2020年3月24日更新会社・事業を売る

株式交換のスケジュール

株式譲渡などのM&A手法と違って株式交換を実施する場合、完了するまでの間にさまざまなスケジュールを経て手続きが進みます。1つの手続きだけで事態が終わらないために、株式交換が効力を発生する日を見越したスケジュールの管理が重要です。

目次
  1. 株式交換とは
  2. 株式交換のスケジュールとは
  3. 株式交換のスケジュール⑴契約の決議と締結
  4. 株式交換のスケジュール⑵事前開示
  5. 株式交換のスケジュール⑶株主総会
  6. 株式交換のスケジュール⑷債権者保護手続きと株主への対応
  7. 株式交換のスケジュール⑸金商法対応
  8. 株式交換のスケジュール⑹効力発生・登記
  9. 株式交換のスケジュール⑺事後開示
  10. 株式交換のスケジュール⑻公正取引委員会への手続き
  11. まとめ
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株式交換とは

M&A手法の中には、組織再編行為と呼ばれるものがいくつもあります。その中の1つが株式交換です。株式交換は、100%の親子会社関係を構築する場面で用いられます。具体的には、子会社化する企業の全株式取得にあたって、その対価支払いを親会社の株式交付によって行います。

その対価支払いの形態から、株式交換と呼ばれるようになりました。類似する組織再編行為に株式移転がありますが、株式移転の場合は、親会社となる企業を新たに設立して行います。株式交換と株式移転では、その点が絶対的な相違点です。

なお、子会社の株式取得にあたって、親会社の株式交付は絶対条件ではなく、対価の一部を現金での支払いとすることも了承されています。

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株式交換のスケジュールとは

株式交換は企業の組織再編行為であるため、一般的なM&A手法である株式譲渡や事業譲渡とは類似点はあるものの、絶対的に違うものです。通常のM&A(合併と買収)と組織再編という目的の違いは無論のことですが、手続きの進め方にも大きな違いがあります。

そして、株式交換の方が、実現させるまでの手続きが複雑で大変な面が多いのが特徴です。スケジュール的にも約2ヶ月程度の時間を要します。そのスケジュールの中で進めなければならない、一般的ケースにおける株式交換の手続きプロセスは以下のとおりです。

  1. 取締役会での決議
  2. 株式交換契約締結
  3. 事前開示書類備置
  4. 株主総会招集通知の発送
  5. 株主総会での株式交換契約承認特別決議
  6. 債権者保護手続き
  7. 反対株主からの株式買取請求対応、株券などの提供公告
  8. 金融商品取引法手続き
  9. 株券・新株予約権の証券提出(*株主の手続き)
  10. 株式交換の効力発生
  11. 新株発行・設立・変更の登記申請
  12. 事後開示書類備置
  13. 公正取引委員会への手続き
  14. 株式交換無効訴え(*株主、債権者、取締役の権利)

以上の株式交換を行うための会社側の手続きについて、関連事項をまとめて抽出しながら内容説明を行っていきます。

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株式交換によるM&A

株式交換のスケジュール⑴契約の決議と締結

株式交換のスケジュールを実行していくにあたっては、2社間での話となりますから、まずは株式交換契約の締結が必要です。そして、その前段階として、それぞれの会社において株式交換を実施にむけた取締役会決議を経なければなりません。

株式交換に対する取締役会決議を得たら、該当企業との間で株式交換契約を締結します。株式交換契約書内には、下記の内容が記載されている必要があります。

  • 親会社・子会社の商号と住所
  • 株式交換の効力発生日
  • 株式交換の対価に関する事項

株式交換の対価は、株式交換比率によって表現します。株式交換比率とは、子会社株主に割り当てる親会社の株式の比率です。株式交換比率は、該当会社間の企業価値などを参考に決定します。

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株式交換と株価の関係

株式交換のスケジュール⑵事前開示

契約締結後に行う株式交換スケジュールは、事前開示書類の備置手続きになります。この手続きは法令で定められているものであり、必ず実行しなくてはいけません。M&Aの実務上では、「書面の備え置き」という呼び方もされます。

