新設分割計画書とは?新設分割計画書作成の注意点や新設分割と吸収分割の違いを解説

会社分割の方法の一つに「新設分割」があります。新設分割とは、1または2以上の会社(株式会社または合同会社)が、ある事業に関して有する権利義務の全部または一部を、新たに設立する会社に承継させる手法です。新設分割計画書作成時に定めておくべき内容や注意点も解説します。

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2020年1月24日更新

目次
  1. 新設分割とは
  2. 新設分割と吸収分割の違い
  3. 新設分割の種類・条件・対価
  4. 新設分割計画書とは
  5. 共同新設分割計画書作成の注意点
  6. まとめ

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新設分割とは

新設分割とは「会社分割」の方法の一つで、M&Aの手法としても知られています。会社分割とは何かという点も踏まえ、新設分割の意味を整理してみましょう。

会社分割について

会社分割とは、会社がある事業に関して、有する権利義務の全部または一部を、他の会社に承継させることをいいます。その方法は、新設分割と吸収分割の二種類あります。会社分割はM&Aの手法の一つでもあり、近年は会社分割によるM&A事例も増えています。

M&Aは基本的に合併・買収を意味しますが、一般的には会社分割や業務提携などもM&Aに含まれます。もしM&Aをご検討であれば、アドバイザリーに実務をサポートしてもらうのがベストでしょう。

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新設分割の概要

新設分割とは、会社が特定の事業を分割し、新しく設立する会社にその事業を受け継いでもらう方法のことです。また、事業を分割する側の会社は「1または2以上の会社で、株式会社または合同会社」に限ります。

  • (例1)A社(株式会社または合同会社)が事業の全部または一部を分割し、新しく設立するB社に承継させる
  • (例2)A社とB社(2社ともに株式会社または合同会社)を分割会社とし、新たに設立するC社に事業の全部または一部を承継させる

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新設分割と吸収分割の違い

新しく会社を設立するかどうかが、新設分割と吸収分割の大きな違いです。会社分割のうち、新たに設立する会社に事業を受け継いでもらう方法が新設分割、既存の会社に事業を受け継いでもらう方法が吸収分割、ということになります。

吸収分割の特徴

吸収分割は、会社(株式会社または合同会社)がある事業に関して有する権利義務の全部または一部を、分割後の他の会社に承継させることをいいます。

吸収分割の場合、分割をする側の会社を「吸収分割会社」、承継する側の会社を「吸収分割承継会社」といいます。ここで、吸収分割承継会社は、すでに存在している会社に限られるという特徴があります。

  • (例)A社が事業の全部または一部を分割し、すでにある会社B社に承継させる

つまり、B社(吸収分割承継会社)は分割以前から存在している会社であり、吸収分割会社であるA社の事業の権利義務を受け継ぎます。新設分割のように、新しく会社を設立するわけではありません。

新設分割と吸収分割の共通点

そのほかの部分で、新設分割と吸収分割でいくつか共通点があります。

  • 分割会社が株式会社または合同会社に限られる
  • 新たに設立する会社または承継会社は、株式会社、合名会社、合資会社、合同会社のいずれでも可
  • 吸収分割にも分割対価における人的分割の仕組みがある(分割対価は以下項目にて説明)

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新設分割の種類・条件・対価

この項では新設分割会社(事業を分割する側)と、新設分割設立会社(事業を承継する側)の種類・条件や分割対価について解説します。

新設分割会社と新設分割設立会社の種類・条件

事業を分割する側の会社(新設分割会社)は、株式会社または合同会社である必要があります。会社法上の「会社」には株式会社と持分会社(合名会社、合資会社、合同会社)がありますが、持分会社の合名会社と合資会社は、新設分割として事業を分割することはできません

一方で、事業を承継する側の会社(新設分割設立会社)は、「会社」という規定にとどまります。つまり、株式会社、合名会社、合資会社、合同会社のいずれも新設分割設立会社になることができます。以下、新設分割会社を「分割会社」、新設分割設立会社を「設立会社」と表現します。

分割対価が必要となる

設立会社は、ある事業に関する権利義務を受け継ぐかわりに、その対価を分割会社に交付する必要があります。A社を分割会社、B社を設立会社(A社B社ともに株式会社)としましょう。

