M&Aとは?意味や動向とM&Aを行う目的・メリットなどをわかりやすく解説!
2021年4月24日更新会社・事業を売る
M&Aの注意点(売り手編)
M&Aを成功させるうえでの注意点をご紹介します。経営者・オーナーは仕事があり、M&Aを全てを完璧に理解し、交渉を進めることは難しいです。M&Aを成功させるために、信頼できる仲介会社を選び、一つひとつ手続きを理解しながら、相手とM&Aを進めましょう。
M&Aの注意点(その1:基本事項)
M&Aを成功させるうえでの注意点は、どんなものがあるでしょうか。まずは、基本的な注意点からご紹介していきます。
①M&Aを検討するうえでの注意点
M&Aを検討するうえで、2つの注意点をご紹介します。
M&Aの情報を外部に漏らさない
まず第一に、M&Aは絶対に他言無用です。
なぜならM&Aの噂が外部に漏れてしまうことで、業界や市場の中で「業績が悪いのではないか」「新しい経営策があるのではないか」など、根拠がない話にまで飛躍し、ネガティブなイメージが拡散することがあるからです。
理由もなく取引先から契約解約を求められたり、顧客や従業員が離れたりする可能性があります。誰かに事業を引き継ぎたいと願って真面目に運営してきたとしても、少しの油断が思わぬ混乱を招き、まともに事業運営ができなくなってしまうこともあるのです。
M&Aは「秘密保持に始まり秘密保持に終わる」と言われるほどです。誰かに相談する際も、会社のキーマンや親族など、相手は慎重に選んで情報は最小限に留めましょう。
M&Aの進め方(要する期間・費用・交渉方法)
第二にM&Aはさまざまな進め方があり、要する期間や費用、交渉方法によって売り主自身が感じるストレスなど方法によって違いが生じます。まずは自ら交渉するのか、あるいは仲介会社等専門家を利用するのか、というのがあります。
自ら直接交渉する場合は、当然仲介会社を利用しないため、コストがかかりません。またこの場合は、取引経験がある相手に直談判することが多いでしょう。
つまり、すでに知っている相手に対してアプローチすることになるので、M&Aの最初の難関である「相手を見つける」というステップを省略することができます。しかし売り手と買い手、それぞれがM&Aに関する知識を十分に備えていることはまれで、交渉が難航することが多いでしょう。
要領を得ない交渉のために、時間と手間がかかり心理的に大きなストレスを感じかもしれません。また気軽に相談できる間柄であるからこそ、気の緩みが情報漏洩リスクを高めます。最悪の場合、交渉が頓挫(とんざ)し、以後の商売にまで悪影響を及ぼす恐れがあります。
基本的にM&Aを検討する場合は、M&A仲介会社の協力を得ることがベストです。たとえ、引継ぎ候補先があって、直接交渉できる自信があっても、M&Aの専門家である仲介会社に交渉のサポートを求めるほうが円滑に進めることができます。
②M&Aの仲介会社を選ぶ際の注意点
M&Aを仲介会社に依頼する際に、注意点があります。まずは、相談先のM&A仲介会社が信頼できる会社かどうかです。取引先からの紹介や、交流関係にあるM&A仲介会社であると安心です。
- アドバイザーの知識や経験
- M&Aの実績等を判断
- 担当者との相性やフィーリング
実績だけではなく担当者との人としての相性という観点でも、M&A仲介会社を選ぶ重要なポイントになることを覚えておきましょう。担当者の雰囲気や話し方、聞き方などは実際に会い、自身の事業を最大限アピールしてもらえるような信頼できる人物と一緒にM&Aを進めましょう。
M&A総合研究所は中小・中堅規模の案件を主に取り扱う仲介会社です。専門的な知識や経験が豊富なアドバイザーが在籍しており、培ったノウハウを活かしM&Aをフルサポートいたします。
料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。会社売却・事業譲渡に関して、無料相談をお受けしておりますのでお気軽にお問い合わせください。
③買い手へアプローチする際の注意点
M&A仲介会社、M&A候補先が決定したら、次は買い手に対して打診していくことになります。買い手へアプローチする際の注意点をご紹介します。
M&A打診先の状況や意向を正確に把握する
基本的には、仲介会社が相手に打診してくれますが、このときに、M&A打診先の状況や意向を正確に把握するよう注意が必要です。
