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事業承継の株価算定

事業承継の株価算定

目次

    事業承継の株価算定

    現在多くの中小企業は、経営者の高齢化により、事業承継のタイミングを迎えています。

    事業承継を実行する為には、早い時期からの準備と対策が必要になります。

    事業承継では、資産やノウハウ、人材、様々なものを引き継ぎます。

    その中でも、自社株式の承継は特に重要です。

    自社株式の評価次第で、事業承継における税負担が変わるからです。

    しかし、非上場企業の場合自社株式の価値は分かりません。

    その為、事業承継時には株価算定が必要となります。

    株価算定を行うことで、円滑な事業承継を実現できます。

    この記事では、事業承継時の株価算定についてご紹介します。

    事業承継を予定している経営者の方必見です。

    事業承継時の株価算定に必要な前提知識

    まず初めに、事業承継における株価算定に必要な知識をご紹介します。

    ⑴事業承継と株価の関係

    事業承継とは、後継者に会社の権利や資産を全て引き継ぐ行為です。

    後継者は、事業で使う設備、現金・預金の資産を受け継ぎます。

    経営ノウハウや販路といった見えない資産も受け継ぎの対象になります。

    株式会社ならば自社株式も含まれ、他の資産と同じく、事業承継では相続税が課されます。

    相続資産の額が大きいほど、相続税率は上がります。

    6億円以上ともなれば、税率は55%にも昇り、相続税負担が原因で、事業承継後の資金繰りが立ち行かなくなるケースもあります。

    事業承継を成功に導く為には、自社株対策が必須です。

    自社株対策を実施する上で、株価算定は欠かせません。

    ⑵規模による会社の区分

    事業承継の際、会社の規模によって株価算定に用いる手法が異なります。

    会社の規模は、「大会社」「中会社」「小会社」に分けられます。

    ここでは、会社の規模を判定するプロセスを解説します。

    ①「従業員数」の確認

    従業員数が70人以上の企業は、無条件で大会社となります。

    70人未満の場合には、「純資産額及び従業員数」と「取引金額」、「業種」の組み合わせによって判定します。

    ②「純資産額及び従業員数」と「取引金額」、「業種」の確認

    上記三つの組み合わせによって、企業規模の判定を行います。

    例えば、「卸売業・純資産20億円以上・従業員35人以上・年間取引金額30億円以上」の組み合わせの場合、この企業は大会社となります。

    自社がどの企業規模に該当するかは、国税庁のHPを確認しましょう。

    ⑶同族株主とは

    事業承継で株価算定を行う際、同族株主についても理解しておく必要があります。

    同族株主かそれ以外の者が株式を取得するかによって、用いる手法が異なるからです。

    任意の株主とその親族の有する議決権割合が30%以上の場合、その株主と親族達を同族株主と呼びます。

    ただし、議決権割合の50%超を占める同族関係者グループが存在する場合、そのグループが同族株主となります。

    その場合、30%以上を所有しているグループが存在しても、そのグループは同族株主になりません。

    同族株主が株式を取得するには、基本的に原則的評価方式によって株価算定します。

    一方で同族株主以外が株式を取得する際は、特例的評価方式によって株価算定します。

    上記の通り、同族株主の判定は非常に複雑です。

    自信のない方は、税理士に相談することをオススメします。

    ⑷特別な会社の株価算定

    基本的には、前述の通り「同族株主」と「会社規模」によって、用いる株価算定方法を選びます。

    しかし、一部例外の企業もあります。

    下記に該当する企業は、企業規模や同族株主に関係なく、純資産価額方式によって株価算定を行います。

    1. 比準要素数1の会社
    2. 株式保有特定会社
    3. 土地保有特定会社

    ①比準要素数1の会社

    比準要素数1の会社とは、「1株当たり配当金額」、「1株当たり利益」、「1株当たり純資産価額」のうち、いずれか2つの要素が0である企業です。

    類似業種比準方式では正確な株価算定が出来ないため、純資産価額方式を用います。

    ②株式保有特定会社

    株式保有特定会社とは、株式及び出資価額の合計が、総資産の50%以上を占める企業です。

    事業承継の株価算定時には、原則では純資産価額方式を活用します。

    ただし、株式等以外の評価(S1)と株式等の評価(S2)に分けて、別々に株価算定を実行するのも可能です。

    ちなみにこの方式は、事業承継の実務では「S1+S2方式」と呼ばれます。

    ③土地保有特定会社

    土地保有特定会社とは、総資産のうち土地が占める割合が多い企業です。

    土地の占める割合の判定は、企業の規模によって異なります。

    • 大会社→70%以上
    • 中会社→90%以上
    • 小会社→70〜90%以上(業種により異なる)

    上記を満たす場合には、土地保有特定会社となります。

    該当する場合には、純資産価額方式によって株価算定を実施します。

    事業承継の際には、特別会社への該当有無も確認しましょう。

    ※関連記事

    事業承継と株式の関係とは?自社株の承継や株価対策、株式譲渡について解説します

    事業承継時の株価算定方法(原則的評価方式)

