M&A・事業承継の理解を深める M&A総合研究所ポータル

2019年12月1日更新
この記事は、約2分で読めます。

相続と遺贈の違い

Medium
この記事の監修専門家
M&A総合研究所 公認会計士
高谷 俊祐

相続と遺贈、一見すると同じ意味に捉えられますが、実は大きな違いがあります。相続と遺贈の財産の引き継ぎ方の違い、税金の違い、遺贈と死因贈与についても解説します。

目次
  1. 相続と遺贈の違い
  2. 相続と遺贈とは
  3. 相続と遺贈の違い
  4. 相続と遺贈の税金の違い
  5. 遺贈と死因贈与の違い
  6. まとめ

相続と遺贈の違い

親族が亡くなると、亡くなった方の財産を親族間で分け合います。

その際に、「〜を○○に相続する」「〜を××に遺贈する」と言ったフレーズを耳にしたことがあるかと思います。

相続と遺贈、一見すると同じ意味に捉えられますが、実は大きな違いがあります。

僅か二文字の違いですが、相続か遺贈かによって、思わぬ損を被る可能性もあります。

損をしない為にも、相続と遺贈の違いについて、理解を深める必要があります。

この記事では、相続と遺贈の違いをご紹介します。

相続と遺贈とは

まず、相続と遺贈について、基本的な違いを確認します。

⑴相続とは

①相続の概要

相続とは、被相続人の財産を法定相続人に対して、包括的に移転する行為です。

法定相続人とは、法律上指定されている相続人のことで、配偶者や子供、兄弟姉妹、親や祖父母までを指します。

法定相続人以外(友人や内縁の妻等)に対して財産を移転する場合、相続とは呼びません。

「包括的」に移転するとは、現金等の資産のみならず、借金等の負債も引き継ぐ事を意味します。

原則遺言書の記載内容に基づき、遺産分割協議によって各々が相続する財産を決定します。

話し合いがまとまらない場合には、民法上決められている法定相続分ずつ財産を分け合います。

民法における法定相続分は、下記となります。

  • 配偶者と直系卑属(子供や孫)が相続人:配偶者2分の1、直系卑属2分の1
  • 配偶者と直系尊属(親や祖父母)が相続人:配偶者3分の2、直系尊属3分の1
  • 配偶者と兄弟姉妹が相続人:配偶者4分の3、兄弟姉妹4分の1

