M&Aとは?意味や動向とM&Aを行う目的・メリットなどをわかりやすく解説!
2022年11月30日更新事業承継
M&Aアドバイザリー契約の記載内容・締結タイミングは?契約形態、確認すべき注意点も解説
M&Aアドバイザリーに業務を委託する際は、M&Aアドバイザリー契約を締結します。このとき、M&Aアドバイザリー契約の内容を理解しておくことが重要です。本記事では、M&Aアドバイザリー契約の内容や確認すべき注意点を解説します。
目次
M&Aアドバイザリー契約とは
近年、M&Aによる事業承継の増加などもあって、大企業・中小企業ともにM&Aが活発に行われています。M&Aアドバイザリー契約では、M&Aアドバイザーがどのような業務を行うのか、料金はいくらでいつまでに支払うのかなどを記載します。
M&Aをスムーズに進めてトラブルを避けるためには、M&Aアドバイザリー契約とは何か、何について契約を結びどのような権利と義務が発生するのかを理解することが重要です。
まずは、M&Aアドバイザリー契約の概要およびコンサルティング・仲介契約とM&Aアドバイザリー契約との相違点を解説します。
M&Aアドバイザリー契約
M&Aアドバイザリー契約とは、M&Aを希望する経営者とM&A仲介会社・アドバイザリーとの間で行う業務の内容などを契約することです。M&Aアドバイザリーとは、M&Aによる会社の売却・買収を希望する経営者に対して、M&Aの成約に必要なサポートを行う実務家のことです。
売買相手の選定から交渉、デューデリジェンスや各種書類の作成など、M&Aに必要なすべての手続きに関わります。
M&Aアドバイザリーの役割
M&Aアドバイザリーの役割は、財務アドバイザー・法務アドバイザー・その他アドバイザーの3種類に分類されます。財務アドバイザーはM&Aの手続き全般をサポートする役割で、M&A仲介会社やアドバイザリー、金融機関などが担当します。
法務アドバイザーは、法務デューデリジェンスなど法務関係の業務を行う専門家で、法律事務所などが担当するものです。その他アドバイザーは、財務・法務以外の付随的な業務を行う専門家で、コンサルティングファームなどが担当します。
M&Aアドバイザリー契約とコンサルティング契約との違い
初めてM&Aを行う人にとって、M&Aアドバイザリー契約とコンサルティング契約の違いは非常にわかりにくい部分があります。
M&Aコンサルティングとは、M&Aによって実現したい経営ビジョンを実現するために、事業の成長戦略や再生計画などを総合的にサポートすることです。M&Aアドバイザリー業務も、コンサルティングの一部に含まれます。
これに対して、M&Aアドバイザリー契約は、あくまでもM&Aの成約をサポートする業務を行う契約のことです。しかし、M&AコンサルティングもM&Aアドバイザリー業務を行い、M&Aアドバイザーもコンサルティング業務を一部行うこともあります。両者は違う部分があるものの、線引きはあいまいだといえます。
M&Aアドバイザリー契約と仲介契約との違い
M&Aアドバイザリー契約と似た契約にM&A仲介契約があり、初めてM&Aを行う人にとってはM&Aアドバイザリー契約との違いがわかりにくい部分があります。M&Aアドバイザリー契約とM&A仲介契約は、アドバイザーがM&A手続きにおける立場が違います。
M&Aアドバイザリー契約ではアドバイザーは買い手・売り手どちらか一方の立場に立ちますが、M&A仲介契約では両者の中間的な立場に立ち、どちらかの肩を持つのではなく両者の妥協点を提案して成約をサポートする点が特徴的です。
M&Aアドバイザリー契約では、買い手・売り手それぞれが別のM&Aアドバイザーを雇い、アドバイザー同士が交渉してM&Aを進めます。一般的に中小企業のM&Aでは仲介契約、大企業のM&AではM&Aアドバイザリー契約を結ぶことが多い傾向があります。
M&Aアドバイザリー契約と業務委託・顧問契約との違い
