M&Aとは?意味や動向とM&Aを行う目的・メリットなどをわかりやすく解説!
2021年5月8日更新事業承継
事業承継を銀行に相談するメリット
事業承継について銀行に相談する際、いくつか注意すべき点があります。この記事では、事業承継における銀行の存在意義をご紹介します。事業承継について銀行に相談しても最終的な判断はご自身でしなくてはいけませんが、銀行とうまくお付き合いしていきましょう。
事業承継を銀行に相談するメリット
一般的に銀行と聞くと、お金を預ける所または貸してくれる所の印象を抱きます。事業承継の観点から見ても銀行は、事業承継に必要なお金を貸してくれる機関ですが、銀行はお金のやりとりだけでなく相談役としても力になる存在です。
今回は、事業承継における銀行の活用方法、特に相談役としての活用方法をメインに解説します。それでははじめに、事業承継を銀行に相談するメリットについて紹介していきます。
- 適格なアドバイスをくれる
- 事業承継の相続問題に対応
- 信頼関係を構築しやすい
①適格なアドバイスをくれる
事業承継を実施するとき、考慮すべきさまざまな要素の中でも資金面について最も心配を感じている経営者が多いです。売り手企業であれば、これまで融資を受けていた銀行への相談が必要になります。
一方で、買い手企業であれば、事業承継に必要な資金を調達しなくてはいけません。とはいえ、融資の返済を早められたり、現段階で融資を中止されたりするのではないかという不安から、銀行への相談をためらう方もいるでしょう。
実際、自社よりも業績が悪い第三者に対して事業承継する場合、上記の事態になる可能性はあります。しかし、銀行は融資などによって会社の経営状況をよく把握しているため、的確なアドバイスを行ってくれるというメリットがあります。
②事業承継の相続問題に対応
個人で銀行から融資を受けている場合、連帯保証人になっているケースが多いです。その債務保証を解除してもらううえで銀行への相談は不可欠なので、事業承継を検討した際には融資を受けている銀行へ相談するのがベターです。
また、銀行は事業承継の相続時に発生する、金銭的な問題にも相談にのってくれます。株式譲渡などによる相続税が膨大になってしまうケースもあり、その際の相続税対策として融資などの提案を行ってくれる可能性もあります。
③信頼関係を構築しやすい
銀行の融資は会社に対して行われますが、それ以上に信頼の置ける経営者に対して行われているともいえます。事業承継の検討をはじめた段階で銀行に相談すると、後継者への信頼が構築しやすく、事業承継を行った後も融資を引き続き受けやすくなる可能性があります。
また事業承継における後継者不足は、大きな社会問題となっています。後継者の選択肢が狭いときも銀行に相談することにより、銀行独自の幅広いネットワークを活かして第三者への承継の提案などもしてくれます。
双方が納得する後継者の選任を行うことが結果的に、後継者と銀行の信頼関係構築につながるというメリットがあります。
事業承継を銀行に相談する際の注意点
会社を売りたいとき、銀行への相談は有効的な方法ですが注意点もあります。以下では、事業承継を銀行に相談する際の注意点について、そして注意点を回避する方法も紹介していきます。
- 売り手側が不利になる可能性
- 利益相反になる可能性
①売り手側が不利になる可能性
事業承継の相談を銀行にすると、銀行子会社の証券会社やM&A仲介会社をすすめられます。また、支援する代わりに報酬を支払うように営業をかけられる可能性があり、買い手側と銀行にとって有利な事業承継になる可能性があります。
銀行側にとっては事業承継を行った後にも安心して融資できる環境を望むため、融資している会社と全く関係のない企業と事業承継することに不安を感じます。そのため売り手側にとっては、銀行の関与により不利な事業承継になる可能性があります。
②利益相反になる可能性
銀行側が買い手を紹介するだけならば特に問題ありませんが、買い手企業への資金提供や、証券会社への顧客紹介などを実施すると利益相反となる可能性があります。
そのため、銀行へは相談のみを行い、事業承継先はM&A仲介会社に相談することをおすすめします。
事業承継で失敗しないためには?
