M&Aとは?意味や動向とM&Aを行う目的・メリットなどをわかりやすく解説!
2024年6月21日更新事業承継
事業承継の専門家|必要性・種類・探し方・補助金も徹底紹介
事業承継の専門家は、事業承継の課題を解決するうえで心強いパートナーです。事業承継に携わる専門家の種類は、事業承継アドバイザーやプランナー・税理士・弁護士などさまざまです。本記事では、事業承継専門家の探し方や必要性などについて紹介します。
目次
事業承継を専門家に相談する背景
日本社会全体で大きな課題である超高齢社会の到来は、数多くの中小企業に影響をもたらしています。経営者が高齢化を迎えているにもかかわらず、後継者不足などの悩みに直面するケースは少なくありません。
こうした背景を受けて、事業承継のニーズが年々高まっています。事業承継とは、会社を後継者に引き継ぐ行為をいい、これまで大切に育ててきた会社を存続させるには、円滑に事業承継を済ませることが必要不可欠です。
しかし、事業承継には、準備を含めてさまざまな手続きに多くの手間がかかります。また、「事業承継は、何から手をつけていいのかわからない」という経営者も少なくないでしょう。
そのため、事業承継を実施する際は専門家に沿う願するケースが多く、サポートしてもらうことで事業承継に関する専門的な手続きを円滑に済ませられます。
顧客・取引先との関係維持
会社を経営していくためには、長い時間をかけて顧客・取引先との関係性を構築していく必要があります。しかし、廃業を選択すると、これまで構築してきた顧客・取引先との関係性は消滅してしまうことになるため、顧客・取引先との関係を維持するためにも、事業承継を行うことが望ましいといえるでしょう。
従業員の雇用保護
事業承継せずに廃業すれば、会社は消滅し、そこで働く従業員の雇用を維持できません。従業員の雇用を維持するためにも、経営者は事業承継を実施する必要があります。
自社のノウハウ・知的財産の存続
企業は独自ノウハウ・知的財産などの無形資産を有している場合がほとんどです。無形資産は形のない資産であり、それを保有する会社が消滅すれば失われてしまいます。会社の無形資産を活用するためには、事業承継により会社を存続させなければなりません。
事業承継の専門家とは
実をいうと、正式に「事業承継の専門家」と呼ばれる職種はありません。事業承継の実務は弁護士や医師などのように独占業務ではないため、理論上は誰でも事業承継の専門家を名乗って業務に携われます。
ただし、現実的には、素人が事業承継の業務を円滑に遂行することは不可能です。自身や会社の今後に関する経営戦略を、何ら経験や実績のない人に任せられません。基本的には、事業承継で必要な知識・経験が豊富な人物にサポートを依頼します。
そこで事業承継をサポートする人物を総称し、事業承継の専門家と呼んでいます。事業承継の業務は、会計・税務・法務など多岐にわたる分野の知識が必要であり、1人の専門家がすべての事業承継業務を遂行できません。
事業承継における実務では、さまざまな専門家が各専門分野の業務に取り組む形を取るのが一般的で、こうした多様な職種のスペシャリストを総称して事業承継の専門家と呼んでいます。ここからは事業承継に携わる専門家の重要性を把握するため、以下の項目に分けて紹介します。
- 事業承継の課題
- 事業承継における専門家の必要性
- 事業承継の専門家に求められるスキル
それぞれの項目を順番に解説します。
①事業承継の課題
事業承継の必要性が増しているなかで、後継者不足が最も大きな課題として経営者の前に立ちはだかっています。多くの企業が、事業を承継する後継者が不在の状況に陥っている状況です。
後継者不足の問題が今後も深刻化すると、いずれ多くの中小企業が廃業に追い込まれると予想されます。事業承継の課題は後継者不足以外にもあり、実際に後継者が確保できているにもかかわらず事業承継の準備を始めていない中小企業が数多いです。
このような状況が発生する背景には、事業承継手続きの複雑さが深く関係しています。事業承継の手続きでは専門知識が必要となる場面が多く、専門知識に乏しいことを理由に事業承継を諦める中小企業は少なくありません。
②事業承継における専門家の必要性
事業承継の手続きでは、多くの専門的な知識が要ります。専門的な知識は非常に高度であるため、経営者のみでは対応できません。事業承継手続きの専門知識を有する専門家に頼りましょう。
専門知識を提供する存在
事業承継を行う際は、各プロセスでさまざまな課題が生じます。経営者1人や社内のリソースだけで、課題を解決することは困難です。経営者・従業員は事業承継の専門家ではなく、未経験者がほとんどです。
そこで頼りになるのが、各専門家です。事業承継の課題に対して専門知識を提供してくれます。
