2024年11月22日更新事業承継

事業承継を銀行に相談するメリットは?銀行の役割と相談時の注意点も解説

事業承継について銀行に相談する際、いくつか注意すべき点があります。この記事では、事業承継における銀行の存在意義をご紹介します。事業承継について銀行に相談しても最終的な判断はご自身でしなくてはいけませんが、銀行とうまくお付き合いしていきましょう。

目次
  1. 事業承継を銀行に相談するメリット
  2. 事業承継を銀行に相談する際の注意点
  3. 事業承継に関する銀行への相談内容
  4. 事業承継に関して銀行に相談する際の流れ
  5. 事業承継における買い手から見た銀行の役割
  6. 銀行以外に事業承継を相談できる相手
  7. 銀行による事業承継に向けた施策に関するニュース
  8. 事業承継における銀行の役割まとめ

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事業承継を銀行に相談するメリット

一般的に銀行と聞くと、お金を預ける所または貸してくれる所の印象を抱きます。事業承継の観点から見ても銀行は、事業承継に必要なお金を貸してくれる機関ですが、銀行はお金のやりとりだけでなく相談役としても力になる存在です。

今回は、事業承継における銀行の活用方法、特に相談役としての活用方法をメインに解説します。それでははじめに、事業承継を銀行に相談するメリットについて紹介していきます。

  1. 適格なアドバイスをくれる
  2. 事業承継の相続問題に対応
  3. 信頼関係を構築しやすい

①適格なアドバイスをくれる

事業承継を実施するとき、考慮すべきさまざまな要素の中でも資金面について最も心配を感じている経営者が多いです。売り手企業であれば、これまで融資を受けていた銀行への相談が必要になります。

一方で、買い手企業であれば、事業承継に必要な資金を調達しなくてはいけません。とはいえ、融資の返済を早められたり、現段階で融資を中止されたりするのではないかという不安から、銀行への相談をためらう方もいるでしょう。

実際、自社よりも業績が悪い第三者に対して事業承継する場合、上記の事態になる可能性はあります。しかし、銀行は融資などによって会社の経営状況をよく把握しているため、的確なアドバイスを行ってくれるというメリットがあります。

②事業承継の相続問題に対応

個人で銀行から融資を受けている場合、連帯保証人になっているケースが多いです。その債務保証を解除してもらううえで銀行への相談は不可欠なので、事業承継を検討した際には融資を受けている銀行へ相談するのがベターです。

また、銀行は事業承継の相続時に発生する、金銭的な問題にも相談にのってくれます。株式譲渡などによる相続税が膨大になってしまうケースもあり、その際の相続税対策として融資などの提案を行ってくれる可能性もあります。

③信頼関係を構築しやすい

銀行の融資は会社に対して行われますが、それ以上に信頼の置ける経営者に対して行われているともいえます。事業承継の検討をはじめた段階で銀行に相談すると、後継者への信頼が構築しやすく、事業承継を行った後も融資を引き続き受けやすくなる可能性があります。

また事業承継における後継者不足は、大きな社会問題となっています。後継者の選択肢が狭いときも銀行に相談することにより、銀行独自の幅広いネットワークを活かして第三者への承継の提案などもしてくれます。

双方が納得する後継者の選任を行うことが結果的に、後継者と銀行の信頼関係構築につながるというメリットがあります。

事業承継を銀行に相談する際の注意点

会社を売りたいとき、銀行への相談は有効的な方法ですが注意点もあります。以下では、事業承継を銀行に相談する際の注意点について、そして注意点を回避する方法も紹介していきます。

  1. 売り手側が不利になる可能性
  2. 利益相反になる可能性

①売り手側が不利になる可能性

事業承継の相談を銀行にすると、銀行子会社の証券会社やM&A仲介会社をすすめられます。また、支援する代わりに報酬を支払うように営業をかけられる可能性があり、買い手側と銀行にとって有利な事業承継になる可能性があります。

銀行側にとっては事業承継を行った後にも安心して融資できる環境を望むため、融資している会社と全く関係のない企業と事業承継することに不安を感じます。そのため売り手側にとっては、銀行の関与により不利な事業承継になる可能性があります。

②利益相反になる可能性

銀行側が買い手を紹介するだけならば特に問題ありませんが、買い手企業への資金提供や、証券会社への顧客紹介などを実施すると利益相反となる可能性があります。

そのため、銀行へは相談のみを行い、事業承継先はM&A仲介会社に相談することをおすすめします。

事業承継で失敗しないためには?

