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M&Aのスキーム

M&Aのスキーム

目次

    M&Aのスキーム

    M&Aを行う際に入念にチェックしておきたいのがM&Aのスキームです。

    M&AのスキームはM&Aの基本的な構想そのものを示すものですが、その内容はM&Aをどのような手法で行うか、買い手と売り手、どちらの立ち位置にいるかによって変わってきます。

    M&Aスキームを設計する際、手法や買い手、売り手のどちらの立場に立つのかを踏まえた上で設計する必要があります。

    今回はM&Aスキームがどのように変化するかをお伝えしていきます。

    M&Aスキームとは

    そもそもM&Aスキームとはどんなものでしょうか。

    スキームとは英語で「基本構想」、「基本計画」、「仕組み」という意味を持っています。

    つまりM&Aスキームは実行するM&Aの基本的な構想、計画を意味しており、「どんな流れでM&Aを行うか」を意味しているといえます。

    M&Aスキームに決まった形というものはありません。

    M&Aには様々な手法があり、いずれもプロセスが異なっています。

    そのためどの手法を取るかによってM&Aスキームは大きく変わります。

    加えてM&Aの買い手側にいるのか、売り手側にいるのかによってもM&Aスキームは変わります。

    M&Aを行う際、自分の会社がどのような立ち位置にいるのか、どのような手法を使うのか、様々な観点からM&Aを設計していく必要があります。

    M&Aスキームを設計しているかどうかでそのM&Aでかかる負担は大きく変わります。

    M&Aにおける負担を軽減し、理想的なシナジー効果を獲得するためにもM&Aスキームは慎重に検討するようにしましょう。

    M&Aスキームに影響するM&A手法の種類

    どのようなM&A手法を選ぶかによってM&Aスキームは変わっていくものです。

    ここではM&Aに使われる様々な手法についてお伝えしていきます。

    ①株式譲渡

    M&Aで最も使われる手法が株式譲渡です。

    株式譲渡はその名の通り売り手となる会社が買い手となる会社に株式を譲渡することによって経営権を獲得させることで成立します。

    公的機関を通さず当事者である会社同士の株式譲渡契約だけで実行できるため、スピーディーに実行できることが株式譲渡の最大のメリットです。

    一方、株式譲渡は売り手となる会社を包括的に承継するため、売り手となる会社が持っている簿外債務や不要な資産などを受け継いでしまうことがデメリットです。

    また株式譲渡は公的機関を通さないで成立させることが可能であるため、プロセスが誤っていても見落としてしまう可能性があります。

    その点も留意しておく必要があります。

    ②事業譲渡

    事業譲渡は会社内の事業を譲渡するという手法です。

    事業単体を譲渡するため、不採算部門の整理や新事業の立ち上げなどといったケースで使用されます。

    事業譲渡を行う際、買い手となる会社は契約の範囲内で承継するものを選ぶことが可能になります。

    そのため不要な資産や負債などを選別して除くことが可能です。

    ただ、従業員の雇用契約や事業の許認可などが白紙になってしまうため、取り直す手間がかかります。

    ③合併

    合併は会社同士が統合する形で新しい組織を作る手法です。

    合併は吸収合併と新設合併の2種類があり、前者は既存の会社と合併、後者は新たなに会社を設立してそこに当事者である全ての会社が合併されるという形で行われます。

    新設合併に関してはかなり手間がかかるため、あまり使用されることはありません。

    合併は当事者となる会社のいずれかが消滅する点が特徴であり、株式譲渡同様包括的に売り手となる会社を承継するものです。

    ④株式交換

    株式交換は売り手となる会社の株式全てを取得することでその会社を完全子会社化するという手法です。

    株式交換は会社の買収や組織再編などを目的にして行われる手法であり、関連会社や支配関係の整理に使われることが多くあります。

    株式交換は株主の同意が必要なく、会社同士の合意で行えるためスピーディーに実行できるという点や対価に現金ではなく株価が使うことができるという点がメリットとして挙げられます。

