2021年4月25日更新事業承継

農業の事業承継の手引き

農業の事業承継には、「親族内承継」「親族外承継」「M&A」の3種類の方法があり、それぞれに特徴やメリットがあります。昨今の農業従事者数の減少と平均年齢の上昇に伴い、農業分野では事業承継の重要性が増しています。本記事では、農業における事業承継の情報を解説します。

目次
  1. 農業の事業承継
  2. 農業における事業承継の現状
  3. 農業の事業承継が困難な理由
  4. 農業の事業承継を円滑に進めるために
  5. 農業事業承継の方法【株式会社・有限会社】
  6. 農業事業承継の方法【農業組合法人】
  7. 農業事業承継の方法【個人事業主】
  8. 農業事業承継のプロセス
  9. まとめ
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農業の事業承継

農業の事業承継

多くの企業では、経営者の高齢化が進行しています。それに伴い、事業承継のニーズが高まっています。事業承継とは、経営者が自身の会社を第三者に引き継ぐ行為をさします。

特に農業分野では、事業承継の必要性が増していますが、思うように事業承継が進まない現状もあります。そもそも農業に携わる農家を筆頭に、事業承継が浸透していないことが課題の一つです。

今回は、農業における事業承継に関して詳しくご紹介します。農業の事業承継に関する現状、具体的な方法、成功のコツを徹底解説します。農業に携わっている方は必見です。

農業における事業承継の現状

農業における事業承継の現状

農業業界における、事業承継の現状について確認しましょう。

農業従事者数の減少と高齢化

農業従事者の数は年々減少しています。ピークだった1970年〜80年代と比べていると、約半分まで減少し、加えて農業従事者の平均年齢は上昇しています。60歳以上の農業従事者数は、約30年前と比べて約2.3倍に増加しています。

今や農業従事者のうち、約8割が60歳以上となっており、今後さらに高齢化は進行します。農業従事者数が減少し続ける一方で、平均年齢が増加するのは非常に危機的な状況です。このまま事態が悪化する場合、農業の担い手がいなくなってしまう可能性も出てくるでしょう。

これは日本経済にとっても、日本の食文化にとっても由々しき事態です。国や農業従事者が一丸となって早急に対処する必要があり、事業承継やM&Aの活用は、農業従事者の若返り及び人数増加に効果的な手段となるでしょう。

事業承継の浸透

農業分野の危機的状況を改善するため、事業承継の浸透は非常に重要です。しかし農業分野では、他の業種よりも後継者への引き継ぎが停滞しています。「農林業センサス2015」によると、133万戸存在する販売農家戸数のうち、後継者がいるのはわずか65万戸【49%】となっています。

個人経営の場合、事業承継についてそもそも考えたことがないという農家も少なくありません。加えて農業従事者の考え方も影響しています。「まだまだ現役で仕事ができる」と考えている農業従事者が多く、事業承継について後継者としっかり話せていない場合がほとんどです。

「急に体調を崩した」「働けなくなった」と、何か問題が起こってからでは、事業承継は間に合いません。特に農業は、ノウハウや知識が重要な業界です。事業承継に向けて早い時期から準備・対策をしなくてはいけません。

企業の場合、事業承継でM&Aを行うケースが増えています。M&Aを検討したい場合にはM&A総合研究所までお問い合わせください。M&Aに豊富な知識と経験を持つアドバイザーがM&Aをフルサポートいたします。

料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です。(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)事業承継に関して無料相談をお受けしておりますので、お気軽にお問い合わせください。

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農業の事業承継が困難な理由

農業の事業承継が困難な理由

農業における事業承継は、後継者不足が深刻です。それ以外にも、農業業界特有の事業承継課題があります。それは、「後継者がいるものの、事業承継が円滑に進まない」という課題です。

後継者不足よりも、むしろこちらの方を問題視する声もあります。では、どうして農業の事業承継は円滑に進められないのでしょうか?ここでは、農業の事業承継が困難な理由を解説します。

経営者と後継者の価値観が一致しない

最も大きな問題が、「経営者と後継者の価値観不一致」です。前述のとおり、農業従事者の多くはバリバリの現役だと思っています。確かに高齢でも働けることは素晴らしいです。しかし、それが事業承継の足枷となることもあります。

