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2021年5月1日更新事業承継
破産手続きとは?法人・個人の破産手続きの流れと費用
破産にはネガティブなイメージが伴いますが、借金返済の負担が大きすぎる場合に破産で財産を守れることもあります。破産の手続きは複雑であり、予備知識もなく破産手続きを行うと思わぬ手間が発生します。弁護士のような専門家に依頼しましょう。
目次
破産手続きとは?法人・個人の破産手続きの流れと費用
破産にネガティブなイメージはつきものですが、ときには破産も有効的な手段として機能します。財産の有無によって手続きの方法や期間が変わります。
破産の手続きを知っている人は少なく、万が一に備えてあらかじめ必要な手続きを知っておいたほうがいいでしょう。今回は、破産手続きの流れやメリット・デメリットについてお伝えしていきます。
そもそも破産手続きとは
破産手続きとは、裁判によって債務者の財産、相続財産、信託財産を清算する処理です。債務者自身が申請することを「自己破産」と呼び、債権者が申請することを「債権者申立て」といいます。
具体的な手続き処理の内容としては、裁判所が選任する破産管財人が債務者の財産を整理し、債権者に弁済・配当します。金銭に変換できる財産がないケースでは、破産手続きが廃止される事例もあります。
当然、そのときは、破産管財人も選任されません。また、財産を金銭に変換しても債務を支払い切れないこともありえます。その際は、破産手続きとは別の免責手続きによって支払い義務を免れることも可能です。
破産手続きで財産を管理する仕組み
破産手続きの開始と同時に、破産申請者の財産は破産管財人によって管理されます。個人破産のケースでは、破産者を経済的に更生させるために、あえて金銭に変換しない自由財産も認められます。この自由財産を除く債務者の財産が「破産財団」という形でまとめられます。
ただし、債務者の財産に対して所有権を持つ人も中にはいます。その場合、真の権利者は「取戻権」を行使して、破産財団から財産を回収することも可能です。このように、破産財団から財産が流出していきますが、破産管財人の調査で新しい財産が流入することもあります。
財産の流入や流出をとおして破産財団が定まり次第、債権者に弁済・配当される仕組みです。
破産手続きにおける債権者の制限
破産財団の内容が確定する前に、債権者が破産者の財産を回収することも考えられます。特定の債権者にだけ弁済されると不公平が生じ、収拾がつきません。そのため、破産者が支払い不能になった場合、基本的に債権者の個人的な債権回収は制限されます。
この制限は「支払い不能の拘束力」と表現されています。上記に該当する債権者の行為は、最悪破産犯罪として罪を問われかねないので、債権者と破産者ともに慎重な対応を取らなくてはなりません。
破産手続き後に信用が回復するまでの期間
自己破産した場合には、信用情報機関にその旨が事故情報として記録されます。信用情報機関は、消費者金融や銀行など金融機関の間で共有されるデータベースです。
信用情報機関ごとに記録される期間は異なり、日本信用情報機構の場合は免責許可決定から5年間、全国銀行協会の場合は免責許可確定後の官報掲載から10年間とされています。多少前後することをふまえ、信用回復までにかかる期間は7〜10年程度との見方が一般的です。
破産手続きの種類と期間
破産手続きは2種類あり、それぞれ流れが異なります。破産の申請者が財産を持っているか否かによって変わってきます。それぞれの破産手続きは、下記のとおりです。
同時廃止
同時廃止は、一定以上の財産を持たない人が行う破産です。破産手続きと同時に破産が成立することが特徴であり、素早く手続きができます。そもそも破産の申請者は負債などで財産を持っていないことが多く、同時廃止で破産手続きを行うケースが大半です。
後述する管財事件と違い、同時廃止は財産を処分する手間がないため、弁護士などに依頼して手続きを開始すれば3ヶ月〜半年ほどで完了できます。
管財事件
管財事件は、一定以上の財産を持つ人が行う破産です。管財事件は財産の調査や、金銭に変えていく換価というプロセスが必要になります。しかし、保持する財産によってプロセスの期間とともに手続き完了までの期間も大きく変わります。
同時廃止が3ヶ月〜半年であるのに対し、管財事件は半年〜1年以上は手続きに時間がかかると見込んだほうがいいでしょう。一方、破産手続きを弁護士に依頼しているのであれば、少額管財という手続きが行われることがあります。
