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2020年1月2日更新
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株主総会における決議事項の種類と決議方法

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この記事の監修専門家
M&A総合研究所 公認会計士
高谷 俊祐

株主総会は株式会社の最高意思決定機関であるため、会社法によって定められたルールに従わなければなりません。会社法では株主総会の決議の種類や決議事項が定められているので、本記事ではこれらの点を踏まえて株主総会決議について解説しています。

目次
  1. 株主総会における決議
  2. 株主総会における決議の種類
  3. 株主総会における決議事項の詳細
  4. 株主総会と取締役会の決議事項の違い
  5. 役員の報酬決議における株主総会議事録の記載事項
  6. 株主総会決議の省略
  7. 注意すべき決議事項
  8. まとめ

株主総会における決議

株主総会は株式会社の最高意思決定機関であり、会社の重要な人選や経営戦略の決定における決議を行う場になります。

株主総会の決議には種類が複数あり、それぞれで扱われる決議事項は異なっています。
今回は株主総会の決議ごとの決議事項や様々な状況ににおける株主総会の実施方法についてお伝えしていきます。

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株主総会における決議の種類

株主総会の決議には複数の種類があり、それぞれの決議が成立する定足数や決議要件は異なっています。

それぞれの決議の定足数や決議要件は会社法で定められており、もし違反するようなことがあれば、例えどんなに重要な事案を決議したとしても決議が取り消されてしまうので注意しましょう。

M&Aを行う場面で株主総会を開催する場合、間違いを犯さないためにも専門家の助言を得るようにしましょう。

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株主総会の議決の種類は以下の通りです。

決議の種類

定足数

決議要件

普通決議

定款に何かしらの定めがない限り、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を持っている株主が出席。

出席している株主の議決権の過半数。

特別決議

株主総会で議決権を行使することができる株主の議決権の過半数、あるいは定款で3分の1以上の割合を定めていたのなら、その割合以上を持っている株主が出席。

出席している株主の議決権の3分の2以上、あるいは定款で3分の2を上回る割合が定められているならその割合以上。ちなみに決議の要件に加えて一定数以上の株主の賛成を要する旨などその他の要件を定款で定めておくことも可能。

特殊決議

なし

頭数と議決権それぞれの要件を満たす必要がある。

頭数は株主総会で議決権を行使することができる株主の半数以上、あるいは半数を上回る割合を定款で定めているのなら、その割合以上。

議決権は株主総会で議決権を行使できる株主の議決権の3分の2以上、あるいは3分の2を上回る割合を定款で定めていたのなら、その割合以上。

特別特殊決議

なし

頭数と議決権それぞれの要件を満たす必要がある。

頭数は総株主の半分以上、あるいは半分を上回る割合を定款で定めていたのなら、その割合以上。

議決権は総株主の議決権の4分の3以上、あるいは4分の3を上回る割合を定款で定めていたのなら、その割合以上。

 

決議事項の重要性が上がるほど、より多くの株主・議決権が必要となる決議を行うことになります。

株主総会における決議事項の詳細

株主総会では決議の種類によって決議事項がが異なります。
当然ながらそれぞれの決議事項が適切な方法で決議されなければ、例え株主総会で承認を得ても取り消しになってしまうので注意してください。

 

①普通決議の決議事項

普通決議の決議事項は取締役会を設定しているかどうかで変わります。それぞれの決議事項は以下のようになっています。

【取締役会が設置されている場合】

  • 自己株式の取得
  • 総会検査役の選任
  • 業務財産検査役の選任
  • 延期・続行決議
  • 役員の選解任
  • 会社と取締役の間の訴えにおける会社の代表者の選定
  • 会計監査人の出席要求決議
  • 計算書類の承認
  • 減少額が分配可能額より少なくなっている場合の資本金の額の減少
  • 準備金の額の減少
  • 資本金の額の増加
  • 準備金の額の増加
  • 剰余金の処分
  • 剰余金の配当
  • 株主総会議長の選任
  • 株主総会の議事運営に関わる事項の決定

 

【取締役会が設置されていない場合】

  • 譲渡制限株式や譲渡制限新株予約権の譲渡による取得承認
  • 譲渡制限株式の買取人の指定
  • 譲渡制限株式の割当
  • 募集新株予約権の割当
  • 取得条項付株式や取得条項付新株予約権の取得日
  • 取得する取得条項付新株予約権の決定
  • 株式分割
  • 株式や新株予約権無償割当
  • 代表取締役などの代表者の選定
  • 取締役の競業および利益相反取引の承認
  • 会社の組織や運営、管理など株式会社に関わる一切の事項