サポート業務により事業承継問題を解決する存在
ほとんどの経営者にとって、事業承継は初めての経験なので、必要な専門的知識を持たない場合が多いです。
法律の専門家は弁護士、会計の専門家は公認会計士、税務の専門家は税理士といった専門的で高度な知識を有する事業承継の各専門家に依頼して、各専門家のサポートにより事業承継の手続きを済ませましょう。
③事業承継の専門家に求められるスキル
事業承継手続きは、高度な専門知識が必要なため経営者だけでは対応できません。事業承継の専門家に求められるスキルを紹介します。
事業承継に関わる適切なアドバイス
会計・税務・法務の知識が求められます。専門性が高ければ高いほど、事業承継の業務遂行に厚い信頼が寄せられるのです。
専門知識に長けている専門家は、事業承継の場面で重宝されます。加えて、専門家には、事業承継の必要性を経営者に伝えるスキルも求められます。事業承継に向けた準備の大切さを理解できていない経営者が少なくないためです。
これらの経営者に対して、専門家が事業承継の必要性を説く場面も多く見られます。
事業承継の専門家にはM&Aに関する知識も求められている
上記で紹介したスキルに加えて、最近はM&Aに関する知識も専門家に求められています。M&Aを活用して事業承継を実施するケースが増えているためです。M&A(Mergers and Acquisitions)とは、合併と買収を意味し、企業や事業を売買するために活用されます。
M&Aを活用すれば第三者に事業を引き継ぐことが可能です。親族内や会社の役員・従業員に最適な後継者となる人材が見当たらないケースでも事業承継を行えます。M&Aによる事業承継の件数は増加しており、最近はM&Aの専門知識を有する専門家も多いです。M&A仲介会社の多くは、事業承継に必要な手続きを一貫支援しています。
事業承継に携わる専門家の種類
この章では、どのような専門家が事業承継に携わっているのか解説します。事業承継に携わる専門家の種類は、主に以下のとおりです。
- M&Aアドバイザリー・仲介会社
- 税理士
- 弁護士
- 司法書士
- 公認会計士
- 行政書士
- 公的機関(事業承継・引継ぎ支援センター)
- 金融機関
- ファンド
- 中小企業診断士
- 事業承継再生士
- 事業承継士
- 事業承継アドバイザー
- 事業承継プランナー
①M&Aアドバイザリー・仲介会社
親族内や自社の役員・従業員など身近に後継者がいない場合、M&Aによって第三者に事業承継するケースが増えています。このときに役立つ専門家が、M&Aアドバイザリーです。M&Aアドバイザリーとは、M&A実務に特化した専門家であり、証券会社やコンサルティング会社などが該当します。
M&Aアドバイザリーに依頼する際は高額の費用がかかるため、中小企業の事業承継ではM&A仲介会社を専門家として起用するのが一般的です。実際に業務を依頼する際は、事業承継型のM&Aに強い仲介会社を選びましょう。
アドバイザリー業務にも対応する仲介会社は、マッチングのみならずクロージングまでサポートを行います。ただし、着手金や成功報酬など必要となる手数料の種類が多いため、依頼を検討したら発生する費用をあらかじめ念入りに確認しましょう。
M&Aによる事業承継では多くのメリットが獲得できる
事業承継ではM&Aを活用して第三者に引き継ぐケースが増加していますが、増加の背景には後継者不足のほかにM&Aを実施することで獲得できるメリットも関係しています。
M&Aによる事業承継では企業そのものを売却するため、売却利益を獲得できます。また、入念に交渉を実施するため、事業を引き継がせるのにふさわしい能力を持つ第三者を吟味して選ぶことが可能です。これにより、承継後も末永い事業の存続が見込めます。
従業員の雇用を維持できるほか、取引先との関係も継続可能です。このようにM&Aによる事業承継ではさまざまなメリットが期待できますが、一方でデメリットも少なくありません。代表的なデメリットは、「M&Aは失敗しやすい」「費用がかさむ」ことなどです。
M&Aの成功確率は高くなく、実施するには多くの資金が必要となるため、M&A手続きを依頼する専門家は慎重に選びましょう。
②税理士
税理士とは、会計・税務の専門家のことです。事業承継シーンで、相続税評価や相続税の申告など会計や税務分野に関する業務を遂行します。中小企業の事業承継では非公開株式を引き継ぎますが、非公開株式の相続税を評価するには高度な専門的知識が必要です。
M&Aによる事業承継を実施する場合、税理士は税務デューデリジェンスを担います。税務デューデリジェンスとは、相手企業における税務上のリスクなどを調査する手続きです。税理士は、経営に関する知識を持つ専門家が比較的多いです。税理士は事業承継に欠かせない存在だけでなく、中小企業にとって非常に頼りとなる専門家といえます。
