2021年4月25日更新事業承継

事業承継では弁護士の力を借りよう

弁護士の力を借りれば、スムーズに事業承継することも可能になります。しかし、弁護士に事業承継の業務を依頼する場合には、いくつか注意すべき点もあります。この記事では、事業承継で弁護士の力を借りるメリットや注意点を説明します。

目次
  1. 事業承継では弁護士の力を借りよう
  2. 事業承継で弁護士の力を借りるメリット
  3. 事業承継で弁護士の力を借りるときの注意点
  4. まとめ

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事業承継では弁護士の力を借りよう

最近では事業承継の実施に悩む経営者が増加していますが、専門的な知識が求められる行為であるため、自力のみでの遂行は困難だといえます。

そのため、事業承継を検討している場合には、何らかの形で専門的な知識に長けている専門家の協力を得たいものですが、ここで依頼をおすすめしたいのが弁護士です。

実際に依頼した経験がないと依頼するメリットを具体的にイメージしにくいですが、弁護士は事業承継に悩む経営者の心強いアドバイザーとして大いに役立つ存在です。

専門に手掛ける弁護士を起用することで、事業承継をスムーズに済ませられる可能性が高まります。今回は事業承継において、弁護士がどのような役割を果たすのか解説します。

※関連記事

事業承継とは?方法や事業承継税制・補助金、M&Aでの活用について解説

事業承継の専門家

事業承継で弁護士の力を借りるメリット

事業承継と聞くと税理士や公認会計士がバックアップするイメージを持つ経営者もいますが、弁護士も事業承継では大いに役立ちます。事業承継で弁護士の力を借りる具体的なメリットは、以下のとおりです。

  1. リーガルチェックをしてもらえる
  2. M&Aによる事業承継でもプロセスを請け負ってもらえる
  3. 顧問弁護士制度を採用すれば費用を抑えてサポートが受けられる
  4. 専門家同士のネットワークを活用できる
それぞれのメリットを順番に見ていきます。

①リーガルチェックをしてもらえる

法律の専門家である弁護士の力を借りる最大のメリットは、リーガルチェックを実施してもらえる点にあります。そもそも事業承継は後継者選定・育成だけでなく、相続や承継による各種法的手続きといった多くのプロセスが求められる行為です。

特に相続によって事業承継を実施する場合には法律に則って厳密に進める必要があるため、法律の専門知識がなければ多くの手間がかかるうえに、致命的なミスを犯してしまうおそれもあります。このとき弁護士に事業承継をサポートしてもらえば、ミスの発生前に書類や手続きを法的な知見から確認してもらえます。

また、弁護士であれば事業承継に伴う遺言書の手続きや相続争いを回避するための対策も実施可能です。もともと弁護士には交渉に長けている専門家が多いため、事業承継の過程で発生するトラブルを法的に解決してもらうことも期待できます。

②M&Aによる事業承継でもプロセスを請け負ってもらえる

最近はM&Aの手法を採用して事業承継する企業が増えていますが、このときも弁護士が大いに役に立ちます。M&Aによる事業承継は経営者の高齢化と後継者不在の問題が原因で急増しているため、多くの弁護士事務所でも事業承継やM&Aに対するサポート強化が図られているのです。

このように増加傾向にあるM&Aでは、以下のとおり経営者のみでは実施困難なプロセスが多く存在します。

  • 企業価値の評価(バリュエーション)
  • 買収監査(デューデリジェンス)
  • 秘密保持契約の締結
  • M&Aにおける交渉
  • M&A後の各種契約の更新

弁護士は日常的に法務や各種契約をチェックしているため、経営者のみでは実施困難なプロセスも専門的な知識を交えてサポートしてくれます。なお、M&Aのプロセスでは秘密保持契約など機密情報の取り扱いについて見落とされることが多く、外部に機密情報が漏洩してしまうリスクが生じます。

そもそもM&Aは買い手・売り手双方が内部情報を公開しあう行為であり、特に中小企業では情報管理が行き届いてないことも多く、機密情報が漏洩してしまう可能性が高いです。こうした事態を防ぐためにも、弁護士は非常に役立ちます。

もともと弁護士はクライアントの情報の守秘義務を徹底する職業であるため、機密情報などの重要情報の扱いに対する意識が高いというだけでなく、M&A実績が豊富にある弁護士事務所であれば、株式移動の各種手続き・課税額の計算など多角的なサポートを実施してもらえます。