    ⑤株式移転

    株式移転は組織再編で使われる手法であり、新しく会社を設立し、その会社に株式を取得させるという手法して完全親会社・完全子会社の関係を作るというものです。

    株式移転はホールディングス(持株会社)を設立するために使われます。

    また株式交換同様、株式移転でも株式の交付を対価とすることができます。

    株式移転は買収には不向きな手法であり、どちらかというと組織再編に使われることが多いです。

    ⑥会社分割

    会社分割は事業譲渡に近い手法であり、会社内の事業の権利義務の一切、あるいは一部を分割して他の会社に承継させるというものです。

    会社分割も合併同様、2つの手法があり、吸収分割と新設分割の2種類があります。

    吸収分割は既存の会社に事業を分割するというものであり、新設分割は新しい会社を設立して取得させる手法です。

    新設分割に関しては会社単体で行うことが可能です。

    ただ会社分割は事業譲渡と違い、分割した事業を包括的に承継するため、契約の範囲内で承継するものを採択できない手法になっています。

    M&Aスキームにおけるスケジュールと注意点

    M&Aスキームを設計の際にスケジュールをどのように決めていくかは重要なプロセスだといえますが、そのスケジュールを組む際には一定の注意点を意識しておかなければなりません。

    一般的なM&Aスキームにおいて、スケジュールは以下のような形になります。

    • 秘密保持契約の締結
    • M&Aの対象となる会社の情報開示
    • デューデリジェンス
    • デューデリジェンスの過程で基本合意書を締結
    • デューデリジェンスの結果を踏まえたうえで本契約の締結
    • 効力発生日にクロージングを終える

    ただ、このスケジュールの詳細を決める上で、明確な決まりはなく、買い手となる会社と売り手となる会社双方が行う交渉によって決定されていきます。

    スケジュールを含め、M&AスキームはM&A案件の目的や規模、選ばれた手段などによって変わってくるものですが、結局のところ、当事者同士の交渉によって決定される一面は否定できません。

    理想的なM&Aスキームの設計は当事者である会社の交渉力次第ということになります。

    交渉の過程でお互いのマスト条件を出し合い、いずれを譲歩すべきかを検討していく過程でM&Aスキームは決定づけられていきます。

    しかしM&Aの目的によってはマスト条件がM&Aスキームに取り入れられないという状況も発生し得るものです。

    例えば事業承継を目的としたM&Aは経営者の引退が念頭にあるため、どうしても時間は制限されてしまいます。

    そのため、言ってしまえば足元を見られる可能性もあり、事業承継を行いたい売り手となる会社のマスト条件が全く通らないという可能性もあり得るわけです。

    このような点を踏まえると、M&Aスキームを変化させるファクターとは別に、M&Aスキームを決定づけるファクターは交渉だということができます。

    そのためM&Aを行う際には、しっかり交渉力のある人材を活用できるかどうかがカギになるといっても過言ではないでしょう。

    売り手となる会社のM&Aスキームの考え方

    売り手となる会社のM&Aスキームを考える際、重要な要素となるのは「対価+譲渡価格」と「実施時期」です。

    実施時期に関してはさきほどお伝えしたように、事業承継を目的としたM&Aのように時期が制限されている場合はいかに早くM&Aを成約に至らせるかが重要となります。

    また買い手となる会社と違って売り手となる会社は選ばれる側であり、売却のタイミングが重要になります。

    対価の方では売り手となる会社がより高く譲渡価格を設定し、一番価値のある対価で受け取ることができるようにしましょう。

    前者に関してはM&Aの目的によっては譲歩せざるを得ない場面が多いです。

    とりわけ経営再建や事業承継を目的としたM&Aでは譲渡価格はどうしても買い手となる会社に合わせてしまうことの方が多いかと思います。

    対価に関してはやはり流動性が高い形式で受け取ることが重要です。

    未公開会社の株式や新株予約権のような対価だと現金化が難しいため流動性が低く、現金化しようとしても余計な手間がかかってしまうことになります。

    それを考えると対価はなるべく現金で受け取ることができるように交渉した方がいいでしょう。

    これらの点を考えるとスピーディーにプロセスを遂行できるうえに現金で対価を受け取ることができる株式譲渡を前提としたM&Aスキームが売り手となる会社にとって理想的なものになるといえます。

