2025年6月22日更新事業承継

事業承継補助金とは?対象者・申請方法・支援機関まで専門家が解説

事業承継を成功させる鍵は適切な支援機関選びです。この記事では、公的機関から民間まで、相談先の特徴、補助金、選び方のポイントを専門家が解説します。

目次
  1. 事業承継における国の支援と現状
  2. 公的機関による主な事業承継支援策
  3. 事業承継支援機関の支援サービス・機関を利用するメリット・デメリット
  4. 民間の事業承継支援機関のサービス・利用するメリット・デメリット
  5. 失敗しない!【事業承継 支援機関】の選び方と活用のコツ
  6. 事業承継で活用できる補助金・助成金制度
  7. 事業承継の支援を効果的に受けるために事前に準備すべきこと
  8. 事業承継の支援まとめ
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事業承継における国の支援と現状

近年、日本では事業承継の支援が重要視されており、国もバックアップしています。日本企業の大多数を占める中小企業では後継者問題を抱えているところも多く、経営者自身で解決できずに廃業を選ぶケースが少なくありません。

しかし、その多くは事業が問題なく継続できる状態であり、そういった企業の存続は経済の活性化や雇用促進につながるため、政府は事業承継ガイドラインなどを作成して事業承継支援を行っています。

中小企業経営者は、事業承継支援のサービス内容・支援を行っている機関・助成金制度などを知っておくと、いざというときに役立つでしょう。

事業承継における支援の必要性:主な2つの理由

事業承継における支援が必要とされる主な理由は2つあり、1つ目は深刻化する後継者問題を解決するためです。

近年は、少子化や事業の将来の不透明性などで、経営者の周りに後継者がみつからないケースも多くなっています。そのようなケースでは、M&Aを活用した第三者への事業承継が有効な解決手段ですが、その促進には支援が必要です。

2つ目の理由は、後継者を育成する十分な時間がないことです。後継者を育成するまでに必要な期間は、5~10年程度といわれています。

しかし、実際には事業承継を考え出す時期が遅かったり、日々の経営に追われてしまい後継者を探して育成できないまま引退時期を迎えたりするケースが多くみられます。

経営者自身だけではスムーズな事業承継が困難である企業が多いことが、事業承継支援が必要とされる理由です。

事業承継の相談はどこへ?主な相談先7選と各機関の特徴

事業承継支援を行っている相談先は身近にもたくさんあります。ここでは、以下の7つを見ていきましょう。

【身近な事業承継支援の相談先】

  • 顧問の公認会計士・税理士
  • M&A仲介業者
  • M&Aマッチングサービス
  • 取引先の金融機関
  • 親族・知人・友人
  • 役員・従業員
  • 他社の経営者・取引先の経営者

顧問の公認会計士・税理士

顧問の公認会計士・税理士に事業承継について相談できます。日頃から接している税理士であれば、相談しやすいというメリットがあり、事業承継にかかる税務や事業承継税制に関する相談もできます。

また、M&Aに特化している公認会計士の場合は、M&A・事業承継時の価額を決定する際の企業価値算定や財務デューデリジェンスにおいて大いに力を発揮してくれるでしょう。

しかし、公認会計士や税理士のメインの業務は監査や税務相談、申告の代行などであり、M&Aや事業承継に関わる業務には精通していないケースが多いため、事前に確認しておくと良いでしょう。

最近ではM&A・事業承継に関する支援を行っている会計士事務所や税理士事務所もあり、M&A仲介会社とのネットワークを有していることも多いので、紹介してもらえる可能性もあるでしょう。

【関連】M&Aにおける公認会計士の役割や業務内容、依頼するメリットを詳しく紹介!
【関連】事業承継における税理士の仕事内容は?相談するメリット・必要な能力も解説

M&A仲介業者

M&A仲介会社を選ぶ際は、まず自社の規模や業種、希望する事業承継の形態(株式譲渡、事業譲渡など)に強みを持つかを確認することが重要です。

その上で、料金体系(着手金・中間金・成功報酬の有無や料率、最低報酬額など)、過去の成約実績(同業種・同規模案件の経験)、担当アドバイザーの専門性や相性、さらには弁護士や公認会計士、税理士といった専門家チームとの連携体制が整っているかを多角的に比較検討しましょう。

