社長の引退年齢の現状や課題点とは?M&Aや事業承継を活用するポイントを解説

日本の少子高齢化現象を如実に表しているのが、企業における社長の引退年齢高齢化と後継者不足問題です。年々高齢化している社長の引退年齢について、統計資料を確認しながら現状の把握、課題点、事業承継での後継者不足対策などを考察します。

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2020年4月6日更新

目次
  1. 社長の引退年齢の現状
  2. 社長の引退年齢の課題点
  3. 統計で見る社長の引退年齢
  4. 社長引退とM&Aでの事業承継
  5. 社長の引退年齢・その後
  6. まとめ

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社長の引退年齢の現状

企業の経営者の高齢化は、近年さまざまな企業で見られる問題です。60代後半や70代以降で現役の社長を続けているケースも見られ、今のままでは社長の引退年齢はますます上がっていくと予測されています。

もちろん健康な状態で経営を続けられればよいでしょう。しかし、後継者がいないばかりに、無理をして経営を続けているケースもあるかもしれません。つまり、なるべく早く後継者を見つけて育成し、早い段階で経営を任せられるようにすることの重要性が増してきているのです。

このような日本における会社社長の引退年齢について、現状の詳細を明らかにしていきます。

社長の高齢化は確実に進んでいる

まず、現役社長の平均年齢について知っておきましょう。帝国データバンクが2020(令和2)年1月に発表した「全国社長年齢分析(2020年)」によると、2019(令和元)年の社長の平均年齢は59.9歳で、過去最高齢です。上場企業の社長に限ると、平均年齢は58.7歳でした。

統計には示されていませんが単純計算をすると、非上場の中小企業社長の平均年齢は61.1歳ということになります。やはり、中小企業では、明確な後継者が定まっていない会社が多いことの現れといえるかもしれません。なお、この統計は全国約95万社のデータを集計したものです。

また、帝国データバンクの1990(平成2)年の調査では社長の平均年齢が54歳ちょうどでした。30年の間に5.9歳も年齢が上がったことになります。つまり、必然的に社長の引退年齢も、高齢化の一途をたどっているといって差し支えないでしょう。

なぜ社長の高齢化が進むのか

社長の年齢が高齢化するのは、ひとえに社長が早期引退できない状況であるということです。単に後継者が見つからないだけでなく、後継者候補がいても育成が足りていない、後継者候補にした者が結局適格ではなかったなど、各社によって細かな事情が発生していると考えられます。

そのような状況下で結局、社長が「まだ自分が経営を続けるしかない」と判断せざるをえず、社長の高齢化は進み、引退年齢も上昇するわけです。近年、中小企業のM&Aが活発化しているのも、後継者不足が1つの原因といわれています。

M&Aによって自社を他社に売却すれば、事業は承継されます。適切な後継者のもとで経営が持続されるというメリットにより、後継者問題が解決されるのです。M&Aは、後継者不足に悩む中小企業にとって効果的な手法といえるでしょう。

ただし、売却先として適切な企業がすぐに見つかるとは限らないため、それまでの間、社長の高齢化は進むことになります。今後、M&Aを絶対的な後継者不足の改善策とするには、より活発化させ、もっと広く浸透させていくとよいでしょう。

社長の適切な引退年齢はいくつなのか

社長の高齢化に伴い、その引退年齢の上昇も歯止めがかかっていないというのが、社長の引退年齢の現状です。さて、それでは少し趣を変え、社長の引退年齢はいつが適切なのかについて、後継者のことをポイントに据えながら考察してみましょう。

50代前半を引退年齢にするケース

あくまで考え方の1つですが、思い切って50代前半を引退年齢の目安として想定してみます。これは、主に後継者の育成という側面でメリットがある考え方です。後継者を育成する場合、現在の社長がなるべく若いうちに、いろいろな手ほどきをするに越したことはありません。

社長が高齢になってしまうと心身両面の衰えにより、後継者を十分に育成できないおそれがあるからです。後継者の育成には最長10年程度かかるともいわれており、それを逆算すると、40代後半から50代前半にかけて後継者の育成を進めることになります。

社長が年齢的に最も充実しているであろう、40代後半から50代前半にかけて後継者を育成するのは、後継者にとっても今後の会社にとっても大きなプラス材料といえるでしょう。

50代後半以降を引退年齢にするケース

人生100年時代ともいわれる現代において、50代前半を引退年齢とするのは少し極端な例であったかもしれません。むしろ、それは引退というよりも、次のチャレンジに向けた区切りといったほうがいいでしょう。

また、引退年齢は、実際それぞれの社長が何歳で社長となったかにも左右されます。そして、自身がバイタリティにあふれる40代後半などは、後継者の育成よりも事業の拡大に注力したいと考える社長も多いはずです。

それらの事情を考えると、社長の引退年齢も50代後半以降である方が現実的と考えられます。その場合、やはり1つの目安は、原則的な年金給付開始時期である65歳あたりになるのかもしれません。

つまり、引退年齢のグランドデザインとしては、社長が50歳になるまでに後継者を定め、50代で後継者教育を行います。そして、社長自身と後継者自身、さらに会社としても社長交代の準備が整ったしかるべきタイミングで引退するというものです。

