2020年1月31日更新事業承継

第二会社方式とは?スキームや問題点、再生型M&Aでの活用方法を解説

再生型M&A手法である第二会社方式とは、経営不振に陥っている企業において、収益性の良い事業を他の会社(第二会社)に移転し、法人格を消滅させる手法です。第二会社方式のメリット・デメリットをしっかり踏まえ、有効活用しましょう。

目次
  1. 第二会社方式
  2. 第二会社方式とは?再生型M&Aとその意味
  3. 産業競争力強化法を活用
  4. 第二会社方式のメリット・デメリット
  5. 第二会社方式スキーム
  6. 第二会社方式の問題点と事例
  7. 第二会社方式の債務免除とのれん
  8. まとめ
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第二会社方式

景気が低迷している昨今、業績悪化に陥る企業が増加しています。業績悪化による倒産を防ぐためには、企業は事業再生の円滑化に取り組む必要があります。その企業再生手法の1つに「第二会社方式」があります。第二会社方式は、景気が低迷している日本では重要度が増しています。

この記事では、第二会社方式についてわかりやすく解説します。

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第二会社方式とは?再生型M&Aとその意味

まずはじめに、第二会社方式についてわかりやすく解説します。

第二会社方式の意味

第二会社方式とは、経営不振に陥っている企業において収益性の良い事業を、会社分割や事業譲渡のM&A手法によって他の会社(第二会社)に移転し、不採算事業が残る会社を特別清算や破産により法人格を消滅させる再生型M&A手法です。

第二会社、不採算事業の切り分けについては、将来の事業継続に必要なものどうかが判断基準となります。つまり、健全な主力事業を他の会社(第二会社)に移転・存続しつつ、残った会社を清算手続きにより消滅させます。

このプロセスにより、会社の中から良い部分のみを存続させることが可能です。これを行うことによって、第三者であるスポンサーは、旧会社に帰属している偶然債務などのリスクを避けられます。

再生型M&Aの意味

第二会社方式は、「再生型M&A」に含まれる手法です。再生型M&Aとは、経営再建を目的として実施するM&Aを意味します。経営不振に陥った企業は破産(清算)、もしくは再生型M&Aのいずれかを選択しなくてはいけません。

破産手続きを実行すると事業が完全に消滅するため、従業員の失業や取引先の連鎖倒産など、さまざまな悪影響を生み出す恐れがあります。一方で、再生型M&Aを実行すれば主力事業を存続できるため、上記の事態を回避できます

再生型M&Aには、法人格を維持したうえで再生を図る方法と、第二会社方式の2種類があります。契約面や税務面、スポンサーの有無などを考慮したうえで、どちらの方法を使用するかを決定します。メリットとデメリットが双方異なるため、慎重に再生型M&Aの手法を選択することが大切です。

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産業競争力強化法を活用

後述しますが、第二会社方式には、税負担面や金融支援面でデメリットがあります。上記のデメリットを回避する手段として、産業競争力強化法を活用する方法があります。

この制度はアベノミクスの1つであり、日本経済の再興し、産業競争を強化する目的で2014年1月に施行された法律です。企業の成長を後押しするため、創業期、成長期、成熟期とした事業の発展段階によって各種支援策を行っています。

法改正での変更点

産業競争力強化法は、度々改正が行われています。2018年の改正においては、中小企業への関連措置として、事業承継の促進を加速化するための措置、経営支援体制の基盤強化を行うための措置が施されました。事業継承に関する措置は、主に以下となります。

  • 再編による事業承継を加速化のため、「経営力向上計画」の対象としてM&Aなどによる再編統合が追加された。対象となった場合、登録免許税、不動産取得税の軽減、許認可の承継などの支援措置が受けられる
  • 親族外承継を円滑に行うため、後継者以外の後継予定の者への金融支援が新たに追加

自社株式を対価とするM&Aの活用が解禁

この改正により、自社の株式を対価とするM&Aの解禁がされ、会社法の特例措置、税制上の措置が行われることになりました。例えば、現金ではなく株式を対価とするM&Aの場合、資金の準備の必要がなくなるため、M&Aを行いやすくなります