前述したとおり、売り手側が不利にならないためにも銀行へは相談のみ行うことをおすすめします。そして、事業承継先や事業承継の方法などに関しては、M&A仲介会社など専門機関からアドバイスを受けるのがベストです。

銀行が紹介してくれる買い手であれば、事業承継の手続きをスムーズに実行できます。これらを踏まえて事業承継を検討している際には、経験豊富なアドバイザーが多数在籍している、M&A総合研究所までお気軽にご相談ください。

M&A仲介会社であるM&A総合研究所は、豊富な知識と経験を持つM&Aアドバイザーが、ご相談からクロージングまで丁寧にサポートいたします。

料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です。(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)無料相談をお受けしておりますのでお気軽にお問い合わせください。

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事業承継に関する銀行への相談内容

事業承継の際、銀行には何を相談すべきなのか、以下で具体的に紹介していきます。

  1. 事業承継の前段階の相談
  2. 自社株対策
  3. その他

①事業承継の前段階の相談

経営者が引退を考えていても、後継者問題を解決できなくては事業承継できません。前述しましたが、事業承継を検討している段階で銀行に相談して、銀行から買い手を紹介してもらうことも有効な手段です。

しかし、説明したとおり、自社にとって不利な事業承継になる恐れがあります。自社にとって不利になる取引相手を紹介された場合は、しっかりと断ることが大切です。

②自社株対策

自社株を後継者に譲渡する形で事業承継を行う場合には、自社株の評価について知っておく必要があります。自社株が高額になっていると支払う税金も高額になり、結果的に事業承継したにもかかわらずほとんど資金が残らないことがあります。

そうしたリスクを避けるために自社株の評価を下げる方法など、自社株対策について銀行に相談しましょう。この点は、事業承継の負担を減らすうえで非常に重要なポイントです。

③その他

その他にも銀行に相談すれば、下記のような事業承継に役立つ知識を得られます。

  • 相続時の税金対策
  • 事業承継実行までの経営方法
  • 会社の整理方法

上記の通り、銀行では事業承継に関するさまざまな事柄を相談できます。しかし、あくまで最低限の相談に留めて、自社にとって有利な事業承継を実施することが大切です。

【関連】事業承継の戦略策定方法!手法別メリット・デメリット、成功ポイント、事例も徹底解説

事業承継に関して銀行に相談する際の流れ

中小企業庁が公表している「事業承継ガイドライン」では、事業承継のプロセスを以下のように示しています。

【親族内・従業員への承継の場合】

  1. 事業承継の準備が必要であることを理解する
  2. 経営状況や課題を明確化する(可視化)
  3. 経営改善に取り組み、事業価値を高める
  4. 事業承継計画を作成する
  5. 実際に承継を実行する
  6. 第三者への承継の場合:

【事業承継の準備の重要性を認識する】

  1. 経営状況や課題を整理する(可視化)
  2. 経営改善を行い事業価値を向上させる
  3. 適切な買い手を探す(マッチング)
  4. M&Aを実行する

特に地方銀行では、経営者が事業承継の第一歩として「準備の必要性」を認識する段階での相談が多く、初期段階の支援窓口としての役割を果たしています。一方、具体的な承継計画の策定や実行段階では、専門家を紹介する銀行や、都市銀行・投資銀行など専門サービスを提供する機関が対応する場合が一般的です。

銀行に相談する際は、自分がどの段階の支援を求めているのかを明確にしておくことが重要です。初めての相談や事業承継の基礎を知りたい場合は、取引のある銀行が良い選択肢ですが、具体的な計画や実行を進める際は、専門家やM&A仲介会社を検討するのが適切な場合もあります。

事業承継における買い手から見た銀行の役割

前項までは、売り手側から見た銀行との関わり方について解説しました。一方、買い手側からの視点から見ても、「お金を貸すこと」を本業としている銀行は事業承継において重要な存在です。

一般的な事業承継やM&Aの場合、買い手側の企業には支払った金額および負債の差額と取得した資産に対して法人税が課税されるなど、事業承継ではさまざまな場面で資金が必要になってきます。

銀行では必要条件を満たしていれば、低い金利で融資を受けられるうえ、中小企業ならば保証制度なども整っています。そのため、融資を実施してくれる銀行は、買い手側にとっても心強い存在です。