③顧問弁護士制度を利用すれば費用を抑えてサポートが受けられる

事業承継において弁護士を雇うとなると考慮すべきなのは費用についてですが、顧問弁護士制度を利用すれば費用を抑えることができます。顧問弁護士制度とは、弁護士事務所と企業の間で顧問契約を結ぶ制度であり、法務などさまざまな業務を弁護士事務所に委託できます。

基本的に顧問契約を結んでいない弁護士事務所に相談すれば、一定時間ごとに5,000円~10,000円程度の費用が発生しますが、これでは自社に合った弁護士事務所を探す過程で相当の負担がかかってしまううえに、事業承継について依頼するとなればますます費用がかさんでしまいます。

その一方で顧問弁護士制度を利用すれば、導入時に初期費用が発生しますが、以降は月額の顧問料のみを支払う形になるため、法務に関する相談をどれだけしても月額の顧問料のみしか求められません。つまり、制度の利用がない場合よりも大幅に費用負担を軽減可能です。

もちろん顧問弁護士であるため事業承継以外にもさまざまな法務相談を持ちかけることができ、会社経営で非常に心強いです。

事業承継の検討以前から顧問契約を締結しておくことがおすすめ

上記のメリットをふまえると、なるべく事業承継を検討する前から、あらかじめ事業承継支援に対応する弁護士事務所と顧問契約を結んでおくことをおすすめします。

なぜなら事業承継では長い場合だと10年程度の期間がかかるうえに、後継者の選定・育成や経営理念の継承や事業承継に伴う組織の調整といった会社内部の事情や人間関係などを把握していなければ実施困難なプロセスが多いためです。

信頼できる弁護士を顧問に据えて長年パートナー関係を続けることで、弁護士が事業承継を実施するうえで必要な事情を把握させることができ、結果として支援のクオリティの向上が期待できます。

何より企業の法務を担い長年会社をサポートしてきた弁護士であれば、アドバイザーとして経営者の親族や従業員から信頼を獲得しやすく、事業承継に伴う関係者の心証変化を最小限に抑えることも可能です。

ただし実際に事業承継支援を実施する場合には、顧問弁護料のほかに別途でさまざまな費用が必要となるケースもあるため、あらかじめ確認しておくことが大切です。

④専門家同士のネットワークを活用できる

事業承継・M&Aを得意としている弁護士事務所であれば、その事務所が持つ人脈が役に立つ可能性が高いです。たとえば、企業の法律顧問などを積極的に請け負う弁護士事務所であれば、ほかの企業・税理士事務所・会計士事務所など、事業承継やM&Aに役立つネットワークを持っていることがあります。

こうしたネットワークを持つ弁護士事務所に依頼すれば、事業承継やM&Aに関する詳細な情報を獲得できるうえに、自社にとって最適なM&Aの相手先企業を紹介してもらえる可能性もあります。

場合によってはM&A仲介会社と連携している弁護士事務所もあるため、M&Aによる事業承継を実施する際にも役立ちます。

※関連記事

事業承継とM&Aの違いとは?メリット・デメリット、件数を解説

事業承継で弁護士の力を借りるときの注意点

事業承継で弁護士の力を借りるときの注意点は以下のとおりです。

  1. 事業承継に対応していない弁護士もいる
  2. あらかじめ経営者自身で事業承継の方針を検討しておく
  3. 依頼内容によって費用が異なる
それぞれの注意点を順番に見ていきます。

①事業承継に対応していない弁護士もいる

事業承継を弁護士に依頼するときにまず注意しておきたいのは、すべての弁護士が事業承継に長けているわけではないということです。

弁護士事務所ごとに得意とする業務分野は異なっているため、企業を相手とする法務対応に長けている弁護士事務所もあれば、個人相手の民事を専門とする弁護士事務所も存在します。

特に事業承継やM&Aは比較的最近ニーズが高まってきたこともあって、専門に手掛ける弁護士事務所は決して多くありません。そのため、事業承継の全プロセスに対応できなかったり、M&Aによる事業承継は対応範囲外であったりするケースも多く見られます。

たとえ事業承継支援を実施している弁護士事務所であってもサービス内容に少なからず差異があるため、事業承継支援を求めて弁護士事務所を探すときは対応分野や実績を念入りに確認することが大切です。このときホームページを参照するほか、実際に電話などで問い合わせてみるのも良いです。

ちなみに中小企業庁が無料で配布する事業承継マニュアルでは、弁護士の相談窓口や弁護士を探すときに役立つネットワークが紹介されているため、合わせて活用することをおすすめします。