特に中小企業やベンチャー企業など、資金的な余裕はないが成長が期待されている会社は、その成長を期待された高い株価を利用してM&Aを行えることとなります。

また自社の株式対価のM&A促進に最も効果が高いとされる、売り手株主への課税繰延措置が取られることとなりました。これにより規制面や税制面からも、株式を対価とするM&Aを後押しする制度が整い、中小企業のM&Aの円滑化を期待することが可能となります。

しかし、自社株式を対価とするM&Aを活用するためには、まず産業競争力強化法に基づく特別事業再編計画の認定を受ける必要があるので注意が求められます。要件は複数設定されていますので、その認定要件を満たす必要があります。

M&Aは、煩雑な手続きが多く決して簡単なものではありません。実際に行う際には、M&A総合研究所にご相談ください。

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第二会社方式のメリット・デメリット

再生型M&A手法である第二会社方式のメリットとデメリットを解説します。

第二会社方式のメリット

第二会社方式には、下記の4つのメリットがあります。

優良事業のみを残せる

第二会社の最大のメリットは、優良事業のみを残したうえで事業再生できる点です。不採算事業のみを消滅させ、優良事業は新しい会社で継続させることが可能です。事業継続により、従業員の雇用維持や取引先への債務履行などが可能となります。

経営者にとっても、手塩にかけて成長させた会社を存続できる点は大きなメリットでしょう。

債務免除益を相殺する損金を生み出せる

第二会社方式には、債務免除益を相殺する損金を生み出せるメリットもあります。不採算事業が残る旧会社が清算されるため、回収できない旧会社の債権を税務上の損金として処理できます。

想定外の債務リスクを回避できる

想定外の債務リスクを回避できる点も、第二会社方式の大きなメリットです。事業譲渡により債務リスクなどを除外して新会社に承継すれば、想定外の債務引き継ぎを回避できます。

スポンサーの協力を得やすい

損金処理や債務リスクの観点から、スポンサーの協力を得やすくなります。この点も、第二会社方式の魅力的なメリットの1つです。

第二会社方式のデメリット

第二会社方式には、下記の3つのデメリットもあります。

許認可の再度取得が発生する

第二会社方式では、法律上新たな法人が事業を始めることとなります。事業を運営するために許認可が必要な場合、新たな法人側で許認可を再度取得する必要があります。新法人が必ず許認可を得られる保証はないため、事業を再開できないリスクを伴います。

許認可を取得できる場合も、手続きに多大な時間や費用がかかる恐れがあります。上記の通り第二会社方式には、許認可の引き継ぎ面で大きなデメリットがあります。前述した「産業競争力強化法」を活用すれば、許認可を第二会社に引き継ぐことが可能となります。

第二会社方式を利用する際は、産業競争力強化法の利用をおすすめします。

不動産取得税や登録免許税が課される

第二会社方式の実行に伴い不動産の移転が発生する際、不動産取得税や登録免許税が課税されるデメリットがあります。新法人に課される費用面の負担を軽減するためにも、産業競争力強化法を積極的に活用しましょう。

新会社での資金調達が難しい

新会社に事業を移転した後、事業を継続するためには運転資金を調達しなくてはいけません。金融機関から調達するケースが一般的ですが、旧会社で取引していた金融機関から調達することは困難です。

新たに資金調達先を見つける必要がある点も、第二会社方式のデメリットとなり得ます。

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第二会社方式スキーム

第二会社方式のスキームについてお伝えします。第二会社方式では、「事業譲渡」もしくは「会社分割」のいずれかのスキームを用います。

事業譲渡

事業譲渡とは、旧会社の中から残したい事業に関する資産や契約などを切り出し、それを第二会社に承継するスキームです。一つひとつの債権や債務について、契約者と合意したうえで承継する点が特徴です。このスキームを用いた第二会社方式は、下記の通りに進められます。

まずはじめに、優良事業の受け皿となる新会社を設立します。事業譲渡契約を締結し、優良事業に関する資産などを新会社に移転します。移転と同時に、新会社から旧会社に事業譲渡の対価を支払います。不振事業のみ残った会社を、特別清算や破産手続きにより消滅させます。

経営者の保証債務が残っている場合は、自己破産などにより処理します。以上でこのスキームによる第二会社方式の手続きは完了となります。

会社分割

会社分割とは、旧会社の中から残したい事業を切り出して、事業に関する資産や負債を包括的に第二会社に承継するスキームです。事業譲渡とは異なり、包括的に資産等を承継するため、このスキームでは個別の合意は不要です。