それを最長でも65歳までに完結させるというのが、現状では1つの落としどころといえるかもしれません。

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社長の引退年齢の課題点

独立行政法人中小企業基盤整備機構が2011(平成23)年3月に発表した「事業承継実態調査報告書」によると、中小企業において現在の社長が先代から社長を引き継いだときの平均年齢は58.7歳となっています。この調査の対象となっているのは、全国から抽出された2,852社です。

サンプル数として日本全体を示しているとは言い難い会社数ではあるものの、少なくとも実状の一端を示す数値としての意味はあるでしょう。いずれにしても、自分が社長になったのが58.7歳であるとすれば、後継者について考えるのはその年齢以降となります。

前項で社長の適切な引退年齢を考察しましたが、それらの考察は全て無に帰すような実態の会社があるというのは、まぎれもない事実なのです。そして、社長の引退年齢の高齢化で最も危惧すべき問題は、その裏にあります。

中小企業において社長の引退年齢が高齢化している影響で、後継者が社長となる年齢も高齢化してきていることが悪い連鎖の1つです。この連鎖から読み取れるのは、やはり後継者不足の問題でしょう。

そして、適切な後継者がいないまま社長の高齢化が進み、心身の限界が訪れた結果、会社を廃業するという最悪のシナリオが実際に多数、現実に起きていることが最大の問題です。中小企業庁の中小企業白書によると、日本の企業数比率は中小企業が99.7%を占めています。

現状のまま、社長の引退年齢が高齢化し、その結果として会社の廃業が後を絶たなくなれば、日本経済にとって由々しき事態であることは明白です。

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統計で見る社長の引退年齢

ここまでの記事において掲示した、中小企業が関わる統計数値は以下のとおりです。

  • 中小企業社長就任時の平均年齢:58.7歳
  • 中小企業社長の現在の平均年齢:61.1歳

ただし、両データの調査機関は別々であり、また、サンプルの会社数も違えば調査年度も違います。一概に同列では語れない点はお含みおきください。そして、さらに別の機関の調査による統計で、本記事のテーマである社長の引退年齢の実態について迫ります。

中小企業

野村総合研究所が中小企業庁からの委託で2012(平成24)年11月に行った「中小企業の事業承継に関するアンケート調査」によると、中小企業社長の平均引退年齢は、調査時点の直近(事業承継時期が0~4年前)において小規模事業者が70.5歳、中規模企業が67.7歳です。

データ面の補足説明になりますが、中小企業基本法において企業の規模は以下のように定義されています。なお、中小企業の定義は、資本金額か従業員数のどちらかを満たしていればよいようです。また、統計数値は、全国6,390社の中小企業への調査結果です。

  中小企業:資本金額 中小企業:従業員数 小規模企業:従業員数
製造業など下記以外の業種 3億円以下 300人以下 20人以下
卸売業 1億円以下 100人以下 5人以下
サービス業 5,000万円以下 100人以下 5人以下
小売業 5,000万円以下 50人以下 5人以下

先ほどの社長引退年齢の際に用いられている中規模事業者とは、上記の表でいうところの中小企業を指していると思われます。そこで、中規模事業者と小規模事業者の両者を統合した、真の中小企業社長の引退年齢平均値は69.1歳です。

調査機関や調査時期、調査会社数がバラバラの統計でありながら、それぞれのデータは見事に符合します。つまり中小企業においては、59歳前後で前社長から社長の地位を引き継ぎ、約10年後の69歳前後で後継者育成を終え引退し、社長交代を果たしているということです。

上場企業

上場企業の場合、状況は中小企業とは一線を画します。まず、組織の規模が違いますから後継者不足という問題は生じません。また、ごく一部を除けば、創業家一族が世襲のように後継者となることも行われていませんから、身内に後継者がいるかいないかなどの話は論外です。

社長にふさわしい実力ある人材が後継者として選ばれ、株主総会で信任される仕組みとなっている上場企業において、中小企業のような事業承継問題はありません。したがって、社長の引退年齢の高齢化に伴う問題も基本的には生じないものです。

また、時と場合によっては、経営陣の若返りを図って、40代の役員が次期社長に指名されることなどもあり、その意味でも社長の引退年齢における高齢化問題は、蚊帳の外にあるのが上場企業といえるでしょう。

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社長引退とM&Aでの事業承継

中小企業における社長の引退年齢の高齢化は、後継者不足の裏返しです。そして、事業承継が実現せず廃業となってしまった場合、後処理の手続きとそれに伴う出費という好ましからざる事態が待っています。そこで、あらためて事業承継とその方法について確認しておきましょう。

親族や従業員に事業を承継させる場合

身内である親族を後継者とする事業承継を親族承継と呼び、社内の役員や従業員から後継者を選んで事業承継することを社内承継、あるいは従業員承継などといいます。中小企業の親族承継で最も一般的なのは、親から子への相続による事業承継でしょう。