少額管財であれば3ヶ月〜半年程度と、同時廃止と同様のスピードで手続きを完了させられる可能性が高いです。また、破産手続きを弁護士に依頼する場合、その報酬が変わる点に注意しましょう。管財事件は手続きが煩雑になりやすく、弁護士の報酬が大きくなります。
具体的な報酬額は弁護士の裁量次第ですが、同時廃止と比べると管財事件の手続きにおける報酬は倍以上の金額になることも珍しくありません。少額管財になった場合でも、同時廃止より報酬が高くなるので気を付けてください。
破産手続きの流れと必要な書類の準備
破産手続きの流れは大まかにまとめると下記のとおりです。必要な書類が多いだけでなく、面接の準備もしなければなりません。手続きを無事完了できるよう、事前に流れを把握しておきましょう。
必要な書類の準備
まずは、破産手続きに必要な書類を準備します。必要な書類は下記のとおりです。
- 破産手続開始及び免責申立書
- 陳述書
- 債権者一覧表
- 財産目録
- 家計の状況
- 住民票(本籍が省略されていないもの)
- 戸籍謄本
- 給与明細書の写し
- 源泉徴収票の写し
- 市民税・県民税課税証明書
- 預金通帳の写し
- 賃貸契約書の写し
- 不動産登記簿謄本
- 退職金を証明する書面
- 車検証の写し
- 自動車の査定書
- 保険証券の写し
- 保険解約返戻金証明書
- 年金などの受給証明書の写し
破産手続きに必要な書類は多いので気を付けましょう。ただ、一部の書類に関してはインターネットでダウンロードできるので、準備に手間がかかりません。また、収入印紙や郵便切手なども必要であるため、事前に準備しておきましょう。
破産の審尋
書類や申立書など必要書類を提出して約1ヶ月が経過すると、審尋と呼ばれるプロセスに入ります。約10〜15分間にわたる裁判官との面接であり、自己破産の理由などを質問されます。
基本的には破産手続きを行う本人が面接に参加しますが、弁護士に破産手続きを依頼した場合は弁護士が面接を受けます。面接の際には債権者の数や借金の総額、借金を返却できなくなった理由などについて答えられるようにしましょう。
また、審尋の際には申立書のコピーや印鑑、筆記用具、身分証明書などの準備が必要です。審尋は裁判官との面接ですが、そこまでハードルが高いものではないため、緊張し過ぎないようにしましょう。
破産手続き開始の決定
このプロセスは元々破産宣告と呼ばれ、審尋がうまくいった場合、1週間以内に始まります。その後の具体的な手続きは、同時廃止か管財事件かによって変わります。
同時廃止の場合
同時廃止の場合、この後お伝えする免責審尋によって手続きは完了します。そもそも大きな財産を持っていないため、破産に至った事情に特別な問題がなければ、手続き完了のタイミングは破産手続き開始と同時です。
管財事件の場合
一定以上の財産を保持する管財事件の場合や、破産に至った経緯に問題が多い場合は破産管財人が選任されます。さらに追加で、最低20万円の予納金を支払う必要もあるので留意しておきましょう。管財事件に該当する財産の基準は、下記のとおりです。
- 99万円以上の現金
- 銀行口座に残された20万円以上の貯金
- 20万円以上の価値があるとみなされた自動車
- 20万円以上の解約金がある生命保険
- 20万円以上の価値があるとみなされた株券など
- 破産する人の名義の土地や建物
- 退職金に裁判所が定めた利率をかけて20万円を超えた場合(利率は裁判所によって異なる)
免責審尋
このプロセスでようやく免責手続が開始され、完了すれば借金の支払義務が停止します。免責審尋では指定日時に裁判所へ足を運び、再び裁判官と15分程度の面接を行います。同時廃止の場合、免責審尋を完了すれば手続きはすべて終了です。
ただ、 管財事件の場合、免責の不許可事由が見つかると、管財人と別の面接を行う必要があります。もし、資産隠しなどの問題が発覚すれば何度も面接が発生するので気を付けてください。さらに、面接を行った日から半年以内に債権者集会があります。
債権者集会には金融業者は参加せず、個人債権者が集まります。同様に問題があれば何度も集会が行われます。
免責許可決定
免責審尋が無事に完了すると、約1週間以内に免責許可決定が出され、完全に借金の返済が免除されます。免責許可決定が出るタイミングで官報に住所と氏名が掲載され、それから1〜2ヶ月後に法的に確定します。