続いて、M&Aアドバイザリー契約と業務委託・顧問契約の間にみられる相違点を解説します。M&Aのアドバイザリー契約は、業務委託契約における契約形態の1つに該当する関係性です。なかでも、契約の締結と呼ばれる法律行為を伴うため、「委任契約」に該当する契約です。
アドバイザリー契約と顧問契約との間では、契約期間と報酬を支払うタイミングに相違点があります。アドバイザリー契約ではM&A成約までを契約期間とし、手続き完了時に報酬を支払う成果報酬の形式が採用されるのが一般的です。
これに対して、顧問契約では継続的な契約を前提に期間を定めず、成果報酬ではなく月毎に報酬を支払う点に特徴があります。
M&Aアドバイザリー契約の内容
M&Aアドバイザリー契約の細かい内容は案件により異なりますが、重要な項目は共通しています。M&Aアドバイザリー契約を結ぶ際は、以下の項目を理解し、しっかり確認しておくことが大切です。
- 業務内容
- 業務費用
- 資料提供
- 秘密保持
- 報酬
業務内容
M&Aアドバイザリー契約に記載されるアドバイザーの業務内容は、情報収集・助言・書類作成・交渉の立会いなどです。M&Aアドバイザーは、相手企業の選定や企業内容の情報収集を行うとともに、M&A手続きに関するあらゆる助言を行います。
司法書士や弁護士が必要な場面では適宜専門家に依頼し、M&Aに必要な各種書類を作成します。経営者同士の交渉の際はアドバイザーが立ち会い、交渉が滞りなく進むようにサポートするのが一般的です。
M&Aアドバイザーが行う業務内容は、M&Aアドバイザリー契約に記載すれば多少変更することも可能な場合があります。例えば、M&Aに慣れている経営者がM&Aを行う場合は、アドバイザーの業務内容を狭くしてそれだけ費用を安くしてもらえるケースもあります。
業務費用
M&Aで最も大きなコストとなるのはM&Aアドバイザリーに支払う報酬ですが、それ以外の業務費用も、M&Aアドバイザリー契約の内容を十分に確認しておく必要があります。
例えば、M&Aアドバイザーが移動に使った交通費や官報公告費用などの実費を誰が負担するか決めておかないと、後でトラブルになる可能性もあるので注意が必要です。
一般的には、官報公告などM&A手続きに直接関わる実費はクライアント側が支払い、交通費などはM&Aアドバイザリー側が支払うケースが多いです。
最終的にはクライアントが支払う費用でも、一旦はM&Aアドバイザリー側が負担するケースも考えられるので、こうした細かい部分もなるべくM&Aアドバイザリー契約に盛り込んでおけばトラブル回避に役立ちます。
資料提供
M&Aを行うためには、クライアントがM&Aアドバイザーに対して会社に関するさまざまな資料を提供しなければなりません。M&Aアドバイザリー契約では、どのような資料を提供し、どの範囲でその資料を使用するかを定めておく必要があります。
クライアントが提供する資料には、決算書や取引先の情報など、漏洩すると大きな損害を被る可能性のあるものも含まれます。
そのため、M&Aアドバイザリー契約で、提供した資料をどのように管理するか、資料の返却・破棄をどの時点で行うかなどを定めておきます。
秘密保持
M&Aの手続きでは、買い手候補・売り手候補・M&Aアドバイザリーの3者が互いの情報を提供し合うので、秘密保持契約をM&Aアドバイザリー契約に盛り込んでおく必要があります。
M&Aアドバイザリー契約で秘密保持を定める書式に関して決まりはありませんが、例えば、まずすべての機密情報について許諾なしに漏洩・開示しないことを定めたうえで、開示してもよい情報を個別に列挙して例外として記載します。
開示してもよい情報を定める部分は重要なので、慎重に検討してM&Aアドバイザリー契約に盛り込まなければなりません。
例えば、公になっている情報はもちろん保持義務を負わず、開示時点では非公開であっても、その後に何らかの理由で公開された情報も秘密保持契約から除外されます。何らかの理由で公的機関から開示請求があった情報も、請求があった時点で秘密保持契約から除外されます。