仲介会社によっては、相談料が無料であったり、中間報酬の支払いがない完全成功報酬型の料金体系を採用している場合もあります。これにより、M&A・事業承継が成約に至らなかった場合のリスクを低減できます。

また、M&A・事業承継を成功に導くためには、法務・財務・税務など多岐にわたる専門知識が不可欠です。企業価値評価(バリュエーション)、デューデリジェンス(買収監査)、契約書作成、M&A後のPMI(経営統合)支援まで、一貫して質の高いサポートを提供できる体制があるかどうかが、安心して手続きを進めるための鍵となります。

【関連】M&A仲介会社とは?失敗しない選び方、FAとの違い、手数料まで専門家が徹底解説【2025年最新版】

M&Aマッチングサービス

最近ではM&Aマッチングサービスを利用するケースも増加しています。M&Aマッチングサービスとは、インターネット上でM&Aのマッチングができるサービスであり、自社に興味を持った相手先と直接交渉を行うことも可能です。

時間や場所を選ばずに利用でき、一般的にM&A仲介会社に依頼するよりもコストを抑えられる点が大きなメリットです。

しかし、多くのM&Aマッチングサービスでは、交渉戦略の立案、契約書の作成・レビュー、デューデリジェンス(買収監査)の実施といった専門的なサポートは限定的、あるいは提供されない場合がほとんどです。

そのため、M&Aの実務経験が豊富な人材が社内にいない場合は、別途M&Aアドバイザー、弁護士、公認会計士などの専門家に個別に依頼する必要が生じ、結果として追加費用や調整の手間がかかる点に注意が必要です。

一部のプラットフォームではオプションとして専門家サポートを提供していますが、そのサポート範囲や費用は契約前に詳細を確認することが不可欠です。

【関連】オススメのM&Aマッチングサイト・売買サービス

取引先の金融機関

銀行などの金融機関でも事業承継に関する相談ができるケースがあります。取引先の金融機関であれば、自社の財務状況を把握しており、M&A・事業承継にあわせて融資の相談もできる上、馴染みがあるので相談しやすいでしょう。

最近は、M&A・事業承継の相談窓口を設けている銀行などもあり、金融機関の顧客である企業を紹介してもらえる可能性もあります。ただし、金融機関によってはM&A・事業承継のサポートを提供していなかったり、小規模案件は取り扱っていないケースもあるため、事前に金融機関に確認しておくと良いでしょう。

 

【関連】事業承継を銀行に相談するメリットは?銀行の役割と相談時の注意点も解説

親族・知人・友人

親族・知人・友人に事業承継の相談をし、後継者候補を探す方法もあります。親族内に後継者となりたい人物がいれば、事業を引き継ぐことが可能です。

M&Aによる事業承継を検討している場合なども、トラブルを避けるため事前に親族へ相談しておくとよいでしょう。

知人・友人を介して後継者を探す方法もあります。しかし、実際には後継者候補がみつかる確率は高くないうえ、経営者として適任であるかはわからないことを考慮しましょう。

役員・従業員

自社の役員や従業員から後継者候補を探す方法もあります。長く一緒に働いているので適正や能力も把握できているため、適任者に事業を引き継げる点が大きなメリットです。

役員や従業員であれば経営理念や会社の内情などもよく知っているため、その後の経営も安心して任せられるでしょう。

しかし、経営権を掌握するのに必要な株式取得は有償による譲渡が一般的であるため、多額の資金を用意しなければならない問題があります。

他社の経営者・取引先の経営者

他社の経営者・取引先の経営者に事業承継支援の相談をする方法もあります。中小企業同好会など経営者同士でのネットワークもあるため、後継者や事業承継先を紹介してもらえる可能性もあるでしょう。