上記の通り、配偶者は原則必ず相続人となります。

子供や孫がいない場合には、直系尊属に相続人の権利が発生します。

直系尊属が存在しない場合には、兄弟姉妹が相続人となります。

②相続による財産の引き継ぎ方

相続には、主に三種類の方法があります。

一つ目は「単純承認」で、自身の取り分である資産・負債を全て引き継ぐ行為です。

二つ目は「限定承認」で、相続する資産金額の範囲内で、負債を引き継ぎます。

三つ目の「相続放棄」は、相続する権利自体を放棄する行為です。

負債があまりにも多い場合、相続放棄を行い、手放したくない資産がある際は限定承認を実施するケースが大半です。

限定承認や相続放棄を実行する為には、三ヶ月以内に手続きを完了させなくてはいけません。

限定承認の手続きは非常に面倒である為、弁護士や司法書士に業務を委託する事をオススメします。

⑵遺贈とは

①遺贈の概要

遺贈とは遺言書を用いて、特定の人物に対して財産を無償で譲渡する行為です。

相続が法定相続人を対象とする点に対して、遺贈では対象者に制限がありません。

つまり親族以外の誰に対しても、遺贈を実行できます。

対象者のみならず、移転する財産にも違いがあります。

相続では財産を包括的に移転しますが、遺贈では移転する資産を指定できます。

つまり相続とは違い、負債を引き継がせずに済みます。

無償である為「贈与」と同じ感じがしますが、「贈与」と「遺贈」も異なる手法です。

贈与は両者(あげる人・もらう人)が合意した上で実行しますが、遺贈は被相続人の一方的な意思によって財産を譲渡します。

遺贈の際には、一点注意点があります。

被相続人が亡くなった時点で遺贈対象の人物が生存していなければ、遺贈は無効となります。

つまり相続とは違い、代襲「遺贈」は発生しません。

②遺贈による財産の引き継ぎ方

遺贈には、二種類の方法があります。

遺贈する財産を割合で指定もしくは全財産を移転するケースは、「包括遺贈」と言います。

包括遺贈の対象者は、相続人と同様の権利を獲得します。

相続人と同様に、遺産分割協議に参加できます。

負債を引き継ぎたくない場合には、遺贈の権利を放棄しなくてはいけません。

一方で特定の財産を指定するケースは、「特定遺贈」と呼ばれます。

特定遺贈の権利は、自由にいつでも承認もしくは放棄できます。

相続とは違い、遺贈放棄は口頭での意思表示でも成立します。

※関連記事

相続の方法を徹底解説【完全保存版】

相続と遺贈の違い

この項では、相続と遺贈の主要な違いを三つご紹介します。

⑴農地取得

相続では移転登記により、円滑に農地を相続人に移転できます。

特定遺贈の場合、農地の移転には農業委員会もしくは知事の許可が必要です。

相続と比べると、農地取得に手間がかかります。

遺贈の対象者(受遺人)が農業従事者でははいと、許可が下されない可能性があります。

許可が降りなければ、受遺者は農地を取得出来ません。

農業の事業承継等を実施する際には、特定遺贈のリスクに注意しましょう。

⑵不動産登記

相続では、相続人は単独で所有権移転の登記を申請出来ます。

一方で遺贈を選択すると、相続とは違い手続きが面倒です。

受遺人は、法定相続人全員と共同で所有権移転の登記を申請しなくてはいけません。

相続争いが勃発した場合には、相続人からの協力が得られず、登記申請を進められなくなる恐れがあります。

遺贈では、相続とは違い登記を経ないと、債権者に対して自身の権利を主張できません。

⑶借地権・借家権の移転

借地権・借家権の移転でも、相続と遺贈の間に違いがあります。

相続では賃貸人の承諾を経ずに移転可能である一方で、遺贈では移転に際し承諾が必要です。

※関連記事

相続は司法書士に相談しましょう

相続と遺贈の税金の違い

この項では、相続と遺贈における税金についてご紹介します。

⑴相続における税金

相続の際には、相続人に対して相続税が課税されます。

下記の順序によって、相続税を計算できます。

①正味相続財産の算出

まず初めに、税金が課税される資産総額を算出します。

相続財産そのものに税金が課される訳ではなく、様々な加減算を行い、正味相続財産を算出します。

②課税財産の計算

正味相続財産から基礎控除金額を差し引いた部分に、税金が課税されます。

基礎控除金額は、下記の計算式により算出します。

  • 基礎控除金額=3,000万円+600万円×法定相続人の数

③各々の税金額を算出

課税される財産総額が計算されたら、各々の財産取得割合に応じて、納税する税金を計算します。

⑵遺贈における税金

遺贈の場合、納税する税金は下記の順序で算出します。

  1. 正味相続財産の算出
  2. 課税財産の計算
  3. 各々の税金額を算出
  4. 税金に2割加算(一定範囲内の親族であれば不要)

