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2019年11月28日更新
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娘婿への事業承継

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この記事の監修専門家
M&A総合研究所 公認会計士
高谷 俊祐

娘婿への事業承継は税金面での負担が大きく、対策を講じる必要があります。事業承継税制や遺留分特例、補助金・融資活用など、娘婿への事業承継に有効な対策は存在します。娘婿への事業承継における注意点と課題を踏まえながら解説します。

目次
  1. 娘婿への事業承継
  2. 事業承継税制を活用した娘婿への事業承継と対策
  3. 遺留分特例を活用した娘婿への事業承継と対策
  4. 補助金・融資を活用した娘婿への事業承継と対策
  5. 娘婿への事業承継における注意点と課題
  6. まとめ

娘婿への事業承継

経営者の高齢化が進行し、経営者が高齢化するに伴い、事業承継の件数が増加しています。

親族や従業員に事業承継するケースが一般的ですが、娘婿に事業承継するケースも見受けられます。

娘婿への事業承継には、一般的な事業承継とは違うため注意が必要です。

この記事では、娘婿への事業承継対策や種類をお伝えします。

事業承継税制を活用した娘婿への事業承継と対策

娘婿への事業承継対策として、まずは事業承継税制をご紹介します。

今回ご紹介する対策の中でも事業承継税制は特に役立ち、是非とも活用を検討してください。

⑴事業承継税制の概要と娘婿への承継メリット

事業承継税制とは、非上場自社株式を相続もしくは贈与によって取得した際に、後継者の相続税や贈与税納税が猶予・免除される制度です。

中小企業のみ活用できる制度であり、「非上場株式等についての相続税猶予及び免除の特例」と「非常所株式等についての贈与税の納税猶予及び免除の特例」を合わせて事業承継税制と呼びます。

