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2024年4月12日更新事業承継
相続における負債とは?必要な手続きや負債への対処方法、注意点などを解説
相続では、亡くなった方の資産や負債を、一定範囲内の親族が法で定める割合で引き継ぎます。被相続人に借金などの負債があった場合、相続人はその負債も引き継がなくてはいけません。本記事では、相続の基本知識や相続放棄などによる負債への対処法、注意点を解説します。
相続における負債
親族が亡くなると、原則として相続が発生します。相続では亡くなった方(被相続人)の資産や負債を、一定範囲内の親族(相続人)が引き継ぎます。被相続人が負債を負っていた場合、相続人はその負債も合わせて引き継ぐことになります。
つまり、相続人は、被相続人のプラスの財産だけではなくマイナスの財産も引き継ぐことになりますので、注意が必要です。ただし、負債の相続を回避できる方法があります。
この記事では、相続の基礎知識や負債の有無とその額を調べる手段、負債相続を回避する方法などを分かりやすく解説します。
相続とは
まず、相続とは、ある人物が亡くなった際に、その方(被相続人)が保有していた資産などの財産(相続財産)を、一定範囲内の親族(相続人)が受け継ぐことをいいます。
相続人が遺言書を残していた場合には、原則、その遺言書にしたがって被相続人が相続財産を相続します。遺言書がない場合には、被相続人の間の話し合い(遺産分割協議)によって、「誰が・何を・どれくらい」受け継ぐかを決定します。
しかし、相続の場面でトラブルが発生し、遺産分割協議が成立しないケースも少なくありません。その場合は法律の定めによって、一定範囲内の親族が財産を引き継ぎます。法律で定められた相続割合を「法定相続分」といいます。
法定相続分とは
民法で、法定相続分は以下のとおり決められています。
- 配偶者と直系卑属が相続人:配偶者1/2、直系卑属1/2
- 配偶者と直系尊属が相続人:配偶者2/3、直系尊属1/3
- 配偶者と兄弟姉妹が相続人:配偶者3/4、兄弟姉妹1/4
直系卑属とは子供や孫を指し、直系尊属は親や祖父母を指します。なお、子供が複数いる場合には、1/2の財産を子供の数で按分します。
例えば、子供が5人で、直系卑属が相続する財産の総額が1,000万円である場合には、子供1人あたり200万円を相続します。
相続に必要な手続き
相続においては複数の必要な手続きがあり、主な手続きを時系列順にいうと以下のとおりです。
- 遺言書・相続人の確認
- 相続方法の選択・手続き
- 遺産分割協議の開催
- 相続税の申告
適切な手続きを踏まないと、資産が相続できない、または負債の相続を回避できないなどといった事態が生じるおそれがありますので、注意しましょう。次に、相続に必要な手続きを説明します。
①遺言書・相続人の確認
まず初めに、被相続人が遺言書を遺していないかについて確認しましょう。原則、遺言書の内容にしたがって相続財産の分配を決定します。遺産分割協議が終了した後に、遺言書の存在が発覚すると、再度協議をやり直す必要があります。
スムーズに相続を完了させるためにも、遺言書の存在はしっかり把握しておくことが重要です。
また、遺言書とあわせて、相続人の確認も必要です。すべての相続人が参加しなければ、遺産分割協議は成立せず、相続人の一部を除外してなされた遺産分割は無効とされていますので、注意が必要です。
②相続方法の選択・手続き
相続方法には、以下のとおり全部で3種類あります。
- 単純承認
- 限定承認
- 相続放棄
基本的には、単純承認によって自身の取り分をすべて引き継ぎます。多額の負債が発覚した場合には、「限定承認」や「相続放棄」の手続きを行うケースが多いです。相続放棄や限定承認については、後ほど詳しく説明します。
③遺産分割協議の開催
遺言書と相続人全員がそろった後に遺産分割協議を開催し、原則、遺言書にしたがって財産分配を協議・決定します。ただし、遺言書の内容次第では、遺産分割協議が難航するおそれもあります。
相続人間で一旦トラブルが発生してしまうと、話し合いは平行線となる場合が多いです。そのような場合には、弁護士の助力を得ることをおすすめします。