報酬
M&Aアドバイザリーの報酬体系は次章で詳しく解説しますが、大まかに分けると相談料・着手金・中間報酬・月額報酬・成功報酬になります。
実際はこれらすべての報酬を請求されることは少なく、成功報酬プラスそれ以外の報酬のうちのいくつかが請求されるのが一般的です。最近は、成功報酬しか請求しない完全成功報酬制のM&A仲介会社・アドバイザリーも増えています。
M&Aアドバイザリー契約では、それぞれの報酬額や報酬の発生時点、支払期日や支払い義務の発生時点、報酬を振り込む金融機関などを記載します。
M&Aアドバイザリー契約の報酬体系
M&A仲介会社・アドバイザリーの報酬体系はやや分かりにくい部分があるので、後で思わぬ請求がきてトラブルになることは避けなければなりません。M&Aアドバイザリー契約の締結の際は報酬体系を確認しておく必要があり、M&A手続きの各フェーズで以下のような報酬が発生します。
- 着手金
- 月額報酬
- 中間報酬
- 成功報酬
着手金
着手金とは、初期相談が終わって本格的なM&Aアドバイザリー業務に入るタイミングで支払う報酬のことです。報酬額は数十万円から数百万円程度で、M&Aアドバイザリーによって非常に大きな幅があります。着手金は成功報酬と別に請求するケースと、成功報酬の一部を着手金として前払いするケースがあるので、M&Aアドバイザリー契約を結ぶ際は十分に確認しておきましょう。
最近は着手金無料のM&A仲介会社・アドバイザリーが増えており、着手金なしで基本合意や最終契約まで進める機関が増えています。しかし、着手金をとるM&A仲介会社・アドバイザリーも依然として多いので、M&Aアドバイザリー契約を結ぶ際は注意する必要があります。
着手金は無料であるほうがコスト面で有利ですが、M&A仲介会社・アドバイザリーのなかにはあえて着手金をとることでサービスの質を高めている機関もあるため、単純に無料なら得であるとはいい切れません。
月額報酬
M&Aアドバイザリー契約における月額報酬とは、手続きの進歩状況に関わりなく毎月請求される手数料のことです。M&Aアドバイザリー業務に関わる実費などが、この月額報酬からまかなわれます。
月額報酬は成約までの期間が長くなるほどコストがかさむので、手続きが長期化しそうな場合は注意しなければなりません。特にM&Aは成約までの期間が予想しづらいので、月額報酬が思わぬ額に膨らむ可能性もあります。
しかし、現在は月額報酬をとるM&A仲介会社・アドバイザリーは非常に少なく、特に大手ではほとんどが月額報酬は無料です。
中間報酬
中間報酬または中間金とは、基本合意書が締結された時点で請求される手数料のことです。M&Aの相手となる買い手・売り手候補を探し、トップ面談を行ったうえで基本的な合意内容が固まった時点で支払います。
中間報酬は成功報酬と別に請求することは少なく、成功報酬の一部(5%から10%程度)を前払いする形をとるのが一般的です。
中間報酬は基本合意書の締結時点で発生するのが一般的ですが、意向表明書の許諾時やデューデリジェンスの開始時など報酬が発生するタイミングが異なることもあるので、M&Aアドバイザリー契約を結ぶ際は注意しましょう。
月額報酬を請求するM&A仲介会社・アドバイザリーが少ないのに対して、中間報酬を設定しているM&A仲介会社・アドバイザリーは比較的多くみられます。
成功報酬
成功報酬とは、最終契約書を締結してM&Aが成約した時点で発生する報酬のことです。着手金や中間報酬は無料の場合がありますが、成功報酬は基本的にすべてのM&A仲介会社・アドバイザリーで発生します。着手金・中間報酬などがすべて無料であり、成功報酬だけを請求するシステムを「完全成功報酬制」と呼びます。
成功報酬の決め方
