2020年3月5日更新資金調達

NPOの資金調達

NPOを運営するには、資金調達が必要不可欠です。ただしNPOにおける資金調達方法は、一般的な会社が取る方法とは異なるため注意が必要です。この記事では、NPOの概要・NGOとの違いや、NPOの資金調達方法・資金調達における課題・その解決方法などを解説します。

目次
  1. NPOの資金調達
  2. NPOとは
  3. NPOの資金調達方法
  4. NPOの資金調達における課題
  5. NPOの資金調達における課題の解決方法
  6. まとめ
【※メルマガ限定】プレミアムM&A案件情報、お役立ち情報をお届けします。

NPOの資金調達

現在の日本では、働き方の多様化が進んでいます。多様化する流れの中で生まれた働き方の1つに、NPOがあります。NPOは私たちの生活を支える組織ですが、運営していくためには資金調達が必要です。NPOの資金調達方法は、一般的な会社が取る方法とは異なるため注意しなければなりません。

今回は、NPOを運営している方やNPOの運営を検討する方に向けて、NPOの資金調達方法やNPO特有の資金調達における課題を中心に解説します。

※関連記事
中小企業が資金調達を成功させる方法とは?現状や課題を解説
ベンチャー企業の資金調達

NPOとは

はじめに、NPOの概要を紹介します。NPO(Non-profit Organization)とは、日本語に訳すと民間非営利団体のことです。法人格を取得したNPOは、NPO法人と呼ばれます。NPOが非営利組織であることは多くの人に知られていますが、中には「非営利」という言葉の意味を誤解している人も少なくありません。

たとえNPOのような非営利組織であっても、事業を運営することで利益を獲得すること自体は可能です。NPOに勤務するスタッフは無給でボランティアしているわけではなく、働いた分の対価を受け取ることができます。

ここでいう非営利とは、最低限の給料・費用を支出したうえで、余った利益をスタッフの間で分配しないという意味です。事業運営で余った利益は、社会貢献事業のために活用されます。以上のことから、NPOでは配当金やボーナスなどの分配が発生しません。

NPOの事業内容

NPOの事業内容については、法律などで明確に定められているわけではありません。各NPO組織は自分たちの信念に基づいて自由に事業を運営していますが、あくまでも社会貢献を主目的とすることから、NPOが運営する事業内容には傾向があります。

NPOは、福祉増進・社会教育・災害救援など、社会全体に役立つ事業を中心的に運営しています。一般的な会社では採算性を理由に取り組めない事業に取り組む傾向があるため、NPOは大きな存在意義を持っています。

NPOのスタッフ

NPOのスタッフは、一般的な会社の正社員とは違い、必ずしもNPOの活動のみに専従しているとは限りません。例えば、サラリーマンを本業としつつNPOに携わっている方や、会社で社長を務めつつNPOに参画している方もいます。現時点で正社員として雇用されている方であっても、NPO事業への参加は可能です。

NPOとNGOの違い

NPOと類似する組織に、「NGO」があります。NGO(Non-Governmental Organization)とは、日本語に訳すと、非政府組織を意味します。政府ではない組織であることから、NGOには市民団体などが該当します。

政府の組織でないことを強調するときにはNGOという名称を用いて活動しますが、実際には国境を超えて活動する組織を総称してNGOと呼ぶケースが多いです。NPOとNGOの活動には明確な違いがないため、両者を区別すべきではないとされていますが、強いていえば活動範囲の傾向に相違点が見られます。

NPOは主に国内の問題に取り組む一方で、NGOは国際的な課題に取り組む傾向があります。例えば、地雷除去の活動を行う組織は、NGOに該当すると捉えられています。

※関連記事
事業資金とは?調達方法や金利相場、ノンバンク融資についてご紹介

NPOの資金調達方法

ここでは、NPOの資金調達方法を紹介します。一般的な株式会社が取る方法とは異なる点が多いため、NPOに携わりたい方は参考にすると良いです。NPOの具体的な資金調達方法は、以下のとおりです。

  1. 会費
  2. 寄付金
  3. 事業収入
  4. 助成金・補助金
  5. 借入金
それぞれの資金調達方法を順番に見ていきます。

①会費

会費は、NPOにおける大きな資金調達源です。ほとんどのNPOでは、会員が毎月もしくは毎年の間隔で会費を支払う仕組みを採用しています。定期的にまとまった金額を確保可能であり、安定度の高い資金調達方法です。NPOの会員から資金調達するため、他の資金調達方法と比べて自由に利用できるのもメリットです。