しかし、ネットワークの広さは専門家に比べると限りがあるうえ、みつかったとしても自社の希望条件と合致するかどうかは別問題といえます。

その他

そのほかには、公的機関が行っている事業承継の支援サービス窓口で相談する方法もあります。国の支援政策により、事業承継・引継ぎ支援センターや事業引継ぎ相談窓口が各都道府県に設置されています。

事業承継に関する悩みを無料で相談でき、民間企業に依頼してM&Aを行う場合のセカンドオピニオンとして利用することも可能です。公的支援機関については、次章でくわしく解説します。

公的機関による主な事業承継支援策

ここでは、事業承継の支援サービス・機関について見ていきましょう。自社の事業を円滑に引き継ぐためには専門家の助言が役立つので、どのようなサービスがあるか知っておくとよいです。

事業承継・引継ぎ支援センター

事業承継・引継ぎ支援センター は、国により設けられている公的な相談窓口です。親族内承継や第三者への引継ぎなど、中小企業が抱える事業承継のさまざまな相談に対応しています。

次に紹介する後継者人材バンクも、事業承継・引継ぎ支援センターによる支援内容のひとつです。

事業承継・引継ぎ支援センター

後継者人材バンク

後継者人材バンクとは、事業を行う意思のある起業家(個人)と自社を引き継ぎたい会社をマッチングさせるためのデータベースです。登録されている起業家は経営者になりたい意識の高い人ばかりなので、ミスマッチが少ない点でメリットがあります。

しかし、後継者人材バンクの認知度はまだ低いため、自社の希望条件に合った相手とマッチングできる可能性は高いといえません。

【関連】後継者人材バンクについて解説します

よろず支援拠点

よろず支援拠点は各都道府県に設置され(各1箇所)、中小・小規模事業者の経営に関するさまざまな相談に、地域の支援機関などと連携しながら対応しています。

よろず支援拠点では、事業承継に関する相談に対して専任スタッフによる支援が受けられます。また、事業承継だけでなく、経営・資金繰り改善や事業再生など、さまざまな悩みについても相談可能です。

各よろず支援拠点ではセミナーも開催されているので、興味がある場合は公式ホームページで確認してみるとよいでしょう。

よろず支援拠点

事業承継ガイドライン

事業承継ガイドラインは中小企業庁が策定したもので、事業承継の方法、必要な準備、対策など、円滑な事業承継に欠かせない基本事項が書かれています。

事業承継ガイドラインのステップに沿って進めていくとで、スムーズに事業承継を行えるようにまとめられています。

事業承継ガイドラインとほぼ同じ内容を、図解やイラストを用いてわかりやすく解説した「事業承継マニュアル」もあるので、初めにこちらを読んでみるのもよいでしょう。

【関連】事業承継ガイドラインとは?活用方法や中小企業庁が策定した背景を解説

農林水産省の手引書

農林水産省は「農業経営の円滑な承継に向けて」という手引書を出しています。日本では事業承継問題の解決が課題となっていますが、特に農業は深刻な状態です。農業従事者の高齢化や後継者不在などが多くみられ、日本の農業は衰退の一途をたどっています。

こうした状況に歯止めをかけるために作成された手引書であり、有形・無形の資産の見える化する方法や補助金など、農業経営者が知っておきたい事業承継に関する内容がまとめられています。

農業経営の円滑な継承に向けて −進め方とポイント−

事業承継・引継ぎ補助金:M&A費用や経営革新を支援

M&A(事業再編・事業統合を含みます)の実施に伴い必要となる専門家(M&A仲介業者、ファイナンシャルアドバイザー、弁護士、税理士など)への依頼費用(仲介手数料、デューデリジェンス費用、企業価値評価費用など)や、事業承継後の経営革新(新しい設備の導入、新市場への進出、新商品・サービスの開発など)にかかる費用、さらには既存事業の廃業にかかる費用(在庫処分費、原状回復費など)の一部を補助するのが、事業承継・引継ぎ補助金です。