上場している企業であれば、業界内での評判や実績などは周知されていて、どのような相手か、売却後、自分の事業がどのような方向に向かうのか、イメージを持つことは比較的容易です。
しかし、相手が非公開会社であれば、当然相手の情報を得ることは難しく、仲介会社の報告に頼らざるを得ません。M&A仲介会社を通して、交渉先が信頼できる相手なのか、納得して譲渡できる相手なのか、注意深く確認するようにしましょう。
M&Aの概要書はあらかじめポイントを整理しておく
また、アプローチ時の注意点として、M&Aの概要書等、打診の際に利用する書類を適切に作成することも大事です。これは「インフォメーションメモランダム(=IM)」、または「インフォメーションパッケージ(=IP)」といわれるものです。
作成するのは仲介会社であることが多いですが、その担当者がIMを作成し、打診先にプレゼンテーションしやすいよう、あらかじめポイントを整理しておきましょう。打診先である買い手は、M&Aによるメリットを感じなければ、交渉を進めることはできません。
アプローチの際、メリットを最大限アピールできるように、事業の強みや特徴を明確に表現できるよにしましょう。ただし、その際に注意点があります。最初に述べた通り、情報漏洩の防止です。
あってはならないことですが、悪質なケースでは、せっかく作ったIMやIPを許可なく、不正に拡散されることがあります。機密情報がばらまかれたりすることがないよう、買い手企業に対してはもちろん、紹介者や共通の知人に対しても、秘密保持を徹底しなくてはなりません。
事実とは異なる情報を提示することはしない
売りたいという気持ちが強すぎるがゆえに、事実とは異なる情報を提示することは止めましょう。会社をよく見せ過ぎたり、逆に悪いところを隠したりすることは、後々トラブルの元となります。M&Aは信頼関係のうえに成り立ちます。
秘密保持も、情報の正確性も、真摯さを大切にしながら、買い手へのアプローチを進めていきましょう。
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M&Aの注意点(その2:交渉時)
M&Aの交渉を進めていくうえでの注意点をご紹介していきます。
①取引価格決定時の注意点
M&Aの相手が決定したら、本格的に交渉が開始されます。このときに売り手側は、希望の売却価格を提示しますが、M&Aの売却価格を提示する際にも注意点があります。
売却価格の根拠
売却価格を提示する際には、根拠を持たせることです。「売却価格をいくらにするか」というこの命題は売り主にとって、M&Aで最も難しい問題、かつ、最も関心の強いポイントです。
M&Aの世界では、不動産のような誰から見ても明らかな相場というものはないので、誰かが決めてくれるものではありません。売り手側は当然、できるだけ高く売りたいと考えます。一方、買い手側はできるだけ安く会社を買いたいと考えています。
まさに利益相反の関係の両者が交渉することになるので、早期に決定したいがそうできないのが、会社の売買価格というものです。従って、希望売却価格を提示するにあたっては、相手が合理的に納得できるような確固たる根拠を説明できるようにしましょう。
非合理的な希望売却金額を設定している場合は、買い手はどうしても受け入れられません。M&A成立の可能性、および売却価格を1%でも高めるために、売却金額に理由や根拠を持たせるように意識しましょう。
虚偽の報告をしない
虚偽なく伝えることがM&Aの成功において重要です。事業をよりよく見せるために、資産を増額して報告したり、負債を隠したりする場合は、M&A後に訴訟問題に発展しますので注意が必要です。
②基本合意を締結させる際の注意点
売り手と買い手の両者が取引金額やその他の条件について、大まかに合意ができたタイミングで、M&Aの基本合意契約を締結します。そこでの注意点をご紹介します。
最終契約の条件を見据えて書類作成する
M&Aの基本合意を行ううえでの注意点は、最終契約の条件を見据えて書類作成することです。おおざっぱな言い方をすると、最終契約前の仮契約というイメージであり、今後の買収監査や最終契約の基準になるものです。
基本合意で同意した内容を容易に理由なく覆すことはできませんので、緊張感をもって合意内容を吟味しましょう。
独占交渉権
