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簡易株式交換とは?略式株式交換との違いについても解説します

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この記事の監修専門家
M&A総合研究所 公認会計士
高谷 俊祐

簡易株式交換は組織再編の手法の一つです。簡易株式交換のメリットとして、株主総会のプロセスをスキップできるため、迅速に株式交換を進めることができます。簡易株式交換と略式株式交換の違い、簡易株式交換と簡易組織再編の関係、簡易株式交換に対する反対株主が行う株式買取請求について解説します。

目次

    簡易株式交換とは

    簡易株式交換といえば組織再編の手法としてよく聞く言葉の一つかと思います。

    しかし簡易株式交換は株式交換という手法の一つであり、似たようなものに略式株式交換といったものもあります。

    簡易株式交換と略式株式交換の違いは分かりづらいものであり、正確に把握することは難しいかもしれません。

    今回は違いがわかりづらい簡易株式交換や略式株式交換についてお伝えしていきます。

    簡易株式交換とは

    まずは簡易株式交換の定義についてお伝えしていきます。

    簡易株式交換とは、株式交換の中でも特定の要件を満たした場合に発生するものです。

    株式交換を行う際、完全親会社となる会社は交付する財産の金額が純資産額の5分の1以下(もしこれを下回るような割合だった場合はその会社の定款で定められている割合を適用)であった場合が該当します。

    簡易株式交換のメリットは株主総会の決議を省略できる点にあります。

    通常、株式交換を行う際には株主総会の決議を得ておく必要があります。

    しかし、株主総会の開催は会社によってかかる手間が異なります。

    中小企業のように、株主がそもそも少ない、あるいは経営者しか株主がいないような会社では株主総会を開催するのにはさして手間はかかりません。

    しかし株主が大勢いるような大企業となると株主総会を開催する際に株主を全て集めるだけでも時間と手間がかかります。

    より速い意思決定を要する案件であれば、株式交換の承認を得るための株主総会の開催が余計な時間を浪費してしまう可能性があります。

    その際に、簡易株式交換という形であれば株主総会のプロセスをスキップできるため、迅速に株式交換を進めることができます。

    これは後述する略式株式交換も同じです。

    ただ、株式交換に反対する株主が完全親会社となる会社の総株式数の6分の1を超えているケースや譲渡制限会社に譲渡制限株式を割り当てるケースでは株主総会を省略することはできないので注意してください。

    詳しくは後述しますが、簡易株式交換も略式株式交換もやや手続きが面倒なため、実際に行う際にはM&A総合研究所にご相談ください。

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    簡易株式交換と略式株式交換の違い

    ここでは間違えやすい、簡易株式交換と略式株式交換の違いについてお伝えします。

    略式株式交換は簡易株式交換同様、株主総会をスキップできる株式交換ですが、簡易株式交換とは要件が異なっています。

    略式株式交換は親会社と子会社同士で株式交換を行う場合、親会社が子会社の90%以上の議決権を保有している場合に株主総会を省略できるというものです。

    この場合、株式交換を行うことで子会社が完全親会社になるか完全子会社になるかは関係ありません。 

    このように簡易株式交換が交付する財産の割合が基準になっていることに対し、略式株式交換はそもそも完全親会社・完全子会社、あるいは親会社・子会社と支配関係が確立している状態であるかどうかが基準になっていることが特徴的だと言えます。