1〜3までの順序は、相続と違いありません。

遺贈の場合、算出された相続税額を二割増する必要があります。

何故なら、財産取得者が被相続人の一親等及び配偶者以外の人である場合には、税金に相続税額の2割分を加算する決まりがあるからです。

遺贈により親族以外に財産移転する場合、納税する税金が多くなります。

相続においても、相続人が一親等及び配偶者以外であれば、税金の二割加算が適用されます。

※関連記事

相続税の節税

遺贈と死因贈与の違い

最後に、遺贈と死因贈与の違いも解説します。

遺贈と死因贈与も、しばしば同一視されがちですが、両者には違いがあります。

この項では、遺贈と死因贈与の違いを確認しましょう。

⑴死因贈与とは

死因贈与とは、被相続人の死亡を条件とした贈与契約です。

つまり被相続人が死亡した時点で、贈与が実行されます。

死因贈与には、「負担付死因贈与」と呼ばれるものもあります。

負担付死因贈与とは、受贈者に対して義務や負担を設定する死因贈与です。

例えば、「身の回りの世話をしてくれたら、○○○を与える」といったケースが最たる例です。

「贈与」と付いていますが、死因贈与で納付する税金は「相続税」です。

この点は、相続や遺贈と違いありません。

⑵遺贈と死因贈与の違い

遺贈と死因贈与には、主に下記2つの違いが存在します。

①成立条件

遺贈では、効力の発生に「遺言書」が必要です。

死因贈与では、遺贈とは違い口約束でも成立します。

後々のトラブルを避ける上で、死因贈与であっても何かしらの契約書を残しておくことがオススメです。

②財産を引き継ぐ側の権利

遺贈は財産を分け与える方による一方的な意思表示である為、受遺者は遺贈を拒否できます。

一方で死因贈与は、遺贈とは違い贈与者と受贈者との間で交わす正式な契約です。

贈与者が亡くなった後は、受贈者は原則財産の受け継ぎを拒否できません。

以上が、遺贈と死因贈与の違いとなります。

遺贈と死因贈与は、互いに一長一短の手段です。

どちらを選ぶかは、ご自身の好みとなります。

※関連記事

生前贈与のメリットとデメリット

まとめ

今回は、相続と遺贈の違いについてご説明しました。

相続と遺贈には、様々な違いが存在します。

親族に対して財産を移転するのであれば、相続を選択した方が有利です。

親族以外(法定相続人)に財産を移転する場合には、基本的には遺贈となります。

「相続」と「遺贈」、僅か二文字の違いで、財産の移転や税金面で大きな違いが生じます。

遺言書を作成する際は、言葉選びに十分注意する必要があります。

要点をまとめると下記になります。

  • 相続とは

→被相続人の財産を法定相続人に対して、包括的に移転する行為

  • 相続による財産の引き継ぎ方

→単純承認、限定承認、相続放棄の三種類

  • 遺贈とは

→遺言書を用いて、特定の人物に対して財産を無償で譲渡する行為

  • 遺贈による財産の引き継ぎ方

→包括遺贈と特定遺贈の二種類

  • 相続と遺贈の主要な違い

→農地取得、不動産登記、借地権・借家権の移転

  • 相続における税金
  1. 正味相続財産の算出
  2. 課税財産の計算
  3. 各々の税金額を算出
  • 遺贈における税金
  1. 正味相続財産の算出
  2. 課税財産の計算
  3. 各々の税金額を算出
  4. 税金に2割加算(一定範囲内の親族であれば不要)
  • 死因贈与とは

→被相続人の死亡を条件とした贈与契約

  • 遺贈と死因贈与の主要な違い

→成立条件、財産を引き継ぐ側の権利

M&A・事業承継のご相談ならM&A総合研究所

M&A・事業承継のご相談なら専門の会計士のいるM&A総合研究所にご相談ください。
M&A総合研究所が全国で選ばれる4つの特徴をご紹介します。

M&A総合研究所が全国で選ばれる4つの特徴

  1. 業界最安値水準!完全成果報酬!
  2. M&Aに強い会計士がフルサポート
  3. 圧倒的なスピード対応
  4. 独自のAIシステムによる高いマッチング精度
>>M&A総合研究所の強みの詳細はこちら

M&A総合研究所は会計士が運営するM&A仲介会社です。
企業会計に強く、かつM&Aの実績も豊富です。全国にパートナーがいるので案件数も豊富。
また、業界最安値水準の完全成果報酬制のため、M&Aが成約するまで完全無料になります。
まずはお気軽に無料相談してください。

>>【※国内最安値水準】M&A仲介サービスはこちら

電話で無料相談
0120-401-970
WEBで無料相談
M&Aのプロに相談する
  • 02
  • 03
  • 04
  • 05
ご相談はこちら
(秘密厳守)