自身の子供や後継者はまだまだ頼りなく、いつまでも事業承継を後回しにするケースが多く見受けられます。また、ベテランの農業従事者の方ほど、後継者の経営方針と対立する傾向があります。

後継者は、機械の活用による効率的な農業、新品種の販売に力を入れる傾向があります。しかし、経営者である農業従事者は伝統を重視するため、後継者の考えと対立しがちです。特に親子関係の場合、親として子供の異なる価値観への理解が不足する場合もあります。こうした対立が生じると、農業の事業承継は進まなくなってしまいます。

事業承継と相続を同一視

問題の背景には、事業承継についてよく理解していない現状もあります。特にありがちなのが、「事業承継と相続を同一視」しているケースです。相続は、先代の農業従事者が亡くなってから行われます。

しかし事業承継は、現経営者が生きている内から準備する必要があります。先代が亡くなってから始めては、農業の事業承継は成功しません。上記の理由で、農業の事業承継を後回しにしている経営者も多いです。

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農業の事業承継を円滑に進めるために

農業の事業承継を円滑に進めるために

事業承継の一助となり円滑に事業承継の実践に移せるよう、全国農業協同組合連合会(JA)では「事業承継ブック」を発刊しています。2018年の「事業承継ブック~世代を超えた話し合いのきっかけに~」でも、事業承継には実践する前段階として「知識」「準備」が必要だと示しています。

ここでは農業の事業承継を円滑に進めるための「コミュニケーション」と「早期対策」について解説します。

密接なコミュニケーション

経営者と後継者の価値観不一致は、農業事業承継の停滞を招きます。よって、腹を割って話し合う必要があります。今後の農業の方向性、経営の仕方について、互いの価値観を理解することが重要です。

経営者の方は、後継者の新鮮な考え方を理解し、歩み寄る姿勢を持たなければいけません。一方で後継者の方も、これまで農業に携わってきた現経営者の考えを尊重する姿勢を持ちましょう。お互いに認め合えば、農業の事業承継は円滑に実施できます。

早い時期からの対策

前述のとおり、事業承継は経営者が健康なうちから始めるものです。早い時期から計画を立て、後継者教育に時間を割く必要があります。農業に関するノウハウや知識、スキルは当然重要です。

加えて経営者は、自身の農業に対する熱意や理念も伝えなくてはいけません。ノウハウや熱意・理念は、長期間にわたり経営者が直接後継者に伝えていくものです。一長一短で身につくものではありません。その点を意識して、農業の事業承継を進めましょう。

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農業事業承継の方法【株式会社・有限会社】

農業事業承継の方法【株式会社・有限会社】

農業の事業承継を行う方法は、「親族内承継」「親族外承継」「M&A」の三つに大別できます。また、農業を営む組織形態によって、事業承継の方法ごとに特徴が異なります。組織形態ごとに、農業事業承継の方法について解説します。はじめに株式会社・有限会社が農業事業承継を行う場合の方法について解説します。

親族内承継

親族内承継とは、経営者自身の子供や兄弟、親族の誰かに農業を継がせる方法です。

メリット

後継者教育の時間を多く確保できる

子供に農業を継がせる場合、子供が小さい時から教えることも可能です。後継者が実際に経営できるまでには、およそ10年必要とされています。親族内承継ならば、10年かそれ以上の時間を費やせます。

周囲からの理解が得られやすい

跡継ぎが決定したら、従業員や取引先に紹介することが一般的です。その際、経営者の子供が後継者だと受け入れられやすいです。周囲からすると、後継者が跡取りだと抵抗感は持ちにくいです。

