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従業員承継とは?従業員承継のメリット・デメリット

従業員承継とは?従業員承継のメリット・デメリット

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この記事の監修専門家
M&A総合研究所 公認会計士
高谷 俊祐

目次

    従業員承継

    従業員承継は事業承継の形の一つであり、経営者の方が後継者を選ぶ際に取り得る選択肢の一つでもあります。

    文字通り会社内の従業員を後継者に据える従業員承継ですが、従業員を後継者に据えるにはメリット、デメリットがあり、解決しなければならない課題も存在しています。

    円滑な、理想的な事業承継を実現するためには従業員承継におけるメリット・デメリット、課題を把握しておいた方がいいでしょう。

    今回はそんな従業員承継について解説します。

    従業員承継と親族間承継どちらがいいの?

    従業員承継はその名の通り、従業員や役員に事業承継を行うことを指します。

    一般的に事業承継の際に後継者になるといえば経営者の子供や親族になるイメージがあるかと思いますが、昨今は「子供が親の会社を継ぐ」という価値観が当たり前ではありません。

    そのため子供が経営者となることを拒むことは珍しくありません。

    また親族といっても経営者に向く素質が必ずあるわけではありません。

    中には親族を後継者として事業を任せることが難しく、会社の舵取りを任せられないケースも多く存在します。

    そういった点を踏まえても、長年会社に事業に携わってきた従業員、役員は会社の内情を知り尽くしているため、経営者の素質と覚悟があればスムーズに事業承継が進む可能性が高いです。

    経営者にとっても長年共に働いてきた仲間が後継者になれば安心ですし、ノウハウや業務に関する知識の伝達もスムーズに進む可能性が高いです。

    従業員承継は事業承継における選択肢の一つとして確立しているといえるでしょう。

    実際、昨今では親族間の承継は減少傾向にあり、逆に従業員承継が徐々に増えています。

    一方、従業員承継は親族間の承継と異なる点で注意しておくべき点もあり、理想的な事業承継を行うにはクリアしておきたい課題も存在しています。

    経営者の方はどんな課題をクリアすべきかをあらかじめよく考えておくべきでしょう。

    従業員承継のメリット

    従業員承継にはどのようなメリットがあるのでしょうか。

    従業員承継のメリットは複数あります。

    ここではそれぞれのメリットをお伝えしていきます。

    ①後継者選定・育成の手間が省ける

    従業員承継の最大のメリットは後継者選定・育成の手間が省けるという点が挙げられます。

    親族間の承継だと経営者の子供を含めた親族の中から選ぶことになりますが、経営者の子供・親族だからといって経営者の素質があるとは限りません。

    仮に経営者の素質があったとしても、会社の経営に関わっていなければ経営者がその会社の経営や業務について一から後継者に教えていくことになります。

    これは事業承継においてとても重要なプロセスではありますが、実際に行うとなるとどうしても手間がかかってしまいますし、事業承継がかなり長引いてしまいます。

    実際事業承継は長い目で行うべきものであり、中には10年近く歳月をかけて行っていくケースもあります。

    そういった点を考えると従業員承継は初めから会社の事業や業務に関する知識を持っており、長年働いている従業員であれば一定以上の経験値も積み重ねています。

    そのため後継者選定・育成の手間をかなり省くことができます。

    また、正直な所、育成が苦手という経営者も珍しくありません。

    中小企業にはありがちですが、規模が小さい会社は経営者のワンマン経営になっていることが多く、親族とはいえ、一からレクチャーすることが不慣れであることは充分考えられます。

    あらかじめ会社内の事情などに詳しい従業員であれば育成する手間が自体を省けるため、育成の過程でトラブルが起こったり、育成自体が滞るような事態を避けることができるでしょう。

    ②周囲からの理解を得られやすい

    従業員承継は周囲からの理解を得られやすい点もメリットとして挙げられます。

    会社に長年尽くしてきた従業員であれば後継者になっても他の従業員も納得しやすいですし、親族が事業承継にそこまで興味を示さないのであれば信頼して会社を任せることができるでしょう。