この補助金は中小企業庁が管轄する主要な支援策の一つであり、事業承継を資金面で後押しします。

公募は年に数回行われることが一般的ですが、予算や制度内容が変更される可能性もあるため、中小企業庁のウェブサイトや事業承継・引継ぎ補助金の公式サイトで最新の公募情報、対象となる事業者や経費の要件、補助率、補助上限額などを常に確認し、計画的に申請準備を進めることが極めて重要です。

M&A支援機関登録制度

M&A支援機関登録制度も、中小企業庁による支援です。中小企業がM&Aを安心して行える土台を築くために、M&A支援機関にかかる登録制度を初めています。
 

M&A支援機関登録制度

法人版事業承継税制

非上場企業の株式承継に伴う贈与税・相続税の納税負担を大幅に軽減(猶予・免除)する制度が、法人版事業承継税制(特例措置)です。これは中小企業庁が推進する重要な支援策で、この特例措置の適用を受けるためには、2026年(令和8年)3月31日までに「特例承継計画」を都道府県庁に提出し、認定を受ける必要があります。

その後、2027年(令和9年)12月31日までに実際に株式の贈与または相続による事業承継を行う必要があります。計画提出期限が延長されましたが、期限が迫っていますので、早期の検討と準備が推奨されます。

日本政策金融公庫等の融資、信用保証

日本政策金融公庫等の融資、信用保証では、株式買い取りや相続税支払いなど、承継の際に欠かせない各種資金について、融資や信用保証を受けられます。これは、中小企業庁による金融支援です。

中小企業基盤整備機構ファンド事業

中小企業基盤整備機構ファンド事業では、ファンドを用いて、MBOを含んだ事業承継ができます。

ファンドから投資を受けることは有効な資金調達手段なので、ファンドからの投資を望む中小企業者へ、情報提供や投資交渉に対する経営や資金における計画作成などを支援しています。

事業承継支援機関の支援サービス・機関を利用するメリット・デメリット

事業承継の支援サービス・機関を利用する際はメリット・デメリットを把握したうえで相談することが大切です。この章では、事業承継の支援サービス・機関を利用するメリット・デメリットを解説します。

事業承継の支援サービス・機関を利用するメリット

事業承継の支援サービス・機関を利用するメリットは、M&A仲介会社などの民間事業者と比べて、費用が抑えられることです。事業承継・引継ぎ支援センターへの相談やマッチング、後継者人材バンクへの登録、これらを無料で利用できる点が大きなメリットです。

事業承継・引継ぎ支援センターやよろず支援拠点は各都道府県にあるため、M&Aの民間事業者が少ない地方経営者が比較的利用しやすいことも、メリットのひとつといえるでしょう。

事業承継の支援サービス・機関を利用するデメリット

事業承継の支援サービス・機関を利用するデメリットとしては、認知度の低さからくる実績数の少なさ、M&Aの民間事業者に比べるとサポート範囲に限界があることです。

事業承継・引継ぎ支援センターなど公的機関の支援実績は徐々に増えていますが、その存在や支援内容を知らない経営者もまだ多いのが現状です。

また、相談やマッチングまでは無料で行ってくれますが、紹介先専門家の支援が必要となる場合は別途依頼することになり、その費用や手間もかかります。

民間の事業承継支援機関のサービス・利用するメリット・デメリット

事業承継の支援は公的機関によるものだけでなく、民間事業者のサービスも選べます。どちらが自社に合っているのかを判断するためには、双方のメリット・デメリットを把握しておく必要があります。

この章では、民間の事業承継支援サービス・機関を利用するメリット・デメリットについて見ていきましょう。

民間の事業承継支援サービス・機関を利用するメリット

民間の事業承継支援サービス・機関であるM&A仲介会社の場合、M&Aの仲介サポートを専門に扱っているため多数の実績があり、その経験によって培われたノウハウも持っています。