M&A仲介・アドバイザリー業務での成功報酬は、「レーマン方式」と呼ばれる方法で決められるのが一般的です。レーマン方式とは、買収金額が大きくなるほど手数料率が下がるシステムで、小規模なM&Aでも仲介会社・アドバイザリーが一定の利益をあげられ、大規模なM&Aで手数料が高くなり過ぎないように設定されています。
レーマン方式の手数料率はM&A仲介会社・アドバイザリーによって違いますが、最もよく使われている料率は下表のとおりです。例えば、買収価格が8億円の場合は、(5億円×5%)+(3億円×4%)=2,500万円+1,200万円=3,700万円となります。5億円以下の部分は5%なので、8億円×4%=3,200万円ではない点に注意しましょう。
M&A仲介会社・アドバイザリーによっては、買収価格の部分が移動総資産(株式価格+負債総額)や企業価値(株式価値+有利子負債)になっていることがあるのが注意したい点です。
移動総資産や企業価値を使った計算では、株式価格のみで計算する場合より報酬が高くなります。M&Aアドバイザリー契約を結ぶ際は、成功報酬のレーマン方式の計算方法もチェックしておくことが大切です。
一般的なレーマン方式の手数料率は以下のとおりです。
買収価格 | 手数料率 |
5億円以下の部分 | 5% |
5億円超10億円以下の部分 | 4% |
10億円超50億円以下の部分 | 3% |
50億円超100億円以下の部分 | 2% |
100億円超の部分 | 1% |
M&Aアドバイザリー契約の締結のタイミング
M&Aアドバイザリー契約は、初期相談が終わって本格的なM&Aアドバイザリー業務が始まるタイミングで締結されます。着手金がある報酬体系の場合は、M&Aアドバイザリー契約を締結する時点で着手金が発生します。M&Aアドバイザリー契約は、これ以外のタイミングで締結されることは基本的にありません。
M&Aアドバイザリー契約の締結をもって一定期間の契約期間が設けられ、契約解除のためには書面による申請などの手続きが必要になり、簡単に解除できなくなります。初期相談の段階でM&Aアドバイザーとじっくりと話し合い、M&Aアドバイザリー契約すべきかどうかを見極めることが大切です。
M&Aアドバイザリー契約を締結する際に確認すべき注意点
M&Aアドバイザリー契約は、多くの経営者にとってあまり馴染みがないものなので、安易に締結して後で後悔することのないようにしておかなければなりません。
M&Aアドバイザリー契約における注意点としては、以下の9点が考えられます。非常に多いのですべてチェックするのは手間がかかりますが、M&Aは会社の売買という大きな取引なので、しっかり時間をかけて確認しておくことが大切です。
- 契約の内容(専任・非専任)を確認する
- 仲介契約の内容を確認する
- 業務範囲を確認する
- 秘密保持契約の内容を確認する
- 直接交渉の可否を確認する
- 契約の更新を確認する
- 契約解除の条件を確認する
- 業務委託の禁止について確認する
- 報酬に関して確認する
契約の内容(専任・非専任)を確認する
M&Aアドバイザリー契約は、1つだけのM&Aアドバイザリーに業務を任せる専任契約と、複数のアドバイザーと契約可能な非専任契約があります。専任・非専任はそれぞれメリット・デメリットがあるので、どちらにすべきか慎重に考えたうえで、契約内容を確認する必要があります。
信頼できるアドバイザーがいる場合は、専任でM&Aアドバイザリー契約するのが得策です。しかし、もしも問題のあるアドバイザーと専任契約してしまうときちんと仕事をしてくれず、かといって他のアドバイザーとM&Aアドバイザリー契約することもできない状況になってしまいます。
それほど多くのアドバイザーとM&Aアドバイザリー契約を結ぶのも望ましくないので、まず2〜3社程度とM&Aアドバイザリー契約を結び、最終的にはそのなかから最も信頼できそうな機関と専任契約するのがよいでしょう。
仲介契約の内容を確認する