    また従業員であれば取引先にも顔がきくため、取引先からの信用も得られるでしょう。

    事業承継において後継者の信用性は非常に重要なものであり、従業員が不信感を持ったら経営に支障をきたしますし、取引先が不信感を持てば取引に悪影響を及ぼす恐れもあります。

    最悪なケースとしては金融機関が不信感を持つことです。

    後継者の選定や事業承継に不信感を持たれると融資が滞ってしまうため、会社の資金繰りが悪化してしまう恐れがあります。

    ③会社文化を維持できる

    従業員承継は会社の文化や理念、風土などを維持しやすいものです。

    そもそも後継者となる従業員は会社の文化などに共感したうえで雇用されており、長年働いていることで会社の文化などをしっかり根差しているものです。

    そのため事業承継をきっかけにした会社の文化などが極端に変わるような事態を避けられます。

    最近は後継者不在のためにM&Aで事業承継を行うケースが増えています。

    M&Aはメリットも多いですが、別の会社、経営陣に経営を委ねることになるため、会社の文化などが刷新されてしまう恐れがあります。

    会社の文化が刷新されると従業員が戸惑い、反発する可能性がありますし、そもそも経営者が思い描いていたビジョンから大きく外れてしまうリスクがあります。

    しかし従業員承継は会社の文化などを理解し、身につけている従業員が承継するため、経営者の理想通りの事業承継が達成しやすくなります。

    従業員承継のデメリット

    従業員承継のデメリットもメリット同様複数あります。

    ①思い切った改革ができなくなる

    従業員承継は良くも悪くもその会社の文化などに染まった人が後継者となるため、これまでの流れを一新するような思い切った改革ができなくなる傾向があります。

    当然前任の経営者がどのように従業員を教育するかによりますが、一般的に従業員承継は経営者の理念などを忠実に受け継いだ後継者が会社を承継するパターンが多いです。

    そのためこれまでのやり方をただ素直に受け継ぐ後継者だと、経営環境の変化に応じて大胆な改革に着手できる経営者にはなりにくいといえるでしょう。

    これは従業員承継に限った話ではなく、経営者が後継者にどういった経営を行ってほしいか、どれだけの自由裁量を与えるかにかかっています。

    経営環境が目まぐるしく動く昨今、時に大胆な一手を打てる人材が会社を引っ張っていけるかが重要になっているといっても過言ではありません。

    経営者の方はいくら気心を知れた従業員でも、こういった思い切った改革ができる人材を後継者に据えた方がいいでしょう。

    ②所有と経営の分離

    従業員承継をどのように行うかにもよりますが、従業員承継は会社の所有と経営の分離が発生してしまうリスクがあります。

    もし経営者が会社の所有権を持ったまま、つまりオーナーであるまま後継者に経営者の地位を譲った場合、会社の所有は前任の経営者、経営は後継者に委ねられる形になります。

    実際経営者を引退しても会社の所有権は譲らないままでいる経営者はいますが、それは裏を返すと後継者が完全に会社を託されていない形になります。

    会社の所有権をそのまま持っているということは前任の経営者が株式を一定以上有していることでもあり、それは結果的に一定以上の発言権をそのまま有していることになります。

    これだと従業員には実質的に会社の実権が前経営者と後継者に二分されているように映ります。

    そのため従業員はどちらの意向に従えばいいか混乱しますし、後継者もオーナーである前経営者の意向を窺ってしまうようになり、結果的に持ち味を発揮できなくなる可能性もあります。

    何より前経営者が会社の所有のために株式を所有してしまうと、後継者の発言権が下がってしまうため、安定した経営が難しくなってしまいます。

    ③株式の取得が難しい

    事業承継を行う際、後継者に何らかの形で株式を取得させることになりますが、その取得が簡単にいかない可能性が高いのが従業員承継です。

    親族への事業承継と違い、従業員は親族ではないため、経営者は遺言書をしたためて株式を相続させるか、株式を贈与、あるいは売買を通じた譲渡という形で取得させることになります。