弁護士が相続に介入することで、法や判例にもとづいた公正な遺産分割をスムーズに進行しやすくなります。
④相続税申告
上記の手続きの後、財産を相続した場合には、相続税を申告します。相続税の申告が完了した時点で、相続に必要な手続きは終了します。
相続の対象となるもの
先述のとおり、被相続人の財産だけではなく、負債も相続人に引き継がれます。まず、財産の例としては、主に以下のものがあります。
- 土地・家屋
- 現金
- 預貯金
- 貴金属
- 自動車
- 金銭債権
次に、負債の例としては、主に以下のものがあります。
- 借金
- その他取引上の債務(インターネット使用料など)
負債は法定相続分に基づいて相続人に相続されます。負債を相続したくない場合は、「相続放棄」もしくは「限定承認」の手続きを取る必要があります。詳細については後述しますが、この手続きには一定の期限がありますので注意しましょう。
また、被相続人が経営していた事業に関する資産(株式、事務所の土地・建物など)も相続人に相続されます。
相続人が事業承継を望んでいないなど、被相続人の死亡以前に後継者候補がいないことが明らかな場合は、生前にM&Aにより第三者に事業譲渡するという方法もあります。
被相続人の負債
相続放棄などにより相続人が被相続人の負債の引き継ぎを免れるためには、まず負債の有無や金額を把握しなくてはいけません。ここでは、被相続人の負債の存在を確認するための以下の方法をご紹介します。
- 金融機関への負債
- 取引上の負債
①金融機関への負債
基本的には、金融機関から送付される請求書等や被相続人の通帳を確認しますが、住所変更や借金を放置している場合は、負債の存在を見落とす可能性があります。そのため、正確な負債状況を調査するためには「信用調査機関」に照会する必要があります。
信用調査機関は、各金融機関の顧客に関するデータを持っています。例えば、各金融機関は、誰かにお金を貸す際には信用調査機関に照会して、その人物の信用力を判断します。
相続の際には、信用調査機関に照会することで被相続人の抱える負債金額を確認することができます。なお、金融機関によって信用調査機関が以下のとおり異なります。
- 消費者金融:日本信用情報機構
- 銀行:全国銀行個人信用情報センター
- クレジット会社:シー・アイ・シー
信用調査機関に照会することで被相続人の負債状況を把握し、相続のプランに目星をつけることができます。
②取引上の負債
負債に該当するものは、借金やだけではありません。取引上に基づく債務も、負債の1つです。取引上の負債としては、主に以下のものがあります。
- インターネット
- 公共料金
- ケーブルテレビ
取引上の負債は、各会社に解約の手続きを行えば、引き継がずにすみます。ただし、解約費用がかかる場合もあるため注意してください。
相続前にできる債務対策
事業承継の前にできる債務対策を紹介します。
資金繰りを改善
会社の資金繰りを改善させ負債を軽減させる方法があります。例えば、商品単価を上げる、販路を拡大するなどで売上高を増やす方法です。自社製品のラインナップを見直し、利益率の高い事業に経営資源を投入することで、財務体質改善に役立つでしょう。
その他にも固定費や原価削減、人件費削減などの経費の削減を行うと会社の収益向上が可能となります。
役員借入金を減らす
負債の原因は借入金や社債など、外部の要因だけではありません。経営者や役員から借り入れたお金も負債の一部となります。役員借入金を減らすことで、会社の負債も減らせるでしょう。役員借入金を減らす方法は主に以下の3つです。
・役員報酬を減額し返済に充当
・役員借入金の債務免除を実施
・暦年贈与を実施
DESやDDSの手法を活用
DES(デット・エクイティ・スワップ)とDDS(デット・デット・スワップ)は、債務である借入金を株式に変える手法です。DESを活用すると負債が減り、自己資本比率が改善するというメリットがあります。
DDS(デット・デット・スワップ)は債務の種類を交換するもので、負債を劣後ローンへ借り換える手法です。劣後ローンになると、債務の返済が一定期間猶予されるなどの支援が受けられるため、資金繰りを改善する効果があります。
遊休資産を売却