前述したとおり、売り手側が不利にならないためにも銀行へは相談のみ行うことをおすすめします。そして、事業承継先や事業承継の方法などに関しては、M&A仲介会社など専門機関からアドバイスを受けるのがベストです。
銀行が紹介してくれる買い手であれば、事業承継の手続きをスムーズに実行できます。これらを踏まえて事業承継を検討している際には、経験豊富なアドバイザーが多数在籍している、M&A総合研究所までお気軽にご相談ください。
M&A仲介会社であるM&A総合研究所は、豊富な知識と経験を持つM&Aアドバイザーが、ご相談からクロージングまで丁寧にサポートいたします。
料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です。(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)無料相談をお受けしておりますのでお気軽にお問い合わせください。
銀行への相談内容
事業承継の際、銀行には何を相談すべきなのか、以下で具体的に紹介していきます。
- 事業承継の前段階の相談
- 自社株対策
- その他
①事業承継の前段階の相談
経営者が引退を考えていても、後継者問題を解決できなくては事業承継できません。前述しましたが、事業承継を検討している段階で銀行に相談して、銀行から買い手を紹介してもらうことも有効な手段です。
しかし、説明したとおり、自社にとって不利な事業承継になる恐れがあります。自社にとって不利になる取引相手を紹介された場合は、しっかりと断ることが大切です。
②自社株対策
自社株を後継者に譲渡する形で事業承継を行う場合には、自社株の評価について知っておく必要があります。自社株が高額になっていると支払う税金も高額になり、結果的に事業承継したにもかかわらずほとんど資金が残らないことがあります。
そうしたリスクを避けるために自社株の評価を下げる方法など、自社株対策について銀行に相談しましょう。この点は、事業承継の負担を減らすうえで非常に重要なポイントです。
③その他
その他にも銀行に相談すれば、下記のような事業承継に役立つ知識を得られます。
- 相続時の税金対策
- 事業承継実行までの経営方法
- 会社の整理方法
上記の通り、銀行では事業承継に関するさまざまな事柄を相談できます。しかし、あくまで最低限の相談に留めて、自社にとって有利な事業承継を実施することが大切です。
買い手から見た銀行
前項までは、売り手側から見た銀行との関わり方について解説しました。一方、買い手側からの視点から見ても、「お金を貸すこと」を本業としている銀行は事業承継において重要な存在です。
一般的な事業承継やM&Aの場合、買い手側の企業には支払った金額および負債の差額と取得した資産に対して法人税が課税されるなど、事業承継ではさまざまな場面で資金が必要になってきます。
銀行では必要条件を満たしていれば、低い金利で融資を受けられるうえ、中小企業ならば保証制度なども整っています。そのため、融資を実施してくれる銀行は、買い手側にとっても心強い存在です。
※関連記事
銀行融資の金利
中小企業庁の事業承継保証制度
前述の通り、事業承継の際に最も心配になる点はお金の工面です。そのようなお金の不安がある際には、中小企業庁の事業承継に対する支援制度を活用することも有効的な手段といえます。
中小企業庁の制度では、ある一定の条件を満たせば、低利での融資と保証制度を活用できます。それでは以下に、中小企業庁の事業承継保証制度について紹介していきます。
- 低利融資
- 保証制度
①低利融資
後継者不足や業績不良により、倒産や廃業を余儀なくされる会社を救済する目的とするこの制度は、以下の条件を満たせば低金利での融資を受けられます。
- 会社または個人事業主であり、経営が困難な会社を事業承継の形で購入
- 対象会社の株主から、自社株式や事業に必要な資産も全て買い取る
中小企業庁としては1社でも多くの中小企業を存続したいと考えているため、中小企業を買い取る企業に対して積極的に支援しています。上記の条件に該当すると、限度額7億2,000万円を0.8%程度の低金利で借りられます。
②保証制度
中小企業庁の特別融資では信用保証が適用されており、一定の条件を満たしている企業に対しては融資の限度額を引き上げて、さらに高待遇になります。信用保証では、以下の項目を満たしているのが条件となります。
- 返済能力の有無
- 業績の安定性
- 経営者の会社に対する姿勢
条件を満たせば通常保険の2億円に、さらに2億円がプラスされ、加えて無担保の保険も8,000万円ほど利用できます。事業承継を実施する際に、買い手側はできるだけ費用を抑えなければならないため、上記の制度はそのうえでも非常に有効です。
※関連記事
中小企業庁の事業承継支援
まとめ
経営者として重要なことは、「使えるものは使う」精神です。自社にとって不利な事業承継を実施した際は、経営者のみならず従業員にも影響があるため、事業承継を成功させるためにもしっかりとした対策が必要です。
事業承継について銀行に相談しても、最終的な判断は自身でしなくてはいけません。以下にまとめたポイントを抑えながら、銀行とうまくお付き合いしていきましょう。
・事業承継の際に銀行に相談するメリット
→適格なアドバイス、事業承継の相続問題に対応、信頼関係の構築
・事業承継に関して銀行に相談する際の注意点
→不利益な事業承継となる相手をすすめられる可能性がある
・銀行への相談内容
→後継者不足、自社株対策、税金対策、会社の整理方法など
・中小企業庁の事業承継支援
→低利融資、保証制度
M&A・事業承継のご相談なら24時間対応のM&A総合研究所
M&A・事業承継のご相談は成約するまで無料の「譲渡企業様完全成功報酬制」のM&A総合研究所にご相談ください。
M&A総合研究所が全国で選ばれる4つの特徴をご紹介します。
M&A総合研究所が全国で選ばれる4つの特徴
- 譲渡企業様完全成功報酬!