M&Aアドバイザリー契約では、アドバイザーが買い手・売り手の間に立つM&A仲介を行うのか、どちらか片方の立場に立つアドバイザリー業務を行うのかを確認しておくことが大切です。M&A仲介契約の場合、アドバイザーは買い手・売り手双方の妥協点を模索することになるので、こちらの求める条件をある程度譲歩しなければならない可能性があります。
もしもM&Aの成約内容にこだわりたいなら、アドバイザーが自分の側について交渉してもらえるよう、M&Aアドバイザリー契約の内容を交渉しましょう。一方で、成約の内容よりも成約すること自体を重視したいなら、アドバイザリー契約より仲介契約のほうが有利です。
業務範囲を確認する
M&Aアドバイザリー契約では、アドバイザーが行う業務範囲を規定しておく必要があります。M&Aアドバイザーは基本的にM&A手続きの全手順をサポートしますが、契約書に記載がない理由で、想定していた業務をしてもらえないトラブルが起こらないとも限りません。
M&Aアドバイザリー契約を結ぶ際は、アドバイザーがどの業務を行う義務を負っているか確認し、場合によってはできるだけ幅広く業務をしてもらえるよう条件交渉をするのもよいでしょう。
もしもM&Aに慣れていてある程度の業務を自分でこなせるなら、業務範囲をあえて狭くすることで、代わりに報酬を安くしてもらえる場合もあります。
秘密保持契約の内容を確認する
M&Aでは会社の財務状況や顧客・取引先の情報など、一般には公開できない情報をM&Aアドバイザーや交渉相手に開示します。よって、M&Aアドバイザリー契約の秘密保持契約の内容はしっかりと確認しておくことが大切です。
M&Aアドバイザリー契約では、保持しなければならない情報の範囲と開示してもよい条件を記載するので、開示したくない情報が秘密保持契約から除外されていないかチェックしておく必要があります。
秘密保持はM&Aアドバイザリー契約でも重要な項目なので、疑問点や不満がある場合はM&Aアドバイザーに質問し、契約内容の変更も含めてしっかりと話し合うことが大切です。
直接交渉の可否を確認する
M&AではM&Aアドバイザーが交渉するので、買い手と売り手の経営者同士が直接交渉する必要は基本的にありません。しかし、何らかの理由で直接交渉できる余地を残しておきたい場合は、M&Aアドバイザリー契約の内容に盛り込んでおきましょう。
直接交渉は許可されないのが基本ですが、M&Aアドバイザリー契約にM&Aアドバイザリーの許可を得れば直接交渉できると定めておくことが可能です。
契約の更新を確認する
M&Aアドバイザリー契約は自動更新が一般的で、M&Aが成約するまでの間は解約の意思表示をしない限り更新されます。契約期間はM&Aアドバイザリー契約によってまちまちなのであるため、契約時に確認しておくことが大切です。一例としては、本契約を1年間とし、1年経ってもまだ成約できない場合は半年単位で自動更新するといったように契約内容を定めていきます。
本契約の期間と契約更新の期間は、それほど長すぎないようにしておくほうがよいでしょう。本契約が2年など非常に長い期間だと、アドバイザーが本腰を入れて取り組まず放置されるおそれもあります。
契約解除の条件を確認する
M&Aアドバイザリー契約を途中で解除する場合を想定し、契約解除の条件を確認しておくのも重要です。契約の解除は、本契約の途中解除と、本契約の期間満了時に契約更新をしない条件の2つを定めておく必要があります。
本契約の途中解除は、例えば解除したい日時の10日前までに書面で通知すれば、本契約中でも解除できるといったように定めていきます。自動更新の解除は、例えば本契約満了日の30日前までに解約の意思表示を行うと、更新されず終了するといったように定めていきます。
契約の途中解除は違約金が定められることもありますが、できるだけ削除してもらうよう契約時に交渉しておくべき事項です。
業務委託の禁止について確認する