遊休資産がある場合は、選択肢の1つとして売却を検討しましょう。遊休資産は、事業に使用するために取得したにもかかわらず、何らかの理由で使用していない・稼働していない資産です。
例えば土地や建物、工場、機械設備といった有形固定資産だけでなく、ソフトウェアも該当します。遊休資産の売却益を返済に充てることで、負債を減らせるでしょう。
相続放棄の方法
相続放棄とは、相続人の権利を自ら放棄することです。負債を相続しなくてすむ一方で、現金などの資産を相続できなくなります。資産金額と比べて負債金額のほうが明らかに多い場合には、相続放棄が適しています。
次に、相続放棄の手続きについて詳しく説明します。
①相続放棄の手続き
相続放棄に必要な手続きの流れは以下のとおりです。
- 家庭裁判所に「相続放棄陳述書」を提出する
- 相続放棄が認められた場合には、家庭裁判所から「相続放棄受理通知書」が送付される
なお、相続放棄受理通知書には、正式に相続放棄を証明する効力はありませんので、相続放棄の効力を正式に証明する必要がある場合には、別途裁判所から「相続放棄受理証明書」の交付を受ける必要があります。
また、被相続人との関係次第では、被相続人の戸籍謄本が必要となるケースがあります。
②相続放棄の注意点
相続放棄を行うことで負債を一切相続せずにすみますが、以下の3つに注意する必要があります。
- 相続放棄の手続きは「相続を知った時点から3ヶ月以内」に必ず完了させる
- 相続放棄は撤回できない
- 他の相続人とのトラブルにつながるおそれがある
相続放棄の手続きは「相続を知った時点から3ヶ月以内」に必ず完了させる
相続放棄の手続きは「相続を知った時点から3ヶ月」を過ぎると、一切行うことができなくなります。被相続人の葬儀などのさまざまな対応に追われるあまり、気がつくとこの期限を過ぎていたというケースも少なくありません。
そのため、相続放棄の期限を忘れないように注意しましょう。
相続放棄は撤回できない
相続放棄は一度行うと、撤回することができません。そのため、負債の存在が発覚しても、慌ててすぐに相続放棄することは好ましくありません。相続放棄した後に、過払い金が判明するケースもあります。そのような場合、かえって多額の資産の相続を失うおそれもあります。
相続を知ったときから3ヶ月以内という相続放棄の期限を意識しつつ、冷静に状況を把握したうえで相続放棄すべきかを判断しましょう。
他の相続人とのトラブルにつながるおそれがある
相続放棄を行うと、相続放棄した相続人が相続から抜けるかわりに、本来は対象外の人物が相続人となります。その結果、その相続人が想定外の負債を引き継ぐことによって親族間でトラブルが生じる可能性もあります。
そのため、場合によっては関係当事者間で十分に協議することも重要です。
限定承認による方法
限定承認とは、引き継ぐ資産の金額の範囲内で、負債を引き継ぐことです。例えば、1,000万円の資産を相続する際には、相続する負債額は1,000万円までとなります。
相続財産の中に貴重な資産や思い出の品があるような場合には、限定承認はとても便利な方法です。
①限定承認の手続き
限定承認に必要な手続きの流れは以下のとおりです。
- 家庭裁判所に対して、限定承認の書類を提出
- 債権者に対する官報公告や財産の換価、債権者への弁済などを実施
限定承認を利用すれば、負債相続のデメリットを減らせるものの、上記のように手続きが非常に煩雑であることから実務ではあまり利用されていません。
②限定承認の注意点
先述のとおり、限定承認の手続きの煩雑さから、相続人のみで行うことはかなり負担になります。そのため、弁護士などの専門家の協力が不可欠です。弁護士に依頼することで限定承認に要する手間を軽減できます。
ただし、弁護士に限定承認の手続きを依頼すると、報酬が発生します。必要な費用と限定承認によりもたらされるメリットを比較し、最適な相続のプランを選択することが大切です。
相続における負債まとめ
相続による想定外の負債を引き継ぐリスクを回避するためには、被相続人の資産と負債を正確に把握したうえで最適なプランを選択することが重要です。
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