所有と経営の一致

親族内承継の場合、株式の財産は全て後継者に引き継ぎます。ですので、大企業のように会社の所有権と経営権が分離する事態を回避できます。

デメリット

適任の後継者が見つからない

後継者には農業の知識やノウハウだけでなく、経営者の資質や意欲も必要です。親族内に、資質や意欲を持ち合わせた後継者がいない可能性があります。

相続争いの恐れ

株式会社の場合、後継者以外にも相続人がいます。よって農業の事業承継時に、相続争いに発展する恐れがあります。

成功のポイント

早い段階から後継ぎを見つけ、後継者教育を実施することが重要です。また、親族間での相続争いの回避も不可欠です。

相続争いの結果、株式が分散して事業承継に支障をきたす可能性があります。事業承継後の農業運営をスムーズにできるように、後継者に株式を集中させる必要があります。

親族外承継

親族外承継とは、会社内の従業員や役員に農業を継がせる方法です。

メリット

後継者の質を担保できる

従業員や役員は、これまで長い間農業に携わってきました。そのため、後継者としての質を担保できます。

後継者のモチベーションアップ

会社員から企業のトップになれるため、経営者となる従業員のモチベーションが向上します。モチベーションの向上により、農業の運営にも良い影響を及ぼします。

デメリット

株式の取得に多額の費用を要する

基本的には、従業員が株式を買い取る形で事業承継を行います。しかし、従業員に全株式を買い取るだけの資金力がないケースが多いです。

従業員が事業承継を断る可能性がある

事業承継を実施した場合、後継者は債務や責任なども引き継ぎます。ですので、事業承継を引き受けてもらえない可能性があります。

成功のポイント

従業員が引き継ぎやすい会社作りに努めるのが重要です。後継者が連帯責任を負わずにすむために、銀行と交渉するのも一つの手です。もしくは、株式を無償で譲渡するのも有効な手段です。加えて、後継者候補としっかりと向き合い、農業の事業承継に納得してもらうのも重要です。

M&A

M&Aによって第三者に事業承継することも可能です。適格な後継者がいない場合にも、M&Aは有効な手段と言えます。

メリット

幅広い地域から後継者を探せる

M&Aを用いる場合、全国各地から農業の担い手を探せます。後継者が親族や自社内にいなくても、事業承継を実行できます。

事業の売却代金を獲得できる

M&Aによって事業承継することで、経営者は多額の売却利益を獲得できます。手に入れた利益で、悠々自適な老後生活を送れる可能性があります。

従業員の雇用が維持される

廃業した場合、農業に従事していた従業員の収入源が絶たれます。しかし、M&Aによって会社を売却することで、従業員の雇用が維持されるでしょう。

デメリット

希望の買い手が見つかるとは限らない

M&Aはタイミングが大事で、運の要素もあります。希望の買い手が見つかるとは限りません。中には買い手が見つかる前に、先代の農業従事者が亡くなるケースもあります。

従業員のモチベーションが低下する恐れがある

M&Aを実行すると、経営者や社風、評価システムなど何から何まで変わります。これまでとは違う環境に、農業に従事する人がストレスを感じる場合があります。

成功のポイント

極力希望どおりの条件で売却できるように、企業価値を前もって知り、高めておくことが重要です。具体的には、独自の農業ノウハウやブランド価値をできる限り強化しておきましょう。加えて従業員には、適切なタイミングでM&Aの実行を説明しなくてはいけません。

また、M&Aは売買契約次第とも言え、交渉の際は専門家に依頼するのがおすすめです。M&A総合研究所には、M&Aに豊富な知識と経験を持つM&Aアドバイザーが多数在籍しており、M&Aをフルサポートいたします。

料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です。(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)M&Aをご検討の際には、ぜひ無料相談までお気軽にお問い合わせください。

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農業事業承継の方法【農業組合法人】

農業事業承継の方法【農業組合法人】

基本的な部分は株式会社、有限会社と同じです。ここでは、「親族内承継」「親族外承継」「M&A」の三つに分けて、農業組合法人独自のメリット・デメリット・成功のポイントについて紹介します。

親族内承継

農業組合法人で親族内承継をする場合のポイントを見てみましょう。

メリット

組合員全員の意思が平等に反映される点がメリットです。農業組合法人では、組合員一人につき一議決権と決められています。そのため事業承継後も、農業運営に対して組合員全員の意思を平等に反映できます。

