2020年12月23日更新会社・事業を売る

簡易株式交換とは?略式株式交換との違いについても解説します

簡易株式交換は組織再編手法の1つである株式交換において、一番厄介なプロセスともいえる株主総会を省略できるメリットがあります。簡易株式交換が容認される要件の確認と共に、最大の注意点である反対株主への対応についても把握しておきましょう。

目次
  1. 株式交換とは
  2. 簡易株式交換とは
  3. 簡易株式交換と略式株式交換の違い
  4. 簡易株式交換と簡易組織再編の関係
  5. 簡易株式交換に対する反対株主が行う株式買取請求
  6. まとめ
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株式交換とは

株式交換とは、数あるM&A手法の1つであり、組織再編行為とも呼ばれているものです。具体的には、100%の完全親子会社の関係を構築することを目的として行われます。一方の企業が他方の企業を100%子会社にする方法は、その企業の全株式取得です。

通常のM&Aでは、他社の株式取得にあたって、その対価は金銭で支払われることが一般的ですが、株式交換手法の場合、その対価として、子会社になる企業の株主に対し、親会社となる企業の株式が交付されます。なお、株式の交付は絶対条件ではなく現金支払いも認められています。

また、通常の株式交換とは別に、簡易株式交換と略式株式交換というものに区分けされている株式交換があります。本記事では、そのうちの簡易株式交換について、詳細をひも解いていきます。

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簡易株式交換とは

株式交換を行う際、親会社となる会社が支払う対価(=交付する株式総額)が、その親会社の純資産額の5分の1以下である場合、簡易株式交換とされます。簡易株式交換では、その手続き過程で、株主総会決議を省略できるというメリットがあります。

通常、株式交換を実施する場合には、株主総会で特別決議を得なければなりません。しかし、非公開企業で株主数がごく少数の中小企業ならいざ知らず、上場企業などの大企業にとっては、株主総会の開催はとても手間と時間のかかる手続きです。

仮に、株式交換をスピーディーに進めたい場合などであれば、株主総会開催は余分な時間の浪費となる可能性があります。そのような際に、簡易株式交換であれば株主総会のプロセスをスキップできるため、迅速に株式交換を進めることが可能です。

ただし、親会社となる会社において、株式交換に反対する株主が総株式数の6分の1を超えていたり、株式交換差損が出る場合、また非公開企業が親会社となり譲渡制限株式を割り当てる場合では、株主総会を省略することはできない規定もあるので注意してください。

一見するとシンプルな手法にも思える株式交換ですが、上記のように規定が複雑な点も含まれています。やはり、M&A手法については、M&Aの専門家に任せた方が安心です。M&Aに関するご相談については、どのようなことでもM&A総合研究所にご連絡ください。

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簡易株式交換と略式株式交換の違い

簡易株式交換と略式株式交換の共通点および相違点についても触れておきましょう。略式株式交換も、簡易株式交換と同様に株主総会を省略できます。略式株式交換とは、株式交換実施以前に、親会社が子会社の90%以上の議決権を保有している状態で行われる株式交換のことです。

簡易株式交換が交付する財産の割合が基準になっていることに対し、略式株式交換は親会社・子会社という支配関係の確立状態が基準になっています。また、略式株式交換の場合も、株主総会を省略できない例外ケースが2件あります。

1件目は、子会社が公開企業であり種類株式発行会社ではない時に、譲渡制限株式が交付される場合です。2件目は、親会社が非公開企業であり、譲渡制限株式が交付される場合になります。なお、1件目については、株主総会において特殊決議が必要になるため注意が必要です。

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簡易株式交換と簡易組織再編の関係

冒頭で触れた組織再編行為には、株式交換の他に株式移転、吸収合併、新設合併、吸収分割、新設分割、現物出資、現物分配、スピンオフ、スクイーズアウトがあります。いずれも、その手続きを進める過程で株主総会での特別決議を得なければなりません。