③弁護士
弁護士は法律全般の知識に長けている専門家で、事業承継シーンでも法律全般に関する業務を執行します。具体的には、遺産分割や遺言書の検認などが弁護士の担う役割です。事業承継を実施する際は、相続人との間でトラブルが生じるおそれがあります。トラブルが発生してしまうと当事者間での解決は非常に困難で、解決にあたる専門家として弁護士が起用されることが多いです。
弁護士を起用すれば、事業承継で生じるトラブルを円滑に解決できます。M&Aによる事業承継を実施する場合、弁護士は法務デューデリジェンスも担います。さらに、法律の専門家として、各種M&A契約書の作成も請け負うなど心強い存在です。
ただし、他の専門家と比べて業務依頼に要する費用が高額になりやすいため、中小企業の事業承継は予算に合わせて活用の有無を検討してください。
④司法書士
司法書士も弁護士と同じく法律の知識に長けている専門家ですが、弁護士と比べて中小企業の事業承継を相談しやすい存在といえます。なぜなら、弁護士と比較したときの費用が安くなりやすいためです。司法書士は、事業承継で生じる移転登記などを専門業務として請け負います。
⑤公認会計士
公認会計士は会計の専門家です。メインの業務は、財務諸表が適切であるかを判断する会計監査などです。ほとんどの公認会計士が税理士も兼ね、税務・コンサルティングの専門家であるケースも少なくありません。
公認会計士は事業承継の専門家ではありません。しかし、M&A・事業承継に関するサポートを行ったり、M&A仲介会社に公認会計士が在籍したりするケースも多く見られます。普段から付き合いのある公認会計士がいる経営者も多いので、事業承継の相談がしやすいです。ただし、公認会計士は事業承継の手続きすべてをサポートすることが難しく、M&A仲介会社などに別途相談することもあります。
⑥行政書士
行政書士は、会社設立や営業許可など各種書類の作成、許認可申請の代行、相続の相談などを行います。行政書士は事業承継の専門家とは限りません。しかし、親族内事業承継の場合は、相続・贈与・許認可の申請を行うケースもあります。これらの業務が得意な行政書士に、事業承継の相談をするのも良いでしょう。
⑦公的機関(事業承継・引継ぎ支援センター)
事業承継で会社を引き継ぐことは、日本経済としても重要な課題です。中小企業が廃業すれば多くの雇用などが失われるので、中小企業庁は事業承継を積極的にサポートし、公的機関の設置や税制優遇措置などを行っている状況です。
中小企業庁における事業承継の公的機関に、事業承継・引継ぎ支援センターがあり、M&Aによる事業承継を支援しています。後継者人材バンクは独自のネットワークで、事業承継の相手を探したりM&A仲介会社の紹介なども行ったりしている状況です。
⑧金融機関
銀行・信用金庫などの金融機関で、事業承継の相談も可能です。経営者や個人事業主は融資を受けている銀行があるケースが少なくないため、普段から付き合いのあるメインバンクに事業承継の相談をすると良いでしょう。事業承継やM&Aの窓口を設ける金融機関もあります。
ただし、大企業の案件を取り扱う傾向があり、中小企業のM&Aによる事業承継は受け付けないところもあります。金融機関は融資が業務です。そのため、事業承継の相談者と利益相反になる可能性にも注意してください。
⑨ファンド
事業承継の手法には、親族内承継・会社内承継・M&Aによる承継などがあります。ファンドに自社株を譲る手法もあります。ファンドは、複数の投資家から資金を収集し、その資金で株式を購入する手法です。株式を買収して企業を成長させたうえで、それを売却したり株式を公開したりして利益を上げて投資家に分配します。ファンドは、資金面で力強いサポートを行います。
⑩中小企業診断士
中小企業診断士は、中小企業経営者の持つさまざまな悩みを解決する相談先です。
中小企業診断士はさまざまな分野で専門知識を有していますが、中には事業承継を専門とする専門家もいます。彼らは公認会計士や弁護士のような高度な専門知識を持っていませんが、会社の事業承継に関する適切なアドバイスを提供します。
⑪事業承継再生士
事業承継再生士とは、一般社団法人日本ターンアラウンド・マネジメント協会による民間資格をいいます。税理士などの士業ではありません。しかし、事業再生に関する経営や法律の講習を受け、試験に合格しています。近くにこの資格を有する専門家がいれば、事業承継の相談してみるのも良いでしょう。
⑫事業承継士
一般社団法人事業承継協会による民間資格を取得したのが、事業承継士です。事業承継の問題をトータルで解決する能力を有する事業承継の専門家であることを認定しています。事業承継には税理士など特定の専門家制度はないので、事業承継士など民間資格を持つ人に相談するのも良いでしょう。