企業価値をより高める方法や、売却価格や希望条件を満たすための交渉力なども有しているため、非常に心強い存在です。

また、M&A仲介会社の場合は相手先企業探し・戦略策定・交渉・クロージングまで、M&A一連の流れをワンストップで支援を行っているため、公的機関に比べるとスピード感のある対応が受けられやすい点もメリットです。

無料相談を行っているM&A仲介会社も多いので、まずは相談してみましょう。

民間の事業承継支援サービス・機関を利用するデメリット

民間の事業承継支援サービス・機関を利用するデメリットは、公的機関のサービスに比べると費用負担が大きくなることです。

サポートを依頼する専門家によって料金体系は変わりますが、M&A仲介会社の場合はまずM&Aが成約した際に成功報酬が発生します。

それ以外に、相談料・着手金・中間報酬などが設定されている仲介会社もあるので、その場合は当然費用負担もさらに大きくなります。

しかし、最近は完全成功報酬制というM&Aが成約するまで費用が発生しない料金体系を採用しているM&A仲介会社も増えているので、初期費用負担を抑えてワンストップ支援を受けたい場合は、そのような会社を選ぶとよいでしょう。

失敗しない!【事業承継 支援機関】の選び方と活用のコツ

事業承継の成否を大きく左右する支援機関選びは慎重に行う必要があります。ここでは、自社に最適な支援機関を見つけ、効果的に活用するためのポイントを解説します。

自社の課題と目的に合った支援機関のタイプを見極める

まず、自社が抱える事業承継の課題(後継者不在、相続対策、M&A希望など)や、事業承継を通じて達成したい目的(従業員の雇用維持、事業の成長、創業者利益の確保など)を明確にすることが重要です。

その上で、各支援機関(公的機関、金融機関、M&A仲介会社、税理士・会計士事務所、M&Aマッチングプラットフォームなど)が持つ専門性や得意分野、提供サービスを比較し、自社のニーズに最も合致するタイプの機関を選びましょう。

例えば、親族内承継で税務や法務のアドバイスが中心なら税理士、広範なネットワークからM&Aの相手先を探したいならM&A仲介会社が適している場合があります。
 

複数の支援機関を比較検討する際のチェックポイント

一つの支援機関に最初から絞り込むのではなく、複数の候補をリストアップし、比較検討することが賢明です。比較する際には、以下の点をチェックしましょう。

  • 実績と専門性: 自社の業種や規模、希望する承継形態(親族内、M&Aなど)における実績は十分か。担当アドバイザーの専門知識や経験は豊富か。
  • 料金体系: 相談料、着手金、中間金、成功報酬の料率や算定基準、最低報酬額などが明確で、納得できるものか。追加費用の発生可能性も確認しましょう。
  • 提供サービスの範囲: 事業承継計画の策定支援、後継者育成、M&Aの相手探しからクロージングまで、どこまでの範囲をサポートしてくれるのか。
  • 担当者との相性: 長期間にわたる付き合いになるため、担当者とのコミュニケーションが円滑か、信頼関係を築けそうかといった相性も重要です。
  • 情報管理体制: 機密情報の取り扱いに関するセキュリティ体制は万全か。

支援機関との連携を成功させるためのコミュニケーション術

支援機関との良好な関係を築き、最大限のサポートを引き出すためには、積極的かつ透明性の高いコミュニケーションが不可欠です。

  •    自社の情報を正確かつ正直に伝える: 経営状況、財務状況、事業承継に関する希望や懸念事項などを包み隠さず伝えましょう。
  • 期待する役割と成果を明確にする: 支援機関に何を期待しているのか、どのような成果を目指しているのかを具体的に共有します。
  •  定期的な進捗確認とフィードバック: 定期的にミーティングの機会を設け、進捗状況を確認し、疑問点や要望があれば速やかに伝えましょう。
  • 契約内容の確認: 業務委託契約書の内容(業務範囲、責任、費用、契約期間、秘密保持義務など)を十分に理解し、不明な点は契約前に解消しておきましょう。