②特別決議の決議事項

特別決議は普通決議と比べて会社の組織の変化や株式に関する決議事項を扱うことが多いです。

  • 譲渡制限株式の買取
  • 特定株主からの自己株式の取得
  • 全部取得条項付種類株式の取得
  • 譲渡制限株主の相続人に対する売渡請求
  • 株式の併合
  • 募集株式や募集新株予約権の発行における募集事項の決定
  • 募集事項の決定の委任
  • 株主に株式や新株予約権の割当を受ける権利を与える場合の決定事項の決定
  • 累積投票取締役や監査役の解任
  • 役員の責任の一部免除
  • 資本金の額の減少
  • 現物配当
  • 定款の変更
  • 事業譲渡の承認
  • 解散
  • 解散した株式会社の継続
  • 吸収合併契約や吸収分割契約、株式交換契約の承認
  • 新設合併契約、新設分割計画、株式移転計画の承認

③特殊決議の決議事項

特殊決議の決議事項もより重要なものを取り扱います。

  • 発行する株式の全部に譲渡制限を付すための定款の変更
  • 一定の合併契約などの承認

④特別特殊決議の決議事項

特殊特別決議の決議事項は以下のものだけです。

  • 譲渡制限会社において、株主ごとに異なる取扱いをする旨の定款の変更

株主総会と取締役会の決議事項の違い

株主総会での決議事項を取締役会で決議できるのでしょうか?先に答えをお伝えしてしまうと、株主総会において扱うべき決議事項を取締役会で決議することはできません。

これには「所有と経営の分離」が大きく関わっています。つまり株式取得を通じた出資によって会社所有権を一部所有している株主で構成された株主総会と、その株主から信任を得て会社の経営を行っている取締役で構成されている取締役会はしっかり区別されているということです。

この考えがあるからこそ株式会社の最高意思決定機関は株主総会になっているわけです。

会社法ではこの考えに基づき、株主総会が会社の経営に関わる重要事項を決議する一方で、取締役会は会社の日々の業務執行において必要な決定を迅速にかつ効率的に行い、その決定を確実に執行するように決められています。

株式会社には、取締役会を設置している会社と設置していない会社があります。取締役会を設置していない会社は株主が少なく、株主も親族で構成していることが多いです。そのため、通常は株主総会の開催は負担にはなりません。

しかし、取締役会が設置された公開会社においては株主の数が多く、株主と経営陣の意向が必ずしも合致しているとは限らりません。

そのため、株主総会の開催が経営陣にとって大きな負担になることがあります。また、株主総会の開催が負担になるどころが、経営陣が行いたい経営戦略が株主の反対を受けて実行できなくなる可能性すらあります。

会社によっては株主総会で決議すべき議案を定款の変更を行うことによって、取締役会で決議しようと考えることもあります。

しかし、株主総会で決議すべき議案を取締役会で決議できるようにすることは原則できません。反対に、取締役会で決議すべき議案を株主総会で決議できるようにすることは可能です。

役員の報酬決議における株主総会議事録の記載事項

ここでは、役員の報酬決議を行った場合の株主総会議事録の記載についてお伝えします。そもそも役員の報酬を増額するような事案を決議する場合、役員全員の報酬の総額は株主総会で決議を得る必要があります。

仮に、取締役会で役員の報酬を決議できたらどうなるでしょうか。良識ある人物が役員であれば問題はないのでしょうが、自分の報酬を自分たちで決めることになり、お手盛りになる可能があります。

この場合、会社にとって損害になることはもちろんですが、ひいては会社の所有者である株主にとっても影響を与えることになります。

こうした事態を予防するために、役員報酬の総額は株主総会の決議事項となっているのです。

ただし、その報酬総額の具体的な配分に関しては役員同士の協議で決定することができます。つまり役員それぞれの具体的な報酬額に関しては株主総会の決議を得る必要はありません。
これは、先ほどの趣旨からは当然の結論となります。

お手盛りにより会社や株主へ損害を与えないためには総額さえ株主総会で決議すればよく、その分配方法まで株主総会で決議する必要性はありません。

ただし、株主総会で決議にかける以上、議事録にその旨を記載しておく必要があります。記載する際にはいくつかの点に注意しなければなりません。

株主総会議事録の記載の際に注意しなければならない点は以下の2つです。

①取締役と監査役の報酬は区別すること

役員の報酬決議を行う際、取締役と監査役の報酬を同時に議案にする場合でも取締役と監査役の報酬は明確に区別しておく必要があります。

取締役と監査役の報酬規程はそれぞれ明確に区別されており、混同してはいけないものになっているからです。

②使用人兼取締役の報酬に使用人分の給与を含めない

使用人兼取締役の報酬決議を行う場合、使用人の給与体系が明確になっているならその報酬に使用人分の給与を含めてはいけません。

また使用人分の給与に関して株主総会で決議を行わない場合でも使用人分の給与は使用人兼取締役の報酬に含めてはいけないことになっています。

③社外取締役とそれ以外の取締役の報酬を区別する

社外取締役とそれ以外の取締役の報酬を区別することは公開会社においては一般的なことです。社外取締役とそれ以外の取締役の報酬は株主総会参考書類で明確に区別する必要があるからです。