ただし、簡易株式交換のように、ある条件を満たすと株主総会を省略できる組織再編行為は他にもあり、それらについては「簡易組織再編」と呼ばれています。その条件とは、組織再編の際に承継される純資産額が5分の1以下の軽微な場合です。

簡易組織再編が可能な組織再編は、株式交換以外だと吸収合併、吸収分割、新設分割が該当します。また、厳密には組織再編行為ではありませんが、類似するM&A手法である事業譲渡・事業譲受も手続きの簡易化が可能であるため、準じて簡易組織再編と括られる場合があります。

簡易吸収合併、簡易吸収分割、簡易新設分割、簡易事業譲渡・事業譲受の概要について、それぞれ以下に掲示します。

①簡易吸収合併

吸収合併を行ううえでの存続会社は、合併の対価として交付する財産の合計額が存続会社の純資産額の5分の1、あるいは定款で定められた割合を超えない場合であるなら株主総会を省略することが可能です。ここでいう対価としての財産とは下記のものを指しています。

  • 吸収合併を行った消滅会社の株主に交付する存続会社の株式数に1株当たり純資産額を掛け合わせた合計額
  • 消滅会社株主に交付される存続会社の社債
  • 新株予約権、あるいは新株予約権付社債の帳簿価額合計額
  • 消滅会社株主に存続会社株式以外で対価を支払う場合のその財産の帳簿価額合計額

ただし、簡易吸収合併において株主総会を省略できるのは存続会社のみです。消滅会社においては通例どおりの株主総会開催と決議が行われなくてはなりません。

②簡易吸収分割

事業を切り出して移転させる側の分割会社は、吸収分割により分割承継会社に承継させることになる資産の帳簿価額合計額が、分割会社の総資産額の5分の1、あるいは定款で定められた割合を超えないのであれば、株主総会決議を省略可能です。

一方、分割承継会社の場合は、分割の際の対価として交付する財産が以下のいずれかの条件において、分割承継会社の純資産額の5分の1、あるいは定款で定められた割合を超えていなければ株主総会を省略することができます。

  • 分割会社に交付する分割承継会社の株式数に1株当たり純資産額を掛け合わせた合計額
  • 分割会社に対して交付する分割承継会社の社債
  • 新株予約権、あるいは新株予約権付社債の帳簿価額合計額
  • 分割会社に分割承継会社株式以外で対価を支払う場合のその財産の帳簿価額合計額

③簡易新設分割

分割会社は、新設分割によって新たに設立された新設分割会社に承継させる資産の帳簿価額合計額が、分割会社総資産額の5分の1、あるいは定款で定められた割合を超えない場合であれば、株主総会を省略することが可能となります。

ちなみに、新設分割と同じように新しく会社を設立することで行われる組織再編手法である、新設合併や株式移転の場合は簡易組織再編が適用されません。その理由は、手法の特性上、移動させる資産や、交付する株式総額が5分の1以下に収まることがあり得ないからです。

④簡易事業譲渡・簡易事業譲受

事業譲渡を行う会社は、譲渡する資産の帳簿価額がその会社の総資産額の5分の1、あるいは定款で定められた割合を超えなければ、株主総会を省略することができます。ただし、定款で定められる割合は、5分の1より低い数値です。これは、どの簡易組織再編でも適用されます。

事業を譲受する会社側は、その対価として交付する財産の帳簿価額合計額が、譲受会社側の純資産額の5分の1、あるいは定款で定められた割合を超えない場合であれば、株主総会の省略が可能です。簡易事業譲受の要件は総資産額ではなく、純資産額が基準である点は留意してください。

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簡易株式交換に対する反対株主が行う株式買取請求

組織再編行為実施にあたっては、株主数が多いほど一人ひとりの考え方は多様ですから、中には会社が行おうとしている組織再編行為に反対する意思を持つ株主も現れます。それは、組織再編であれ、簡易組織再編であれ同様です。