度重なる改正により、中小企業が使いやすい制度となっている点が特徴で、娘婿や親族外の後継者も適用対象となりました。

事業承継税制を利用すれば、娘婿へ事業承継する時に承継する全株式について相続税(贈与税)の全額を納税猶予できます。

課税されずに、娘婿への事業承継を実行できます。

娘婿への事業承継は通常よりも税負担が重いため、このメリットは非常に大きいです。

⑵娘婿が事業承継税制を利用できる条件

娘婿が事業承継税制を利用する為には、「人」「会社」「事業継続」の三要件をクリアする必要があります。

人の要件とは経営者や後継者となる娘婿が満たすべき要件のことで、筆頭株主である事が主な条件です。

会社の要件は事業承継税制を用いる会社が満たすべき条件であり、法律上の中小企業に該当する事が条件になります。

事業継続の要件としては、事業を5年間継続する事や雇用の8割維持を5年間平均で維持することが条件です。

平成30年度の税制改正により、書類を提出すれば雇用の8割維持を達成出来なくとも、税制を引き続き活用できる様に変わりました。

※関連記事

事業承継税制とは?事業承継税制の要件やメリット・デメリットを解説

遺留分特例を活用した娘婿への事業承継と対策

次に、遺留分特例を用いた娘婿への事業承継対策を紹介します。

事業承継税制は税負担軽減の上で重要ですが、遺留分特例は娘婿への経営権集中に役立ちます。

遺留分特例の活用も、事業承継税制と同じくオススメできる対策です。

⑴遺留分特例の概要と娘婿への承継メリット

遺留分とは、法定相続人が最低限受け継げる相続財産の取り分です。

仮に遺言により遺留分が侵害された場合、相続人は遺留分減殺請求権を行使し、地震の遺留分を取り返すことが可能です。

つまり遺言により娘婿に自社株を集中させても、遺留分減殺請求により株式が分散する恐れがあります。

株式が分散すると後継者となる娘婿の経営権が弱まる上に意思決定のスピードが遅くなり、結果として事業承継は失敗となります。

その事態を阻止する為に、娘婿への事業承継では遺留分特例を活用します。

遺留分特例とは、円滑な事業承継を実現する為に受けられる遺留分の特例です。

遺留分特例を利用すると、娘婿が取得する自社株式を遺留分の計算から除外(除外合意)したり、遺留分の計算に含める自社株価額を合意時の価額に固定(固定合意)出来ます。

つまり遺留分による自社株分散を気にせずに、娘婿への事業承継を実行できます。

⑵遺留分特例の利用条件

遺留分特例を活用する際には、娘婿を含めた推定相続人全員の合意と経済産業大臣や家庭裁判所の許可が必要です。

娘婿への事業承継にて遺留分特例を利用する際は、あらかじめ手続きを進めておきましょう。

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親族外承継

補助金・融資を活用した娘婿への事業承継と対策

最後に、補助金や融資を活用した娘婿への事業承継対策をご説明します。

⑴補助金・融資の概要と娘婿への承継メリット

事業承継では多額の税金がかかる上に、事業承継後も運転資金が必要です。

娘婿が円滑に事業承継を実施し、実施後も問題なく事業を継続する為には、十分な資金が必要です。

そこで娘婿の資金力を確保する為に、補助金や融資を利用する事も一つの手です。

様々な機関が事業承継に対する補助金や融資を実施しており、娘婿の事業承継でも役立てることが可能です。

今回の記事では、日本政策金融公庫の融資制度と、国の行う事業承継補助金の二つを紹介します。

①日本政策金融公庫の融資

日本政策金融公庫では、「事業承継・集約・活性化支援資金」と呼ばれる融資制度を行なっています。

この事業承継の融資では、運転資金や設備資金の借り入れを実施でき、最大で7億2,000万円(小規模事業者は7,200万円)まで融資してもらえます。

金利も1~3%と非常に低く、安心して必要な資金を借り入れることが可能です。

②事業承継補助金

事業承継補助金は、事業承継に伴い事業転換や経営革新を行う後継者を対象とした補助金です。

娘婿や親族外に対する事業承継でも活用できる上に、事業運営に必要なあらゆる費用が補助対象となります。

支給金額は約100万円〜600万円程度と少ないですが、資金返済が不要である点がメリットです。

⑵補助金・融資の利用条件

利用条件についても、日本政策金融公庫の融資と事業承継補助金に分けて解説します。

①日本政策金融公庫の融資

娘婿に対する事業承継で融資を利用する為には、中小企業経営承継円滑化法に基づいた認定を受ける必要があります。

この認定は、納税猶予や遺留分特例の利用でも必要です。

②事業承継補助金

事業承継補助金を利用する為には、経営革新や事業転換の実施に加え、雇用創出等による地域貢献も必要となります。

事業承継補助金は採択率が10%程度と非常に低く、確実に資金調達する目的には不向きですが、返済不要の資金ですので挑戦する価値はあります。

娘婿への事業承継では通常よりも費用が多くかかる傾向があるので、少しでも負担軽減に向けて努めることが重要です。

※関連記事

事業承継補助金とは?採択率やM&Aでの活用を解説

娘婿への事業承継における注意点と課題

子供への事業承継とは違い、娘婿への事業承継では税金面で大きなデメリットが存在します。

この項では、娘婿への事業承継における注意点を2つ紹介します。

⑴贈与税の基礎控除・相続時精算課税制度を利用できない

親族内で事業承継する場合、税負担を考えて経営者の生前に自社株を引き継ぐ(生前贈与)場合が多いです。

生前贈与を用いた事業承継では、「暦年贈与」か「相続時精算課税制度」のうちいずれかの課税方法を選択できます。

直系親族に対する事業承継であれば、どちらの方法を選んでも税制上優遇されます。

暦年贈与を選択した場合、年間110万円までの自社株承継を非課税で実施できます。

相続時精算課税を選択すれば、最大で2,500万円までならば非課税で自社株を引き継げます。

しかし、娘婿は直系の親族ではないため、上記の税制優遇が適用されません。

つまり娘婿への事業承継では、贈与税の基礎控除や相続時精算課税を適用できません。

通常の事業承継と比べた場合、娘婿への事業承継では税負担が重くなってしまいます。

⑵相続税が加算される

贈与税の負担を回避する為に、遺言によって娘婿に自社株を遺す経営者の方もいます。

遺言によって事業承継する方法は「遺贈」と呼ばれますが、遺贈による事業承継では相続税が課税されます。

相続税は多額となる為、事業承継を躊躇する要因となり得ます。

娘婿への事業承継ですと、通常の事業承継よりも相続税負担が大きくなります。

法律上法定相続人である親族以外への遺贈(相続)には、相続税の金額が2割加算される仕組みとなっています。

娘婿は当然法定相続人ではないため、相続税が2割加算されます。

以上が娘婿へ事業承継する場合の注意点になります。

贈与、遺贈どちらを選んでも、娘婿への事業承継では通常よりも税負担が重くなってしまいます。

税負担を変えることは難しいため、娘婿への事業承継を実施する際は、何かしらの対策を講じる必要があります。

※関連記事

事業承継とは?方法や事業承継税制・補助金、M&Aでの活用について解説

まとめ

今回は、娘婿への事業承継に関して解説しました。

娘婿への事業承継には、相続時精算課税が利用できないといったデメリットが存在します。

特に税金面での負担が大きい為、娘婿への事業承継の際には様々な対策を実施することが欠かせません。

事業承継税制や遺留分特例など、娘婿への事業承継に有効な対策は存在します。

条件の厳しい制度もありますが、可能な限り負担の軽減に努めることで、円滑に娘婿へ事業承継出来るでしょう。

要点をまとめると下記になります。

  • 事業承継とは

→会社の経営権や資産を信頼できる後継者に引き継ぐこと

  • 娘婿への事業承継における注意点

→贈与税の基礎控除や相続時精算課税制度が利用できない、相続税が2割加算される

  • 事業承継税制の概要(メリット)

→承継する全株式について相続税や贈与税の全額免除を受けることができる

  • 事業承継税制の利用条件

→「人」「会社」「事業継続」の三要件をクリアする

  • 遺留分特例の概要(メリット)

→除外合意や固定合意による株式の分散を気にせずに事業承継できる

  • 遺留分特例の利用条件

→娘婿を含めた推定相続人全員の合意と経済産業大臣や家庭裁判所の許可が必要

  • 補助金の概要(メリット)

→外部の資金力を利用した上で事業承継できる

  • 補助金の利用条件

→各制度によって様々だが、一般的に条件は厳しい

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