会費を主要な資金調達方法とするNPOは多いですが、会費のみで十分な事業活動を遂行することは困難です。NPO事業を最大限に運営していくためには、複数の資金調達方法を組み合わせることをおすすめします。

②寄付金

NPO活動に賛同する人物からの寄付金も、NPOの運営に欠かせない資金調達源です。寄付金は、会費と同様に自由度の高い資金調達方法です。寄付者に対する説明責任はありますが、寄付者が納得して支援している限り、プロジェクトの活動費・人件費・広報宣伝費など、さまざまな使い道を取ることができます。

このように自由度の高い資金調達方法ですが、寄付金は不安定な性質を持っています。必ずしも賛同する人物が現れるとも限らないため、寄付金を主軸として資金調達することは困難です。運営開始直後のNPOである場合には、寄付金に賛同する人が見つからない可能性が高い点にも注意が必要です。

③事業収入

事業の内容にもよりますが、事業収入も重要な資金調達方法です。事業収入の中には、本業のNPO活動で獲得する収入や、NPO活動を実施するために別事業で獲得する収入が含まれます。しかし、ホームレスや子供など活動対象の受益者に支払能力がない場合、事業収入を得ることは困難です。

最近では、国や地方自治体がNPOに業務を委託するケースが増えています。NPOからすれば、国や自治体からの業務委託も重要な資金調達の1つであるため、積極的に活用すると良いです。ただし、本業の事業以上に十分な収入の獲得が困難である点には注意が必要です。

④助成金・補助金

公共サービスを提供するNPOなどに対しては、国や自治体が助成金・補助金を支給する場合があります。NPOの中には、助成金・補助金を資金調達方法の主軸に置いている組織も少なくありません。助成金・補助金は、返済義務がない点にメリットがある一方で、厳しい審査を通過しなければ資金調達は実現不可能です。

なお、奨励金や給付金といった名目の資金も、助成金・補助金に含まれます。

⑤借入金

借入金は、金融機関から借金をする形を取る資金調達方法です。多額の資金調達が可能であることから、株式会社や個人事業主にとっては主要な資金調達方法となっています。

近年は増加傾向にありますが、NPOが借入金で資金調達を実施するケースは比較的少ないです。その背景には、NPOに対する融資制度が十分に整備されていないという現状が関係しています。

※関連記事
中小企業向けの助成金と補助金

NPOの資金調達における課題

課題を取り上げる前に、まずNPOの資金調達の現状を紹介します。内閣府の「特定非営利活動法人に関する実態調査(平成29年度)」によると、NPO法人の約50%程度が年間総収入1,000万円以下と報告されています。資金調達源の内訳を見ると、事業収入が約7割強、助成金・補助金が約1割、会費・寄付金が約1割となっています。

上記の現状を踏まえて、現在のNPOが抱える資金調達の課題を整理すると、以下のとおりです。

  1. 融資による資金調達が不十分である
  2. 寄付の支援を促す環境が整備されていない
それぞれの課題を順番に見ていきます。

①融資による資金調達が不十分である

徐々に増加しつつありますが、金融機関による融資の提供は依然として不十分です。会費・寄付金・助成金などではどうしても限界があるため、最大限にNPO活動を実施することが不可能な状況です。事業収入に関しても、一般的な会社と比べると十分な利益を獲得することが困難といえます。

NPO活動によって社会全体に良い影響をもたらすためには、融資による多額の資金調達が必須です。この課題を解決するためには、金融機関からの理解と協力を取り付ける必要があります。

②寄付の支援を促す環境が整備されていない

寄付を主な資金調達源とするNPOは多いですが、金額ベースで見ると不十分です。NPOへの寄付金が少ない背景には、そもそも寄付制度が認知されていない点が大きく関係しています。この課題を解決するためには、NPOや自治体などが一丸となって寄付支援を募ることが求められています。

※関連記事
事業資金を借りる方法は?融資の種類や借りる際の注意点について解説
融資はどこに相談すれば良い?相談先、必要な準備、注意点を紹介

NPOの資金調達における課題の解決方法

NPOの資金調達における課題を受けて、解決方法を以下のとおり紹介します。

  1. 融資の活発化を目指す
  2. 寄付の拡大を図る
  3. NPO法人の譲渡を検討する
それぞれの解決方法を順番に見ていきます。

①融資の活発化を目指す

NPO事業を最大限に遂行するには、多額の設備投資や運転資金が必要となります。会費や事業収入での資金調達では限界があるため、融資の活発化を実現することが必要不可欠です。日本政策金融金庫は比較的NPOへの融資に積極的な姿勢を取っていますが、融資の実施割合は全NPO法人のうち約3%程度に留まっています。

