2021年4月22日更新事業承継

後継者と事業承継の現状、後継者選びのポイントを解説

経営者が事業承継で直面する課題のひとつに「後継者問題」があります。近年は後継者難による廃業が増加する一方で、親族外による事業承継も増えています。今回は事業承継と後継者に関する現状から、後継者選びのポイントや事業承継の方法までを紹介します。

目次
  1. 後継者と事業承継の現状
  2. 会社の後継者に必要な要素は?
  3. 事業承継3つの方法
  4. 後継者を誰にするか
  5. まとめ
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後継者と事業承継の現状

後継者と事業承継の現状

経営者がゆくゆくは考えなければならない課題の一つが後継者問題です。近年は会社の、とりわけ中小企業の後継者不足が問題として顕著で、経営者の退任と同時に廃業になってしまうケースも少なくありません。まずは日本の中小企業における事業承継と後継者難の現状を把握しましょう。

経営者の現状と事業承継のピーク

中小企業経営者の年齢のピークは66歳(図1)で、2016年時点で経営者の平均引退年齢は、小規模事業者では70.5歳、中規模企業が67.7歳です(図2)。また、2020年に数十万の団塊経営者が引退時期にさしかかり、昨今がちょうど事業承継のピークだといえます。

「中小企業の経営者年齢の分布」「経営者の平均引退年齢の推移」に関するグラフ

出典:https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/shingikai/kihonmondai/2016/download/161128kihonmondai03.pdf

後継者難の現状

また、2016年の日本政策金融公庫総合研究所 「中小企業の事業承継に関するインターネット調査」の結果では、60歳以上の経営者のうち50%超が廃業を予定していることがわかりました。

廃業理由は「当初から自分の代でやめようと思っていた」が最も多く、「事業に将来性がない」、「子供に継ぐ意思がない」、「子供がいない」、「適当な後継者が見つからない」と続きます。後継者難を理由とする廃業が合計で3割近くを占めている現状です。

後継者難と廃業理由について示すグラフ

出典:https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/shingikai/kihonmondai/2016/download/161128kihonmondai03.pdf

事業承継は後継者選びが多様化

後継者難から廃業せざるを得ない企業や事業が増えている中、事業承継では後継者選びを幅広い視野で行う必要があります。下記図のように実際、法人経営者の親族内承継の割合は減少し、親族内だけではない従業員及び親族外の第三者も含めた「親族外承継」が6割に達しています。

現経営者と先代経営者との関係を示すグラフ

出典:https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/shingikai/kihonmondai/2016/download/161128kihonmondai03.pdf

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会社の後継者に必要な要素は?

会社の後継者に必要な要素は?

近年の事業承継は、旧来のように身内を後継者とするに限りません。さて、会社の後継者に必要な要素はなんでしょうか。会社の種類や信条によって、その要素は様々なものがあります。ただ、会社の後継者に必要な要素のうち共通している基本的な要素とは「会社全体を見通す力」です。

会社を引き継ぐと決めた後継者にとって何より大事なのは、経営者としての視野の広さです。会社の経営者は組織のトップであり、従業員とは見える景色も、見えてくるものも違います。

経営者になる以上は、自分の会社全体を隅々まで見通す力を持っておくべきでしょう。以下、会社全体を見通す力を得るために、後継者が具体的にすべきことを紹介します。

会社全体を隅々まで把握する

従業員と同じような狭い目線を持つのではなく、後継者である人は経営者と同じ目線に立つために、受け継ぐ会社をくまなく把握することが重要です。会社の資金や制度、売り上げ、債務、システム、製品の特徴、販路、取引先など知るべきことはたくさんあります。

経営者に必要な知識は、前任者から学ぶのも一つの手です。また、最近は後継者向けのセミナー等も充実しており、後継者の事業承継をサポートしてくれるコンサルティング会社も多くあります。そういったところからアドバイスを得るのも良いでしょう。

ともに働く従業員について理解を深める

また、会社内の雰囲気や従業員の士気、考えの傾向も把握しておくべきでしょう。経営者になればともに活動する仲間となり、彼らの士気を左右する立場になります。受け継ぐ会社の従業員についても理解を深めておけば、経営者になってからのコミュニケーションもスムーズにいくでしょう。

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事業承継3つの方法

事業承継3つの方法

前任者から後継者に会社を譲り渡す、つまり事業承継の知識を持っておくのも重要です。事業承継のやり方は複数あり、それぞれやり方が違います。事業承継について知っておくのは、スムーズに後継者に会社を譲渡するうえで重要です。以下は、主な3つのパターンにおける事業承継について紹介します。

会社を売買する事業承継

前任者の会社を後継者が買収する形での事業承継です。会社の株式を後継者が買収する形になるので、相応の資金力を持っておく必要があります。加えて売り手となった前任者の売却益には税金が発生します。後述の2つの手法とは違い、売り手に税金が発生する方法なので、事前に把握しておく必要があるでしょう。

買収のプロセスとしては、その会社の株式を一括で売買する方法が一般的です。ですが、年月をかけて少しずつ株式の売買を進める方法もあります。後継者の資金力に不安がある場合や、育成を長期的に進めたい場合には、この手法が有効的です。