⑬事業承継アドバイザー
事業承継アドバイザーとは、法務・税務・企業価値評価など事業承継で必要な知識を有する人が取得できる民間資格です。事業承継アドバイザーの資格試験に合格するには、事業承継の手続きに関する体系的な知識が求められるため、この資格を所持していれば事業承継専門家としての信頼性を高められます。
経営者は、事業承継に関する知識を幅広く有する事業承継アドバイザーに相談することで、事業承継全般について有益なアドバイスを受けられます。ただし、事業承継アドバイザーは広範な知識を有するものの、各分野に関して専門的に高度な知識を有するわけではないので、実際に事業承継の実務を依頼する場合はやや力不足を感じるかもしれません。
⑭事業承継プランナー
事業承継プランナーとは、民間企業である事業承継センターが運営する民間資格です。この資格を取得するには、あらかじめ事業承継センターが実施する講座を受講し、認定試験に合格したうえで事業承継協会に入会することが求められています。
この資格を取得すれば、取引先など親しい関係がある経営者の事業承継で良き相談相手となることが可能です。経営者にとっては、事業承継に対する漠然とした不安や悩みを気軽に相談できる相手として頼りになります。
しかし、事業承継アドバイザーと同じく、事業承継プランナーも事業承継における各分野の専門的な知識までは網羅していません。実際に実務を依頼する場合、各士業の専門家から力を借りる必要があります。
事業承継の専門家選びの基準
事業承継の専門家選びの基準は、主に以下のとおりです。
スキルが自社の目的に合っているか
事業承継は単なる会社の売買だけではなく、家族や従業員への引き継ぎも含まれるため、適切な手続きが必要です。専門家を選ぶ際は、その人が事業承継に詳しいかどうかを確認することが大切です。
例えば、顧問税理士は経理の専門家ですが、事業承継の詳細に詳しくないかもしれません。
費用感・コストパフォーマンス
事業承継には専門家のサポートが必要ですが、その費用は企業の規模や業種によって変わります。費用の相場を知るためには、複数の専門家から見積もりを取るのが良いでしょう。事業承継の相場を調査するのは難しいかもしれませんが、国が提供している中小機構のサポートを活用するのも良い方法です。
専門家との相性
事業承継を進めるうえでは専門家との相性も重要です。例えば、伴走型で寄り添うことを望む企業もあれば、専門家として客観的な視点を持ち、時には厳しい意見を伝えるケースもあります。
専門家と密に連絡ができるなどの相性が良ければ、依頼者にとってベストなM&Aの方法や相手先を紹介してもらえるでしょう。
中小機構による事業承継支援
事業承継の専門家は民間企業だけではありません。国の機関である「中小機構」(独立行政法人 中小企業基盤整備機構)も事業承継を支援しています。中小機構は事業承継の専門家派遣などを実施して、中小企業を全面的にバックアップしています。中小機構が実施する事業承継支援の取り組みは、以下のとおりです。
- 事業承継・引継ぎ支援センターのサポート
- 事業承継セミナーの開催
- 事業承継に携わる専門家の派遣
①事業承継・引継ぎ支援センターのサポート
中小機構は全国47都道府県に置かれている事業承継・引継ぎ支援センターで、主にマッチングの側面から事業承継支援を実施しています。事業承継・引継ぎ支援センターは、経営者などから寄せられた相談内容をデータベースにて管理している公的機関です。
中小機構は、上記データベースをもとに売り手側と買い手側の最適なマッチングを支援しています。事業承継の仲介業務を実施しているので、中小企業で後継者が不足している場合は活用しましょう。
②事業承継セミナーの開催
中小機構では、事業承継に関するセミナーも数多く開催しています。このセミナーでは事業承継の重要性を広く伝えているため、事業承継の実施に悩んでいる場合は有益なヒントが得られる可能性が高いです。
③事業承継に携わる専門家の派遣
中小機構が実施する支援の中で最も重点を置いているのが、事業承継の専門家派遣です。中小機構は、必要に応じて事業承継の専門家を派遣しています。事業承継に課題を抱える中小企業にとって、専門家の存在は欠かせないためです。
専門家の見つけ方がわからない悩みを抱える経営者も少なくありません。こうした事情を踏まえると、中小機構が実施する専門家派遣には大きな意義があります。なお、国の機関から派遣される専門家なので、信頼性があり安心して相談することが可能です。
事業承継の専門家を探す方法
事業承継の専門家を探す際は、税理士や司法書士など職種から探す、業務から探す、所在地や対応エリアから探すなどの方法があります。