金融機関にNPOに対する理解を深めてもらうことはもちろん、NPO自体も融資を受けるための努力を講じる必要があります。決算情報の開示の徹底や信用保証制度の活用など、資金調達のためにできる対策は多いです。課題解決に向けて、NPOが主体となって融資の活用化を目指すことが大切です。

②寄付の拡大を図る

寄付によってNPO活動が活発化した事例は多いため、寄付の拡大はNPOにとって急務の課題といえます。例えば、東日本大震災時には、NPOが一般市民から多額の寄付を受けつつ、行政の代わりに機動的な支援を施すことに成功しています。課題解決の必要性を理解してもらえば、寄付を受けて効果的な活動を遂行可能です。

資金調達を円滑に進める手段として、NPO法人では市民ファンドの活用も検討する必要があります。市民ファンドは、宣伝能力に乏しい組織の代わりに一般市民にNPO事業への寄付を仲介する役割を担っています。

NPOの代わりに活動の必要性を知らせて市民からの支持を集める市民ファンドは、NPO法人にとって非常に心強い存在です。

③NPO法人の譲渡を検討する

どうしても資金調達ができずに事業が立ち行かなくなる危機を迎えているという場合には、NPO法人の譲渡も有効策の1つとなり得ます。NPO法人を譲渡するほうが、解散を選ぶよりも有益な点が多いです。NPO法人を譲渡する手法の1つとして、M&Aが存在します。

M&AによりNPO法人を譲渡することで、解散で発生する手間や費用を削減できるうえに、売却利益の獲得も見込めます。とはいえ、NPO法人の譲渡を実施する場合には、煩雑なプロセスを済ませる必要があります。以上のことから、スムーズに譲渡を完了させるには専門家に協力を仰ぐと良いです。

数ある専門家の中でも手数料の面で相談しやすいのは、M&A総合研究所です。M&A総合研究所では、完全成功報酬制を採用しているほか、相談料は無料となっておりますので、M&Aによる譲渡を検討したらお気軽にご相談ください。

>>【※相談無料】M&A仲介サービスはこちら

※関連記事
銀行融資と金利の基礎知識!算出方法、低金利で融資を受ける方法をご紹介
M&Aとは?M&Aの意味から手続きまでをわかりやすく解説!

まとめ

今回は、NPOの資金調達について解説しました。NPOの資金調達方法は、一般的な会社や個人事業主とは大きく異なっています。融資による資金調達が活発ではないため、小規模な活動を強いられるNPOも多いです。資金力の面において限界があることから、NPOでは大規模な資金調達も視野に入れていく必要があります。

今後のNPOでは、国や自治体と一丸となって資金調達の課題に取り組むことが求められます。要点をまとめると、以下のとおりです。

・NPOとは
→利益獲得を主な目的とせずに社会貢献活動を行う組織

・NPOの業務内容
→福祉増進や社会教育など社会全体にとって役立つ活動が中心

・NPOとNGOの違い
→両者に明確な違いはないが、活動する範囲に違いが出る傾向がある

・NPOの資金調達方法
→会費、寄付金、事業収入、助成金・補助金、借入金

・NPOの資金調達における課題
→融資による資金調達が不十分である、寄付の支援を促す環境が整備されていない

・NPOの資金調達における課題の解決方法
→融資の活発化を目指す、寄付の拡大を図る、NPO法人の譲渡を検討する

M&A・事業承継のご相談なら専門の会計士、弁護士がいるM&A総合研究所にご相談ください。

M&A・事業承継のご相談なら専門の会計士のいるM&A総合研究所にご相談ください。
M&A総合研究所が全国で選ばれる4つの特徴をご紹介します。

M&A総合研究所が全国で選ばれる4つの特徴

  1. 業界最安値水準!完全成果報酬!
  2. M&Aに強い会計士、弁護士がフルサポート
  3. 平均3ヶ月という圧倒的なスピード成約
  4. 独自のAIシステムによる高いマッチング精度
>>M&A総合研究所の強みの詳細はこちら

