赤字になったら会社はつぶれる?赤字経営のメリット・デメリット、赤字決算について解説
2021年2月17日公開会社・事業を売る
再生型M&Aの基本的な手続きやスケジュールは?再生型M&Aを取り入れるメリットも
再生型M&Aとは、業績が悪化して自力での再生が難しい状態の企業を一部清算することも視野に入れながら、M&Aを活用して事業再生を図る手法です。本記事では、再生型M&Aの基本的な手続きやスケジュール、再生型M&Aを取り入れるメリットなどを紹介します。
再生型M&Aとは
再生型M&Aとは、業績が悪化して自力での再生が難しい状態の企業を、一部清算することも視野に入れながら、M&Aを活用して事業再生を図る手法です。
事業再生とは業績が悪化した企業の事業を立ち直らせることを指し、その方法のひとつが再生型M&Aです。倒産や廃業する場合と比べて、再生型M&Aには以下のメリットがあります。
【再生型M&Aのメリット】
- 事業の存続が図れる
- 従業員の雇用や取引先との取引を維持することができる
- 債権者は債権回収できる確率が高くなる
再生型M&Aの基本的な手続き
本章では、再生型M&Aの基本的な手続きについて解説します。再生型M&Aを検討している場合、基本的な手続きを知っておくと慌てず準備を進めることができます。
M&A手法を選ぶ
再生型M&Aを進めるには、まずM&A手法を選ぶ必要があります。どのM&A手法が適切かは、再生型M&Aを実施する当事者の個別事情によって変わってきます。
【再生型M&Aの手法】
- 吸収合併
- 会社分割
- 事業譲渡
吸収合併
吸収合併とは、ひとつの既存会社がそのほかの既存会社を吸収し、1つの法人格になるM&A手法です。
吸収合併には存続会社と消滅会社があり、再生型M&Aにおける存続会社は事業再生のスポンサー企業側にあたります。
一方、消滅会社とは再生型M&Aを適用する会社のことであり、会社分割によって優良事業を切り離し、存続会社に吸収合併する手法がよく用いられます。
再生型M&Aで吸収合併を進めるためには、株主へ株主総会招集の通知を行い吸収合併を行うことに同意してもらう必要があります。
また、吸収合併を行う場合は、債権者保護手続きも必要になります。債権者保護手続きとは債権者の利益を保護するための手続きで、吸収合併に対する異議申し立ての受付などを行います。
会社分割
会社分割とは、事業部門を切り離して別の会社に移行するM&A手法です。会社分割はグループ企業内での再編行為に用いられることが多い手法ですが、再生型M&Aでも用いられることがあります。
再生型M&Aで用いる場合は、優良な事業部門を切り離して別の会社に移行し、残った会社の立て直しを進めていきます。
会社分割と似ている手法に事業譲渡があり、こちらも再生型M&Aでよく用いられます。会社分割と事業譲渡の主な違いは、会社分割は組織再編行為であるのに対して、事業譲渡は売買取引である点です。
また、会社分割は事業を包括的に承継しますが、事業譲渡は事業を個別に承継します。
事業譲渡
事業譲渡とは、事業の一部または全部を個別承継するM&A手法を指します。再生型M&Aの場合は、優良な事業部門を切り離して事業を継続し、残った会社は清算する方法が一般的です。
前述のように、事業譲渡と会社分割は似たような手法ですが、いくつか大きな違いもあるので、再生型M&Aで用いる場合は個々の事情に考慮して適切な方法を選ぶ必要があります。
再生型M&Aの場合は債権者となる金融機関との交渉が必要となります。再生型M&Aの場合は会社の立て直しが目的なので、債権者にすべての債権が支払われるとは限らないからです。
なお、通常のM&Aで事業譲渡を行う場合、吸収合併や会社分割のように債権者保護手続きは必要ありません。というのは、事業譲渡の場合は債権者への返済に影響が出るケースが少ないからです。
再生型M&Aの手続き
再生型M&Aの最終契約書締結(事業譲渡契約、 会社分割契約など)までの手続きは、 一般的に以下の流れで進められます。
【再生型M&Aの手続き】
【再生型M&Aの手続き】
- 初回相談
- 秘密保持契約
- 再生型M&Aの戦略構築
- 事業再生チームの組成
- 再生型M&Aの計画作成
- 金融機関との交渉
- スポンサー企業の選定と交渉
- 金融機関とスポンサー企業の調整
- 基本合意書の締結
- デューデリジェンス
- 金融機関と弁済額の調整