M&Aアドバイザリー契約の締結の際は、契約したM&Aアドバイザーが業務を外部に再委託することを禁止する条項が入っているかを確認しておきましょう。もしも無断で再委託されると、再委託先がこちらの意図しない業務を行ってしまったり、情報が漏洩してしまったりするおそれがあります。
きちんとしたM&A仲介会社・アドバイザリーなら、クライアントに無断で再委託することはないと考えられますが、トラブル回避の点からもM&Aアドバイザリー契約に盛り込んでおくのが賢明です。
ただし、どうしても再委託しなければならない業務が発生する場合に備えて、書面による同意を得れば再委託を可能にするなどの条項を加えておく必要があります。
報酬に関して確認する
報酬は最もトラブルになりやすい点なので、M&Aアドバイザリー契約の記載内容をよく確認する必要があります。着手金・中間報酬・月額報酬・成功報酬のうちどの報酬が発生するのか、それらの額はいくらになるかは必ずチェックしましょう。
成功報酬は、レーマン方式の計算式がM&A仲介会社・アドバイザリーによって違うことがあるので、細かい部分まで確認しておく必要があります。成功報酬は報酬の大部分を占めるので、ここでトラブルに発展するのは避けなければなりません。
M&Aアドバイザリー契約には、報酬を支払うタイミングについても細かく記載されているので、この点も十分に確認しておく必要があります。
M&Aアドバイザリー契約を検討する際の相談先
M&Aアドバイザリー契約は買い手か売り手どちらか一方の立場につくので、交渉が決裂しやすいデメリットもあります。多少条件を譲歩しても成約することを優先したい場合は、M&A仲介会社を利用したほうが有利です。
M&A総合研究所は、中堅・中小企業のM&Aを主に扱っているM&A仲介会社です。買い手・売り手の間の立場に立ち、両者が納得できる成約を目指します。案件ごとにM&Aの知識・実績豊富なアドバイザーがつき、クロージングまで親身になってサポートいたします。
当社は成約までのスピードを重視したサポートを実践しており、最短3カ月での成約実績も有しております。料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。
無料相談は随時受け付けておりますので、M&Aをご検討中の経営者様は、お電話かメールでお気軽にお問い合わせください。
M&Aアドバイザリー契約のまとめ
M&Aアドバイザリー契約は、M&Aを行う経営者にとってわかりにくい部分が多く、内容を十分に理解しておくことが重要です。契約内容や注意点を押さえて、M&Aアドバイザリー契約の際にトラブルにならないように準備しましょう。
M&A・事業承継のご相談なら24時間対応のM&A総合研究所
M&A・事業承継のご相談は成約するまで無料の「譲渡企業様完全成功報酬制」のM&A総合研究所にご相談ください。
M&A総合研究所が全国で選ばれる4つの特徴をご紹介します。
M&A総合研究所が全国で選ばれる4つの特徴
- 譲渡企業様完全成功報酬!
- 最短49日、平均6.6ヶ月のスピード成約(2022年9月期実績)
- 上場の信頼感と豊富な実績
- 譲受企業専門部署による強いマッチング力
M&A総合研究所は、M&Aに関する知識・経験が豊富なM&Aアドバイザーによって、相談から成約に至るまで丁寧なサポートを提供しています。
また、独自のAIマッチングシステムおよび企業データベースを保有しており、オンライン上でのマッチングを活用しながら、圧倒的スピード感のあるM&Aを実現しています。
相談も無料ですので、まずはお気軽にご相談ください。
あなたにおすすめの記事
M&Aとは?意味や動向とM&Aを行う目的・メリットなどをわかりやすく解説!
近年はM&Aが経営戦略として注目されており、実施件数も年々増加しています。M&Aの特徴はそれぞれ異なるため、自社の目的にあった手法を選択することが重要です。この記事では、M&am...