免責許可決定が確定されると、破産手続きの間に制限されていた職種に就けるようになります。
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破産手続きのメリット・デメリット
破産はメリットのない手続きに見えますが、意外なメリットが潜んでいます。当然デメリットもあるので、両方ともおさえておきましょう。
破産手続きを行うメリット
破産のメリットは、何よりも借金を返済する義務がなくなる点でしょう。免責許可決定にこじつければ借金を返済する義務から解放され、借金の負担を実質的になくすことが可能です。
また、破産手続きの間、債権者は給料や財産の差し押さえなどの強制執行ができなくなるため、場合によっては財産を守れます。破産を行うと官報に掲載されますが、破産されたことを近所や勤務先の会社に知られるわけではありません。
戸籍謄本など公的な書類に掲載されるわけでもないため、そこまで恐れることはないでしょう。
破産手続きを行うデメリット
破産のデメリットはさまざまな制限がかかることです。まず、免責許可決定がでるまでは弁護士や生命保険の募集人、税理士、会社の取締役など特定の職種には就けなくなり、市役所などで発行される身分証明書の発行も受けられなくなります。
職種の制限や身分証明書の発行は免責許可決定を受ければ終わりますが、それ以降も別の制限がつきます。例えば、新たな借金、クレジットカード・ローンの契約、再破産などが制限されます。俗にいうブラックリスト入りです。
また、破産手続きでは、不動産を処分しなければならず、保証人が要る場合は保証人に請求がいくことになるので、注意しておくべきでしょう。
そのほか、破産することによって社会的な信用性はどうしても低下します。破産を行う以上やむを得ないので、手続きの際は覚悟しておきましょう。
法人・会社の破産手続き
法人・会社の場合、破産は倒産手続きと同一です。法人・会社で破産を行う場合、会社は資産を持つため、管財事件の手続きで行われます。会社は破産の手続きを完了させると消滅するため、清算を伴う倒産手続きに分類されます。
ただ、破産の過程で事業譲渡が行われた場合は事業が継続します。また、会社が破産手続きする場合は負債の支払いができない、あるいは債務超過の状態であることを証明しなければなりません。
破産手続きの費用と専門家への相談
破産を行う際には専門家に相談することをおすすめします。破産の手続きはかなり煩雑であり、財産の有無によって手続きも変わります。必要な書類も多く、何も知らずに手続きすると間違えてしまう可能性もあるでしょう。
破産の手続きを依頼する専門家は弁護士が一般的です。弁護士の中には債権整理や破産手続きなど借金に関する事柄を得意とする弁護士もいます。そのような弁護士に依頼すれば、手厚い支援が受けられるでしょう。
弁護士に依頼すれば、破産手続きのプロセスにある審尋を代わりに受けてくれるため、当事者の負担も減らせます。ただ、気を付けておきたいのが報酬です。報酬は弁護士の裁量によって決められるため、報酬額の妥当性を判断しなければなりません。
手続きが簡略になりやすい同時廃止か管財事件によって報酬が変わる点にも留意しておきましょう。また、弁護士に相談する段階で相談料が発生することが多く、1時間ごとに料金を支払うケースもあります。弁護士に依頼する際には報酬体系にも注意しましょう。
まとめ
本記事の要点を下記にまとめます。
- 破産手続きは2種類あり、同時廃止と管財事件がある
- 破産手続きにはさまざまな書類が必要である
- 同時廃止か管財事件かによって手続きの流れとかかる期間が変わる
- 会社の破産は清算を行う倒産手続きに近く、破産すると会社は消滅する
- 破産はデメリットばかりあるイメージだがメリットも存在している
- 破産を行う際には弁護士のような専門家に依頼することがおすすめ
破産にはネガティブなイメージが伴いますが、借金返済の負担が大きすぎる場合に破産で財産を守れます。ただ、破産の手続きは複雑であり、用意すべき書類もかなり多いので事前準備が大切です。
予備知識なしで破産手続きすると思わぬ手間が発生するため、弁護士のような専門家に依頼するとよいでしょう。弁護士は破産手続きをトータルでサポートしてくれるだけでなく、破産以外の選択肢を示してくれるかもしれません。ぜひ、心強い弁護士を探してみてください。
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