株式交換を行う双方の会社において、株式交換に関する一定事項を記した書類を準備し、それを開示し備え置くのです。事前開示については日程も定められており、下記のうち最も早い日が期限になりますが、大半の株式交換では、株主総会の2週間前が期限となっています。

【子会社側】
  • 株主総会の2週間前
  • 株主や新株予約権者に対する通知日または公告日のうち早い方
  • 債権者保護手続きに係る公告日または催告日のうち早い方
  • 株式交換契約の締結日から2週間を経過した日(上記いずれにも該当しない場合)
【親会社側】
  • 株主総会の2週間前
  • 株主に対する通知日または公告日のうち早い方
  • 債権者保護手続きに係る公告日または催告日のうち早い方

この手続きは、当事会社の株主を保護する目的で存在します。したがって、当事会社の株主や新株予約券所持者は、会社の営業時間内ならばいつでも書面を閲覧可能です。開示書類には、下記の内容を記載、添付します。

  • 株式交換契約の概要
  • 株式交換の対価に関する事項
  • 債務の取り扱いに関する事項
  • 計算書類など
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株式交換のスケジュール⑶株主総会

事前開示までスケジュールが進行したら、次は株主総会の開催に向けて進みます。株主総会では株式交換実施を承認する特別決議を得なければなりません。そこまでの段取りを見てみましょう。

①株主総会の開催通知

株主総会を開催する際は、各株主に対して株主総会を開催する旨を通知する必要があります。非公開会社で株式譲渡制限会社の場合は、原則として株主総会の1週間前までが通知期限です。一方、公開会社では、2週間前までに招集通知手続きを実行しなくてはいけません。

ただし、書面投票もしくは電子投票を行う場合は、株式譲渡制限会社の場合でも2週間前までが期限となります。株式交換のスケジュールを立てる際には、株主総会の通知期限が企業一律ではないことを注意してください。

②特別決議

株式交換の実施には、株主総会での特別決議が必要です。特別決議とは、会社の根幹に関わる内容を決定することを意味します。そのため、全議決権の過半数を保有する株主が株主総会に出席し、その場で3分の2以上の賛成がなければ、特別決議は成立しません。

③特殊なケース

株式交換実施に向けて、特別決議が不要となる特殊なケースがあります。それは、実施しようとしている株式交換が「簡易組織再編」、または「略式組織再編」のどちらかに該当する場合です。簡易組織再編とは、対価額が親会社の純資産額の5分の1以下である株式交換を指します。

略式組織再編の方は、特別支配会社間で実施する株式交換です。特別支配会社とは、親会社側が子会社の総株主の議決権の90%以上を所持していることをいいます。1社で所有していなくても、グループ企業合わせての所有でも構いません。

また、さらに特殊なケースとして、総株主の同意が必要となる株式交換もあります。それは、対価として持分会社(合名会社、合資会社または合同会社)の持分が交付される場合です。

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株式交換のスケジュール⑷債権者保護手続きと株主への対応

株主総会で無事特別決議が得られたら、株式交換スケジュールは債権者や株主個々に対する諸手続きに移行します。債権者と株主に対して実施する具体的な対応内容を確認しましょう。

①債権者保護手続き

株主が変わるだけの株式交換では、原則的に債権者保護手続きは生じません。ただし、例外的なケースとして、新株予約権付き社債を親会社側が引き継ぐ時と、株式以外を対価する場合において債権者保護手続きが必要となります。

債権者保護手続きとは、官報公告と個別の催告いよって、債権者に対し異議を申立てられる権利があることを伝えることです。具体的には、以下の内容を官報公告や個別催告に記載します。

  • 株式交換を実行する旨
  • 株式交換の相手企業の商号と住所
  • 一定期間、異議を述べられる旨

特に重要なのが、異議申し立ての期間です。債権者には最低でも1ヶ月の異議申し立て期間が保証されています。つまり、債権者保護が必要な株式交換の場合、完了する1ヶ月以上前に手続きを済ませておかなければなりません。

②株主への対応

株式交換スケジュールで、このタイミングで株主に対して行わなければいけないことは2つです。1つは、株券発行会社である場合の手続きですが、株主に対して、株式交換の効力が発生する日が来るまでに、株券を提供するよう公告および個別通知しなければなりません。