本項では、簡易株式交換実施にあたって、それに反対する株主に認められている行為である株式買取請求の内容、およびその対処の仕方について掲示します。

①株式買取請求とは

簡易株式交換に反対する株主は、株式買取請求を行うことができます。株主の権利として、株式交換という組織再編に反対である以上、株主であることをやめるために株式を会社に買い取らせる請求を行うことが認められているのです。

反対株主が出てくることは会社側にとってはあまりよくない状況ですが、株主が会社のステークホルダーである以上、その利益や権利はしっかりと守らなければなりません。通常の株式交換であれば、反対株主は株主総会に先立つ形で反対通知を送り、株主総会で反対の意向を示します。

しかし、簡易株式交換では株主総会を行いませんから反対通知もなく、反対株主は直接、株式買取請求を行ってきます。この時の株式買取請求について、法令で買取金額の定めなどはありません。つまり、反対株主と会社との間で、株式の買取金額について協議に入ることになります。

②訴訟に発展する場合も

場合により、株式買取金額協議は複雑な様相を呈すことがあります。会社と反対株主の間で、適切価格という認識が一致しているとは限らないからです。そして、それぞれが考える価格にギャップがあると、協議は難航します。

さらには、反対株主が訴訟を起こすことすらあり得ます。訴訟で勝利すれば会社側が要求する価格での株式買取を行えますが、訴訟で敗北すれば想定していた以上のコストが発生してしまう恐れがあります。

また、株主の中に投資ファンド(アクティビストファンド)が入っていた場合、訴訟を意図的に起こすことで会社が買い取る株式の価格を引き上げ、自分達の利益を高めようとすることもあります。

全ての投資ファンドがこのような手段を使ってくるわけではありませんが、投資ファンドは投資している会社の株式の売却益で利益を稼ぐのが基本ですから、株価の下落はなるべく防ごうと考えているものです。

そのため訴訟とまではいかなくとも、簡易株式交換といった組織再編が不利益だと判断すれば株式買取請求を行い、より高い価格で買い取ってもらえるよう交渉を行ってくる可能性は十分に考えられます。

③株式買取請求への対応

相手が一般的な株主であるにせよ、投資ファンドにせよ、会社は簡易株式交換に限らず、どの組織再編を行う場合でも、できるだけ株主の利益や権利を踏まえて実行計画を立てていく必要があります。

簡易株式交換に限らず組織再編などによって新たに子会社を加えたり、逆に子会社を切り離すことは、実際、株価に大きく影響する行為であり、場合によっては株主に損失が発生し得るものです。

しかし、経営者が描く組織再編後の事業の見通しと、株主側が思い描く企業の理想像は異なりがちなものですし、一時的には会社の利益と全ての株主の利益が合致しないということは、あり得るでしょう。つまり、確実に反対株主の発生を回避することは元来、至難の業です。

したがって、会社側は万が一、反対株主が買取請求を行ってきた場合に備えて、反対株主から理解を得られやすい提示額と、その適切性を説明したうえで説得できるロジックを、あらかじめ準備しておくことも重要です。

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まとめ

簡易株式交換は株主総会を省略できるため、スピーディーに株式交換を行える有効な手法です。ただし、そのために無理に要件を満たそうとするのも考えものです。専門家とも相談のうえ、円滑な簡易株式交換の実施を心掛けてください。本記事の要点は以下のとおりです。

・株式交換とは
→100%完全親子会社の関係構築を目的に対価を株式交付で行う組織再編行為

・簡易株式交換とは
→特定要件を満たすと株主総会を省略できる株式交換

・簡易組織再編とは
→簡易株式交換とは別の要件内容の時に株主総会を省略できる株式交換

・略式株式交換とは
→簡易株式交換、簡易吸収合併、簡易吸収分割、簡易新設分割、簡易事業譲渡・事業譲受

・株式買取請求とは
→簡易株式交換などの組織再編行為に反対する株主の権利であり会社は真摯な対応が必要

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