M&A総合研究所は会計士が運営するM&A仲介会社です。
企業会計に強く、かつM&Aの実績も豊富です。全国にパートナーがいるので案件数も豊富。
また、業界最安値水準の完全成果報酬制のため、M&Aが成約するまで完全無料になります。
まずはお気軽に無料相談してください。

>>【※国内最安値水準】M&A仲介サービスはこちら

【※メルマガ限定】プレミアムM&A案件情報、お役立ち情報をお届けします。

関連記事

第三者割当増資に必要な総数引受契約書の作成方法や内容を解説【雛形あり】

第三者割当増資に必要な総数引受契約書の作成方法や内容を解説【雛形あり】

総数引受契約書は、募集株式の発行の際に発行者と割当者の間で取り交わされる契約書です。第三者割当増資の手続きを簡略化する目的で活用することが多くなっています。本記事では、総数引受契約書の作成方法と...

TOBの不成立/ディスカウントの代表事例10選!

TOBの不成立/ディスカウントの代表事例10選!

TOBとは、買い手が株式の数や価格、期間などを定め、株式取引市場外で株式の公募を行う取引手法のことです。本記事では、TOBが不成立やディスカウントになる意味と、TOBが不成立になった事例やディス...

M&A
第三者割当増資における総数引受契約書の作成方法・流れや注意点を解説【雛形あり】

第三者割当増資における総数引受契約書の作成方法・流れや注意点を解説【雛形あり】

第三者割当増資は、資本金増額や敵対的買収への対抗策として用いられます。本記事は、第三者割当増資に関する総数引受契約書の作成方法や、契約の流れ・注意点のくわしい解説を載せるほか、総数引受契約書の雛...

M&A
バイアウトの意味とは?3つの種類や目的、手法を知って経営に役立てよう

バイアウトの意味とは?3つの種類や目的、手法を知って経営に役立てよう

バイアウトとは、企業の経営が悪化した時に自社内の経営者や従業員が企業の買収を行うことです。近年、日本でもバイアウトが経営戦略の1つの選択肢として知名度が上がってきました。今回はバイアウトの3つの...

中小企業M&A
中古マンション投資とは?仕組みやメリット・デメリット、注意点について解説

中古マンション投資とは?仕組みやメリット・デメリット、注意点について解説

中古マンション投資は、家賃収入や売却益を目的として、中古マンションに投資することを意味します。安定した収入を積み重ねていくために、不動産投資の仕組みも踏まえて中古マンション投資の特徴を知り、様々...

M&A
ザイリンクスの買収とは?事例や今後の動向などをご紹介

ザイリンクスの買収とは?事例や今後の動向などをご紹介

近年は日本でも活発化している企業間の買収ですが、海外では日本以上に積極的に買収が行われており、その事例から学べることは多くあります。ここではアメリカの半導体関連企業であるザイリンクスの事業動向を...

M&A株式譲渡株式交換事業譲渡
事業資金を借りる方法は?融資の種類や借りる際の注意点について解説

事業資金を借りる方法は?融資の種類や借りる際の注意点について解説

事業資金を借りる場合、融資を受ける方法が一般的です。融資の種類は多く、それぞれで特徴や強みは異なるので、きちんと比較検討が必要です。返済計画も含めて長期的な視点を持ち、タイミングを見極め、効率的...

中小企業
ソニーの事業売却(M&A)とは?事例や動向をご紹介

ソニーの事業売却(M&A)とは?事例や動向をご紹介

近年活発化しているM&Aの手法の一つが、事業売却です。M&Aも含めた今後の事業戦略や業界に与える影響など、ソニーの事業展開や動向は大きく注目されています。またソニーの幅広い事業展開は、それぞれの...

M&A事業譲渡
跡取りがいない会社のM&Aを成功させるには?M&A相談先の選び方や後継者不足問題を解説

跡取りがいない会社のM&Aを成功させるには?M&A相談先の選び方や後継者不足問題を解説

近年、中小企業の後継者不足が深刻です。跡取りがいない会社にとっては、後継者を見つけるか、廃業するか、重要な選択を迫られることになります。昨今では、M&Aによる事業承継を行うケースも増加傾向にあり...

中小企業M&A株式譲渡
記事検索
M&Aコラム
人気の記事
最新の記事
イベント情報
【※メルマガ限定】プレミアムM&A案件情報、お役立ち情報をお届けします。
ご相談はこちら
(秘密厳守)