- 最終契約書の締結
再生型M&A手続きと一般的なM&A手続きとの大きな違いは、 金融機関との交渉です。再生型M&Aでは、 債権者である金融機関が全債権を回収できるとは限らないため、 金融機関に納得してもらえるような交渉を行う必要があります。
再 生型M&A手続きは、 金融機関との関係性も考慮しなければならないため、一般的なM& Aよりも手続きに時間がかかりがちです。
再生型M &Aを行う際の具体的なスケジュールについては、次章でくわしく解説します。
再
再生型M
再生型M&Aのスケジュール
再生型M&Aを行う際のスケジュールは選択した手法によって異なる部分があります。この章では、再生型M&Aのスケジュールを手法ごとに解説します。
吸収合併
吸収合併を再生型M&Aの手法に選択した場合は、以下のスケジュールで進めていきます。
【再生型M&Aに吸収合併を選択した場合のスケジュール】
【再生型M&Aに吸収合併を選択した場合のスケジュール】
- 合併契約書の締結
- 株主総会招集の通知・事前開示書類の備置
- 債権者保護手続き
- 株主総会の開催
- 反対株主の株式買取請求
- 株主への通知・個別告知
- 効力発生日
- 登記
- 事後開示書類の備置
再生型M& Aを実施する企業とスポンサー企業の間で合併契約書を締結したら 、株主へ株主総会招集の通知を行います。また、株主総会を開催するまでに、 官報公告に申し込んで債権者への告知も行っておきます。
債権者保護手続きとは、債権者の利益を保護するために、 債権者へ通知を行ったり、 異議を受け付けたりする手続きであり、再生型M&Aの場合に必要になるものです。
そのほか、再生型M& Aを実施する企業とスポンサー企業は、 本社に開示書類を備置しておくことも必要です。
株主総会で株主から承認を得て効力発生日を迎えたら吸収合併の手続きは完了となり、効力発生日以降は、 速やかに登記手続きや事後開示書類の備置を行わなければなりませ ん。
そのほか、再生型M&
会社分割
会社分割を再生型M&Aの手法に選択した場合は、以下のスケジュールで進めていきます。
【再生型M&Aに会社分割を選択した場合のスケジュール】
- 吸収分割契約書の締結
- 労働組合・労働者との協議
- 事前開示書類の備置
- 労働者・労働組合などへの通知
- 株主総会招集通知
- 債権者保護手続
- 株主総会の開催
- 反対株主の株式買取請求
- 株主への通知・個別告知
- 効力発生日
- 事後開示書類の備置
吸収合併のスケジュールと同じく、再生型M&Aを実施する企業とスポンサー企業の間で会社分割契約書を締結したら、株主へ株主総会招集の通知を行います。
株主総会を開催するまでに、債権者保護手続きも実施します。再生型M&Aを実施する企業とスポンサー企業は、本社に開示書類を備置しておくことも必要です。
株主総会で株主から承認が得られたうえで効力発生日を迎えたら、会社分割の手続きは完了です。効力発生日以降は、速やかに登記手続きや事後開示書類の備置を行わなければなりません。
事業譲渡
事業譲渡を再生型M&Aの手法に選択した場合は、以下のスケジュールで進めていきます。
【再生型M&Aに事業譲渡を選択した場合のスケジュール】
- 事業譲渡契約書の締結
- 取締役会での決議
- 株主総会の開催(必要ない場合あり)
- 事業譲渡の通知・公告
- 反対株主の株式買取
- 効力発生日
再生型M&Aを実施する企業とスポンサー企業の間で事業譲渡契約書を締結したら、取締役会や株主総会で再生型M&Aを行う承認を得ます。なお、株主総会での承認は、条件によっては必要ない場合もあります。
株主に対する事業譲渡の通知・告知は、効力発生日の20日前までに行わなければなりません。また、株主総会による承認は、効力発生日の前日までの得ておく必要があります。
再生型M&Aを用いるメリット
再生型M&Aを用いるメリットは、スポンサー企業によって事業の立て直しを支援してもらえる点です。
自力で立て直しを目指す場合、資金や経営資源の面で難しいケースもありますが、再生型M&Aによってスポンサー企業の資金力や経営資源を活用できれば、早期での立て直しも可能です。
また、再生型M&Aでは優良事業とそれ以外の事業を切り離すので、優良事業の維持・発展を図りやすいというメリットもあります。