そして、公告および個別通知は、効力発生日の1ヶ月以上前に手続きすることも必須です。2つめは、どのケースでも共通の必須手続きとして、株式交換に反対する株主からの株式買取請求に対応しなければなりません。

株主総会で反対株主が現れ、株式買取請求があった場合、会社はその株主が保有する株式を買い取る義務が生じます。株式の買取(金銭の支払い)は、特別決議日から60日以内に実行しなければなりません。

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会社分割における債権者保護手続
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株式交換のスケジュール⑸金商法対応

金融商品取引法(略称:金商法)の規定により、公開会社の場合、以下の3種の書類提出が義務付けられています。

  • 有価証券届出書
  • 有価証券通知書
  • 臨時報告書

有価証券届出書とは、親会社が非公開会社で子会社が公開会社である時に、株式発行価額1億円以上で株主50名以上となる株式交換の場合に提出する書類です。一方、有価証券通知書の場合は、株式発行価額1,000万円以上1億円未満のケースが該当します。

臨時報告書は、株式交換などの組織再編行為を実施した場合に、その内容を開示するために公開される書類です。

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無対価株式交換

株式交換のスケジュール⑹効力発生・登記

前項までで事前手続きは完了しました。株式交換スケジュールのここからは、株式交換の実施=効力発生と、それに伴う事後手続きのフェイズに移行します。

①株式交換の効力発生

冒頭での株式交換スケジュールであった株式交換契約書内で、株式交換の効力が始まる日が定められています。ここまでの全ての手続きは、その逆算でスケジュールを立て、行ってきたものです。

②登記手続き

基本的には、株式交換で登記は不要です。ただし、レアケースとして、親会社が対価として交付する株式や新株予約権を新規発行する場合や、子会社にて発行していた新株予約権を処分するような場合には、登記手続きを行う必要が生じます。

この場合の株式交換の登記には期限があります。株式交換の効力が発生となった時から2週間以内です。また、親会社と子会社が同時に変更登記を実行する必要もあります。登記手続きが生じる場合には、スケジュール設定に注意しましょう。

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株式交換のスケジュール⑺事後開示

株式交換スケジュールの手続きは、登記手続きが完了してもまだ残っています。株式交換実施前の開示書類備置と同様に、株式交換実施後も開示書類のを備え置かなくてはなりません。

親会社・子会社の双方は、株式交換の効力発生日から6ヶ月間にわたり、事後開示書類を本店に備え置く義務があります。事後開示書類には、必ず下記の内容を盛り込まなくてはいけません。

  • 株式交換の効力発生日
  • 親会社に移動した子会社の株式数
  • 債権者保護手続きの経過
  • 株主の買取請求の経過
  • その他株式交換に関係する重要事項

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株式交換のスケジュール⑻公正取引委員会への手続き

基本的に通常の株式交換であれば、前項までの手続きで株式交換スケジュールは完遂です。しかし、場合によっては、公正取引委員会への届け出が必要な株式交換もあります。それは、以下のいずれかの場合です。

  • 親会社となった企業に対して、そのグループ企業が持つ議決権保有割合が20%または50%以上
  • 親会社となった企業およびそのグループ企業の国内売上高合計額が200億円以上
  • 親子会社の国内連結売上高が50億円以上
※関連記事
株式交換における適格要件
組織再編税制

まとめ

株式交換実施のために必要なさまざまな手続きを説明しましたが、どれか1つでも滞るとスケジュールに狂いが生じてしまうかもしれまん。効力発生日を円滑に迎えられるよう、2ヶ月間は気が抜けないでしょうが、慎重に手続きを進めてください。

本記事の要点は以下のとおりです。

・株式交換とは
→100%親子会社関係を構築する際に対価として親会社株式を交付

・株式交換のスケジュール
→取締役会での決議
→株式交換契約締結
→事前開示書類備置
→株主総会招集通知の発送
→株主総会での株式交換契約承認特別決議
→債権者保護手続き
→反対株主からの株式買取請求対応、株券などの提供公告
→金融商品取引法手続き
→株式交換の効力発生
→新株発行・設立・変更の登記申請
→事後開示書類備置
→公正取引委員会への手続き

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