B社(設立会社)は、A社(分割会社)からある事業の権利義務を承継し、その事業を新しく開始することができます。ただし、その分の対価をA社に交付しなくてはいけません。この分割対価には、株式や社債などがあります。

  • (例)B社がA社からある事業の権利義務を受け継ぐかわりに、B社の株式をA社に交付する

物理的分割

さて、この分割対価は分割会社へ交付するものです。分割会社が株式会社の場合でも、分割会社の株主に株式などを交付するわけではありません。

先ほど例に挙げたケースでも、分割対価はB社がA社に交付しており、A社の株主に交付しているわけではありません。このように、設立会社が分割会社に対価を交付する通常の方法を「物的分割」といいます。

人的分割

一方で、実質的に分割会社の株主に対価を交付することと変わらない方法を「人的分割」といいます。引き続きA社を分割会社、B社を設立会社(A社B社ともに株式会社)として、人的分割のポイントをお伝えします。

まずA社が、B社から分割対価としてB社の株式を取得したとします。同時に、A社は自社の株主に対して、取得したばかりのB社の株式を分配します。すると、B社が分割対価として交付したB社の株式は、最終的にA社の株主が取得できることになります。

この手順を踏めば、分割会社の株主に分割対価を交付することと同じ結果(=人的分割)になります。ただし、この方法によって分割会社が設立会社の株式(分割対価)を株主に分配するには、設立会社の成立の日に「剰余金の配当」または「全部取得条項付種類株式の取得の対価」として分配する必要があります。

  • (例)A社はB社の成立の日に、「剰余金の配当」あるいは「全部取得条項付種類株式の取得の対価」として、A社株主にB社の株式を分配する

つまり、分割対価となる株式を株主に分配できるとしても、その方法は限られます。

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会社分割と株主総会

新設分割計画書とは

新設分割の手続きは、分割会社が新設分割計画を作成し、原則として株主総会の特別決議によって計画の承認を受けるという流れになります。この新設分割計画を証する文書のことを、新設分割計画書といいます。

新設分割計画書の概要

まずは、新設分割計画書の概要についてご紹介します。新設分割では、これから設立会社を設立する段階のため、基本的に分割会社のみが新設分割計画を作成します。当事者は分割会社の株式会社または合同会社のみとなります。ちなみに吸収分割の場合は、承継会社がすでに存在するため、分割会社と承継会社の間で吸収分割契約を締結するという手続きになります。

なお、2以上の株式会社または合同会社が共同で新設分割を行う場合は、それらの2以上の会社が共同で新設分割計画を作成します。いずれにせよ、基本的に分割会社のみが計画の当事者になることに変わりはなく、この点は吸収分割との大きな違いになります。

新設分割計画書の記載事項

次に、新設分割計画書の記載事項についてご紹介します。新設分割計画で定めるべき事項は、会社法に規定されています。その内容を新設分割計画書に記載することになるので、まずは新設分割計画で何を定めるのか、整理しておきましょう。

新設分割計画で定める主な内容と特徴

設立する会社が株式会社か合同会社かによって、定める内容には違いがあります。ただ、いずれの場合も、新設分割計画で定めるべき内容はある程度共通しています。その共通する内容を大まかに示すと、次のようになります。

・設立する会社の目的/商号/本店の所在地
新設分割によって設立する会社は何を目的とした会社なのか、商号は何か、本店はどこにあるのか、といった基本的な内容を定めます。

・その他、設立会社の定款で定める事項
ほかにも設立会社の定款で定める事項があれば、それらも計画の中で定めておきます。

・分割会社から承継する資産、債務、雇用契約、その他の権利義務
分割会社から設立会社に承継させる資産や債務、雇用契約、その他の権利義務も定めておく必要があります。

・分割対価について
新設分割は分割対価が必要になります。対価として交付する株式の数や種類、社債の種類など、具体的な対価についても新設分割計画で定めなくてはなりません。また、人的分割を行う場合は、設立会社の成立日に「剰余金の配当」または「全部取得条項付種類株式の取得」を行う旨も新設分割計画書に記載する必要があります。