基本合意を締結するタイミングで、「独占交渉権」という権利が買い手に発生することを認識しておきましょう。独占交渉権の発生までは、売り手は複数の相手と接触できましたが、売り手がいつまでも相手探しを続けることは買い手にとってよい印象を与えません。
売り手と買い手が1対1となって、決まった相手と集中して交渉していくことが、今後より必要になってきます。基本合意契約のタイミングでこの独占交渉権を買い手に与えることが一般的です。
基本合意契約の後は、買収監査調査、いわゆるデューデリジェンスというステップに進みます。このデューデリジェンスの進め方や調査内容をあらかじめ基本合意に盛り込み、調査を進めるにあたっての両者の目線をそろえておきましょう。
③デューデリジェンスの注意点
デューデリジェンス(=DD)とは、買い手が実施する手続きであり、M&Aの中で最も緊張感が高まるステップといっても過言ではありません。売り手企業として、注意点すべき点があります。
遂行しやすい環境を作る
売り手企業として注意点すべき点は、できる限りデューデリジェンスを遂行しやすい環境を作ることです。秘密保持でも述べた通り、M&Aの手続きは限られた人数のみで行われることが望ましいです。従業員がいると調査が進まないため、例えば休日を利用して会社を案内することがよくあります。
あらかじめ仲介会社や顧問税理士などの協力を仰ぐ
会社の会計資料や取引先との契約書、議事録などの社内の資料は全てチェック対象となりますので、すぐに見せられるよう整理しておきましょう。リクエストを受けた書類の開示にもたついてしまうと、マイナスのイメージを抱かれてしまいます。
不安な場合は、段取りよく調査が進むようにあらかじめ仲介会社や顧問税理士などの協力を仰ぎましょう。また、デューデリジェンスは最終契約における条件を検討する機会であることを忘れないでください。基本合意契約は、あくまで仮の条件を定めたものです。
デューデリジェンスによって簿外債務や取引先との契約解消の可能性など、買い手にとってマイナスになる事実が明らかになれば、基本合意で合意した金額が減額されるなど、条件が変わってしまう可能性があることは認識しておきましょう。
デューデリジェンスの種類
買い手企業が実施するデューデリジェンスは一般的に以下のような種類があるので、あらかじめ論点を整理して、デューデリジェンスに備えましょう。
- 時価純資産の算定や簿外債務の存在の有無の確認など財務的なリスクの検証(財務DD)
- 事業の構造、競合先と関係、市場における優位性や将来のリスクの予測(事業DD)
- 係争・事件などの有無や取引先との契約の継続性などの法的リスクの有無(法務DD)
- 雇用契約や未払残業代の問題の確認や労働組合との関係などの労務リスク(労務DD)
- 所有不動産の市場価値や建築基準法など法令順守の確認(不動産DD)
トラブルを未然に防ぐ
企業の表向きの情報だけでなく、細部まで幅広くデューデリジェンスを実施することになりますので、売り手にとって、この手続きは非常に大きなストレスを感じます。
売り手にとっては、できれば避けたい手続きですが、買い手にとってM&Aは事業のよい面だけでなく悪い面も引き継ぐことになるので、調べないわけにはいかないのです。売い手の都合で、デューデリジェンスを省略することは、トラブルの元になります。
大きな会社でも小さな会社でも、事業を行っている以上、問題を抱えているのは当然です。むしろその問題について、売り手と買い手の両方が認識して、議論して、M&Aをきっかけにお互いに協力して解決していく、というような考えを持つことが大切です。
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M&Aの注意点(その3:契約時とその後)
契約締結に関する注意点、そしてM&A実行後の注意点をご紹介していきます。
①最終契約締結の際の注意点
デューデリジェンスが終了し、双方が納得できる取引金額や条件が決定したら、最終的なM&A契約を締結します。これまで交渉してきた事項の総まとめとして、売買金額や引き渡し時期、引継ぎの方法などを定めます。
これら以外にも合意する事項は多岐にわたりますが、売り手が特に注意すべき代表的なものをご紹介します。
表明保証
まずは「表明保証」です。株式や事業を売り渡すにあたって売り主として保証すべき事項を定めます。