買収とは?用語の意味やメリット・デメリット、M&A手法、買収防衛策も解説
買収には、友好的買収と敵対的買収とがあります。また、買収に用いられるM&Aスキーム(手法)は実にさまざまです。本記事では、買収の意味や行われる目的、メリット・デメリット、買収のプロセスや...
現在価値とは?計算方法や割引率、キャッシュフローとの関係をわかりやすく解説
M&Aや投資の意思決定するうえでは、今後得られる利益の現時点での価値を表す指標「現在価値」についての理解が必要です。今の記事では、現在価値とはどのようなものか、計算方法や割引率、キャッシ...
株価算定方法とは?非上場企業の活用場面、必要費用、手続きの流れを解説
株価算定方法は多くの種類があり、それぞれ活用する場面や特徴が異なります。この記事では、マーケットアプローチ、インカムアプローチ、コストアプローチといった株価算定方法の種類、株価算定のプロセス、株...
赤字になったら会社はつぶれる?赤字経営のメリット・デメリット、赤字決算について解説
法人税を節税するために、赤字経営をわざと行う会社も存在します。しかし、会社は赤字だからといって、必ず倒産する訳ではありません。逆に黒字でも倒産するリスクがあります。赤字経営のメリット・デメリット...
関連する記事
会社分割すると従業員の契約はどうなる?労働契約承継法や保護制度を徹底解説!
多くの企業が会社分割を検討しておりますが、トラブルに発展しないように従業員への対応に配慮する必要があります。今回は会社分割を検討している企業に向けて、会社分割における従業員の契約や手続きの流れな...
M&AにおけるITデューデリジェンス(ITDD)を解説!目的や調査項目は?
ITデューデリジェンス(ITDD)はM&Aにおいて欠かせず、明確な目的を踏まえた対応が求められます。今回はM&Aを検討している企業に向けて、ITデューデリジェンス(ITDD)につ...
人事デューデリジェンス(人事DD)とは?目的から調査項目まで徹底解説!
M&Aを実施する際に人事デューデリジェンス(人事DD)は重要です。丁寧に手続きを進めないとM&Aで高い効果は得られません。今回はM&Aを検討している企業に向けて、人事デュ...
二段階買収の手続き方法を徹底チェック!目的やメリット・注意点は?
二段階買収(Two-Tier Takeover Strategy)は、買収側が売却側の少数株主から株式を買い集める際に有益な手法です。当記事では、実施目的や手法、メリットやデメリット、過去事例や...
事業承継の相談先はどこがいい?選び方から注意点まで徹底チェック!
近年は中小企業の経営者の高齢化に伴い、積極的に事業承継を行って生き残りを図る企業が増えています。 事業承継には複雑な手続きが多いため、信頼できる相談先の選択が重要です。そこで本記事では事業...
M&A後の退職金や給与はどうなる?節税方法や注意点まで徹底チェック!
M&Aで退職金を活用すると、節税効果が得られます。当記事では、退職金を利用したM&Aの節税方法やメリット、注意点を交えながら、退職金の扱い方や税務について解説します。従業員や役員...
M&Aにおける人事DDの目的や調査範囲を徹底チェック!費用・注意点は?
人事DD(デューデリジェンス)は、買収側がM&Aの実施後に受ける損失を最小限に抑えるために必要な調査です。当記事では、調査が行われる目的や調査範囲、かかる費用や注意点を踏まえながら、人事...
100日プランとは?PMIの概要・重要性・策定のポイントまで徹底解説!
M&Aを実施する際にはPMIの工程が重要となり、100日プランはPMIの成功に大きな役割を果たします。今回はM&Aを検討している企業に向けて、100日プランの概要・重要性・策定の...
管工事会社の事業承継の動向や事例を徹底解説!メリットや費用相場・注意点は?
管工事会社業界は将来的な需要増加が見込める半面、人材不足や後継者不在といった問題が深刻です。当記事では、過去の事例を取り上げながら、管工事会社(管工事業界)の事業承継について解説します。事業承継...
株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。