    同族株主が株式を引き継ぐ際には、原則的評価方式によって株価算定を行います。

    簡単に言うと、事業承継時に経営権も引き継ぐ場合には、この株価算定方法を用います。

    事業承継を実施する会社の規模によって、「類似業種比準方式」と「純資産価額方式」、「併用方式」に分かれます。

    事業承継の際には、自社の規模に合った株価算定方法を用いる必要があります。

    ⑴類似業種比準方式

    ①対象企業

    大会社の事業承継では、この方式によって株価算定を行います。

    ②特徴

    類似業種比準方式では、自社の属する業種と類似する上場企業を参考にします。

    よって上場企業の株価が下落すれば、自社の株価も下落します。

    一方で上場企業の株価が高騰すれば、自社の株価も高騰します。

    その性質上、国際情勢や景気動向等の要因も、株価算定に影響を与えます。

    また、自社の配当金や利益、純資産の金額を減少させると、株価の下落に繋がります。

    ③株価算定方法

    類似業種比準方式では、下記の計算式によって株価算定を行います。

    • 株価=A×1/3×[b/B+c/C+d/D]×0.7

    ※参考

    • A→類似業種の株価
    • b→対象会社の一株あたり配当金
    • B→類似業種の一株あたり配当金
    • c→対象会社の一株あたり利益
    • C→類似業種の一株あたり利益
    • d→対象会社の一株あたり純資産
    • D→類似業種の一株あたり純資産

    株価算定に必要な類似業種のデータは、国税庁のホームページにて確認できます。

    ⑵純資産価額方式

    ①対象企業

    小会社の事業承継では、この方式によって株価算定を行います。

    また、「株式保有特定会社」等特別な企業についても、事業承継ではこの方法を用います。

    また大会社や中会社も、場合によってはこの方式を用いて株価算定できます。

    ②特徴

    純資産価額方式では、貸借対照表に記載された純資産額をベースに、株価算定を実行します。

    一般的には、純資産は株価や利益と比べて変動しにくいです。

    その為、純資産価額方式を用いた株価算定では、算定される価値は変動しにくいです。

    また、短期的な利益変動からの影響も受けにくいです。

    純資産価額方式の性質上、歴史のある企業ほど、事業承継時点の株価は高くなります。

    ③株価算定方法

    純資産価額方式では、下記の計算式によって株価算定を実施します。

    • 株価=(時価資産−負債−法人税等)÷発行済株式総数

    ⑶併用方式

    ①対象企業

    中会社の事業承継では、「類似業種比準方式」と「純資産価額方式」の併用によって株価算定を行います。

    また小会社も、場合によってはこの方式を用いて株価算定できます。

    ②特徴

    大会社と小会社の中間である為、「類似業種比準方式」と「純資産価額方式」を併用します。

    ③株価算定方法

    併用方式では、下記の計算式によって株価算定を実施します。

    • 株価=類似業種比準価額×X+1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)×(1-X)

    なお「X」に入る数値は、事業承継を実施する企業の総資産額等によって変動します。

    総資産額や年間取引金額、従業員数を基準に、「0.6」「0.75」「0.9」のどれかがXに入ります。

    ※関連記事

    株式相続に伴う相続税

    事業承継時の株価算定方法(特例的評価方式)

    同族株主ではない株主が株式を引き継ぐ際、特例的評価方式によって株価算定を実施します。

    簡単に言うと、事業承継時に経営権を引き継がない場合、この株価算定方法を用います。

    事業承継を行う企業の規模に関係なく、「配当還元方式」によって株価算定を実行します。

    ⑴対象企業

    前述の通り、すべての企業に適用されます。

    事業承継の際、同族株主でない人物が株式を引き継ぐ場合には、この手法を用います。

    ⑵特徴

    配当還元法では、将来獲得できる配当金を基準に、株価算定を実施します。

    この手法を用いる為には、配当金額の安定が不可欠です。

    上場企業と比較した場合、非上場企業の配当金額は安定します。

    その為、非上場企業の事業承継に向いている株価算定手法です。

    また配当還元法は、非上場企業のM&Aでも活用されるケースもあります。

    M&Aの実務上では、「インカムアプローチ」に属する手法です。

    ⑶株価算定方法

    配当還元方式では、下記の計算式によって株価算定を実施します。

    • 株価=(年間配当金額÷10%)×(一株あたり資本金÷50円)