事業承継は企業を存続させるうえで大切な行為であり後戻りができないため、弁護士選びは慎重に検討する必要があります。

②あらかじめ経営者自身で事業承継の方針を検討しておく

弁護士に依頼する前には、経営者自身でも事業承継の方針を検討しておくことが大切です。このとき親族内承継・従業員承継・M&Aによる第三者への承継など、事業承継で採用する手法をある程度決めておくことをおすすめします。なぜなら弁護士は、あくまでも依頼人の意向に沿った行動を取ることが基本的であるためです。

いうなれば、経営者自身が理想とする事業承継プランによって弁護士の業務方針が決定されます。そもそも事業承継は弁護士に協力を依頼したとしても最低約3年程度の期間がかかるため、この長期間の計画を完遂させるには経営者の意向が重要な役割を果たすのです。

多く報告されているのが、経営者が高齢となり体調不良を起こしてから事業承継を検討するケースです。ここで体調不良や高齢化によって正常な判断ができないことで、事業承継に関する意向を周囲の人間に共有できないまま亡くなってしまうと、結果として事業承継が大幅に滞ってしまいます。

とりわけ中小企業では意思決定機関が経営者ひとりに委ねられている場合が多く、事業承継に関して全く検討していない状態のまま経営者が倒れてしまうと、事業承継のスムーズな実施は困難です。トラブルを防ぐためにも、なるべく早いタイミングで事業承継について弁護士に相談すると良いです。

③依頼内容によって費用が異なる

弁護士に事業承継支援を依頼する場合、業務内容によって費用が大幅に変動するケースがほとんどです。単純な承継支援で発生する費用の相場は10万円~100万円程度が目安ですが、M&Aによる事業承継で仲介やアドバイザリー業務を依頼する場合にはさらに費用が加算されます。

M&Aによる事業承継において会社売却を実施する場合、レーマン方式という報酬体系に則って費用が決定されることが多いです。レーマン方式とは会社売却時の売却金をベースにしつつ、これに一定の割合を掛けることで費用を決定する算出方法です。

上記の算出方法を用いると、M&Aを活用する場合に発生する費用は100万円を大きく超えるケースも多く、売却金によっては1,000万円以上の費用が発生することもあります。つまりM&Aでは、後継者に単純に承継させるケースよりも費用が高くなりやすいです。

そもそも事業承継支援とアドバイザリー業務では業務内容が全く異なるため、費用に差異が生じるのは当然といえますが、事業承継で採用する方法によって費用が変動する点には注意する必要があります。

なお、弁護士事務所によって報酬体系にも違いがあるため、事業承継を実施するときには予算に見合った費用で依頼できる弁護士事務所を見つけることが大切です。

費用を抑えて事業承継するならM&A仲介会社の利用も検討する

ここまで事業承継で弁護士の力を借りるときの注意点を紹介しましたが、中でも重大なのが費用面です。前述のとおり特にM&Aによる事業承継では費用がかかりやすく、場合によっては売却金の多くを弁護士報酬の支払いに充てなければならないケースもあります。

これにより売却資金を引退後の生活資金に充てることができなくなったり、新たな事業に投資できなくなったりする問題が発生することも珍しくありません。

M&A総合研究所には専門的な知識や経験が豊富なM&Aアドバイザーが多数在籍しており、これまでに培ってきたノウハウを活かしてM&Aによる事業承継をフルサポートいたします。

料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です。(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)相談料は無料となっておりますので、お気軽にご相談ください。

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まとめ

最近では経営環境や経営者の価値観が変化したことで、子供などの親族に事業承継する方法よりも、M&Aにより第三者に事業承継する方法に経営者の注目が集まっています。弁護士が事業承継やM&Aの支援を積極的に実施しているのも、このような事情が背景にあるのです。

弁護士の知識は理想的な事業承継を達成するうえで非常に役立つため、事業承継を検討している場合には、まずは弁護士に相談してみることをおすすめします。要点をまとめると、以下のとおりです。

・事業承継で弁護士の力を借りるメリット
→リーガルチェックをしてもらえる、M&Aによる事業承継でもプロセスを請け負ってもらえる、顧問弁護士制度を採用すれば費用を抑えてサポートが受けられる、専門家同士のネットワークを活用できる

・事業承継で弁護士の力を借りるときの注意点
→事業承継に対応していない弁護士もいる、あらかじめ経営者自身で事業承継の方針を検討しておく、依頼内容によって費用が異なる

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