. 早期に後継者教育を行った成功事例

それぞれの事例からポイントをつかんで、自社の計画策定に役立てましょう。

①M&Aによる事業承継の成功事例

かねてよりA社では経営者自身の子供への事業承継を検討していましたが、急逝により計画は叶いませんでした。そこで、A社の経営者はM&Aによる事業承継の実行を決断しています。

これにより、M&Aにおける買い手側企業の経営者が新たな社長としてA社に赴任しましたが、M&A後も前経営者が会長として残ったために従業員・取引先・顧客などに悪影響を及ぼすことなく事業を存続させられました。

②早期に後継者教育を行った成功事例

B社もかねてより経営者自身の子供への事業承継を計画していましたが、後継者の経営手腕・能力には不安な点が存在したため、10年間にわたる徹底した後継者教育を実施しています。

具体的には、経営者としての業務はもちろん、人事・会計・現場業務・営業に至るまで会社の業務全般を伝達しました。こうした徹底的な教育によって統括力を身に付けた後継者は、事業承継後のB社の業績を向上させています。長期的な計画により事業承継成功させた事例のひとつです。

失敗事例

一般的に「事業承継の失敗」とは事業承継を実施したにも関わらず問題が生じてしまった状態をさしており、事業承継の実行有無に関する問題ではありません。まずは、事業承継の主な失敗事例として、以下の2つを取り上げます。

  • 経営能力のない人材を後継者に据えてしまう
  • 先代経営者が依然として権力を持ってしまう

また、事業承継は多くの時間と手間のかかる行為であり、後継者の選定・育成・相続対策・経営資源の移譲・相続に関する手続きなど、さまざまなプロセス作業を完了させる必要があります。これらのプロセスを遂行するには、5年〜10年程度の期間が必要です。

特に相続対策の手続き・経営基盤の円滑な移譲については専門的に高度な知識が必要となる場面があり、事業承継を経営者のみで取り組むのは非常に困難です。

とはいえ、中小企業の中には事業承継に対する認識が甘いために十分な知識を持たないまま社内の人材のみで事業承継を行おうとする会社も見られます。

こうした会社は事業承継におけるプロセスの実行が不十分であったり、後継者の育成が中途半端であったりするケースが多く、事業承継後に経営状態が悪化する可能性が高いです。事業承継の問題を避けるには専門家にサポートを依頼するのがおすすめです。

もしもM&Aによる事業承継の成功を目指したいならば、M&A総合研究所にお任せください。M&A総合研究所には知識・経験が豊富なアドバイザーが在籍しており、これまでに培ってきたノウハウを活かしてM&A手続きをフルサポートしております。

通常M&Aでは半年〜1年程度の期間が必要ですが、M&A総合研究所ではスピーディーなクロージングを目指しており、最短3ヵ月での成約実績を有している点も強みです。

料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です。(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)相談料は無料となっておりますので、M&Aによる事業承継の実施に不安がある場合にはお気軽にお問い合わせください。

M&A・事業承継ならM&A総合研究所
【関連】M&A成功事例とは?大手・中小企業、スタートアップやベンチャー企業のM&A成功事例を解説

事業承継問題の解決方法

事業承継問題の解決方法

事業承継問題を解決するには、「親族」「従業員」「第三者」を後継者に据えたうえで事業承継を行う方法が採用されます。ここからは、それぞれの方法について順番に詳しくまとめました。

親族への事業承継

親族内承継と呼ばれる方法です。主として経営者自身の子供を後継者に据える方法であり、もともと中小企業のほとんどが採用していました。しかし、現在では職業選択の自由に対する意識の高まりや子供の意見を尊重したい経営者の増加などを受けて、親族内承継が行われるケースは減少傾向にあります。

親族内承継では、会社の評価額によっては相続税・贈与税などの項目で多額の税金を納めなければならない可能性があるため注意しましょう。また、実際に親族内承継を進める際は、あらかじめ後継者候補の人材が会社に入り経営者や従業員とともに行動し、会社経営に関する知識・ノウハウ・技術を学びます。

上記のプロセスには長い期間が必要となる点にも注意が必要です。

従業員への事業承継

従業員承継や親族外承継などと呼ばれる方法です。主として、自社の従業員や役員を後継者に据える方法であり、経営者に後継者候補となる子供がいない場合などに採用されています。

