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2021年4月29日更新資金調達
NPOの資金調達
NPOを運営するには、資金調達が必要不可欠です。ただしNPOにおける資金調達方法は、一般的な会社が取る方法とは異なるため注意が必要です。この記事では、NPOの概要・NGOとの違いや、NPOの資金調達方法・資金調達における課題・その解決方法などを解説します。
NPOの資金調達
現在の日本では、働き方の多様化が進んでいます。働き方が多様化するに伴い新たに生まれた働き方の1つに、NPOがあります。
NPOを運営していくためには資金調達が欠かせませんが、NPOの資金調達方法は、一般的な会社が取る方法とは異なるため注意しなければなりません。
今回は、NPOを運営している方やNPOの運営を検討する方に向けて、NPOの資金調達方法やNPO特有の資金調達における課題を中心に解説します。
NPOとは
はじめに、NPOの概要を紹介します。NPO(Non-profit Organization)とは、日本語に訳すと民間非営利団体のことです。
法人格を取得したNPOは、NPO法人と呼ばれます。NPOが非営利組織であることは多くの人に知られていますが、中には「非営利」という言葉の意味を誤解している人も少なくありません。
たとえNPOのような非営利組織であっても、事業を運営することで利益を獲得すること自体は可能です。NPOに勤務するスタッフは無給でボランティアしているわけではなく、働いた分の対価を受け取ることができます。
ここでいう非営利とは、最低限の給料・費用を支出したうえで、余った利益をスタッフの間で分配しないという意味です。
事業運営で余った利益は、社会貢献事業のために活用されるので、NPOでは配当金やボーナスなどの分配が発生しません。
NPOの事業内容
NPOの事業内容については、法律などで明確に定められているわけではありません。各NPO組織は自分たちの信念に基づいて自由に事業を運営していますが、あくまでも社会貢献を主目的とすることから、NPOが運営する事業内容には傾向があります。
NPOは、福祉増進・社会教育・災害救援など、社会全体に役立つ事業を中心的に運営しています。
一般的な会社では採算性を理由に取り組めない事業に取り組む傾向があるため、NPOは大きな存在意義を持っています。
NPOのスタッフ
NPOのスタッフは、一般的な会社の正社員とは違い、必ずしもNPOの活動のみに専従しているとは限りません。
例えば、サラリーマンを本業としつつNPOに携わっている方や、会社で社長を務めつつNPOに参画している方もいます。現時点で正社員として雇用されている方であっても、NPO事業への参加は可能です。
NPOとNGOの違い
NPOと類似する組織に、「NGO」があります。NGO(Non-Governmental Organization)とは、日本語に訳すと、非政府組織を意味します。政府ではない組織であることから、NGOには市民団体などが該当します。
政府の組織でないことを強調するときにはNGOという名称を用いて活動しますが、実際には国境を超えて活動する組織を総称してNGOと呼ぶケースが多いです。
NPOとNGOの活動には明確な違いがないため、両者を区別すべきではないとされていますが、強いていえば活動範囲の傾向に相違点が見られます。
NPOは主に国内の問題に取り組む一方で、NGOは国際的な課題に取り組む傾向があります。例えば、地雷除去の活動を行う組織は、NGOに該当すると捉えられています。
NPOの資金調達方法
ここでは、NPOの資金調達方法を紹介します。一般的な株式会社が取る方法とは異なる点が多いため、NPOに携わりたい方は参考にしてください。NPOの具体的な資金調達方法は、以下のとおりです。
- 会費
- 寄付金
- 事業収入
- 助成金・補助金
- 借入金
①会費
会費は、NPOにおける大きな資金調達源です。ほとんどのNPOでは、会員が毎月もしくは毎年の間隔で会費を支払う仕組みを採用しています。
定期的にまとまった金額を確保可能であり、安定度の高い資金調達方法です。NPOの会員から資金調達するため、他の資金調達方法と比べて自由に利用できるのもメリットです。
会費を主要な資金調達方法とするNPOは多いですが、会費のみで十分な事業活動を遂行することは困難です。NPO事業を最大限に運営していくためには、複数の資金調達方法を組み合わせることをおすすめします。
②寄付金
NPO活動に賛同する人物からの寄付金も、NPOの運営に欠かせない資金調達源です。寄付金は、会費と同様に自由度の高い資金調達方法です。
寄付者に対する説明責任はありますが、寄付者が納得して支援している限り、プロジェクトの活動費・人件費・広報宣伝費など、さまざまな使い道を取ることができます。
このように自由度の高い資金調達方法ですが、寄付金は不安定な性質を持っています。必ずしも賛同する人物が現れるとも限らないため、寄付金を主軸として資金調達することは困難です。運営開始直後のNPOである場合には、寄付金に賛同する人が見つからない可能性が高い点にも注意が必要です。
③事業収入
事業の内容にもよりますが、事業収入も重要な資金調達方法です。事業収入の中には、本業のNPO活動で獲得する収入や、NPO活動を実施するために別事業で獲得する収入が含まれます。しかし、ホームレスや子供など活動対象の受益者に支払能力がない場合、事業収入を得ることは困難です。
最近では、国や地方自治体がNPOに業務を委託するケースが増えています。NPOからすれば、国や自治体からの業務委託も重要な資金調達の1つであるため、積極的に活用すると良いです。ただし、本業の事業以上に十分な収入の獲得が困難である点には注意が必要です。
④助成金・補助金
公共サービスを提供するNPOなどに対しては、国や自治体が助成金・補助金を支給する場合があります。NPOの中には、助成金・補助金を資金調達方法の主軸に置いている組織も少なくありません。