株主総会決議の省略

株主総会で決議を得るべき事案でも、決議省略が可能となる場面があります。ここでは代表的な株主総会の決議省略ができるパターンを2つお伝えします。

①議決権を行使できる株主全員が書面や電磁的記録で同意している

株主総会で決議を取るべき何かしらの決議事項が発生した場合でも、議決権を行使できる株主全員が書面や電磁的記録で同意している場合、株主総会でその議案を可決する旨の決議があったものとみなされるため、株主総会の決議省略が可能となります。

この場合、招集通知を行う必要がないため、株主総会を開催するという手間がかかることはありません。このパターンでの決議省略は中小企業で役立ちます。

中小企業は非公開会社であることに加え、経営者個人だけが株式を所有している、特定の親会社の完全子会社であるといった形式であることが多いため、株主総会の決議省略を行った方が経済的負担がなくなり、議案の遂行をスピーディーに行うことができます。

②簡易組織再編行為、略式組織再編行為に該当する

簡易組織再編行為、略式組織再編行為に該当することも株主総会の決議省略を行うことが可能です。
厳密にいうと、簡易組織再編行為や略式組織再編行為に該当すれば株主総会の開催や債権者保護手続きというプロセスそのものを省略することができます。

そもそも組織再編行為は会社の組織を大きく変更することにもなるため、株主総会や債権者保護手続きを行うものです。

しかし純資産額の特定の割合以下で行う小規模な組織再編である簡易組織再編行為や完全子会社に近い関係にある会社との組織再編を行う略式組織再編行為では、組織再編の影響が軽微であるうえに株主総会を行うとかえって手続きが煩雑になるため、株主総会の省略が認められています。

簡易組織再編行為や略式組織再編行為は同時に行うことも可能であり、主に吸収合併や株式交換、新設分割などといった組織再編の手法を使う際に適用されます。

ただ、新設合併や株式移転といった手法の組織再編は会社への影響が軽微では済まないたえ、これらの手法を使う際には株主総会を開催し、特別決議を取る必要が出てきます。

注意すべき決議事項

決議事項の中には間違った方法で決議が行われやすいものがあります。ここでは、そのような注意すべき決議事項のうち代表的なパターンを2つお伝えします。
 

①計算書類の承認に関する決議事項

株式会社は、各事業年度に係る計算書類及び事業報告並びにこれらの付属明細書を作成しなければなりません。

計算書類とは
⑴貸借対照表
⑵損益計算書
⑶株主資本等変動計算書
⑷個別注記表
の4つのことです。

取締役会を設置している株式会社は、計算書類及び事業報告並びにこれらの付属明細書の作成後に株主総会の承認を受けることになります。

この際、付属明細書の作成及び保管が必須なのですが、過去に付属明細書の作成を怠って当該計算書類の決議が取り消しになった事例(福岡高裁平成13年3月2日判決)があるので注意しましょう。

②役員の選任・解任に関する決議事項

取締役・監査役の選任・解任は株主総会の決議によって行われます。取締役の選任・解任及び監査役の選任は普通決議によって行われますが、監査役の解任には特別決議が必要なので注意しましょう。

まとめ

今回の記事をまとめると以下のようになります。

 

  • 株主総会議決には普通決議、特別決議、特殊決議、特別特殊決議といった種類がある。
  • 株主総会は決議の種類ごとに決議事項が決まっている。
  • 適切な決議を行わなければ、その決議は無効になってしまうので注意。
  • 株主総会で決議を取るべき決議事項は取締役会で決議することはできない。
  • ただし取締役会での決議事項は株主総会でも決議を取ることはできる。
  • 役員の報酬決議は報酬総額を株主総会で決議する必要はあるが、具体的な報酬の配分は役員同士の協議で決定することができる。
  • ただし役職ごとの報酬は明確に区別しなければならず、株主総会の議事録でも区別したうえで記載する必要がある。
  • 議決権を持つ株主の同意が書面や電磁的記録で得られていたり、簡易組織再編行為や略式組織再編行為を行う場合は株主総会の決議省略が可能となる。
  • 計算書類の承認や役員の選任・解任に関する決議には注意すべきである。

株主総会は株式会社の最高意思決定機関である以上、会社法で定められたルールを正確に守る必要があります。決議の種類や決議事項に応じて適切な決議をする必要があり、取締役会で代わりに決議することができないため、経営陣にとっては制約が多くなります。

しかし、これらを守らなければ重要な決議が無効になってしまう恐れがあるため注意しましょう。M&Aを行う上で株主総会決議に関して懸念がある場合、どうぞお気軽にM&A総合研究所の無料相談をご利用ください。

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