    ただ相続や贈与を行う場合は親族への遺留分を考慮しておかなければなりません。

    もし経営者の財産の大半が株式だった場合、事業承継に必要な分の株式を後継者に譲渡してしまうと親族への遺留分を犯してしまう可能性があります。

    そうなると親族が遺留分減殺請求を行い、せっかく譲渡した株式が分散してしまう恐れがあります。

    また売買を通じた譲渡では従業員の資金力が問われることになります。

    会社の経営権を引き継げるだけの株式を取得するための資金はそれなりのものであり、役員クラスの従業員でも資金を用意することが難しい場合もあります。

    そういった点も経営者は考慮しておいた方がいいでしょう。

    従業員承継を成功させるポイント

    ここでは従業員承継を成功させるポイントをいくつかお伝えしていきます。

    ①人選は慎重に

    従業員承継の場合でも人選は慎重に行うべきものです。

    経営者の立場から見たら優秀に見える従業員でも、従業員の立場から見れば何かしらの問題を抱えていたり、意外に人望がない…なんてことも珍しくありません。

    経営者は俯瞰的に会社を見つめ、従業員をまとめていく立場ですから、周りの人間とどれだけ協調し、リーダーシップを発揮しできるかが重要になります。

    ただお気に入りの従業員を後継者に据えるのではなく、会社の今後や従業員を託すに足りる人材を選択するようにしましょう。

    また、よい人材を見つけたとしてもちゃんと本人の承諾を得ておくことが重要です。

    経営者になるということはその従業員にとってはかなりハードルの高いものであり、プレッシャーがかかるものです。

    ただ社長命令だからといっておいそれと受け入れられるものではないため、それなりに悩むこともあるかと思います。

    経営者の方はこういった従業員の気持ちにも寄り添うことが大切です。

    この際に避けたい失敗は「承諾が取れているものだと思ってそのまま計画を進める」ということです。

    後継者に据えたい従業員とコンセンサスが取れているかを確認しておくようにしておきましょう。

    ②株式の取得は色々な手を使おう

    先ほど、株式の取得において相続や贈与、売買による譲渡といったやり方があるとお伝えしましたが、株式の取得はこれらの内いずれか一つを使うわけではなく、これら3つのやり方を組み合わせて行うことが一般的です。

    例えば贈与税が非課税の範囲で贈与しつつ、残りの株式は売買を通じて取得させるなど、様々なやり方を組み合わせて効率的に進めることがおすすめです。

    もし経営者の親族での遺留分に留意する場合、売買による譲渡を中心にするのがベターな方法ですが、後継者の資金力を鑑みると難しいケースが多いです。

    そんな時は後継者を役員に昇格させて役員報酬を支払い、それによって資金をためさせるなど様々なやり方でサポートしていくことが重要になります。

    また、中途半端に株式を後継者に取得させただけにしておくと所有と経営の分離が発生する恐れがあります。

    そうなると後継者が安定的に経営をすることが難しくなるため、なるべく株式は取得させられる限り全て承継させた方がよいです。

    もちろん段階を踏んで、後継者の成長に合わせて取得させていった方がよいですが、後々のトラブルを避けるためにも最終的には後継者に全ての株式を取得させるようにしましょう。

    ③専門家の協力を得る

    従業員承継に限らず、事業承継を行う際には専門家の協力を得ておくことがおすすめです。

    事業承継は長期的な視点に立って行うべきものであり、後継者の選定・育成、株式の承継などやることも多方面にあります。

    そのため経営者だけで行うのは難しいですし、時には専門的な知識も必要になる場面もあり、ますます対処が難しくなります。

    最近では事業承継のサポートを包括的に行う経営コンサルティング会社や税理士事務所、弁護士事務所、投資ファンドなど様々な機関があります。

    そういった機関は事業承継のノウハウに長けている専門家が多く在籍しているため、力を借りるにはうってつけだといえるでしょう。

    まとめ

    従来、親族への承継に一本化されていた事業承継ですが、従業員承継は経営者の方にとって有効的な選択肢となり得るものです。

    ただ従業員承継だからこそ抱えるリスクや注意点もあるので、実際に行う際にはそういった点に目を向けておくことが大切です。

    「子供が親の会社を継ぐ」ことは当たり前ではなくなっている現代だからこその選択肢です。

    専門家の協力を得ながら、従業員承継のメリット・デメリットを意識しつつ信頼できる従業員に事業を承継していきましょう。

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