2021年4月21日更新事業承継

承継会社とは

承継会社とは、会社分割の際に他社の事業を引き継ぐ会社を指します。承継会社は、会社分割の際に取締役会決議や債権者保護手続き、登記などの手続きを実施する必要があります。承継会社の概要から具体的な手続き、メリットデメリットまでを解説します。

目次
  1. 承継会社とは
  2. 承継会社の視点から見る会社分割
  3. 承継会社が実施する手続き【吸収分割】
  4. 承継会社が実施する手続き【新設分割】
  5. 承継会社が得られるメリット・デメリット
  6. デメリット
  7. まとめ
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承継会社とは

承継会社とは

M&Aを実施する際には、売る側と買う側に分かれます。どちらの企業も、それぞれメリットを求めてM&Aを検討します。

その条件が一致した際にのみM&Aが成立するため、M&Aが成功する確率はあまり高くありません。M&Aには様々な方法がありますが、その中でも会社分割は特に手続きが短いので注目されています。

会社分割を実施する際には、分割会社と承継会社に分かれます。今回は会社分割における承継会社について解説します。

承継会社の概要

承継会社とは、会社分割の際に他社の一部を承継する企業を指します。他社から事業の一部、つまりは分割された部分を受け継ぐ企業です。会社分割とは、その名前の通り1つの企業を2つ以上に分割する行為です。経営を立て直す際や、事業の一部を他者に任せたい時に活用される方法です。

会社分割には吸収分割と新設分割があります。どちらの手法の場合も、分割した部分を承継する方を承継会社と呼びます。つまり承継会社とは、新たに他社の一部を受け取る側を指します。

事業譲受会社との違い

会社分割も事業譲渡も、別の会社に事業を引き継ぐM&A手法です。会社分割における承継会社と事業譲渡における譲受会社は一見同じですが、実は大きな違いがあります。

【事業譲渡】

  • 資産を個別に売買する取引行為
  • 売買資産には個別に消費税が課せられる
  • 従業員及び取引先との契約、各種許認可などは譲渡する際に解除される
  • 従業員や取引先と新たに契約を結び直さなければならない

【会社分割】

  • 事業を包括的に引き継ぐ組織再編手法
  • 労働者保護手続きを行う
  • 個別に同意を得たり、契約をし直す必要がない

なお、事業譲渡の譲受会社は事業譲渡完了までに許認可申請を済ませておく必要があります。

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承継会社の視点から見る会社分割

承継会社の視点から見る会社分割

承継会社から見ると、会社分割は吸収分割か新設分割かによって手続きが異なります。会社分割とは、基本的に一部の事業を他者に任せたい際に活用されます。承継会社の視点から見ると、他社の一部をもらうだけなので簡単かと思われますが、意外とその手続きは複雑です。

吸収分割の場合、承継会社はすでに自社で事業を運営しています。そこに他社の一部が承継されるため、受け入れる体制を整え、従業員や株主に対し勧告を行う必要があります。とはいえ、どの会社でも会社分割を行えるわけではありません。

承継会社に指定できるのは株式、合同、合資会社のいずれかです。合同会社や合資会社は、すでに株式で繋がっている縦の関係ができあがっています。よって、承継会社として指定するのは困難ではありません。

また株式会社のケースでは、多少なり取引関係や友好的な関係にある企業、経営権を持っている企業を承継会社とする場合が大半です。つまり会社分割は、身内の中で実施されるケースがほとんどとなります。

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会社分割における適格要件

承継会社が実施する手続き【吸収分割】

承継会社が実施する手続き【吸収分割】

効力の発生日を6月1日に指定したと仮定すると、手続きは以下の時間軸によって実施されます。以下は一例ですので、実際の期間や日にちは各ケースによって異なります。

①3月中旬:分割準備

会社分割を実施すると決めたら、「会社分割に関する契約内容」や「自社に債権者がどれだけいるのか」を確認して、準備を進めていきます。承継会社は、このタイミングで労働者との協議は必要ありません。ですが、遅かれ早かれ従業員には伝わりますので、タイミングを見て通達する必要があります。

②4月1日:取締役会議

取締役会から、承継会社として会社分割を実施することに対しての承認をもらいます。また、承継会社に株主が1人以上いる場合には、株主総会による株主からの承認も必要です。ですので、株主総会の召集も決定します。

加えて、このタイミングで官報公告の申し込みも実施します。官報公告が遅れてしまうと、会社分割自体も遅れてしまいます。早め早めの対応が理想的です。

③4月10日:契約の締結

承継会社と分割会社の間で、会社分割契約を締結します。基本的には、分割契約書なるものを用意して締結します。

契約に関する書類には、双方の屋号や商号・所在地等の基本的な情報から、会社分割の効力の発生に関わる事項までが記載されます。しかし、他の条件も必要になる可能性があるので、企業間での取り決めが必要です。

④4月25日:各所へ通達

会社分割を実施する際には、承継会社も当然各所へ通達する必要があります。約2週間前に申し込みしていた官報公告も掲載して、承継会社として会社分割を実行する旨を伝えます。他にも債権者がいる場合には、債権者に個別で催告を実施します。

債権者は、お金を出している分企業の事情について知る権利があるため、催告を実施しましょう。また、承継会社と分割会社双方とも、契約書類を事前備置しなくてはいけません。この行為は、債権者を保護する目的で実施されます。

会社分割を行う日(効力が発生する日)から、約半年が経過するまで備え置く義務があります。しかし、債権者保護が不要なケースもあります。承継会社の債権者が会社分割を実施した後も、変わらずに権利を行使できるケースでは、催告は不要です。