事業承継の専門家としておすすめの相談先
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料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です。(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります。)無料相談を行っておりますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。
事業承継・引継ぎ補助金(専門家活用)とは
この章では、事業承継・引継ぎ補助金(専門家活用)を解説します。
概要
【Ⅰ型】買い手支援型と【Ⅱ型】売り手交代型があり、補助上限額が違うため気を付けましょう。
【Ⅰ型】買い手支援型は、事業再編・事業統合などによる経営資源の引継ぎを行う予定の中小企業者などに該当します。「事業再編・事業統合などにより経営資源を譲受後に、シナジーを生かした経営革新などの実施が見込まれる」「事業再編・事業統合などにより経営資源を譲受後、地域の雇用など地域経済全体を牽引する事業の実施が見込まれる」といった条件を満たさなければなりません。
【Ⅱ型】売り手支援型は、事業再編・事業統合等で自社が持つ経営資源を譲渡予定の中小企業者などに該当します。「地域の雇用など地域経済全体を牽引する事業などを行い、事業再編・事業統合で第三者による継続が見込まれる」といった要件を満たさなければなりません。
要件
対象の経営資源引継ぎは、次の予定でなければなりません。
- 補助事業期間に経営資源を譲り渡す人と経営資源を譲り受ける人の間で、事業再編・事業統合が着手あるいは行われる見込み
- 補助事業期間に経営資源を譲り渡す人と経営資源を譲り受ける人の間で、廃業を伴う事業再編・事業統合が実施される見込み
事務局が、承継者と被承継者による実質的な事業再編・事業統合が実施されていないとしたケースは対象外です。
補助対象
下記の項目と「経営資源引継ぎの要件」に該当し、最終契約書の契約当事者となる中小企業者などが補助の対象です。ただし、売り手支援型(Ⅱ型)の株式譲渡は、同要件を満たす対象会社と、対象会社と共同申請した対象会社の支配株主が対象になります。
- 日本国内に拠点あるいは居住地があり、日本国内で事業を営む人
- 補助対象者あるいは法人の役員が、暴力団など反社会的勢力でなく、反社会的勢力との関係を持たない、反社会的勢力から資金提供を受けていない
- 法令順守上の問題がない
- 事務局から質問や追加資料などの依頼があれば対応する
- 事務局が必要と認める際、事務局が補助金の交付申請や事前着手ほか各種事務局による承認や結果通知にかかる事項につき修正をして再度通知することに同意する
- 補助金の返還などの事由が生じれば、申請その他本補助金の交付にあたり負担した各種費用をいかなる事由でも事務局が負担しないことに同意する
- 経済産業省から補助金指定停止措置や指名停止措置が講じられていない
- 補助対象事業における全情報について、事務局から国に報告された後、統計的な処理などをされて匿名性を確保しつつ公表される場合があることに同意する
- 事務局が求める補助対象事業の調査やアンケートなどに協力する
申請・手続きの方法
補助金は、基本的に電子申請で申請します。経済産業省が運営する補助金の電子申請システムである「jGrants(Jグランツ)」を用いて申請しましょう。ただし、このシステムを利用するには、「gBizIDプライム」のアカウントが必要です。
「gBizIDプライム」のアカウントを取得するには、2〜3週間かかるので、早めに行ってください。jGrantsの申請は、必要書類チェックリストを用いて、必要書類の不足がないようチェックしましょう。必要書類チェックリストを提出する必要はありません。
事業承継の専門家まとめ
今回は、事業承継の専門家に関して解説しました。事業承継の場面ではさまざまな専門家が活躍しますが、事業承継で担う業務はそれぞれ異なります。実施する業務に合わせて、最適な専門家を選んで起用することが大切です。
事業承継の支援は、民間の専門家のみが実施しているわけではありません。国の公的機関である中小機構でも、専門家派遣などの事業承継支援を実施しています。経営者は、必要に応じて国の支援策活用も検討すると良いでしょう。
中小企業にとって、事業承継は会社の存続に直結する行為です。大事な会社を存続させるためにも、事業承継に対して真摯に取り組みましょう。
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