しかし、近頃の少子化によって、この親子間の事業承継が成立するケースが減ってきてしまっているのが現状です。一方、社内承継の場合、長年の仕事ぶりを見て後継者にふさわしい従業員を選べるので、適任者がいれば安心して後を任せられます。

しかし、そもそも規模の小さい中小企業でそれだけの人材がいるかどうかという問題と、社長という多大な責任がかかり、なおかつ会社の株式買取のために多額の資金が必要となる後継者を引き受ける人物がいるかどうかという2つの問題が横たわっていて、一筋縄ではいきません。

M&Aでの事業承継という選択肢

昨今、事業承継第三の道として脚光を浴びているのが、M&Aによる事業承継です。後継者不在の中小企業において、外部の第三者に会社を売却することで会社の経営権を譲渡し、以後の経営を任せることができます。

また、売却先の会社が資金力豊富であれば単なる事業承継にとどまらず、経営基盤が強化され事業が拡大するなど、残った従業員たちにとっても大きなメリットが生じるでしょう。引退する社長自身も、会社の売却で相応の収入を得ることができます。廃業とは大違いです。

ただし、M&Aの成功率は必ずしも100%ではありません。それはだいたい4割程度という話も耳にします。そうなると重要なのはM&A仲介会社選びです。数多いM&A仲介会社の中から、全国の中小企業のM&Aに携わっている実績を誇る、M&A総合研究所をおすすめします。

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M&Aでの事業承継を活用するポイント

M&Aでの事業承継を実施し社長が引退する場合に、ポイントとなる点を押さえておきましょう。

M&Aでの事業承継を行う目的を定める

M&Aでの事業承継によって社長が引退する場合、その目的ははっきりしています。端的には、廃業を防ぐために適切な後継者を見つけたいという点につきるでしょう。また、引退後も会社に残る場合は、「引退後は○○職として貢献したい」という点もM&Aでの事業承継の目的になります。

ただし、M&Aでは相手の意向も重要です。お互いの意向が双方向に噛み合わないとM&Aは成立しないといっても過言ではありません。目的が複数あるなら、その優先順位をつけておくべきです。場合によってはさまつな目的は掲げずにしまっておいた方がいいこともあります。

そのうえで安心して自分が引退できて、十分な売却費用を支払ってくれるM&Aの相手を探すには、業務を依頼するM&A仲介会社とM&Aの目的についてよく相談しながら進めるのがよいでしょう。

経営状況の改善工夫

いくら社長を引退したい年齢だといっても、悪化した経営状況だったりするとM&Aの相手がうまく見つかるかどうかは難しくなります。一般的には、経営改善を狙ってM&Aを実行するケースもありますが、今回は事業承継が第一目的です。

この場合、経営状況を良化するか、そこまでは無理でも経営状況が好転できる道筋だけでもつけておくことに越したことはありません。会社の魅力や長所は何であるかをあらためて見直し、その良い点をアピールできる状況にはしておきましょう。

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社長の引退年齢・その後

中小企業社長の引退年齢について現状がはっきりしてきたところで、社長たちの引退後のライフプランについて考えてみましょう。社長の引退時期を検討するうえで、どのような引退後のライフプランを持っているかは、密接に関係してくる事柄です。

会社に残る場合

社長を引退した後でも、会社の一定の役職に就き、引き続き会社に貢献するというケースがあります。特定の部署の責任者や役員になる場合など、どのような形で貢献するかは会社によって異なりますが、引退後に会社に残るという選択肢もあるわけです。

特に比較的若くして社長業を引退した場合、まだ現役で活躍できるケースは多いでしょう。例えばM&A後に社長を退いた後、年齢的にまだ余裕があれば、引き続き重要な役職として仕事を続けるケースもしばしば見られます。

会社から離れる場合

社長を引退して会社から離れる場合、社長はいわば第二の人生を歩むことになります。過ごし方の選択肢は多岐に渡るでしょう。家族とゆっくり過ごす時間を増やす、家族と長期間の旅行に行く、趣味に時間を使う、地域の活動に参加するなど、あらゆる過ごし方が考えられます。

特に社長業の場合、一般の職種よりもプライベートを犠牲にして職務にまい進してきたケースも多いでしょう。引退後は、社長職に就いている間はできなかったことを行うチャンスでもあるわけです。こうしたライフプランも、引退にあたって考慮しておくと良いでしょう。

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まとめ

人生100年時代という言葉をどう受け止めるかは自由です。「気力体力の続く限り、いつまででも社長業を続けるのだ」という考えもあるかもしれません。一方、「健康なうちに第二の人生を楽しみたいから早く社長を引退したいのだ」という考えもあるでしょう。

ただし、社長が引退したいときに後継者がいなければ、引退したくてもそれはかないません。つまり、当初から自分の引退年齢を見定めておき、その逆算で後継者の選定や教育、あるいはM&Aの実行計画などを立てておく必要があるということです。本記事の要点は、以下のとおりです。

・現在の中小企業の社長平均年齢
→61.1歳で過去最高齢(2019年の調査)

・中小企業の社長就任時の平均年齢
→58.7歳(2011年の調査)

・中小企業社長の平均引退年齢
→69.1歳(2012年の調査)

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