これまで長きにわたり自社の事業に携わってきた従業員に事業承継できれば、取引先や従業員などから理解を得やすく、スムーズにプロセスを進行させられる可能性があります。ただし、従業員承継では経営者が保有している株式を譲渡するため、株式を買い取れるだけの莫大な資金が必要となるケースが多いです。

そもそも従業員が十分な資金を持っているケースは珍しいうえに、会社や経営者の保証・担保なども引き継ぐことから、後継者となる従業員には大きな決断が求められます。

M&Aによる第三者への事業承継

M&Aを利用して事業承継を果たす方法であり、親族内承継や親族外承継を行えない場合に実施されるケースが多いです。従来、M&Aには大企業が行うイメージが強く、中小企業にはなじみのない行為であると認識している経営者の方も多くいます。

しかし、現在は中小企業の多くが事業承継を目的にM&Aを実施しています。また、政府としても補助金や税制優遇などを設けてM&Aによる中小企業の事業承継を支援している状況です。引退を望んでいるにも関わらず他の事業承継方法を採用できない場合、M&Aによる第三者への事業承継を検討すると良いでしょう。

【関連】事業承継の方法

事業承継とM&A

事業承継とM&A

事業承継に伴いさまざまな問題が生じる中で、最近注目されている手法がM&Aです。M&Aとは会社や事業の買収合併などをさす言葉であり、以前はネガティブなイメージで捉えられるケースの多かった行為ですが、現在の日本では会社の成長戦略の一環として積極的に採用されています。

M&Aは、事業承継を行ううえでひとつの解決策になり得る行為です。後継者不在の中小企業にとって、M&Aは自社を優れた経営者に託せる可能性のある手法であり、成功すれば会社を存続させる可能性が格段に高まります。

また、M&Aは会社を商品とする取引であり、高価格で売却できればまとまった譲渡利益を獲得できるため、経営者からすると引退後の生活資金を確保できる可能性があります。後継者不在の経営者にとって、M&Aによる事業承継は非常に画期的な手法です。

M&Aのメリットとは?

M&Aの代表的なメリットは、事業承継が完了するまでの期間を短縮できる点です。親族内承継では、後継者に対する教育に5年〜10年程度の期間がかかります。しかし、M&Aによる事業承継では、準備の開始からM&A実行までのプロセスを半年〜1年程度の期間で済ませられるケースが多いです。

またM&Aでは、事業をさらに発展・成長へと導ける可能性があります。M&Aによる事業承継の場合、一般的には自社よりも事業規模の大きな会社に買収されるケースが多いです。もしも資金力・ノウハウ・技術力などが豊富な会社に買収されたならば、企業を大きく成長させられる可能性が高まります。

なお、事業規模の大きい会社に買収してもらえれば、従業員からしても勤務するうえで安心感が強いです。

M&A専門家の選び方とは

中小企業がM&Aによる事業承継を行う際には、専門家のサポートを受けるのが一般的です。最近では、コンサルティング会社・税理士/会計士/弁護士事務所・M&A仲介会社などの機関が事業承継支援を手掛けるケースが存在します。

経営者の方の中には、「M&A=会社を商品として安易に売り買いする」というネガティブイメージを抱えている方もいます。しかし、現在のビジネスシーンでは、M&Aによる事業承継を会社を存続させるためのひとつの手法として積極的に活用するケースが増加中です。

実際に後継者不在で廃業の危機に陥った中小企業がM&Aで存続できたケースは多く報告されており、万が一の事態を回避するうえで経営者の選択肢としてM&Aを入れておくと良いでしょう。とはいえ、M&Aは決して簡単に成功させられる行為ではありません。

M&Aでは、交渉条件で折り合いが付かなかったり、理想的な買い手が見つからなかったりする可能性も十分に想定されます。M&Aを成功させるには、自社の価値の正しい理解や、異業種を含めた各種業界の動向把握などが大切です。

また、M&Aを実行するには、専門的な知識(財務・会計・税務・法務など)も必要です。こうした点を踏まえると、M&Aも一般的な事業承継と同様に経営者のみで進めるのは非常に困難だといえます。

自社に適したパートナーと組んで戦略を策定していくのが、M&Aを成功させる秘訣です。中小企業がM&Aを行う際は、M&A仲介会社などの専門家に相談するのがおすすめです。

M&A総合研究所には、知識・経験が豊富なアドバイザーが在籍しており、複雑な手続きを含めてM&Aによる事業承継をフルサポートしております。

料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です。(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)相談料は無料となっておりますので、M&Aによる事業承継に不安がある場合はお気軽にお問い合わせください。