これらのポイントを押さえることで、信頼できる支援機関を選び、事業承継を円滑に進めることができるでしょう。

事業承継で活用できる補助金・助成金制度

事業承継を検討する際、費用の面で躊躇してしまう中小企業は少なくありません。しかし、事業承継の際に利用できる助成金や補助金もあるので、利用条件や内容を知っておけば有利に行えます。この章では、事業承継の支援のための助成金について見ていきましょう。

事業承継・引継ぎ補助金とは?目的と概要を解説

中小企業における事業承継を支援するため、政府は事業承継支援助成金という制度を設けています。事業承継やそれに伴う事業再編・経営革新などを行う中小企業に対して経費の一部を補助し、日本経済の活性化を図ることを目的としています。

助成金の交付額や適用要件は年度によって異なるため、詳しく確認することをおすすめします。

要件の詳細については、事業承継補助金のホームページに記載されているので、申請を検討している場合は事前によく確認しておきましょう。

事業承継・引継ぎ補助金の一般的な申請手続きと注意点

事業承継・引継ぎ補助金を申請する際の一般的な流れと注意点は以下の通りです。

まず、公募開始後に公開される公募要領を徹底的に熟読し、自社が補助対象者の要件を満たすか、計画している経費が補助対象となるかなどを詳細に確認します。多くの場合、申請には認定経営革新等支援機関(税理士、会計士、金融機関、商工会議所など)による事業計画の確認や支援、および確認書の発行が必要となります。

申請手続きは、原則として政府の補助金申請システム「jGrants(ジェイグランツ)」を利用した電子申請で行われます。申請にはGビズIDプライムアカウントの取得が必須となるため、事前に準備しておきましょう。採択結果も同システム上で通知されるのが一般的です。

無事に採択され交付決定を受けた後、補助事業を開始できます。重要な注意点として、原則として交付決定日より前に契約・発注・支払いを行った経費は補助対象外となります(事前着手届が認められる場合を除く)。補助事業の実施期間も厳格に定められていますので、期間内に事業を完了させる必要があります。

補助事業が完了したら、定められた提出期限内(例:事業完了日から30日以内または最終提出期限日のいずれか早い日)に、経費の証拠書類などを添付した実績報告書を提出します。事務局による審査・検査を経て補助金額が最終的に確定し、その後、指定した金融機関口座に補助金が振り込まれます(精算払い)。

なお、補助金交付後も、一定期間(通常5年間程度)は事業の状況を報告する義務(事業化状況報告など)が課せられるほか、補助事業によって大きな収益が生じた場合には、補助金の一部または全部を国庫へ返納する「収益納付」の対象となる場合もあります。

これらの義務を怠ると、補助金の返還や加算金の支払いを求められることがありますので、交付後も適切に対応することが重要です。

事業承継の支援を効果的に受けるために事前に準備すべきこと

事業承継の支援を受ける際は、事業承継で自社がどのような事項(条件)を重視するのか相談前にまとめておくことが大切です。

公的機関による支援・民間事業者による支援のどちらを利用するにせよ、M&Aによる事業承継では相手先との交渉によって条件や価格が決まります。ときには譲歩が必要になるため、どこまでなら譲れるのかなど優先度についても考えましょう。

このようなポイントをあらかじめ整理しておくと相談もスムーズに行え、支援する側も適切なアドバイスやサポートがしやすくなり、効率的に事業承継を進めることが可能です。

M&A・事業承継ならM&A総合研究所

事業承継の支援まとめ

今回は事業承継支援を行っている機関やサービスについて紹介しました。現在、国も事業承継支援に力をいれており、補助金や助成金制度を設けています。

どのような支援機関があるのか、また、受けられるサービスや活用できる制度を知っておくと、事業承継が必要になった際に役立てられるでしょう。

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