一般的には、優良事業と不採算事業とを切り離して、優良事業はスポンサー企業下でさらなる事業の発展を図ります。不採算事業は可能であれば立て直すこともありますが、不可能と判断されれば清算します。
しかし、再生型M&Aは一般的なM&Aによる事業成長よりも難しい点も多く、再生型M&Aを行う必要が生じる前にM&Aを実施したほうがよいケースも少なくありません。
再生型M&Aを行わなければならないほど業績が落ち込む前にM&Aの準備を進めておき、買い手からのニーズは高いうちに売却することが理想的です。
そのためには、早めにM&Aの専門家に相談して戦略的にM&Aを進めていかなければなりません。また、再生型M&Aを得意とする専門家を探しておくこともポイントのひとつです。
再生型M&Aの重要なポイント
再生型M&Aを行う際は、どのような点に注意して進めていけばよいでのでしょうか。この章では、再生型M&Aの重要なポイントを解説します。
【再生型M&Aの重要なポイント】
- 金融機関との交渉を行う
- 事業再生チームの組成が必要
1.金融機関との交渉を行う
再生型M&A手続きと一般的なM&A手続きとの大きな違いは、金融機関との交渉です。再生型M&Aでは、すべての取引金融機関に集まってもらい、事業再生計画に納得してもらうバンクミーティングを行う場合があります。
しかし、バンクミーティングは再生型M&Aを実施する側にとって負担が大きいという問題があります。取引銀行間でなかなか合意形成がなされない場合があるからです。
債権者である金融機関の数が少なければ交渉もしやすいですが、金融機関の数が多い場合は交渉が長引く可能性があります。
事業再生チームの組成が必要
再生型M&Aでは、さまざまな専門家からなるチームを組む必要がでてきます。再生型M&Aでは、いかに金融機関との交渉を円滑に進められるかが重要なポイントになります。
そのためには、専門家によるサポートが不可欠になりますが、事業再生チームとして機能するには、再生型M&Aの経験を豊富に持った専門家である必要があります。
しかし、そのような専門家を自力で探し出すことは簡単ではないため、再生型M&Aを実施できるだけの力を持った専門家を集められるM&A仲介会社などに相談できるかが成功のポイントとなってきます。
再生M&Aにおすすめの相談先
再生型M&
M&
また、再生型M&Aが成立するまで手数
無料相談は随時受け付けておりますので、再生型M&
まとめ
再生型M&Aとは、業績が悪化して自力での再生が難しい状態の企 業を、一部清算することも視野に入れながら、M&Aを活用して事 業再生を図る手法です。
一般的なM&Aと違い、金融機関との交渉など難しい手続きが必要となるため、M&A仲介会社などの専門家のサポート下で進めていくことが成功のポイントともなります。
一般的なM&Aと違い、金融機関との交渉など難しい手続きが必要となるため、M&A仲介会社などの専門家のサポート下で進めていくことが成功のポイントともなります。
【再生型M&A(最終契約書締結前まで)の手続き】
- 専門家を選ぶ
- 専門家とNDAを結ぶ
- M&Aの方向性を固める
- 事業再生チームの構築
- M&Aの計画書制作
- 金融機関との交渉
- 買い手企業の選定と交渉
- 金融機関と買い手企業の調整
- 基本合意書の締結
- デューデリジェンス
- 金融機関と弁済額の調整
- 最終契約書の締結
【吸収合併の手続き】
- 最終契約書を結ぶ
- 株主へ株主総会招集の通知を行う
- 債権者保護手続きの実施
- 株主総会で承認を得る
- 反対株主の株式買取に関する通知の送付
【会社分割の手続き】
- 最終契約書を結ぶ
- 労働者や労働組合との交渉
- 株主総会招集通知の送付
- 債権者保護手続の実施
- 株主総会で承認を得る
- 反対株主の株式買取に関する通知の送付
【事業譲渡の手続き】
- 最終契約書を結ぶ
- 取締役会による決議の実施
- 株主総会で承認を得る(必要ない場合もあり)
- 事業譲渡の通知・公告
- 反対株主の株式買取に関する通知の送付
【再生型M&Aの重要なポイント】
- 金融機関との交渉を行う
- 事業再生チームの組成が必要
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株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。