    同じようにスピーディーに行える株式交換(ただし場合によっては株主総会が必要)や株式譲渡と同じようなメリットが得られる吸収合併も適しているといえますが、前者は相手が上場会社であることが前提であることに加えて対価として交付された株式を換金するタイミングによっては価格が変動してしまう可能性があるというリスクが、後者は債権者手続きや株主総会という手間があるため時間がかかってしまうというデメリットがあるので留意してください。

    経営者が売却後に経営に関わりたいという意志があるのなら、株式交換や吸収合併の方がメリットがあるケースもあります。

    買い手となる会社のM&Aスキームの考え方

    買い手となる会社のM&Aスキームを考える場合「対価+譲受価格」と「経営権(持株比率)」が重要になります。

    売り手となる会社とは対照的に、買い手となる会社はいかに予算の範囲内で買えるかは大事指標になります。

    譲受価格に関しては交渉次第という一面はありますが、買い手という立場である以上売り手となる会社より要望を通しやすいといえます。

    無理な条件で交渉してもM&Aが成立する可能性は低いため、時には譲歩しながら譲受価格を設定してくことが重要です。

    また対価に関しては未上場会社であれば現金以外の対価が難しいなど、売り手となる会社の形態によって一定の制限が課されてしまう可能性があります。

    いずれにしても売り手となる会社に配慮したM&Aスキームを組む必要性があるでしょう。

    経営権に関しては買い手となる会社がどのような関係でシナジー効果を得たいかによってM&Aスキームが変わってきます。

    完全子会社にしたいのであれば株式交換や株式譲渡を前提にしたM&Aスキームが考えられますし、合併の形でよいのなら吸収合併、事業だけが欲しいのであれば会社分割や事業譲渡などが前提のM&Aスキームをおのずと取るようになるでしょう。

    買い手となる会社はM&Aの目的で手法が決まりやすいうえに、時間の制限もあまりないため、対価の形式にこだわりがなければ売り手となる会社と比べるとM&Aスキームの設計はしやすい一面もあります。

    まとめ

    今回の記事をまとめると以下のようになります。

    • M&AスキームはM&Aの目的や手法、買い手か売り手かによって変わってくる。
    • M&Aスキームに影響するM&Aの手法は様々な種類があり、それぞれ全く異なる手法であることに留意しておく。
    • M&Aスキームにおけるスケジュールは基本的な流れはあるものの、交渉によって具体的な内容が決まる。
    • そのためM&Aスキームの設計において交渉力は非常に重要となる。
    • 売り手となる会社のM&Aスキームは「対価+譲渡価格」と「実施時期」を重視して考える必要がある。
    • 買い手となる会社のM&Aスキームは「対価+譲受価格」と「経営権」を重視して考える必要がある。
    • 売り手と買い手だと、買い手となる会社の方がM&Aスキームを決めやすい傾向がある。

    M&AスキームはM&Aの目的や規模、手法など様々なファクターによって内実が変わるものです。

    そのため、買い手となる会社にせよ売り手となる会社にせよ、どのようなM&Aを理想としているかを念頭においてM&Aスキームを設計していく必要があります。

    しかしM&Aスキームを最終的に決定づけるのは会社同士の交渉であり、その交渉でどれだけお互いのマスト条件を通すことができているかです。

    会社の交渉力が問われる場面になるため、買い手と売り手双方が尽力する必要があります。

    お互いにマスト条件を突きつけ合うだけではM&Aスキームは決まらないため、どこで譲歩するのか考え、時には相手の立場を認めながら交渉を進めていくことがM&Aスキームを設計するうえで重要だと言えるでしょう。

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