【関連】銀行融資と金利の基礎知識!算出方法、低金利で融資を受ける方法をご紹介

銀行以外に事業承継を相談できる相手

銀行以外に事業承継を相談できる主な相手先をご紹介します。

弁護士・公認会計士・税理士

事業承継において、公認会計士や税理士は財務・税務デューデリジェンスを担当し、買収側企業がリスクや適正な買収価格を判断するための情報を提供します。

また、税務面での優遇制度の確認や売却側企業の評価(バリュエーション)を行う場合もあります。信頼関係がある顧問会計士や税理士は相談しやすい反面、M&A全般の経験が乏しい場合や支援範囲が限られる場合もあります。

一方、弁護士は契約書の作成や法務デューデリジェンスなど、法的サポートを提供します。トラブル時の対応も可能ですが、M&A専門の経験が不足しているケースがあり、相談料が課題となる場合もあります。

それぞれの専門性を理解し、適切な支援を求めることが重要です。

公的機関

事業承継・引継ぎ支援センターは、後継者不足に悩む中小企業や個人事業主を対象に、事業承継やM&Aに関する相談、情報提供、マッチングなどを行う公的機関です。2021年4月に全国で設置され、47都道府県すべてに相談窓口があるため、地方企業も利用しやすく、無料で公平なアドバイスが受けられるのが特徴です。

さらに、必要に応じてM&A仲介会社や専門家を紹介する体制も整備されています。一方で、公的機関であるため対応スピードが遅い場合があり、支援範囲や実績が民間仲介会社に劣ることもあります。利害関係がない公平な助言を求める初期段階の相談に適していると言えるでしょう。

M&A仲介会社

M&A仲介会社は、売却企業と買収企業の双方と契約し、中立的な立場でM&Aをサポートする専門機関です。初期相談から相手先企業の選定、企業価値評価、交渉、資料作成など、M&Aの全工程を支援します。

仲介会社の強みは、広範なネットワークを活用して両者が納得できる相手を見つけることで、満足度の高いM&Aを実現しやすい点にあります。

さらに、初心者でも安心して進められるよう、一貫して支援する体制が整っており、情報の整理や交渉も円滑に行われるため、M&A成立の確率が高まるのもメリットです。

一方で、着手金や中間金が発生する場合が多く、費用面での負担がデメリットとなります。また、交渉の結果、売却価格が希望より低くなる場合もあるため、条件を慎重に検討する必要があります。

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銀行による事業承継に向けた施策に関するニュース

銀行による事業承継に向けた施策に関する主なニュースをピックアップしてご紹介します。

みずほFGによる事業承継のニーズのある会社を積極支援するための体制整備

みずほフィナンシャルグループ(FG)は、後継者不足に直面する約1万6000社の中堅・中小企業を対象に、事業承継支援を強化しています。特にオーナー経営者への支援に重点を置き、相続や資産運用、株式承継、不動産の見直し、M&AやMBOファイナンスなど、多岐にわたる提案を行います。

グループ全体での連携を強化し、信託銀行や証券会社の専門性を活かした多面的なサービスを提供。銀行と信託を合わせて100人規模のコンサルタント部隊を組織し、財務・法務・会計の知見を駆使して支援します。

特にみずほ信託銀行は200人の承継コンサルタントを配置し、「承継のみずほ信託」を掲げ、専門性の高い提案に注力しています。

参考:経済産業省「みずほ、1万6000社の事業承継で相続・運用など取引拡大」

relayによる日本政策金融公庫と宮崎銀行からの協調融資実行

ライトライトは、事業承継マッチングプラットフォーム「relay」を運営し、地域経済の活性化を目指しています。同社は、日本政策金融公庫宮崎支店と宮崎銀行から1.1億円の協調融資を受け、この資金を「relay the local」プログラムの導入加速に充てます。

このプログラムでは、第三者承継を通じてUIJターンを促進し、地域経済を活性化させ、持続可能な地域社会の構築を目指します。

ライトライトは「地域に、光をあてる。」をミッションに掲げ、廃業の危機に直面する小規模事業者を支援。人々が住みたい地域で暮らし続けられる未来を創るため、システム開発や人材採用に力を入れています。

オープンネーム事業承継「relay(リレイ)」、日本政策金融公庫と宮崎銀行より1.1億円の協調融資を実行

事業承継における銀行の役割まとめ

経営者として重要なことは、「使えるものは使う」精神です。自社にとって不利な事業承継を実施した際は、経営者のみならず従業員にも影響があるため、事業承継を成功させるためにもしっかりとした対策が必要です。

事業承継について銀行に相談しても、最終的な判断は自身でしなくてはいけません。以下にまとめたポイントを抑えながら、銀行とうまくお付き合いしていきましょう。

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