例えば、開示した資料や情報は事実を表しており虚偽の情報開示はしていない、取引先や従業員の雇用についてトラブルはなくM&A後も問題なく契約を継続できる、反社会的勢力ではない、などという事項について、売り主として買主に保証の意思を表明することです。
万が一、表明保証で定めた事項に違反するような事象が起こった場合は、損害賠償や補償を求められる可能性がありますので、十分な注意のもと、契約書に盛り込む条項を検討してください。
競業避止義務
もう一つ売り手独特の注意点として「競業避止義務」があります。これは文字通り、売り手がM&A後に買い手と競業することを避ける義務を負うということです。
買い手としては、せっかく買収した事業なのに元の売り手がライバルとして同じ市場で営業活動していては、想定した収益を獲得できなくなります。売り手にとっては、残念ながら長年営んできた事業を手放すことになります。
以上、M&Aの最終契約締結時の注意点をご紹介しました。しかし、契約において何よりも大切なことは、偏りのない契約書を作成し、双方が納得して合意できることです。
買い手と売り手の関係に優劣などありませんので、M&A後も両者および従業員、関係者の全員の利益になるよう、契約書を作成しましょう。
最終契約締結は財務や税務、会社法などの法律の知識に長けた専門家の協力が不可欠なプロセスです。最終契約締結に対応できる専門家のサポートを依頼することをおすすめします。
②M&A公表の際の注意点
はじめに述べた通り、M&Aは「秘密保持に始まり秘密保持に終わる」のです。原則従業員をはじめとして、社内外に発表するのは最終契約を締結時以降です。特に従業員に対する説明は、十分に配慮して丁寧に行いましょう。
M&Aでは、従業員の動揺が伴い、退職する人も出てくる可能性も十分にあります。株式譲渡や会社分割である場合は、労働承継法という法律で従業員の立場は守られており、労働条件の一方的な不利益変更は許されません。
このような制度を丁寧に説明をすることは、不安を和らげることに効果的でしょう。できれば経営者が従業員全員と面談し、M&A実行後の意向に耳を傾けるのが理想的です。ともに運営してきた売り手の経営者だけではなく、買い手の経営者も同席することが望ましいです。
そうすることで、M&A後に従業員同士が円滑に仕事ができる環境が整うでしょう。
③M&A実行後の注意点
M&Aは目的ではありません。あくまで買い手側の経営戦略の一環であって、M&Aした後の運営が滞りなく、また大きな混乱なく運営していくことが何よりも大事なのです。
残念ながら、M&Aが手段ではなく目的化してしまうことで、M&A実行後の体制にまで配慮できず、結果的に失敗してしまうケースをよく目にします。買い手は、引き継いだ従業員がストレスなくM&Aを受け入れ、買収先に溶け込むことができるような配慮が必要です。
例えば、従業員同士の関係づくりのための交流会を催しは不可欠です。従業員同士が打ち解けられる機会を設け、働きやすい環境作りに努めましょう。また、得意先や仕入先との関係においても、M&Aをきっかけに関係が悪化することは避けねばなりません。
売り手のほうも、売ったらおしまいではありません。売った後も、買い手や従業員、取引先が気持ちよく事業を運営できるよう、意識して環境づくりに協力しましょう。
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まとめ
M&Aを行う場合、本来であれば上記の注意点は全て把握しておく必要があります。しかし経営者には、M&A以外に仕事があり、全てを完璧に理解することは難しいです。そのためにM&A仲介会社が存在します。M&Aの実務までに手が回らない場合、信頼できる仲介会社に依頼しましょう。
要点をまとめると、下記になります。
【M&Aを実施するうえでの注意点(その1:基本事項)】
- 自社の秘密を守れる相手、信頼できる仲介会社を選び、自社をアピールしてくれる仲介会社とM&Aを進める
【M&Aを実施するうえでの注意点(その2:交渉時)】
- 希望の売却価格に根拠を持たせ、最終契約に近い形で基本合意を締結し、デューデリジェンスは徹底的に行う
【M&Aを実施するうえでの注意点(その3:契約時とその後)】
- 偏りのない契約書を作成し、M&A後を見据え従業員や取引先などに十分配慮したうえでM&Aを実行する
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