デメリット

農業組合法人では、組合員一人につき一議決権を持っています。そのため、円滑に後継者を決定できない可能性があります。意思決定に時間がかかり、後継者決定が難航する可能性がある点が大きなデメリットとなります。

成功のポイント

事業承継を実施する前に、あらかじめ組合員の同意を得ておくのが重要です。後継者を前もって紹介しておき、組合員の理解を得なくてはいけません。また、親族内での相続トラブル回避も、株式・有限会社の場合と同様に重要です。

親族外承継

農業組合法人で親族外承継をする場合のポイントです。

メリット

基本的には株式・有限会社のメリットと同じです。従業員に事業承継するので、農業運営に対するモチベーション向上に繋がります。

デメリット

経営権は後継者に譲渡できても、議決権は各組合員が平等に保有します。そのため、農業運営に対する意思決定が困難で、迅速にできないケースが多々あります。

成功のポイント

とにかく組合員の同意が必要不可欠です。事業承継後の農業運営も視野に入れ、あらかじめ今後の展開についても共有する必要があります。

M&A

ほぼ株式会社・有限会社の項で説明した内容と同じです。ここでは割愛するので、詳しくは先述の「農業事業承継の方法【株式会社・有限会社】」項を参考にしてください。

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農業事業承継の方法【個人事業主】

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基本的な部分は株式会社、有限会社と同じです。ここでも、「親族内承継」「親族外承継」「M&A」の三つに分けて、農業組合法人独自のメリット・デメリット・成功のポイントについて紹介します。

親族内承継

個人事業主で親族内承継をする場合のポイントを見てみましょう。

メリット

メリットは事業承継を実施しやすい点にあります。個人事業の場合、株式会社と比べて簡単に事業承継が可能です。現経営者が廃業届を出し、後継者が開業届を提出すれば完了します。

デメリット

個人事業で農業を営んでいる場合、生活と経営が分離していないことが多いです。ですので、事業承継の際に何を継ぐのかが不明瞭で把握がしづらいです。

成功のポイント

事業承継の際に何を引き継ぐのかを、あらかじめ明確にしておく必要があります。農業の運営に必要な資産と、普段の生活で用いる資産を明確に分けましょう

親族外承継

個人事業主で農業事業を親族外承継する場合のポイントです。

メリット

株式会社とは違い、事業承継の際に株式取得などの費用がかかりません。資金面を心配せずに、農業の事業承継を実施できます。

デメリット

親族内承継と同様に、何を引き継ぐのかが不明瞭です。

成功のポイント


承継する資産の明確化や、従業員が引き継ぎやすい会社作りに努めるのが重要です。

M&A

M&Aを活用する場合のメリットやデメリットは、他の組織形態における事業承継と同様です。ただし、農業の個人経営者がM&Aを活用する事例は稀です。よって、M&Aの専門家にあらかじめ相談するのをおすすめします。

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農業事業承継のプロセス

農業事業承継のプロセス

農業を事業承継する際、どんな手続きが必要なのでしょうか?農業の事業承継では、一つひとつプロセスを経る必要があります。ここでは「事業承継ガイドライン」を基に、農業を引き継ぐ際のプロセスをご紹介します。

①事業承継の必要性の把握

まず事業承継の必要性を認識しなくてははじまりません。多くの中小企業では、経営者が体調を崩したり亡くなったりしてから、事業承継を検討します。しかし、そのタイミングでは遅いです。

事業承継を成功させるためには、早くても3〜5年の期間を要します。状況によっては、10年以上かかるケースもあります。よって極力早い時期から、農業の引き継ぎを検討する必要があります。経営者が60歳に達したタイミングから、農業の引き継ぎに向けて対策を始めることが適切です。

②経営課題の把握

事業承継の必要性を把握したら、自社の課題を把握する必要があります。このタイミングで把握すべき経営課題は、下記になります。

財務状況

農業を運営する上で、当然資金繰りや収入・支出の管理は重要です。貸借対照表や損益計算書を確認し、自社の財務状況について改めて把握しましょう。

法律関係

法律関係に関する実態については、後々のトラブルを避けるために把握しなくてはいけません。具体的には、取引先との契約や株式の所有状況、許認可や特許の取得状況を確認します。また、訴訟などの法的なトラブルを抱えていないか、今一度確認しておくこともおすすめします。