    ただ略式株式交換でも条件によっては略式株式交換と認められず、株主総会を省略できないケースがあります。

    当然株主総会を省略できない条件も簡易株式交換とは異なっています。

    略式株式交換が認められないケースは主に2つあります。

    1つ目は子会社が株式交換によって完全子会社になる際にその子会社が株式を公開している会社であり、さらにその株主に対して譲渡制限株式が交付される場合です。

    そして2つ目は子会社が株式交換によって完全親会社となる際にその子会社の全ての株式に譲渡制限が付加されているうえで株式の交付を行う場合です。

    この中でも1つ目のケースに関しては株主総会の特別決議が必要になるため注意してください。

    簡易株式交換と簡易組織再編の関係

    簡易株式交換について調べていると「簡易組織再編」という言葉を知ることもあると思いますが、両者にはどのような関係があるのでしょうか。

    そもそも簡易組織再編とは法人が通常行われる組織再編手続よりも簡易な手続で組織変更、企業組織再編を行うことを指します。

    基本的に簡易組織再編は組織再編を行う際に承継される純資産額が軽微(基準としては5分の1が多いです)であるものが該当します。

    そしてこの簡易株式交換は簡易組織再編の種類の一つでもあります。

    ちなみにさきほどお伝えした略式株式交換に関しては同じく株主総会を省略できる手法ですが、簡易組織再編の枠組みに入っていません。

    簡易株式交換には他にも簡易事業譲渡、簡易吸収合併、簡易吸収分割、簡易新設分割、簡易株式移転といったものがあり、それぞれ組織再編で使われる手法です。

    また簡易株式交換がそうであるように、特定の条件を満たすと株主総会をスキップすることができなくなっています。

    簡易株式交換以外の、簡易組織再編に該当する手法の詳細は以下の通りです。

    ①簡易事業譲渡(簡易事業譲受も含む)

    事業譲渡を行う会社は譲渡する資産の帳簿価額がその会社の総資産額の5分の1(あくまでこれは基準であり、定款で別の割合が定められているならそれに従う)を超えなければ、株主総会を省略することができます。

    さらに事業を譲受する会社は前述した事業だけでなく、他にも会社の事業全てを譲受する場合においても、その対価として交付する財産の帳簿価額の合計額が譲受する会社の純資産額の5分の1(こちらも定款で別の割合が定められているならそれに従う)を超えない場合であれば、株主総会をスキップすることが可能です。

    ちなみにここまで読んでいただければお分かりかと思いますが、簡易事業譲渡の要件が総資産額であるのに対し、簡易事業譲受の要件が「純資産額」になっています。

    この点がややこしくなっているので気を付けてください。

    ②簡易吸収合併

    吸収合併を行ううえでの存続会社は、合併の対価として交付する財産の合計額が存続会社の純資産額の5分の1、あるいは定款で定められた割合を超えない場合であるなら株主総会を省略することが可能です。

    ここでいう対価としての財産は「吸収合併を行った消滅会社の株主に交付する存続会社の株式の数に一株当たり純資産額をかけあわせた額の合計額」、「消滅会社の株主に交付される存続会社の社債」、「新株予約権、あるいは新株予約権付社債の帳簿価額の合計額」、「消滅会社の株主に交付する存続会社の株式といったもの以外の財産の帳簿価額の合計額」があてはまります。

    ただ、簡易吸収合併において株主総会をスキップできるのは存続会社であり、消滅会社はスキップできないので気を付けてください。

    ③簡易吸収分割

    分割会社は、吸収分割により分割承継会社に承継させることになる資産の帳簿価額の合計額が分割会社の総資産額の5分の1、あるいは定款で定められた割合を超えないのであれば株主総会決議を省略することができます

    分割承継会社の場合は分割の際の対価として交付する財産として「分割会社に交付する分割承継会社の株式の数に一株当たり純資産額をかけあわせた額の合計額」、「分割会社に対して交付する分割承継会社の社債」、「新株予約権、あるいは新株予約権付社債の帳簿価額の合計額」、「分割会社に対して交付する分割承継会社の株式といったもの以外の財産の帳簿価額の合計額」の合計額が承継会社の純資産額の5分の1、あるいは定款で定められた割合を超えていなければ株主総会を省略できます

    ④簡易新設分割

    分割会社は新設分割によって新たに設立した新設分割設立会社に承継させる資産の帳簿価額の合計額が分割会社の総資産額の5分の1、あるいは定款で定められた割合を超えない場合であれば、株主総会を省略することが可能となります。