助成金・補助金は、返済義務がない点にメリットがある一方で、厳しい審査を通過しなければ資金調達は実現不可能です。なお、奨励金や給付金といった名目の資金も、助成金・補助金に含まれます。
⑤借入金
借入金は、金融機関から借金をする形を取る資金調達方法です。多額の資金調達が可能であることから、株式会社や個人事業主にとっては主要な資金調達方法となっています。
近年は増加傾向にありますが、NPOが借入金で資金調達を実施するケースは比較的少ないです。その背景には、NPOに対する融資制度が十分に整備されていないという現状が関係しています。
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NPOの資金調達における課題
課題を取り上げる前に、まずNPOの資金調達の現状を紹介します。内閣府の「特定非営利活動法人に関する実態調査(平成29年度)」によると、NPO法人の約50%程度が年間総収入1,000万円以下と報告されています。
資金調達源の内訳を見ると、事業収入が約7割強、助成金・補助金が約1割、会費・寄付金が約1割となっています。
上記の現状を踏まえて、現在のNPOが抱える資金調達の課題を整理すると、以下のとおりです。
- 融資による資金調達が不十分である
- 寄付の支援を促す環境が整備されていない
①融資による資金調達が不十分である
徐々に増加しつつありますが、金融機関による融資の提供は依然として不十分です。会費・寄付金・助成金などではどうしても限界があるため、最大限にNPO活動を実施することが不可能な状況です。
事業収入に関しても、一般的な会社と比べると十分な利益を獲得することが困難といえます。
NPO活動によって社会全体に良い影響をもたらすためには、融資による多額の資金調達が必須です。この課題を解決するためには、金融機関からの理解と協力を取り付ける必要があります。
②寄付の支援を促す環境が整備されていない
寄付を主な資金調達源とするNPOは多いですが、金額ベースで見ると不十分です。NPOへの寄付金が少ない背景には、そもそも寄付制度が認知されていない点が大きく関係しています。
この課題を解決するためには、NPOや自治体などが一丸となって寄付支援を募ることが求められています。
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NPOの資金調達における課題の解決方法
NPOの資金調達における課題を受けて、解決方法を以下のとおり紹介します。
- 融資の活発化を目指す
- 寄付の拡大を図る
- NPO法人の譲渡を検討する
①融資の活発化を目指す
NPO事業を最大限に遂行するには、多額の設備投資や運転資金が必要となります。会費や事業収入での資金調達では限界があるため、融資の活発化を実現することが必要不可欠です。
日本政策金融金庫は比較的NPOへの融資に積極的な姿勢を取っていますが、融資の実施割合は全NPO法人のうち約3%程度に留まっています。
金融機関にNPOに対する理解を深めてもらうことはもちろん、NPO自体も融資を受けるための努力を講じる必要があります。
決算情報の開示の徹底や信用保証制度の活用など、資金調達のためにできる対策は多いです。課題解決に向けて、NPOが主体となって融資の活用化を目指すことが大切です。
②寄付の拡大を図る
寄付によってNPO活動が活発化した事例は多いため、寄付の拡大はNPOにとって急務の課題といえます。
例えば、東日本大震災時には、NPOが一般市民から多額の寄付を受けつつ、行政の代わりに機動的な支援を施すことに成功しています。課題解決の必要性を理解してもらえば、寄付を受けて効果的な活動を遂行可能です。
資金調達を円滑に進める手段として、NPO法人では市民ファンドの活用も検討する必要があります。市民ファンドは、宣伝能力に乏しい組織の代わりに一般市民にNPO事業への寄付を仲介する役割を担っています。
NPOの代わりに活動の必要性を知らせて市民からの支持を集める市民ファンドは、NPO法人にとって非常に心強い存在です。
③NPO法人の譲渡を検討する
どうしても資金調達ができずに事業が立ち行かなくなる危機を迎えているという場合には、NPO法人の譲渡も有効策の1つとなり得ます。
NPO法人を譲渡するほうが、解散を選ぶよりも有益な点が多いです。NPO法人を譲渡する手法の1つとして、M&Aが存在します。
M&AによりNPO法人を譲渡することで、解散で発生する手間や費用を削減できるうえに、売却利益の獲得も見込めます。
しかし、NPO法人の譲渡を実施する場合には、煩雑なプロセスが必要になるため、専門家に協力を仰ぐのがおすすめです。
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まとめ
今回は、NPOの資金調達について解説しました。NPOの資金調達方法は、一般的な会社や個人事業主とは大きく異なっています。融資による資金調達が活発ではないため、小規模な活動を強いられるNPOも多いです。資金力の面において限界があることから、NPOでは大規模な資金調達も視野に入れていく必要があります。
今後のNPOでは、国や自治体と一丸となって資金調達の課題に取り組むことが求められます。要点をまとめると、以下のとおりです。
・NPOとは
→利益獲得を主な目的とせずに社会貢献活動を行う組織
・NPOの業務内容
→福祉増進や社会教育など社会全体にとって役立つ活動が中心
・NPOとNGOの違い
→両者に明確な違いはないが、活動する範囲に違いが出る傾向がある
・NPOの資金調達方法
→会費、寄付金、事業収入、助成金・補助金、借入金
・NPOの資金調達における課題
→融資による資金調達が不十分である、寄付の支援を促す環境が整備されていない
・NPOの資金調達における課題の解決方法
→融資の活発化を目指す、寄付の拡大を図る、NPO法人の譲渡を検討する
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