事業の実態

自社が運営している農業ビジネスについて改めて把握しましょう。市場規模や競合相手、顧客などについて実態を知ることは重要です。事業の実態を把握することで、のちに説明する「会社の磨き上げ」に役立ちます。

後継者の有無

誰に引き継ぐかによって、実行すべき対策や用いる手法が異なります。ですので、現時点での後継者の有無についても必ず確認してください。

③事業承継に向けた経営改善

自社の状況が把握できたら、事業承継に向けて経営を改善します。このプロセスは、「会社の磨き上げ」と呼ばれます。自社の磨き上げを実行すれば、企業価値が上がり、魅力的な会社となります。その結果、後継者が引き継ぎやすくなります。

また、M&Aの際に買い手が見つかりやすくなります。農業の事業承継では、「会社の磨き上げ」は欠かせないプロセスです。「会社の磨き上げ」として、具体的には下記の対策を実施しましょう。

  • 自社の強み(農業のノウハウ等)をさらに伸ばす
  • 不要な資産や在庫を処分する
  • コンプライアンスを徹底遵守する
  • 無駄な経費を削減する

上記の施策により、企業価値の向上を図れます。

④事業承継計画の策定・M&Aの実行

事業承継計画の策定からM&Aの実行までの具体的な内容をお伝えします。

計画策定

親族内・従業員に事業承継する場合には、計画を作成します。会社の数年先を見据え、「いつ・誰に・何を・どのように」承継するのかを計画します。具体的には、下記の内容を計画に盛り込みます。

  • 事業承継の方針
  • 具体的な目標設定
  • 自社の現状分析
  • 円滑な事業承継に向けた課題の整理

計画をしっかり立てれば、農業の事業承継を円滑に遂行できます。また、作成した計画は取引先や従業員とも共有しましょう。共有することで、事業承継に対する理解・協力を得られやすくなります。

M&Aの実行

M&Aを用いる際には、基本的にM&A仲介会社などの専門家に業務を依頼します。M&Aの手順は、「M&A仲介会社の選出」と「買い手との交渉・契約」の二段階に大別できます。

第一段階:M&A仲介会社の選定

M&A仲介会社ごとに、得意な業種やM&Aの種類は違います。よって、農業分野に特化している仲介会社を選ぶのがベストです。また、事業承継型M&Aの経験が豊富であることも必要条件です。

加えて、M&A仲介会社ごとに手数料のシステム体系が異なります。複数のM&A仲介会社を比較し、費用面で有利なM&A仲介者を選びましょう。

第二段階:買い手との交渉と契約

実際に買い手が見つかったら、交渉を経て契約を締結します。その際重要なのは、「どのような形でM&Aを行うのか」の明確化です。用いるM&A手法や売却する範囲など、考えるべき事柄は多岐にわたります。可能な限り条件に合った相手に、事業承継することがベストです。

⑤事業承継の実施

親族や従業員に農業を継がせる場合、いよいよ事業承継を実行します。事業承継後は、全社一丸となって農業運営に取り組みましょう。これまで蓄積してきた農業ノウハウの活用も、当然ながら大事です。後継者自身がそれらを応用し、自身の経営スタイル確立することも重要です。

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まとめ

まとめ

農業分野における事業承継は、早い時期から円滑な引き継ぎに向けて対策することが必要です。自身の状況に合わせた事業承継の進め方を把握した上で実施をしましょう。要点は下記のとおりです。

・農業の事業承継に関する現状
→農業従事者の減少と高齢化が進行しているため、事業承継の実行が非常に重要

・農業の事業承継が困難な理由
→経営者と後継者の価値観が一致しない、事業承継と相続を同一視している

・農業事業承継の方法
→親族内承継、親族外承継、M&Aの3手法に大別できる。また、組織形態によってメリットや成功のコツが異なる。

・農業事業承継のプロセス
→①必要性の把握、②経営課題の把握、③事業承継に向けた経営改善、④計画の策定・M&Aの実行、⑤事業承継の実施

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