事業譲渡よりも税金などの負担が軽減する傾向がある一方で、煩雑な手続きを要するスキームです。このスキームを用いた第二会社方式は、下記の通りに進められます。まず最初に、優良事業の受け皿である新法人を設立します。

その後会社分割により優良事業を包括的に新法人に承継し、同時に旧会社から出資者に対して新法人の株式を譲渡します。株式譲渡を受けて出資者は、旧会社に対して譲渡代金を支払います。旧会社については特別清算や破産手続きにより、法人格を消滅させます。

経営者の保証債務が残っている場合は、事業譲渡と同様に自己破産などにより処理します。以上でこのスキームによる、第二会社方式の手続きは完了となります。

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第二会社方式の問題点と事例

第二会社方式の問題点とその事例について解説します。第二会社方式には、前述した通り資金調達や資金繰りの面でデメリットがあります。会社や経営者に対するデメリットのみならず、債権者にとってもデメリットとなる恐れがあります。

本来第二会社方式は、経営再建のために止むを得ず活用するスキームですが、債務の弁済を免れる目的で濫用的に用いられる事例もあります。濫用的な第二会社方式の活用事例は、これまで幾度となく問題点として指摘されています。

例えば、多額の負債を抱えている場合、負債を免れるために事業を第二会社に移転し、旧会社に負債を残したまま放置もしくは消滅させる事例があります。上記は債権者の利益を害する第二会社方式の事例であり、債権者にとっては大きな問題点です。

仮に第二会社方式を濫用的に活用された場合、債権者はM&Aの向こうを主張することは困難です。会社自体への責任追及は困難であるため、連帯保証人に対して責任追及するしか選択肢が残されないことが現状です。

事実上第二会社方式を、債務弁済を逃れる目的で使用することは可能ですが、会社の評判や信頼を大きく損ないます。健全な経営を心がけるうえでも、第二会社方式は最終手段として実行する必要があります。

第二会社方式で悩んだら、専門家のアドバイスを

会社や経営者の利益保護のために、債権者の利益を害してはいけません。

第二会社方式でM&Aを用いるか悩んだ際には、専門家のアドバイスを求めるのがベストです。例えば、M&A総合研究所は全国のM&A案件の取り扱いをしており、中小企業のM&Aも実現させる仲介会社です。

規模の小さい企業がM&Aを実施することも考えられますが、そのような案件にも対応しています。また、M&A総合研究所は「完全成果報酬型」の料金体系にしており、M&Aが成約するまで一切の費用が発生しません。M&Aをご検討される際には気軽にご相談ください。

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第二会社方式の債務免除とのれん

最後に、第二会社方式ののれんと債務免除について解説します。

第二会社方式におけるのれん

第二会社方式を実行した際、新会社が受け継いだ資産と負債の差額分は「のれん」として計上します。原則的には損金算入が認められる「のれん」ですが、実在性があると認められなければ「自己創出のれん」と見なされ、損金算入が認められないリスクがあります。

第二会社方式でのれんを計上する際は、実在性を踏まえて適切な金額を算定する必要があります。

第二会社方式と債務免除

第二会社方式は、債務免除の手段に含まれます。債務免除とは債権を放棄することであり、主に経営再建の際に実施されます。直接的に債務免除する場合、債務者側に「債務免除益課税」が発生します。

発生した課税はそのまま債務者側の税負担となってしまうため、好ましくありません。一方で第二会社方式を活用すれば、前述した通り資産の譲渡損が損金となるため、実質的な課税負担を軽減できます

つまり第二会社方式では、税負担を軽減したうえで、通常の債務免除と同じ効果を得られます。手続き面や資金調達面でのデメリットはあるものの、債務免除を実行するうえで第二会社方式はとてもメリットが大きいスキームです。

債務免除を予定している方は、第二会社方式の活用を検討してはいかがでしょうか?

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まとめ

再生型M&A手法である第二会社方式は、経営不振に陥っている企業において、収益性の良い事業を他の会社(第二会社)に移転し、法人格を消滅させる手法です。第二会社方式のメリット・デメリットをしっかり踏まえ、専門家のアドバイスを参考に有効活用しましょう。

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