    ちなみに新設分割と同じように新しく会社を設立することで行われる組織再編の手法である新設合併や株式移転の場合は簡易組織再編が適用されません。

    新設合併は吸収合併と同じ合併というカテゴリーに類される手法ですが、こちらでは簡易合併は認められていないので注意してください。

    簡易株式交換に対する反対株主が行う株式買取請求

    ①株式買取請求

    簡易株式交換に反対する株主がいた場合、その株主は株式買取請求を行うことができます。

    反対株主が出てくることは会社側にとってはあまりよくない状況ですが、株主が会社のステークホルダーである以上、その利益や権利はしっかりと守らなければなりません。

    そのため反対株主の株式買取請求にはしっかり応える必要があります。

    この際に気を付けてほしいことは、反対株主との協議です。

    基本的に反対株主は株主総会に先立つ形で反対通知を送り、株主総会で反対の意向を示します。

    ただ簡易株式交換のように株主総会を行わない場合や、その株主に議決権が与えられていない場合、反対通知はありません。

    そして反対株主は株式買取請求を行い、会社が適切な価格で株式を買い取るように会社側と協議に入ります。

    この時の協議がかなり複雑です。

    当然ながら株式買取請求を行う以上、反対株主は会社に適切な価格で株式を買い取るように要求します。

    しかし会社と反対株主の間で適切な価格に対するコンセンサスが取れているとは限らず、それぞれが適切だと考えている価格にギャップがあるケースは充分に考えられます。

    そして反対株主と会社との間で行われた協議が平行線のままになると、反対株主が株式の価格を巡って訴訟を起こす場合があります。

    そうなれば会社と反対株主との間の全面対決となり、組織再編どころではなくなってしまうでしょう。

    当然訴訟で勝利すれば、会社側が要求する価格での株式買取を行えますが、訴訟で敗北すれば想定していた以上のコストが発生してしまう恐れがあります。

    また、株主の中に投資ファンド(アクティビストファンド)が入っていた場合、訴訟を意図的に起こすことで会社が買い取る株式の価格を引き上げ、自分達の利益を高めようとすることもあります。

    もちろん全ての投資ファンドがこのような手段を使ってくるわけではありませんが、投資ファンドは投資している会社の株式の売却益で利益を稼ぐシステムであるため、株価の下落はなるべく防ごうと考えているものです。

    そのため訴訟とまではいかなくとも、簡易株式交換といった組織再編が不利益だと判断すれば株式買取請求を行い、より高い価格で買い取ってもらえるよう交渉を行ってくる可能性は充分に考えられます。

    相手が一般的な株主にせよ、投資ファンドにせよ、会社は簡易株式交換に限らず、組織再編を行う場合はなるべく株主の利益や権利を踏まえて計画を立てていく必要があります。

    簡易株式交換に限らず、そもそも組織再編などによって新たに子会社を加えたり、逆に子会社を切り離すことは株価に大きく影響する行為であり、場合によっては投資家に損失が発生し得るものです。

    しかし経営者が求める組織再編の理想像と株主側の理想像が異なっていますし、会社の利益と株主の利益が合致しないという場面はあり得るものです。

    実質的に確実に反対株主の発生を回避することは難しいでしょう。

    そのため会社側は万が一反対株主が買取請求を行ってきた場合に備えて、あらかじめ自分達が提示する株価が適切であることを説得できるロジックを準備しておくことも重要だといえます。

    まとめ

    今回の記事をまとめると以下のようになります。

    • 簡易株式交換は交付する財産が完全親会社の純資産の一定の割合以下だった場合に株主総会をスキップできるという株式交換の一種。
    • 特定の条件を満たしていると株主総会を省略できないので注意。
    • 略式株式交換は簡易株式交換と同様株主総会をスキップできる手法だが、株式交換を行う会社同士の支配関係が基準となっている。
    • 簡易組織再編は簡易株式交換を含めた株主総会をスキップできる組織再編の手法全体を指す言葉。
    • 簡易株式交換に対する反対株主がいた場合、反対株主の株式買取請求に対して会社はしっかり対応する必要がある。

    簡易株式交換は株主総会をスキップできるため、スピーディーに株式交換を行ううえで非常に有効的な手法だといえます。

    ただ簡易株式交換と似た、略式株式交換があるなど、紛らわしい手法が多くあるので混同しないように気を付けてください。

    また株主総会をスキップできる簡易株式交換、略式株式交換でも特定の条件を満たすと株主総会の省略ができなくなってしまいます。

    そのため実際に簡易株式交換を行う際には事前にどのような要件を満たしておくくべきかを慎重に検討しましょう。

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