会社を生前贈与する事業承継

前任者が健在のうちに、会社を後継者に贈与する方法です。こちらは贈与であるため、株式を受け取った後継者に贈与税が発生します。この場合、贈与税の算出方法は2種類あるので注意しましょう。

暦年課税制度

1つ目は贈与・受取者の制限がなく、1年間ごとに贈与金額の合計に税金がかかる「暦年課税制度」です。こちらは金額によって税率が変わる点が特徴で、通常の贈与税と同様に110万円以下の財産なら贈与税はかかりません。

しかしそれ以上の金額なら、一定の金額ごとに税率が上がっていきます。控除もありますが、会社ほど規模が大きいものなら、ある程度税金が大きくなるのは覚悟しましょう。

相続時精算課税制

2つ目は「相続時精算課税制」で、一定の金額の財産を先に相続してしまう方法です。2,500万円までなら非課税になるため、ある程度の大金の贈与に向いている方法です。

しかし、2,500万円を超える贈与になった場合は、20%の贈与税が発生するので、気をつけてください。

会社の株式を相続で受け継ぐ事業承継

後継者が実子もしくは親族であった場合に、前任者の死亡時に株式の相続という形で事業承継を実施する方法です。ある意味スタンダードだったともいえる方法です。当然相続という形なので相続税が発生します。

株式の金額は必然的に大金となる場合が多いので、相続税も一定以上の高額になる可能性があるので要注意です。とはいえ相続税には納税猶予があり、一定期間であれば納税を待ってくれます。ただし納税猶予期間の5年以内は、雇用の80%を維持していなければなりません。

雇用を維持し続けるためには、後継者の経営手腕が問われます。ちなみにこの納税猶予は贈与税でも発生するので、税理士や弁護士とよく相談した方が良いでしょう。また被相続者が複数いる場合は、株式の譲渡が複数に分散する必要があります。したがって、事前の協議が重要となります。

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後継者を誰にするか

後継者を誰にするか

後継者選びで重要なのは個々の能力はもちろん、後継者に指名する相手がどういう立場なのかも重要になります。後継者の指名は言うなれば経営者の気持ち一つですが、誰を選択するかによって注意点が変わります。ここでは親族、従業員、第三者を後継者に指名した場合の注意点を紹介します。

親族

経営者の子供や親族を後継者に指名するパターンです。親のものは子供に引き継がせたいというのは一般的な考え方ですし、前任者の親族であれば内外での信頼も得られやすいでしょう。また、経営者の子供を後継者に据える場合、長期的に育成できるため、経営者として成長させやすいのもメリットです。

このパターンだと会社の所有と経営が分離するリスクも少ないため、事業承継もスムーズに進むでしょう。しかし一方で、後継者だからといって才能も前任者と同等ではない場合もあります。必ずしも親族が経営者となることが前向きとは限りません。

相続という形で会社を事業承継させる場合、複数の相続人が発生する可能性もあります。そうなると、後継者の決定が困難になる恐れもあるので要注意です。

従業員

親族内に適任者がいなかった場合、会社の従業員の中から後継者を指名する場合もあります。従業員を後継者とすると、下記のメリットがあります。

  • 社内から後継者を指名するため、心情的にも受け入れやすい
  • 会社のシステムを理解しているので経営者育成をある程度省ける
しかし、社内の雰囲気が競争的だった場合、1人の従業員を後継者に指名すると心情的に受け入れられないという声が挙がる恐れもあります。加えて、従業員に会社の株式を買収または税金を支払えるだけの資金力を持たせるのも難しいです。

第三者

親族内、社内に後継者として適任の人物がいないときは、第三者を後継者として招聘する場合があります。大企業で新たに社長が就任する際に多いパターンです。

第三者を後継者にする場合、後継者候補を広く求められるので、より良い人材を発見できる可能性が高くなります。加えてすでに一定の実績を持っている人物を後継者にできれば、育成の手間がかなり省けます。有能な後継者を獲得しやすいのは、最大のメリットです。

一方で、第三者が経営を引き継いだ場合、その立ち位置は「雇われ社長」の形になるケースが多いです。また、以下のようにデメリットも多いです。

  • 従業員の受け入れがスムーズにいくとは限らない
  • 本人のモチベーションによってパフォーマンスが変わる可能性がある
  • 会社の所有と経営が最も分離する可能性が高い

第三者は良くも悪くも部外者なので、後継者として招く場合は入念に下準備を進めましょう。M&Aは売買契約次第ともいえ、交渉の際は専門家に依頼するのがおすすめです。

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まとめ

まとめ

後継者に関する話題を紹介しましたが、いかがでしょうか?中小企業にとって、後継者選びは非常に重要な部分なので、しっかり対策を立てたうえで実施しましょう。要点をまとめると下記になります。

・中小企業経営者の現状
→経営者の高齢化が進み、2020年に数十万の団塊経営者が引退時期を迎える

・事業承継と後継者の現状
→後継者難に直面する企業の増加、身内ではない従業員や第三者を含めた「親族外承継」が6割に達している

・会社の後継者に必要な要素
→会社全体を見通す力

・後継者が会社を受け継ぐ前にすべきこと
→会社全体を隅々まで把握する、ともに働く従業員についても理解を深めておく

・事業承継の方法
→売買、生前贈与、相続

・後継者を誰にするか
→親族、従業員、第三者の3パターンがあり、注意点やメリット・デメリットが異なる

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