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事業承継の実行に向けた準備

事業承継の実行に向けた準備

事業承継を行うに際して、いくつかの対策を講じておかなければなりません。入念に対策を立てたうえで計画を進めないと、選択を誤ってしまったり、最悪の場合では事業承継が頓挫してしまったりするおそれがあります。

こうした事態に陥られないためにも、専門家と協議したうえで事業承継対策を練っておきましょう。本章では、事業承継対策の指針となる以下の3ポイントについて取り上げます。

  1. 経営理念・ノウハウの継承
  2. 資産の継承
  3. 経営者の意志の明示

それぞれのポイントについて順番に詳しく紹介します。

①経営理念・ノウハウの継承

事業承継を進めるうえで後継者を選定できた場合、いかに経営理念・技術を継承していくかが非常に重要なポイントです。これは、事業承継の中核に位置する部分といっても過言ではありません。

もともと多くの中小企業では経営理念が明確化されていないうえに、業務に必要なノウハウもマニュアル化されていない企業も多く、後継者への共有が非常に難しいです。こうした体制が整っていなければ、後継者のポテンシャルの引き上げは困難だといえます

以上の点を踏まえて、経営理念・ノウハウの継承に取り組むと良いでしょう。

②資産の継承

事業承継は相続の側面を持つ行為であるため、経営理念・ノウハウだけでなく資産の継承についても考慮しておく必要があります。まず重要な資産は株式です。株式は後継者が経営者になる際に必要不可欠であり、経営者の権限を決定付ける資産です。

株式は、相続・贈与・買収などの形式で後継者に譲渡されます。このうち、相続・贈与では税金が発生する可能性があり、買収側・後継者の資金力が問われるケースが多いです。株式は早期の段階で後継者に譲渡を完了させておくことが理想ですが、後継者の状況を鑑みながら譲渡の方法を選ぶと良いでしょう。

また、株式以外の資産に関しても後継者に相続しやすいよう配慮しておくことがおすすめです。相続された資産はそのまま後継者が使用できるため、会社の設備なども後継者の手元に残るよう配慮します。ただし、親族を後継者に据えた場合、他の親族からの心証について問題になりやすいです。

後継者に偏った形で相続を行うと他の親族における遺留分の財産が脅かされてしまうおそれがあり、他の親族から不満が発生する可能性があります。経営者になって間もない後継者の足を引っ張るトラブルに発展する場合も十分に想定されるため、経営者は他の親族に対する配慮を忘れないようにしましょう。

③経営者の意志の明示

事業承継は長い時間をかけて行いますが、「後継者を誰にするか」「いかなる形で事業承継を行うか」などの場面で、経営者の意思を明示する必要があります。事業承継は経営者と後継者のほか会社の役員・株主・従業員・取引先など多くの人間が関わる行為であるため、意思を周知させるタイミングも重要です。

また、万が一に備えて事業承継や相続について明記した遺言書も用意しておくと効果的です。もしも突然経営者が亡くなった際に事業承継に関する意向がわからない状態に陥ってしまうと、経営者が意図しない形で事業承継が進んでしまう可能性があります。

このときに、たとえ後継者が決まっていたとしても、相続などのプロセスで新たな問題が生じるおそれもあります。そのため、事業承継を行う場合は、あらかじめ経営者の意志を明示しておくと良いでしょう。

【関連】事業承継対策は必須?事前の準備や注意点について徹底解説【事例付】

事業承継問題のまとめ

事業承継問題のまとめ

事業承継問題は中小企業を中心に深刻化している一方で、最近では問題を解消すべくM&Aなどの新たな手法も誕生しています。昨今の潮流を入念に踏まえて取り組んでいくことが、事業承継を成功させる秘訣です。本記事の要点は、以下のとおりです。

・事業承継とは
→会社の経営を後継者に引き継がせる行為

・中小企業経営者が抱える事業承継問題
→後継者不在、ワンマン経営の弊害、従業員・キーマン(後継者)の育成不足、経営状況の不安、事業承継・M&Aの相談先がいない

・事業承継問題の解決方法
→親族への事業承継、従業員への事業承継、M&Aによる第三者への事業承継

・事業承継の実行に向けた準備
→経営理念やノウハウの継承、資産の継承、経営者の意志の明示

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