つまり会社分割の実施により、待遇や権利が変化する恐れがある催告者に対しては保護が必要です。一方で、権利が継続する債権者に対しては保護が不要となります。

⑤5月1日:株主への対応

株主総会を開催するために、召集通知を行います。基本的に、株主総会の招集通知は開催日から2週間前に実施します。この場合、書面での投票や電子ツールを使用した投票が実施されるケースもあります。

いずれにしても、招集通知は発送する必要があります。同時に、会社分割に反対している株主への対応も実施します。反対している株主に対しては、個別で対応するわけではありません。株主総会の招集通知等と一緒に送付可能です。

⑥5月25日:株主総会

会社分割を実施する際に開かれる株主総会は特別決議です。簡易的な吸収分割の際には、特例として株主総会は不要となります。ですが、原則としては株主総会での承認は必要不可欠です。承継会社として会社分割を受け入れるかどうかは、株主にとっては重要な問題です。

⑦6月1日:会社分割成立

上記の手続きが滞りなく進行されれば、会社分割の手続きが終了となります。会社分割の吸収分割に限っては、登記によって効力が発生するわけではありません。

契約締結書類に記載されている、効力発生日に即して会社分割が実施されます。法務局が営業していない日に効力発生日を定めるのも可能です。

⑧6月1日以降:登記

会社分割が終了したからといって、承継会社としての手続きが完了したわけではありません。会社分割の成立日から2週間以内に、登記の変更を行う必要があります。その際には、登記の変更に必要な書類の記入が必要です。

また、委任状等が必要になる場合もあるので、事前に確認すると安心です。加えて、書類の備置も必要です。承継会社は会社分割が成立したあとに、法務局の定める書類を備え置きます。

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承継会社が実施する手続き【新設分割】

承継会社が実施する手続き【新設分割】

新設分割の場合、会社分割で企業の一部を承継する側を、承継会社ではなく「設立会社」と呼びます。しかし、事業を承継する点では同じです。吸収分割とは異なり、設立会社は会社分割の途中で設立されます。

そのため、承継を実施する企業としての手続きは、会社分割の効力が発生してからの登記申請と、書類の事前据え置きのみになります。

しかし会社分割のあと、承継会社として経営する点では同じです。事業を承継して経営するという意識を持って、会社を営んでいくのが大切です。

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承継会社が得られるメリット・デメリット

承継会社が得られるメリット・デメリット

承継会社は、会社分割を使用して他社の一部を購入しているため、メリットは少なからずあります。もちろん事業を引き継ぐ際のデメリットもあるので、会社分割を実施する前に把握しておくと良いでしょう。

メリット

承継会社にとって、会社分割のメリットは以下のとおりです。

現金不要

会社分割を実施する際に、承継会社は他社を引き受ける対価として、現金を支払う必要がありません。対価は株式を交付すれば良いとされています。したがって、資金がなくても事業を大きくできます。

承継会社が会社分割を活用する主な目的は、最低限の資金で自社を大きくすることです。株式の交付のみで事業を大きくできるので、承継会社にとっては大きなメリットです。

時間がかからない

基本的にM&Aを実施する場合は、規模の小さい会社でも半年程度の時間を要します。対して会社分割では、最短で1ヶ月で手続きが終了します。承継会社として、少ない資金と時間で事業規模を拡大できます。

シナジー効果の期待

承継会社は企業を受け入れる立場にあるので、シナジー効果(事業の相乗効果)を期待できます。より多くの利益を生み出せるシナジー効果が得られれば、承継会社としては事業を受け継いだ甲斐があります。

デメリット

デメリット

承継会社にとってのデメリットも押さえておきましょう。

多方面において統合が必要

まず、特に吸収分割の場合には、多方面において統合が必要となります。企業文化・価値観、サービスの質、システム面など、うまく統合できなかった場合には、従業員や取引先との信頼関係を損ねる可能性があります。

債権者とのトラブル

また、会社分割の場合事業の包括承継なので、承継会社は債務も引き継ぐこととなります。債権者の異議が認められているため、会社分割の契約内容によっては、債権者とトラブルに発展することも十分にあり得ます。

適法か違法か慎重を要する

最後に、会社分割は節税対策を目的として実施されることも多いです。違法か適法かあいまいな部分が多いため、独自判断で実行した結果、罰則を受けてしまった例も中にはあります。

節税目的で会社分割を実施する場合には、M&Aの専門家に相談して慎重に行うことをおすすめします。

M&A総合研究所では、M&Aに豊富な知識と経験を持つM&AアドバイザーがM&Aをフルサポートしています。無料相談をお受けしておりますので、ぜひ一度お問い合わせください。

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会社分割のメリット

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まとめ

まとめ

承継会社は多くのメリットを見越して会社分割を活用します。そのため、常に自社の目標はどこになるのか、将来的にどれくらいの利益を求めているのかを、役員や従業員と共有するのが大切です。

なるべく低い金額と少ない時間で、より多くの利益を生み出すことは、承継会社にとって重要です。要点をまとめると下記になります。

・承継会社とは

→会社分割の際に他社の一部を承継する企業

・承継会社の視点から見る会社分割

→身内の中で実施するケースが多い

・承継会社が実施する手続き

→取締役会決議や債権者保護手続き、登記などを実施する必要がある

・承継会社が得られるメリット

→現金不要で事業規模を拡大可能、他のM&A手法と比べて時間がかからない、シナジー効果が期待できる

・承継会社のデメリット

→多方面において統合が必要、債務者とのトラブル、節税目的の場合には慎重を要する

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