    基本的には、上記の計算式によって株価算定を行います。

    ただし非上場企業の場合、年間配当金額が判明しないケースもあります。

    そこで国税庁では、年間配当金額の算定方法も定めています。

    • 年間配当金額=(直前期末以前2年間の配当金額÷2)÷一株あたり資本金を50円とした場合の発行済株式数

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    インカムアプローチ

    事業承継における自社株対策

    前述した通り、事業承継の際には相続税が課される場合があります。

    場合によっては、多額の相続税によって事業承継後の経営が悪化する恐れもあります。

    したがって、事業承継の際、自社株対策を実行する必要があります。

    自社株対策とは、自社株の相続により発生する相続税を抑える対策です。

    自社株対策を実行する事で、事業承継で要する税負担を軽減できます。

    ここでは、事業承継で活用できる対策を紹介します。

    ⑴役員退職金の給付

    役員退職金とは、経営者が退職する際に支払われる退職金です。

    役員退職金の活用により、事業承継の際の株価算定に良い影響を与えます。

    退職金を経営者に給付することで、その分利益が減少します。

    利益が減少すれば、その分算定される株価も下落します。

    役員退職金は、これまで会社を支えてきた経営者の頑張りに対する一種の「ご褒美」です。

    「自分がこんなに貰って良いのか」なんて考えずに、努力への成果報酬だと思って貰いましょう。

    事業承継に対してもメリットがあります。

    株価算定を有利に進める上でも、ご自身に役員退職金を給付することをオススメします。

    ⑵不動産の購入

    不動産の購入も、事業承継時の株価算定に良い影響を与えます。

    不動産を購入する事で、保有する資産額が減少します。

    何故なら誰かの所有物になった時点で、中古物件となり価値が減少するからです。

    資産の額が減少すれば、課税される額も減少します。

    この通り「不動産購入」は、事業承継の節税対策に繋がります。

    加えて、自社株式の算定額自体が減少する場合もあります。

    ただし購入する不動産は、本業に関係のある不動産か、今後価格が下落しにくい不動産がオススメです。

    本業に無関係の不動産の場合、購入後全く役に立ちません。

    長期的に見た場合、かえって損する可能性が高いです。

    また、購入する不動産の価格が急落するリスクについても注意しましょう。

    後々不動産を売却する際、価格下落により大損するリスクがあるからです。

    あくまで「不動産購入」は、事業承継時の一時的な対策です。

    ⑶生命保険の活用

    生命保険の活用も、事業承継時の株価算定に良い影響を与えます。

    生命保険も当然ながら、価値の算定対象となります。

    生命保険の価値は、「解約返戻金」だとみなされています。

    解約返戻金が0円の場合、その生命保険の価値は0円となります。

    日本の生命保険の殆どは、初年度の解約返戻金は0円になっています。

    言い換えると初年度の時点では、生命保険の価値は0円となっています。

    この仕組みを活用すれば、事業承継時の株価算定を有利に進められます。

    具体的には、多額の資金を生命保険に投入し、その後すぐに事業承継(株式の引き継ぎ)を実施します。

    前述の通り初年度の生命保険の価値は0円です。

    よって生命保険に投入した全額分、資産を減額できます。

    資産が減額されるに伴って、自社株式の算定額も下落します。

    株価算定額が減少しているタイミングで、株式の引き継ぎを実行します。

    そうすれば、事業承継にかかる税負担を大幅に軽減できます。

    その後数年間保険料を支払い続けた後に解約すれば、投資した資金の殆どを回収できます。

    上記の通り「生命保険の活用」によって、有利な株価算定額で事業承継を行えます。

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    事業承継で欠かせない株の引き継ぎ

    まとめ

    今回は、事業承継における株価算定について解説しました。

    今後、多くの中小企業が事業承継を検討するかと思います。

    まだ検討していない企業でも、今後いずれは事業承継について考える機会が訪れます。

    事業承継を成功させる為には、前もって入念な対策と準備をしておきましょう。

    いざとなってからでは、円滑な事業承継を実現するのは困難です。

    したがって、経営者ならば事業承継について知っておく必要があります。

    事業承継の際は、自社の株式を引き継ぎます。

    自社株式の引き継ぎでは、相続税が発生する恐れがあります。

    相続税の負担は大きい為、場合によっては事業承継後の資金繰りが悪化する可能性があります。

    よって事業承継の際には、節税対策を重点的に実行する必要があります。

    事業承継対策を実行する為には、自社株の株価算定が欠かせません。

    事業承継を行う会社の規模によって、株価算定の方法は異なります。

    事業承継時の株価算定では、自社の規模に合った手法を用いなくてはいけません。

    加えて、株価算定の方法のみを把握するだけでは不十分です。

    事業承継の際には、株価算定を有利に進める為の対策を施す必要があります。

    事業承継の株価引き下げには、様々な対策方法があります。

    ただし、事業承継対策には専門的な知識が必要となります。

    そのため、経営者自身で実行するのは中々困難です。

    事業承継と株価算定に精通している専門家の協力を得ることをオススメします。

    要点をまとめると下記になります。

    • 事業承継と株価の関係

    →事業承継時の節税を進める上で、株価算定のプロセスは重要

    • 事業承継時の株価算定

    →会社の規模等によって用いる手法が異なる

    • 事業承継時の株価算定方法(類似業種比準方式)

    →大会社の事業承継で用いる

    • 事業承継時の株価算定方法(純資産価額方式)

    →小会社の事業承継で用いる

    • 事業承継時の株価算定方法(併用方式)

    →中会社の事業承継で用いる

    • 事業承継時の株価算定方法(特例的評価方式)

    →同族株主でない人物が株式を引き継ぐ際に利用する

    • 事業承継における自社株対策

    →役員退職金の給付、不動産の購入、生命保険の活用

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