- 最短49日、平均6.6ヶ月のスピード成約(2022年9月期実績)
- 上場の信頼感と豊富な実績
- 譲受企業専門部署による強いマッチング力
M&A総合研究所は、M&Aに関する知識・経験が豊富なM&Aアドバイザーによって、相談から成約に至るまで丁寧なサポートを提供しています。
また、独自のAIマッチングシステムおよび企業データベースを保有しており、オンライン上でのマッチングを活用しながら、圧倒的スピード感のあるM&Aを実現しています。
相談も無料ですので、まずはお気軽にご相談ください。
あなたにおすすめの記事
M&Aとは?意味や動向とM&Aを行う目的・メリットなどをわかりやすく解説!
近年はM&Aが経営戦略として注目されており、実施件数も年々増加しています。M&Aの特徴はそれぞれ異なるため、自社の目的にあった手法を選択することが重要です。この記事では、M&am...
買収とは?用語の意味やメリット・デメリット、M&A手法、買収防衛策も解説
買収には、友好的買収と敵対的買収とがあります。また、買収に用いられるM&Aスキーム(手法)は実にさまざまです。本記事では、買収の意味や行われる目的、メリット・デメリット、買収のプロセスや...
現在価値とは?計算方法や割引率、キャッシュフローとの関係をわかりやすく解説
M&Aや投資の意思決定するうえでは、今後得られる利益の現時点での価値を表す指標「現在価値」についての理解が必要です。今の記事では、現在価値とはどのようなものか、計算方法や割引率、キャッシ...
株価算定方法とは?非上場企業の活用場面、必要費用、手続きの流れを解説
株価算定方法は多くの種類があり、それぞれ活用する場面や特徴が異なります。この記事では、マーケットアプローチ、インカムアプローチ、コストアプローチといった株価算定方法の種類、株価算定のプロセス、株...
赤字になったら会社はつぶれる?赤字経営のメリット・デメリット、赤字決算について解説
法人税を節税するために、赤字経営をわざと行う会社も存在します。しかし、会社は赤字だからといって、必ず倒産する訳ではありません。逆に黒字でも倒産するリスクがあります。赤字経営のメリット・デメリット...
関連する記事
会社分割すると従業員の契約はどうなる?労働契約承継法や保護制度を徹底解説!
多くの企業が会社分割を検討しておりますが、トラブルに発展しないように従業員への対応に配慮する必要があります。今回は会社分割を検討している企業に向けて、会社分割における従業員の契約や手続きの流れな...
M&AにおけるITデューデリジェンス(ITDD)を解説!目的や調査項目は?
ITデューデリジェンス(ITDD)はM&Aにおいて欠かせず、明確な目的を踏まえた対応が求められます。今回はM&Aを検討している企業に向けて、ITデューデリジェンス(ITDD)につ...
人事デューデリジェンス(人事DD)とは?目的から調査項目まで徹底解説!
M&Aを実施する際に人事デューデリジェンス(人事DD)は重要です。丁寧に手続きを進めないとM&Aで高い効果は得られません。今回はM&Aを検討している企業に向けて、人事デュ...
二段階買収の手続き方法を徹底チェック!目的やメリット・注意点は?
二段階買収(Two-Tier Takeover Strategy)は、買収側が売却側の少数株主から株式を買い集める際に有益な手法です。当記事では、実施目的や手法、メリットやデメリット、過去事例や...
事業承継の相談先はどこがいい?選び方から注意点まで徹底チェック!
近年は中小企業の経営者の高齢化に伴い、積極的に事業承継を行って生き残りを図る企業が増えています。 事業承継には複雑な手続きが多いため、信頼できる相談先の選択が重要です。そこで本記事では事業...
M&A後の退職金や給与はどうなる?節税方法や注意点まで徹底チェック!
M&Aで退職金を活用すると、節税効果が得られます。当記事では、退職金を利用したM&Aの節税方法やメリット、注意点を交えながら、退職金の扱い方や税務について解説します。従業員や役員...
M&Aにおける人事DDの目的や調査範囲を徹底チェック!費用・注意点は?
人事DD(デューデリジェンス)は、買収側がM&Aの実施後に受ける損失を最小限に抑えるために必要な調査です。当記事では、調査が行われる目的や調査範囲、かかる費用や注意点を踏まえながら、人事...
100日プランとは?PMIの概要・重要性・策定のポイントまで徹底解説!
M&Aを実施する際にはPMIの工程が重要となり、100日プランはPMIの成功に大きな役割を果たします。今回はM&Aを検討している企業に向けて、100日プランの概要・重要性・策定の...
管工事会社の事業承継の動向や事例を徹底解説!メリットや費用相場・注意点は?
管工事会社業界は将来的な需要増加が見込める半面、人材不足や後継者不在といった問題が深刻です。当記事では、過去の事例を取り上げながら、管工事会社(管工事業界)の事業承継について解説します。事業承継...
株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。