新設分割計画書の印紙税額

印紙税というのは、経済取引などで作成される文書に課される税金のことです。文書の作成者が収入印紙を貼り付けて納めます。新設分割計画書の場合、会社法の規定によって新設分割を行うことを証する文書として課税されます。

具体的には、本店に備え置くものに限って課税対象となり、その金額は1通または1冊につき4万円とされています。

新設分割計画書の押印と内容変更

相手となる設立会社がまだ存在しないため、あくまで契約書ではなく計画書という位置づけです。ただ、2社以上が分割会社になるケースもある以上、新設分割計画書には押印をしておくべきでしょう。きちんと分割会社が作成したことを証明するためにも押印は必要です。

なお、計画作成後に権利義務に大きな変化が生じた場合には、計画を変更せざるを得ないケースも理論上はあり得ます。事態に備え、あらかじめ計画書の中で条件変更について定めておく場合もあります。しかし、債権者や株主などが関係している以上、それこそ天災などが理由でない限り、大幅な変更は難しいです。

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共同新設分割計画書作成の注意点

新設分割は、1または2以上の会社(株式会社または合同会社)が分割会社となります。このうち、2以上の会社が共同して新設分割を行う場合を「共同新設分割」といいます。その場合の計画書作成には、注意点がいくつかあります。

共同新設分割では、独占禁止法で分割の届出制度が規定されています。そのため、分割の際にはそれらの要件を確認しておかなければなりません。一定の要件に該当する場合は、共同新設分割に関する計画をあらかじめ公正取引委員会に届け出る必要があります。

共同新設分割における独占禁止法の届出要件は、以下の4つになります。

  1. 共同新設分割をしようとする会社のうち、いずれか1社(事業を全部承継させようとする会社に限る)に係る国内売上高合計額が200億円を超え、かつ、他のいずれかの1社(事業を全部承継させようとする会社に限る)に係る国内売上高合計額が50億円を超える場合
  2. 共同新設分割をしようとする会社のうち、いずれか1社(事業を全部承継させようとする会社に限る)に係る国内売上高合計額が200億円を超え、かつ、他のいずれかの1社(事業の重要部分を承継させようとする会社に限る)の承継の対象に係る国内売上高が30億円を超える場合
  3. 共同新設分割をしようとする会社のうち、いずれか1社(事業を全部承継させようとする会社に限る)に係る国内売上高合計額が50億円を超え、かつ、他のいずれかの1社(事業の重要部分を承継させようとする会社に限る)の承継の対象に係る国内売上高が100億円を超える場合
  4. 共同新設分割をしようとする会社のうち、いずれか1社(事業の重要部分を承継させようとする会社に限る)の承継の対象に係る国内売上高が100億円を超え、かつ、他のいずれかの1社(事業の重要部分を承継させようとする会社に限る)の承継の対象に係る国内売上高が30億円を超える場合

※ただし、以上の場合でも、全ての共同新設分割をしようとする会社が同一の企業結合集団に属する場合は、届け出る必要はありません。

これらの要件は、事業の全部を承継させるのか、それとも重要部分を承継させるのかで判断できます。共同新設分割計画書の作成にあたっては、上記の要件も注意したうえで進めなくてはなりません。

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会社分割における適格要件

まとめ

新設分割とは会社分割の方法の一つで、1または2以上の会社(株式会社または合同会社)が、ある事業に関して有する権利義務の全部または一部を、新たに設立する会社に承継させる手法です。近年のM&Aの活発化に伴い、会社分割のM&A事例も増えていますが、その中には新設分割の事例も見られます。

新設分割は吸収分割と異なり、新たに会社を設立するという点が大きな特徴です。また、2以上の会社が分割を行う場合には、独占禁止法の要件も踏まえた新設分割計画書の作成が必要です。

新設分割は、M&Aによる事業の売却の効果的な手法の一つでもあります。その特徴や仕組みのほか、計画書作成の注意点などを把握した上で、M&Aの一つの選択肢として検討してみてください。新設分割や共同新設分割でお悩みの場合、専門家や公認会計士に相談してみるのも一つの手です。

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